生活・総合的な学習の時間ワーキンググループ(第4回、平成28年2月23日)における主な意見(未定稿)

1.カリキュラム・マネジメントの視点からの総合的な学習の時間の役割について

○ カリキュラム・マネジメントというのは、目標の実現及び実現のためのカリキュラムを運用する上で、学校園内外の、いわゆるヒト・モノ・カネ・時間をどのように効果的に活用、運用するかということが必要。
○ 総合的な学習の時間で扱うテーマは、厳選した方がよい。
○ 総合的な学習の時間を資質・能力を汎用的に高めていく位置付けとして考えるのであれば、各教科等で育成する資質・能力をまとめていくような、幅広い位置付けになってもよいのではないか。
○ 特に中学校や高等学校においては、教科等の横のつながりが薄いという面があるので、育成すべき資質・能力と各教科等の間に総合的な学習を位置付けた方がよいのではないか。
○ 社会においては、総合的な学習において育てようとしている力の重要性は十分認識されているが、むしろ学校現場においては教えなければいけない知識との間で、優先度に関して先生が迷っているという実情があるので、学校の先生に対して総合的な学習の意義を発信していくべきだ。その際、総合的な学習の位置付けを中心的なものに変える。あるいは、学習指導要領の第2章に書くことなどにより、学校現場にメッセージを発していくことが必要なのではないか。
○ 総合的な学習の時間は、学校の最高目標を達成するための時間であり取組であるので、総則で扱うことも考えられるのではないか。また、探究的な活動をする時間として、横の役割もあるのではないか。その際、学校全体のマネジメントも必要である。総合的な学習の時間をどのように位置付けるかを考えること自体が、管理職のマネジメントである。
○ 学校の教員が教育課題や要請をばらばらに捉え過ぎていて、全てがグローバル人材の育成につながっているという認識が不足している。総合的な学習の時間というのは、子供の資質・能力を育成することに加えて、教員の意識改革に関して重要な役割を担っている。9年間で総合的な学習を活用して、どんなテーマで、そのスキルを、1年生から9年生まで系統立てて育成していくかと考えることが、小中連携の一番の狙いであり、キャリア教育の系統立ったカリキュラム・マネジメントを作っていくことにもなる。各教科が真ん中にあって、その外を全面的に総合的な学習の時間が取り巻いているという表現も一つのやり方。本来、プロジェクト・ベースド・ラーニングの探究型の学習というのは、与えられたテーマによっては、その知識を深め、そのプロジェクトによって学び方を学んでいく、スキルを育成していくというもの。学び方さえ身に付けてしまえば、テーマが変わったり、発達の段階が変わったりすることによって、そのスキルのレベルを上げていける。
○ 今回の学習指導要領改訂において育成すべき資質・能力、その実現のためのアクティブ・ラーニング、そして社会に開かれた教育課程というものを教育課程全体で実現していこうと思えば、総合的な学習が要の時間にならざるを得ない。
○ カリキュラムについて、今までは何をどう教えるのかという発想が強かったが、これからは、子供が何をどう学ぶのかという発想の転換がないと、コンピテンシー・ベースへ変えることはできない。
また、カリキュラムを、例えば総合的な学習で学んだことが算数に生きてきたり、理科で学んだことが総合的な学習に生きてきたり、そういう双方向的な掛け算として相乗的に働くものと捉えなければならない。
カリキュラム観が変わらないことには、同じことの繰り返しになる危惧がある。カリキュラム・マネジメントを、子供がどう学ぶのかということに基づいてダイナミックにカリキュラムを作っていく発想で捉えない限り、何をどう教えるのかというところから脱することはできない。
生活科や総合的な学習は、コンテンツよりもコンピテンシーが重視されている。しかし、コンテンツが軽視されているわけではない。二項対立ではなく、図としてコンピテンシーがあって、地としてコンテンツがあると理解することが、カリキュラムを考える上で非常に重要。
実際には学校や教師がカリキュラムを作っていくので、学校とか教師の仕事という観点からカリキュラム・マネジメントを発想できるように、カリキュラム観を転換して示さないと、大胆な変化は起こらない。カリキュラム・マネジメントという言葉が定着しないのは、単元開発の問題。単元開発をどのように教師や学校が独自にしていくのかと考えたときに、実際には、やりながら考えるという学校や教師の思考プロセスが大事であるにもかかわらず、表にまとめたり、実行したりするという定型的な作業としてカリキュラム・マネジメントをイメージしてしまう傾向がある。実際には、計画カリキュラムと実施カリキュラムのずれをどう調整しながら、ダイナミックに単元を作り替えていくか、あるいは作り出していくかということが求められているのに、そういうことが見えてこないような枠組みを幾ら提示しても理解されない。中長期的にどのように単元を作っていくのかということが、実はカリキュラム・マネジメントである。あるいは、そのようなメッセージやカリキュラム観の転換を示していかなくてはならない。
○ カリキュラム・マネジメントが教師の力量形成にもつながる。
○ 総合的な学習の時間は、それぞれの地域での実態や実情があってこそ、その意義がある。その地域の社会的、経済的、環境的な状況を視野に入れながら、それらを反映させたプログラムを作っていくことが必要。
○ 総則の次に、すぐに各教科が入っているが、その間に、学校として子供に保障する資質・能力について、日本の教育課程の基本構造を説明するような段階が欲しい。
○ 総合的な学習の全体計画は、各教科に関する記述量が多く総合的な学習に関する記述が少ない例や、ただ単に項目、事項、領域など、単元名が書かれているだけの例もある。全体計画では、育てたい資質・能力を学年を超えて記述することが必要。

2.総合的な学習の時間における資質・能力の三つの柱の整理について

○ 個別の知識や技能に関して、各教科等で習得した知識・技能の横断的・総合的な活用を通した深い理解を加えるべきだ。例えば、各教科等で身に付けた知識や技能を具体的な場面で使うことによって、改めて教科の知識や技能の必要性を子供が実感するというようなことが大事。
○ 思考力・判断力・表現力は、余り発達の段階に関係なく、共通に必要な力である。
○ 学びに向かう力、人間性については、発達の段階によって子供が意識する生活や社会の大きさが、身近な地域から国、世界と広がるにつれて、異なってくる。また、子供自身が自分自身をいかに深く見つめるかということが大事だが、これも小学校、中学校、高等学校によって、自己の見つめ方の深さは異なってくる。
○ みんなで一緒に働くという視点だけでなく、独り立ちをするという視点も重要。
○ 全ての学習のプロセスを個人で行うことが、キャリア教育として、社会に出てもやっていく力につながる。
○ 個別の知識・技能のところにも、協同的な学習ということを入れるべきである。
○ 国が示すものはシンプルで確かなものに限った方がよい。情報量は多すぎると、大事なものが伝わらなかったり、混乱が生じたりする可能性がある。
○ 総合的な学習の時間においては、振り返りの時間が重要。また、ほかの教科の振り返りと有機的に関連付けることも考えられる。
○ 一つのプロセスが終わって、その次に行くときに、次の課題を自分たちで創り出していく力が、学びに向かう力につながる大事なものである。
○ 三つの柱に、社会の形成者としての市民性に関する内容を位置付けるべきだ。

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