我が国の教員養成は、これまで、「大学における教員養成」と「開放制の教員養成」を原則として行われてきた。この原則は、幅広い視野と高度の専門的知識を兼ね備えた人材を広く教育界に求めることを目的としたものであり、これにより、質の高い教員が養成され、我が国の学校教育の普及・充実や、戦後の社会の発展に大きな貢献をしてきた。また、この原則の下、教職課程を置く大学においては、学校現場のニーズに応える教員の養成を目指して、例えば、模擬授業の実施や、ボランティア等の体験活動の導入など、教育内容や方法等に係る様々な改善・工夫が行われてきた。
このような我が国の教員養成が果たしてきた役割については、適切に評価する必要があるが、その一方で、時代の変化に伴い、社会全体の高学歴化が進み、教員養成を行う大学の数も飛躍的に増加する中で、現在、大学における教員養成や開放制の原則が、必ずしも当初のねらい通りには機能しておらず、例えば、以下のような課題が生じている。
一方、教員免許制度についても、これまで学校教育や社会状況の変化等に対応するため、免許状の種類の見直しや教職に関する科目の充実など、逐次、改善・充実が図られてきたところである。
しかしながら、昨年10月の諮問理由説明でも指摘されたように、教員免許状が教科等の指導力や適格性等を含めた教員としての全体的な資質能力を保証するものとして必ずしも評価されていないことや、免許状取得者数の飛躍的な増加等に伴い、教員免許状の社会的評価が相対的に低下していること、さらには専修免許状の取得や、免許状の上進制度による上位免許状の取得が、学校現場で必ずしも十分評価されていないこと等、様々な制度的課題が生じてきている。
初等中等教育局教職員課