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参考資料2
中央教育審議会大学分科会
将来構想部会(第17回)H15.1.14

規制改革の推進に関する第2次答申(抄)
−経済活性化のために重点的に推進すべき規制改革−


平成14年12月12日
総合規制改革会議

第2章  各分野

4  教育・研究
【問題意識】
  グローバル化、価値観の多様化、少子高齢化など経済、社会の大幅な変化に対応してこれまでの事前規制による全国一律の画一的な教育システムを変換し、消費者の多様な価値観、ニーズに応え得る豊富な教育サービスを提供し得る事後チェック型のシステムの構築が急務である。
  そのために教育の主体について、既存の公立学校や学校法人の改革を進めるとともに、外部からの新規参入者の拡大を通じて、主体の多様化を促進し、消費者の選択肢の拡大と主体間の競争的環境を通じた質的向上を図る必要がある。
  また同時に、教育の質と適正な競争を担保する客観的な仕組みとして情報開示や第三者評価など、事後チェックを支えるシステムを早急に構築する必要がある。
  さらに、初中等教育については指導要領など全国一律の規制の弾力化と教員の質的向上、高等教育については大学設置規制の弾力化と大学教員の活性化・産学連携の促進を通じて、消費者、地域社会の様々なニーズに応じた質の高い教育提供を可能とすべきである。

【具体的施策】

1  教育主体の多様化
(1)教育分野における株式会社等の参入【平成15  年度中に検討・結論】
  株式会社など国・地方公共団体や学校法人以外の民間主体による教育分野への参入については、会計制度などによる情報開示制度、第三者評価による質の担保及びセーフティネットの整備等を前提に、教育の公共性、安定性、継続性の確保に留意しつつ、特に大学院レベルの社会人のための職業実務教育等の分野について、その在り方を検討すべきである。

(2)コミュニティ・スクール導入に向けた制度整備【平成15  年中に検討・結論】
  新しいタイプの公立学校であるコミュニティ・スクールを導入することの意義は、教職員人事を始めとする運営・管理及び教育の実施等について、学校、保護者、地域の独自性を確保する一方で、地元代表や保護者の代表を含む「地域学校協議会(仮称)」に対しアカウンタビリティを負うことにより、社会や地域住民・需要者のニーズに応じた多様で機動的な学校運営を可能とし、独創性と創造性に富んだ人材の育成に資することにある。これらの点を踏まえ、コミュニティ・スクール導入のための制度整備に関しては、例えばコミュニティ・スクールの設置手続、「地域学校協議会(仮称)」の設置と機能、都道府県教育委員会、市町村教育委員会及び地域学校協議会の教員任免等に係る権限の在り方等の点について、法令上の規定を設けることを検討すべきである。

(3)学校法人の要件緩和【平成15  年度中に検討・結論】
  学校法人の設立要件については、構造改革特区における特例措置として校地・校舎の自己所有要件の緩和が認められたところであるが、学校教育の安定性・継続性の確保を前提に、全国的な緩和について、特区における状況も十分に踏まえながら検討すべきである。

(4)私立学校設置促進のための施策
  1   都道府県の私立学校設置認可審査基準等の見直し促進【平成14  年度中に措置】
  私立学校の設置を促進するため、平成14  年4月に小学校設置基準(平成14  年文部科学省令第14  号)及び中学校設置基準(平成14  年文部科学省令第15  号)が制定され、教育上及び安全上支障がない場合には、廃校となった公立学校等を供用又は借用することができることが明確になったところである。小・中学校設置基準策定の趣旨を踏まえ、各都道府県の私立小・中学校の設置認可審査基準等における校舎や運動場の面積基準等の要件見直しを各都道府県に促すべきである。
  2   私立学校審議会の見直し【平成14  年度中に検討・結論】
  私立学校審議会は、私立学校の自主性を確保する観点から、私立学校行政に関する所轄庁の権限行使に当たり、私学関係者の意見を反映するために設けられており、現行の私立学校法(昭和24  年法律第270  号)第10  条は、私立学校関係者以外の民間有識者等を同審議会の構成員数の4分の1以上にしてはならない等と規定している。しかし、この規定は、各都道府県の私立学校行政を過度に規制しかねない可能性もあることから、例えば、上記規定の在り方や、構成員・運営を含む私立学校審議会の在り方を検討すべきである。


