4.教員養成・免許制度の改革の必要性

 これからの社会や学校教育の姿を展望しつつ、教員を取り巻く現状等を総合的に考慮すると、現在、教員に求められる最も大切なことは、幼児児童生徒や保護者はもとより、広く国民や社会から尊敬と信頼を得られるような存在となることである。教職は国民の尊敬と信頼があって初めて成り立つ職業である。大多数の教員は幼児児童生徒や保護者、国民の期待に応えるべく、日々の教育活動に励んでおり、この点は積極的に評価する必要がある。しかしながら、教員を取り巻く社会状況等の変化を背景として、現在、教員に対する尊敬や信頼が揺らぎつつあることは否定できない。今後、信頼され、安心して子どもを託すことのできる学校づくりを進めていくためには、何よりも教員自身が尊敬され、信頼される存在とならなければいけない。

 教員に対する尊敬と信頼を確立するためには、教員に必要な資質能力を確実に身に付け、向上させることができるよう、養成、採用、現職研修の各段階における改革を総合的に進めることが必要である。中教審義務教育特別部会の審議経過報告においても、義務教育の質の向上に国家戦略として取り組む上で、教師に対する揺るぎない信頼を確立することが重要であること、そのため、国際的にも教師の質が高いものとなるよう、教員養成の質的な水準を高め、採用後も教師の質が常に向上するような仕組みの充実を図ることが求められている。

 特に、教員養成・免許制度の改革は、その後の採用や現職研修の改善・充実を図っていく前提となるものであり、重要である。養成段階は、「教科指導、生徒指導等に関する最小限必要な資質能力を身に付けさせる過程」(平成9年の教養審第一次答申)とされているが、養成段階で、このような資質能力を確実に育成することにより、その後の採用や現職研修に関する取組みがより実効あるものとなる。また、養成段階において、社会から評価される教員を養成しなければ、その後の採用や研修において、いかに充実した方策を講じても、教員に対する尊敬と信頼を確立することは困難である。

 また、前述のように、教員の大量採用時代の到来を控え、量及び質の両面から優れた教員を確保することが重要な課題となっているが、このような時期こそ、採用段階における教員の質の確保に加えて、養成段階においても、教員の質を確実に保証することが必要である。

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