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資料5
中央教育審議会大学分科会
制度部会(第12回)平成16年10月6日

我が国の高等教育の将来像(審議の概要)に関する見解と意見

日本私立短期大学協会
会長 川並 弘昭

はじめに

 いま我が国の高等教育全体がその在り方を厳しく問われています。
 つまり大学、大学院、短期大学等の高等教育機関が、その教育目的や教育課程を、それぞれの役割関係や、相互の接続・連携との関係で、どう設定するべきかを明確にする必要に迫られているわけです。
 大学審議会が進めた一連の検討を基礎に、中央教育審議会大学分科会が制度改革を進め、この度は、最も根本的な問題である高等教育全体としてのデザインを「我が国の高等教育の将来像」として提言されたことについて心から敬意を表します。
 この提言は、四六答申が高等教育を「学校種」から離れて、教育目的・教育内容の差異によって「類別化」することを志向して以来の深い意義に立つものであると考えます。
 以上の視点に立ちつつ、本協会としては特に次の点について意見を申し述べます。

1. 短期大学の課程について

(1)  現行法令上の大学・短期大学の学部・学科といった組織の編成に基づいた「種別」から「学位を与える課程(プログラム)中心の考え方に再整理していく必要がある。」というこの度の提言は、それぞれの学位に相応しい専門教育と教養教育(あるいは高度な素養の涵養)とを統合した国際的通用性をもった体系的なプログラムのもとに課程の編成が必要であるとする新しい視点に立った、極めて重要な見解です。
 学位を与えるという社会的責任への自覚に立って、今後、大学、大学院、短期大学は教育研究の充実に取組むべきです。

(2)  短期大学の教育課程を位置付けるにあたって、「学位取得のための教育と技能・資格取得のための教育の性格の違いを内容面から特徴づけるのは教養教育。」であるという視点に立ちつつ、「短期大学における教養教育は、4年制大学における教養教育と同様に、自己の人間としての在り方・生き方に関わる教育であると考えられる。」とする見解は、まさに基本的認識であると考えます。
 短期大学においては、これまでも教養教育の充実に努力を傾注してきたところですが、「短期大学を含めた大学における実務教育・職業教育は、教養教育の基礎の上に立ち、理論的背景を持った分析的・批判的見地からのものである点で、他の機関により提供される実務教育・職業教育とは異なる特徴があるものと考えられる。」という見解も、今後の短期大学教育に関わる基本的認識として尊重されるべきです。
 これらの基本的認識に立ちつつ短期大学の課程を学位を与える課程として位置付け、「短期大学における教育の課程修了を制度上の学位に結びつけることについて、国際的通用性にも十分留意しつつ、検討すべきである。」という提言に満腔の敬意を表するものです。
 なお、このような論点を踏まえて、短期大学に関わる法的位置付けの、今後における検討を期待するものです。

2. 高等教育の質の保証について
 「事前規制から事後チェックへという流れの中、大学設置に関する抑制方針の撤廃や準則主義化、特に一定の組織改編が届出で可能となったことを主な契機として、多様な大学等が設置されるにつれて、国際的通用性や学習者保護の観点から高等教育の質の保証が課題となる」とする指摘は最も重要な見解です。
 しかも、設置審査が急速に緩和する一方で、事後チェックの基礎である自己点検・評価がなお成熟を期さねばならない現状であることも事実です。したがって「高等教育の質の保証の一環としての事前・事後の評価の関係については、双方の適切なバランスを確保することが重要である。特に、一定程度の事前評価は必要であるとの観点から、設置認可制度について、我が国の高等教育の質の保証の仕組み全体の中での位置づけを一層明確化し、的確に運用すべきである。また、事後評価は、速やかにシステムを整え、十分効果的なものとなるよう発展させていくべきである。」の記述の一部、たとえば下線部を変えて、「特に、一定程度の事前評価は必要であるとの観点から、設置認可制度について、認証評価機関による第三者評価の成熟を期しつつ、当面、的確に運用すべきである。」の如き表現に改めることの検討が必要であると考えます。

3. 高等教育の発展を支える財政支援の在り方について
 「国は、個人の経済状態を問わず高等教育を受ける機会を実質的に保障して・・・・私立学校振興助成法の趣旨に沿った私学助成の一層の充実を図るとともに、・・・・意欲・能力のある個人に対する支援を一層推進するための奨学金をはじめとする学生支援の充実等の各般の措置を推進することにより、教育・研究条件の維持・向上とともに学習者の教育費負担の軽減に努めるべきである。」とする見解及びこれに続く「このため、高等教育への公財政支出の抜本的な拡充を図るとともに民間企業や個人等からの資金の積極的導入に努めることが必要である。」の提言は極めて重要です。
 ことに、「新しい時代にふさわしい高等教育の位置づけに関し、社会人受入れの推進等の生涯学習機能や地域社会・経済社会との連携も視野に入れる必要がある。」との提言について、その役割を主体的に果たす短期大学に対して、より一層充実した国の助成が必要であると考えます。
―以上―



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