資料6 第42回教員養成部会(平成18年4月21日)における主な意見(教員免許更新制関係)

1.全体として

 指導力不足と認定されたり、分限免職処分を受ける教員に持たれた子どもは、その時点で犠牲者。そうならないために、更新制を排除の論理ではなく、免許状を更新することで、教員が自信と誇りを持って現場に立ち、社会の尊敬と信頼を得ていくようなものにすべき。これが更新制の基本理念であることを、もっと強調すべきではないか。

 専門性の高い教員という職に従事する者が、10年に一度、自らの誇りとして免許状を更新していくというポジティブな受け止め方で、更新制を捉えていくことが大事。

 世の中は本当に日本の教育を信用していない。更新制に踏み切らないと、信頼を回復できないのではないかと思う。

 国際的に見ても、更新制を導入しているのは米国のみであり、また、義務教育をより良く発展させるためには、教育条件の改善が大きい。日本の義務教育で最も大事なことは、更新制の導入なのかという疑問は、根本的に持っておかなければいけないだろう。

2.平成14年中教審答申との関係

 平成14年答申において、指導力不足教員への対応や10年研の導入について提言が行われ、それが一定程度成果を上げている。研修については、初任研、5年研、10年研のほか、教務主任等の研修もあり、そこで十分リニューアルされており、更新制を導入せずとも、現職教員の資質能力の担保は現行制度で対応可能ではないか。

 更新制と10年研との関係について、もっと明確にしなければならない。更新制と言うと、適格性を欠いたり、指導力不足の教員に対して何らかの手を打つというイメージがあるが、中間報告では、リニューアルという言葉で表現している。この点については、10年研との関係を整理する中で、もう少し明確な性格付けをしないと、後々、更新制とは何かおかしな制度だという指摘を受けることになる。

3.教員免許状の有効期限

 更新制が、最新の知識・技能に刷新するリニューアルのための制度であるなら、免許状を取得して最新の知識・技能を身に付けたばかりの者が、最初、5年の有効期限というのはおかしい。現在、新卒者の正規採用は25パーセント程度であり、非常勤講師から正規採用になる者も多い。こうした中で、最初の有効期限を5年とすると、採用試験や初任研と重複することもあり、一律10年で良いのではないか。

4.免許更新講習の在り方

 更新講習の内容については、質が高いものでなければならないが、実施機関により、ばらつきがあるというのは良くない。国による更新講習の認定基準により、例えば修了目標や実施内容などは定めておく必要があるのではないか。

 現場で優れた実績を上げている教員が、基礎・基本だけの更新講習しか受講できないとなれば、負担感だけが残る。更新講習の実施に当たっては、教職実践演習(仮称)のように、例えば、フィールドワークやロールプレーイングなど実践的な手法を取り入れたり、コーチングやCAPシステムなど民間の優れた研修システムや人材開発も参考にしてはどうか。

5.現職教員を含む現に教員免許状を有する者の取扱い

 今後20年から30年間は、現在いる教員が学校教育の中核になっていく。実際に、指導力不足教員は、40歳台後半に多いと言われており、それらの点を考えると、現職教員に何もしないということが、果たして社会的に理解が得られるのか。やはり何らかの講習を課することが必要。

 多くの教員は熱心だし、頑張っている。そのことが、国民や保護者に信頼感を与えていく。コミュニティー・スクールや、教員の外部評価をどんどん進めると、頑張ってくれているなという保護者の声がどんどん出てくる。そういう中で、更新制も導入していくとなると、制度以前に取得したという既得権を理由に現職教員を外せば、かえって保護者の不信につながる。現職教員にも、こういう更新制ならば適用して良いのではないか。

 できれば現職教員にも適用した方が良い。現職教員に適用しないというのは、世の中には通用しない論理だと思う。

 現在、中学校や高校では、非常勤講師が授業を担当していることが多いが、非常勤講師には研修制度がない。当たり外れがあるというのが現状。やはり現在教壇に立っている者であれば、リニューアルは必要だと思う。現職教員への更新制適用についても、今後は視野に入れていくべきではないかと考える。

6.必要な条件整備等

 現職教員に更新制を適用するとなると、対象者が相当膨大な人数になるので、免許管理体制など条件整備をきちんとしておくことは必要。例えば、各県の免許管理の実態把握や国による全国的な免許管理システムの整備などが必要。

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