資料6−1

「『留学生30万人計画』の骨子」に係る検討事項(案)

平成20年2月22日

1.なぜ「30万人」か?

(1)なぜ留学生を受け入れるのか?それぞれの立場で整理。

例えば、

  • 1 国
    • 途上国支援
    • 国際親善
    • 外交政策(戦略)
    • 安全保障
    • 日本語、日本文化等「日本」の普及
  • 2 経済社会
    • 我が国の経済活動の担い手、支援者の育成
    • 我が国の労働市場に(優秀な)人材を確保
    • 30万人の留学生及びその家族等がもたらす経済効果
    • 外国人との共生社会の実現
    • 地域活性化(e.g.別府市)
  • 3 高等教育機関
    • 国際化、国際競争力強化、国際的評価向上
    • 途上国への知的貢献
    • 教育研究活動の充実、活性化
    • 国際的学術ネットワークの確立
    • 経営安定化(定員割れの補充)
  • 4 日本人学生
    • 国際理解増進
    • 語学力向上
    • 異文化体験
    • 人的ネットワークづくり

(2)なぜ外国人学生は日本を目指すのか?〔留学生の視点〕

例えば、

  • 1 国としての魅力
    • 国としての国際性(外国人の受容と共生)
    • 文化的な魅力
    • ビジネスチャンスの有無
    • 入国のし易さ
  • 2 高等教育機関の魅力
    • 教育研究の世界的通用性
    • キャリアの通用性
  • 3 留学にかかる費用
    • 授業料
    • 生活費(物価)
    • 奨学金
    • アルバイト
  • 4 受入環境
    • 宿舎事情
    • 大学内の受入れ体制
    • 交通事情
    • 治安、保健衛生
  • 5 留学のし易さ
    • 試験制度、認証制度
    • 情報の入手
    • 入国手続き(VISA)
    • 日本語教育

(3)なぜ各国は学生を海外に派遣するのか?〔各国の事情と地域の特性〕

例えば、

  • 1 中国
    • 「国家建設高水平大学公派研究生項目」の実施(2007年から2011年において毎年5,000人の中国人大学院生を海外留学)
    • アフリカからの留学生受入れ等外交戦略としての展開
  • 2 サウジアラビア
    「アブドッラー国王奨学金プログラム」の実施(工学、医・薬学など同国で今後人材需要が見込まれる実用分野を対象に、各国へ派遣。)
  • 3 ベトナム
    国内高等教育の進展に不可欠な博士号取得者数を増加させるため、2008年〜2020年までに2万人の博士の養成を目指し、1万人を15か国程度に海外留学で養成。
  • 4 米国
    Senator Paul Simon Study Abroad Foundation Act of 2007」が2007年6月に連邦議会下院で成立(今後10年以内に毎年100万人の米国人学部学生を海外留学)
  • 5 サハラ以南のアフリカ諸国
    国内大学の数が限られているか教育の質が低く海外留学させるしか選択肢がなく、留学のニーズが高い。

2.「30万人」をいつまでに?

3.「30万人」の姿は?

4.「30万人」を達成するには?

5.「30万人」計画の設計をどうするのか?

〔参考〕

○豪・IDPによる2025年の送り出し国別留学生数予測

国名 2025年予測(送り出し数) 2007年の日本の留学生数かっこ割合)
中国 3,195,916 71,277かっこ60.2パーセント)
インド 628,088 480かっこ0.4パーセント)
マレーシア 248,754 2,146かっこ1.8パーセント)
韓国 178,158 17,274かっこ14.6パーセント)
ベトナム 127,293 2,582かっこ2.2パーセント)
トルコ 114,632 169かっこ0.1パーセント)
モロッコ 110,208 36かっこ0.03パーセント)
バングラディシュ 102,395 1,508かっこ1.3パーセント)
パキスタン 98,000 128かっこ0.1パーセント)
インドネシア 97,163 1,569かっこ1.3パーセント)

地域名 2025年予測(送り出し数) 2007年の日本の留学生数かっこ割合)
アフリカ   673,000 989かっこ0.8パーセント)
サハラ以南 474,000 該当なし
北アフリカ 199,000 該当なし
中東 358,000 797かっこ0.7パーセント)
アジア   5,355,000 109,495かっこ92.4パーセント)
東アジア 3,623,000 該当なし
東南アジア 638,000 該当なし
南アジア 921,000 該当なし
中央アジア 174,000 該当なし
アメリカ   325,000 3,136かっこ2.7パーセント)
北米 138,000 該当なし
中米 67,000 該当なし
南米 120,000 該当なし
ヨーロッパ   966,000 3,547かっこ3.0パーセント)
西欧 504,000 該当なし
東欧 462,000 該当なし
オセアニア 15,000 534かっこ0.5パーセント)
合計 7,692,000 118,498
  • 日本の留学生数は日本学生支援機構調べ

○地域別分類による留学生の特性(試案)

  国・地域 特性
A地域 中国・ベトナム・モンゴル・ネパール・ミャンマー・バングラディシュ・スリランカ等 アジア地域の開発途上国で出国圧力が高い国・地域。留学は最も優位度が高い出国方法であり、留学をテコとした長期定住という側面も出てくる。一般的に個人の経済力が弱いため高額な教育負担はできず、自費の場合は労働目的(不法残留)に変容する可能性は否めない。日本への短期資格での入国も厳格な審査が実施されている。就学資格の在留資格認定証明書発給率は60パーセント以下(平成19年4月実績)。経済的に発展の著しい中国は個人的地域的に経済格差が大きく、北京、上海はB地域に分類できるか。
B地域 韓国・台湾・マレーシア・シンガポール・タイ・香港等 アジア地域の中進国で、すでに一定の経済的水準に達している国・地域。高等教育就学率は15パーセント〜50パーセントでマス段階となっており、高等教育自体の優位性で留学先が選択される傾向。当該国への留学生誘致も国家戦略としている。欧米から留学生誘致、大学共同プログラムなどが盛んに持ち込こまれている。一方で当該国内高等教育から外れた部分が留学に流れる可能性も指摘される。日本に査証免除で短期入国できるようになってきている。就学資格の在留資格認定証明書発給率は80パーセント以上(平成19年4月実績)。
C地域 米、英、豪、カナダ、EU等 留学生受入れ先として中心的な国・地域。経済・科学、技術で先進性を保ち、高等教育で国際性・優位性・柔軟性を持つ。日本からの主な留学先であり、英語等言語優位性がある。日本への受入れは、短期交換留学が主流。日本に査証免除で短期入国。
D地域 その他(アジア・アフリカ・中南米) ODAからのアプローチ、日系人受入れ等幾つかの複合的な留学生の受入れ形態。
  • 出典 「留学生交流の将来予測に関する調査研究」
    2006年度文部科学省先導的大学改革推進経費による委託研究(一橋大学)

日本人の海外留学についてどう考えるか?

例えば次のようなことが考えられる。