資料11 教員研修の実施状況等に関する調査の結果(概要)

調査時期 平成18年3月
調査対象 96県市(47都道府県、14政令指定都市、35中核市教育委員会)

  • ※ 質問の多くは記述式であるため、記述の趣旨を踏まえ、項目毎に整理している。
  • ※ 複数の項目にまたがる記述もあるため、項目毎の合計数は必ずしも調査対象数と一致しない。

1.45歳以上の教員の資質向上について

1.45歳以上の教員の資質能力に対する現状認識

  • 教員の個人差が大きくなっている…27県市
    (主な回答)
    • 指導の工夫・改善の取組や教職に対する意欲は、個人差が極めて大きい。特に、現状維持を是認する教員は、経験則に依存した指導となりがちで、教育改革に応じた自己意識の改革や向上心を維持する姿勢が見られない。
  • 教員の二極分化が進んでいる…27県市
    (主な回答)
    • すばらしく指導力のある教員と、時代の流れに柔軟に対応した指導ができず、経験をもとにした価値観の押し付けによる指導になりがちな教員に二極化している。
  • 45歳以上の教員に大きな課題は見られない…17県市
    (主な回答)
    • 本県の場合、30歳代後半から40歳代の教員が多く、45歳代後半から50歳代の教員はそれほど多くはない。そのため、45歳以上の教員のほとんどが、主任など学校の中核として活躍しており、それに伴う研修の機会も確保されているため、指導力や教職に対する意欲等について大きな課題は見られない。
  • その他…25県市
    (指摘された主な課題)
    • 学級経営や学習指導の改善充実に対する意欲が低い
    • 社会の変化や新たな教育課題に対応する力に乏しい
    • 大所高所からの取組ができない
    • 現状維持や前例踏襲を良しとする傾向がある

2.他の年齢層と比較した研修機会の状況

  • 充実した状況にある…3県市
  • 同等の状況にある …47県市
  • やや少ない状況にある …40県市
  • かなり少ない状況にある …6県市

3.45歳以上の教員に対する研修機会の確保の取組

  • 何らかの対応を図っている…70県市
    • 経年研修を行っている …20県市
    • ミドルリーダーを養成する研修を行っている …14県市
      (主な回答)
      • ライフステージに沿った経験者研修の最終として「26年目研修」を実施している。
      • 45歳前後の教員対象の研修については、「キャリアアップ研修」を新設し、組織マネジメント能力や教科経営能力の向上を図っていく。
  • その他…40県市
    (その他の主な対応)
    • 管理職による自己啓発面談の実施
    • 教員評価における自己目標と研修との連動
  • 特に対応していない…26県市

2.教員の自主的・主体的な研修について

1.近年の実施状況

  • 増加・充実している…39県市
  • 変わらない …36県市
  • やや減少している …5県市
  • かなり減少している …2県市
  • 状況を把握していない …14県市

2.1の状況の主な要因

〔増加・充実している県市〕

  • 自治体等による支援の充実…20県市
  • 教員の目標意識の高揚…10県市
    (主な回答)
    • 夜間・休日など勤務時間外に行う講座や、夏期休業中に職免研修として行う講座の増加。
    • 確かな学力の定着を目指した授業研究等の必要性の増加。生活の私事化や教育の個別化等に伴う教育課題の増加及び深刻化。社会の変化に伴う解決すべき教育課題の増加。
  • その他…12県市
    (その他の主な要因)
    • 大量退職・採用を迎え、指導力のある教員の確保に対する教育委員会及び管理職の危機意識。

〔減少している県市〕

  • 教員の余裕の欠如…4県市
  • 参加可能な講座の減少…1県市
    (主な回答)
    • 学校現場での様々な課題への対応を背景に、自主的・主体的な研修に参加する時間的・精神的なゆとりの減少。
  • その他…2県市
    (その他の主な要因)
    • 法定研修の充実に伴う自主的研修の必要性の低下

3.自主的・主体的な研修活動を奨励するための支援策

(主な回答)

  • 研究団体に対して財政的援助を行うとともに、研究大会の開催を後援している。講師の紹介等に関する団体からの依頼に対しては積極的な情報提供を行っている。県の総合教育センターにおける土曜開放講座や大学における教職員サマーセミナーなど、自主的に参加できる講座を開設している。
  • 本県では、平成14年度から自主企画研修として、教職員が自ら企画した研修を支援している(一定の旅費の支給)。
  • 夜間に教員の自主的な研修をサポートする「教師力養成塾」を開設している。カリキュラムサポートセンターを開設し、指導案や生徒指導等に係る教員の相談や情報提供を行っている。教科研究の過程や成果をwebページに掲載し、双方向に意見交換を行いながら授業改善に役立てている。
  • ニーズに応じた少人数・参加体験型の講座を増設し、希望者が多い講座は複数回開設している。
  • 教科指導を中心に校内研修を支援する「授業で勝負!支援事業」(指導主事による指導助言、校内研究主任等への非常勤講師による後補充)を平成18年度から実施する予定。
  • eラーニングシステムを活用した自主的な学習プログラムの提供(英語研修)

3.教員研修の将来的な見直しについて

1.財政状況等を踏まえた将来的な見通し

  • 研修費の予算確保の困難さを予想…22県市
  • 研修体系の見直しや研修の精選等が課題…62県市
    (主な回答)
    • 厳しい財政難の中、現在の研修体系の維持も難しい状況であり、今後も量的充実は難しく、費用のかからない範囲での質的な充実を図っていく必要がある。
    • 教職員研修については、今後、研修の精選・重点化を図りながら、研修内容・方法の一層の充実のため研究している。
  • 現状の研修体系を維持…4県市
    (主な回答)
    • 本市において現段階で特に影響はない。
  • その他…24県市
    (主な回答)
    • 研修の効果測定の方法等についての研究を進め、研修の評価結果を踏まえ研修の改善充実を図っていくことが必要となる。

2.研修事業の見直しの方向性

  • 研修の精選・重点化…33県市
  • 自主的・主体的な研修の充実…14県市
  • 外部関係機関との連携…17県市
  • 市町村等への研修の移行・委譲…1県市
    (主な回答)
    • 財政状況を勘案したとき、さらに研修費用のスリム化が必要。教員の自己研修意欲の高揚とともに、大学や企業等と連携した研修の推進や、校内研修の一層の充実、自主的学習グループの育成・支援に努めていく。
    • 国や県の諸事業の活用。研修の精選・焦点化。経験者研修等、悉皆研修の内容に本市の課題を十分反映させ、効率的に研修を実施する。地元大学や県・近隣市との連携による費用節減。
    • 市町村への研修の移行のために、研修指導者育成のための事業を計画し、将来的には県と市町村の分担の明確化を図る。
  • その他…2県市
    (その他の主な方向性)
    • 総合教育センターの建設に伴う研修事業の充実

3.教員研修全体の体系化の方向性

(主な回答)

  • 教育委員会による研修と校内研修、OJT、自主研修が互いにうまく連携する仕組みを取り入れた体系の構築を目指す。現在、管理職研修において、教育センター研修と学校での課題解決研修との連携を図っている。教職経験の年数に応じて強化するポイントを明確にし、段階的にステップアップする方向で考える。
  • 個々の課題を明確にし、教員生活全体を見通した課題解決のための研修体系を個々に設定していく必要がある。
  • 教員のライフステージに応じた体系的な悉皆研修(初任者研修、教職経験者研修等の拡大)と、単位制の導入を勘案した専門研修(自由応募制による教科研修等)を中核に、教員研修の一層の充実を図っていく。

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初等中等教育局教職員課