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カビ対策専門家会合(第10回)議事概要

1. 日時
  平成18年11月1日(水曜日)10時30分〜12時30分

2. 場所
  文部科学省10F3会議室(10階)

3. 出席者
 
(委員) 宇田川主査、岡田委員、高麗委員、佐野委員、園田委員、細矢委員、堀江委員
(文科省) 小渕大臣政務官、田中大臣官房政策課長、森学術機関課長、小松伝統文化課長、その他関係官

4. 議事等
 
(1)  小渕大臣政務官から以下のとおり挨拶があった。
(小渕政務官)
 短期間の中で大変精力的に審議を行い、審議経過報告を取りまとめていただいたことについて感謝。
 私の出身の群馬県にも数多くの古墳等の文化財がある。今後文化財のカビ対策はさらに重要度を増してくると考えている。
 審議経過報告の通り、カビ対策に関する専門家の育成など人材の育成が必要であり、特に博物館・美術館においては、展示のみならず保存・修復にも力を注ぐことが不可欠。微生物等の制御技術の開発等も重要な課題であり、引き続き御検討をお願いしたい。
 吉野前政務官からは、何をさしおいてもカビ、カビと、カビ対策についてしっかりやるように引き継ぎがあった。今後、最終報告取りまとめに向けて、引き続き御協力いただきたい。

(宇田川主査)
 カビ対策は非常に重要な課題であるので我々としても誠心誠意検討を進めていく所存。政務官におかれても、積極的に御参画いただきたい。

(2)  事務局から設置要項の一部改定について説明があり、その後、新たに委員に加わった高麗委員から以下のとおり挨拶があった。
 徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部で有機合成化学と同微生物学を専門にしている。
 最近は微生物制御工学など、カビの制御についても研究をしており、今後ともよろしくお願いしたい。

(3)  千葉大学真菌医学研究センター長の三上襄氏から国立大学における研修会について説明があり、その後、質疑応答が行われた。主なやりとりは以下のとおり。(●説明者、○委員)
委員  受講者には認定証のようなものを出したりしているのか。

説明者  最後に認定証を出している。

委員  講座受講後の状況等もフォロ−しているのか。

説明者  はっきりと把握はしていないが、ホームページに受講生の感想を載せるため、意見を聞くようにはしている。今後講習会の効果等について検討する予定。

委員  講習を提供する側としては、病原真菌という特殊性から考えて、どのあたりにコストがかかっているのか。

説明者  病原性のあるすべてのものに関して、プレート作成等を行う。そして、遺伝子もそれぞれ抽出をして、PCR用の準備をする。受講生の払う参加費では足りないと思う。

委員  テキスト類はどうしているのか。

説明者  テキストは作成してCDで配付。その一部はホームページからも自由に見ることができるようにしている。

委員  美術品や図書館等で一番問題になっているのは、クラドスポリウム等といったカビであるが、講習会でもこのようなアレルゲンとしてのカビや微生物に対する講義のようなものも行っているのか。

説明者  現時点ではアレルゲンを目的とした講習は行っていない。種の同定ということに関しては、クラドスポリウムは行っている。ただし、アレルギーの原因菌を決めるのは難しく時間もかかるので、そこまではなかなか行えない。

委員  講習会はどのくらいの準備期間必要なのか。また、高性能な機材はどのように揃えるのか。

説明者  顕微鏡等の機材は各部屋から集め、不足分はレンタルするが、かなりの額にはなる。事前準備は2カ月前ぐらいから始める。カビは途中で変異するので苦労している。

(4)  日本食品分析センター課長の土屋禎氏から微生物関連研修と精度管理について説明があり、その後、質疑応答が行われた。主なやりとりは以下のとおり。(●説明者、○委員)
委員  精度管理は、受講生が受講内容を身につけたかどうかをチェックするもの。特に管理士という資格を制度化したような場合には不可欠のものである。
 また、最近では、精度管理用に非常に効率のよい菌株が供与されていると聞いたことがあるが。