(5)教育への外部資源の積極的活用【平成15  年度措置】
  現行、既に総合的学習の時間において、学校外の教材や学習環境の積極的活用が図られているところであるが、そうした取り組みを促進するとともに、さらに民間企業やNPO等など学校以外の主体が保有する教育資源の有効活用等の観点から、例えば外国語やIT教育などの授業において、各学校の判断で外部人材や学外の学習環境の活用が推進されるよう、ガイドラインの策定や体制の整備等を図るべきである。
  また、現在PFI方式により学校施設等の維持管理と温水プールの地域開放時の運営や水泳教室・フィットネスの運営などが行われている例が既にあるが、学校運営のアウトソーシング促進の観点から、PFIによる学校施設運営が可能である範囲について明確化を図るべきである。

(6)インターナショナル・スクールに関する制度整備【平成14  年度中に措置】
  インターナショナル・スクールについては、その定義を明確化した上で、学校教育法(昭和22  年法律第26  号)第1条に基づく私立学校に準じた取扱いとなるよう各種の支援措置が検討されるべきである。また、インターナショナル・スクールの卒業者に対して、我が国の大学の入学については、大学入学資格検定を受検しなくとも、入学資格を認められるようにするとともに、高等学校の入学については、例えば中学校卒業程度認定試験の受験資格を拡大する等により、大学や高等学校への入学機会を拡大すべきである。

(7)海外から進出する大学など高等教育の国際的展開に対応した質の保証のあり方【平成15  年度中に検討】
  海外から我が国に進出する大学は、我が国の学生にとっては国際化に対応した教育の選択肢のひとつであるとともに、海外からの学生受入数拡大の観点からも有意義である。しかし、これらの「大学」は、我が国の大学としての認可を受けておらず、消費者の混乱を招いている面がある。
  したがって、大学の質保証及び消費者保護の観点から、例えば、国内の第三者評価機関が海外大学についても評価し得るようにするなど、高等教育の国際的展開に対応した質の保証の在り方について検討すべきである。

2  教育主体に関する情報公開の促進
(1)学校法人会計制度の見直し【平成15  年度中に検討・結論】
  公益法人会計基準の見直しについては、企業会計基準の大幅な改訂等を踏まえ、総務省の研究会が平成13年度に中間報告をとりまとめ、今後新たな基準が策定される予定である。
  したがって、公益を目的とする学校法人においても、事業活動の透明化、効率的経営に資するよう、新しい企業会計基準を取り込むことについて、学校の特性を踏まえつつ早急に検討すべきである。

(2)大学の情報公開の促進【平成14年度中に措置】
  少子化等により、大学を取り巻く経営環境が厳しくなることが予想される中で、学生や保護者、企業関係者等の判断に資するよう、一層の情報開示を進めることが必要である。
  このため、私立大学について、平成13年度から検討されている財務状況の公開に関する具体的な内容や方法等について早期に結論を得て、公開を促進する。その際、学生等に分かりやすい方法や内容について検討すべきである。
  また、大学は、財務状況に限らず、教育環境(教育方針、教育内容、1教員当たりの学生数等)、研究活動、卒業生の進路状況(就職先や就職率等)など当該大学に関する情報全般を、インターネット上のホームページなどによって積極的に提供すべきである。

(3)大学への第三者評価及び学校の評価の在り方
  1   大学への第三者評価の導入【平成14  年度に措置済み】
  大学に対する第三者による継続的な認証評価制度の導入促進を図るべきである。
  なお、社会のニーズを反映した客観性の高い認証評価制度を構築するため、民間研究者、外国人研究者、企業関係者などを幅広く評価者に含めるものとすべきである。
  2   学校の自己点検評価と情報開示【平成14年度中に措置】
  幼稚園、小学校、中学校及び高等学校について、自己点検評価、情報提供に関して設置基準に盛り込まれたところであるが、各学校において評価項目や情報提供の内容等を適切に定め、自己点検評価と情報提供を積極的に行う必要がある。さらに、外部評価の公開を視野に入れた学校評価の促進を行う必要がある。
  このため、自己点検評価や情報提供に関し、学校の積極的な取組を推進し、評価項目や評価手法、情報提供の内容・方法等が適切なものとなるよう、教育委員会等に対し促すべきである。また、外部評価を含む学校評価を促進することを教育委員会等に対し促すべきである。

4  高等教育の活性化と産学連携の推進
(1)学部・学科の設置規制の柔軟化【平成14  年度に措置済み】
  大学が主体的な判断により機動的に編成できるように、国立大学の法人化を待たず、学位の種類・分野の変更を伴わない学部・学科の新設、廃止手続を、認可制から届出制に変更することにより、学部・学科の設置規制を柔軟化し、教育機関間の競争を活性化することを図るべきである。
  また、大学院の目的として高度専門職業人養成を明確化し、高度専門職業人に特化した「専門職大学院」を創設すべきである。専門職大学院については、教員の相当数は実務経験者とされるべきであり、また、第三者評価には、輩出した人材のレベルに関する社会的評価を重視すべきである。

