序章 義務教育の質の保証・向上のための国家戦略

  • 資源に恵まれない我が国は、教育を通じて人材育成を充実することが何より重要である。
     国際的な大競争時代の今日、どの国においても義務教育の質の保証・向上が国家戦略の中核に据えられている。我が国においても、諸外国に遅れをとることなく、世界最高水準の教育を目指し、人材育成の基盤である義務教育の質の向上に国家戦略として取り組む必要がある。
  • 第1部で述べた新しい義務教育の創造に向けた構造改革の方向を具体的な改革策として整理すると、以下の4つの教育国家戦略になる。そこで、第2部では、以下の戦略に即して、義務教育の改革策を述べたい。
    1. 教育の目標を明確にして結果を検証し質を保証する
       義務教育の到達目標を明確化し、教育内容の改善を図るとともに、質の高い教科書を確保する。また、実際に教育の成果が上がっているか結果を評価・検証するための方策を講じる。これらにより、すべての子どもたちに質の高い教育を保証する。
    2. 教師に対する揺るぎない信頼を確立する
       教師に対して児童生徒・保護者・国民から尊敬と揺るぎない信頼が得られ、国際的にも教師の質が高いものとなるよう、国の責任で、教員養成の質的な水準を高め、採用後も教師の質が常に向上するような仕組みの充実を図る。
    3. 地方・学校の主体性と創意工夫で教育の質を高める
       地方・学校の主体性と創意工夫によって教育の質の向上を図るため、国がナショナル・スタンダードを設定しそれが履行されるための財源保障など諸条件を整備した上で、市区町村が行うべきことは市区町村が、学校が行うべきことは学校が担うシステムを確立する。学校は、自主性・自律性の確立のため、権限と責任を持つとともに、保護者・住民の参画と評価で透明性を高め説明責任を果たすシステムを確立する。
    4. 確固とした教育条件を整備する
       義務教育の質の保証・向上を図るため、教職員配置、学校施設、設備、教材など教育の実施を支える財源などの教育条件の整備については、国際的にも誇れる確固たるものとなるよう、国の責任でその確立に万全を期す。

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