説明者  菌数測定用に一定の菌数に調節された菌液が精度管理用として販売されている。また、特に食中毒菌の簡易同定用に、ATCCの菌株のようなものをディスポのループにつけて販売しているようなところもある。食中毒検査行う研究施設等では、培地の性能や個人の鑑別同定技能の評価用にこのような菌株を簡易的に購入して利用しているのではないか。

委員  ATCC株は輸入等の規制があると思うが、そういった菌株の選定のアドバイス等は誰かが行っているのか。

説明者  市販されているものについては、メーカー等が何かしら管理についての助言をしているかと思うが、あまりレベルの高いアドバイスは行っていないのではないか。

委員  技能試験や精度管理などは様々な機関が国の補助をもらって独自に行っているが、統一的な精度管理等についてまとめるべきではないか。

委員  受講者間に能力の差があると思うが、講習会への受講資格があったりするのか。

説明者  受講資格については特に設けていない。初心者にもそのレベルにあわせて対応している。

委員  国立科学博物館でも、子ども向けの教室を開催しているが、子ども一人一人に顕微鏡が行きわたるかという問題がある。

委員  場合によってマンツーマンの必要もあるだろう。

委員  海外の精度管理のプログラムを行う機関は、どのような位置づけの機関なのか。国立なのかあるいは外部機関なのか。

説明者  AOAC Internationalは国際的な任意の機関で試験方法の評価等を行っている。AOAC Internationalにおいても試験方法を作成しているが。これがアメリカの国の機関ということではない。英国とオーストラリアに関しては、わからない。

委員  補足をすると、AOAC Internationalは、当初米国の農務省の傘下にあった機関。その後FDAという機関の発足とともにそこの傘下に移り、1979年に独立した機関となった。

委員  講習会を行うにあたって講師を選ぶ基準はなにか。内部資格があるのか。

説明者  HACCPのセミナーに関しては、厚生省主催の講習会で資格を得る必要がある。微生物のセミナーには、対外的な資格ではなく内部での研修等を通して認められた人が講師になっている。このように、対外的な資格が要るものと内部的な資格でよい場合の両方がある。

(5)  佐野委員から文化財保存にかかわる教育・研修について、東京文化財研究所で行われている研修を中心に説明があり、その後、質疑応答が行われた。主なやりとりは以下のとおり。(●説明者、○委員)
委員  講習会等では費用面での課題が大きい。指導者だけでなくハード面でものサポートも文部科学省で考えてもらいたい。

委員  技術者養成用の認定制度ということでは、JABEE等が参考になると思うが。

委員  講習会では、カビのコロニーなど実物を見せなければほとんど効果がない。そしてそれを見せるには微生物や菌類の研究者が必要。また、場所や機材が揃っているというところも案外少なく、事前準備にかかる時間的・金銭的な負担が大きい。特に培地代に金がかかるので、結局培地代の安いカビしか使えない。
 また、2、3日程度の研修では、あまり実績が上がるとは思えないが、そこでネットワークができることが重要。問題が発生したときの相談窓口として、将来的な対策ということでは非常に大切になる。

委員  高機能な機材は、予算があればどうにかなるもの。

委員  土屋先生に伺うが、食品分野でも医学系同様に、DNAを用いた迅速同定の技術等が開発されてきているようだが、その分野の研修等はどうなのか。

説明者  DNAを用いた手法については特に開催していない。DNAを用いる機器類や検査方法は比較的簡易で、特殊な技術が要らないものが多い。むしろベーシックな培地を用いて培養して菌のコロニーを見るといったような講習の需要のほうがとても多い。

委員  三上先生に伺うが、遺伝子解析に伴う課題の1つにデータバンクの信頼性があるが、その辺りはどうか。

説明者  確かに、データバンク自体に大きな間違いがあったりする。トラディショナルな形態を見られる若い人が少なくなっていることも課題である。データに関しては、形態を中心にフィードバックして、極力間違わないようにはしている。

委員  菌類の場合、分離ということも重要になってくる。例えば、何種類かのカビが混在した状態で出てくる場合、形態を知らないと間違った解釈をしてしまうおそれがある。その意味でも、トラディショナルなものについての知識というのは重要。

(6)  次回は12月上旬頃に日程調整の上、開催することとなった。

(大臣官房政策課)


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