(2)大学等の新増設に関する規制の見直し
  1  大学・学部等の設置審査に係る基準の見直し【平成14  年度中に措置】
  大学設置基準(昭和31  年文部省令第28  号)や大学設置・学校法人審議会審査基準など、様々な形式によって重層的に規定されている基準について、それぞれの基準の必要性等を十分に吟味し、全体として最低限必要な基準となるように厳選した上で、告示以上の法令で規定することにより一覧性を高め、明確化を図るべきである。
  2  大学・学部の設置等に係る認可に対する抑制方針の見直し【平成14  年度中に措置】
  「平成12  年度以降の大学設置に関する審査の取扱方針」(大学設置・学校法人審議会大学設置分科会長決定)における「大学、学部の設置及び収容定員増については、抑制的に対応する」という方針は、大学の設置等に対する参入規制として働くと考えられることから撤廃すべきである。
  3  大学の設置等における校地面積基準及び自己所有要件の大幅な緩和校地面積に係る基準や校地の自己所有要件を、平成14年度中に大幅に緩和すべきである。また、大学設置・学校法人審議会の内規において、「大学の校地が校舎敷地と運動場とに分かれている場合は、その距離は、通常の方法で片道1時間以内にあり、かつ、校舎敷地に基準面積の2分の1以上なければならない。」とされている規定については廃止すべきである。【平成14年度中に措置】
  なお、将来的には、構造改革特区において専門職大学院について校地を不要としたことの状況も見つつ、大学としての質の確保と継続性に配慮した上で、校地面積基準及び自己所有要件の更なる見直しについて検討すべきである。【平成14年度以降継続的に検討】

(3)大学教員の勤務条件の弾力化等   
  1  国立大学教員の流動性の向上【平成15年度中に検討・結論】
  教員の流動性を高めることによる大学の教育研究の活性化及び産業界の専門性の高い人材を活用する観点から、国立大学が法人化される際には、各大学の判断によりいわゆる招聘型の任期付教員の能力・実績に応じた給与等の処遇を可能とし、任期制の積極的導入を図るべきである。
  2  国立大学教員の企業での兼業の促進【平成14年度中に検討・結論】
  大学の研究成果が素早く移転できるよう、平成14年10月から国立大学教員の役員兼業に係る人事院の承認権限が文部科学大臣に委任され、更にその権限を大学長に再委任できることとされたところである。
  更には商法(明治32年法律第48号)が改正され、社外取締役(同法第188条第2項第7号ノ2)が規定されたことを受け、関係制度の変化や公益性に関するコンセンサスの形成状況を見極め、国立大学教員の社外取締役との兼業について、法制面についても有識者の意見を聴取しつつ、解禁について検討を行うべきである。
  3  国立大学教員等の勤務時間内兼業に係る基準等の明確化等
  国立大学の法人化を待たずに弾力的な勤務形態(例えば週20  時間勤務)による任用を進め、兼業・起業を促進するため、構造改革特区において国立大学教員等が勤務時間内の技術移転事業者(TLO)やベンチャー企業等の役員兼業を実施するとともに、国立大学教員等が産学官連携活動のために役員以外の勤務時間内兼業を行うことについて、一定の基準・手続の下で実施できるようにすべきである。【平成15  年度から実施】
  また、最も裁量性の高い職種と考えられる大学教員について、労働時間規制の在り方を早急に検討すべきである。【平成15  年度中に検討】<「雇用・労働」3(1)に再掲>
  4  学校外教育の認定の促進【平成14年度中に措置】
  国内外の大学や民間の教育機関が連携して取り組める環境を整備するため、例えば、民間企業やNPOにおける起業家講座やインターンシップ等、起業家や経営スタッフの育成に資する学校外での学習のうち、一定の質を満たす場合については、これを大学の単位として認定することを促進し、人材育成面での産学連携を加速すべきである。
  5  若手研究者の参画の推進【平成14年度に措置済み】
  大学と産業界との連携の一環である受託研究や共同研究において、ポストドクターや大学院生の若手研究者に発明の機会を与え、発明に対するインセンティブを持たせるために、企業からの受託研究の研究代表者となることなど若手研究者が積極的に参画することを推進し、人件費等の配分についても、自由に大学で決定できるようにすべきである。

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