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カビ対策専門家会合(第1回)議事概要

1. 日時
  平成18年6月28日(火曜日) 10時〜11時15分

2. 場所
  文部科学省省議室(9階)

3. 出席者
 
(委員) 宇田川委員、岡田委員、佐野委員、園田委員、細矢委員、堀江委員
(文科省) 吉野大臣政務官、結城事務次官、干場総括審議官、藤嶋大臣官房政策課長、三浦社会教育課長、森学術機関課長、小松伝統文化課長、その他関係官

4. 議事等
 
(1) 吉野大臣政務官から以下のとおり挨拶があった。
 
 小坂大臣からカビ対策専門家会合の実施にあたり、そのとりまとめを行うよう指示があった。
 日本は文化財が豊富な国であり、それを保存し、守ることは我々の大きな使命。
 湿度の高い日本はカビにとっては天国であり、カビとは何かから研究を行い、対策を立てていただきたい。

(2) 事務局から会合の趣旨等の説明があった。

(3) 主査に宇田川委員が選出された。また、主査代理に高鳥委員が指名された。

(4) 細矢委員よりカビに関する基礎的な発表があった。主な内容は以下のとおり。
 
 菌類とはカビ、酵母、キノコといった真菌を指し、大腸菌や納豆菌といった細菌(バクテリア)は含まない。
 真菌は真核生物であり、細菌は原核生物。真核生物は原核生物から進化した。
 動くかどうかによって生物を2分する二界説では、菌類は植物の仲間と捉えられてきた。
 しかし、分解と吸収を行う菌類は動物(摂食と消費)、植物(光合成と生産)とは独立の界を成すべきとの考えが生まれ、五界説が生まれた。
 最近ではDNAの比較分析により、進化の系統上、菌類は植物よりもむしろ動物に近いことが明らかになった。遊走子と精子の類似性はその証拠とも言える。
 菌類の基本構造は菌糸であり、目に見えるキノコも菌糸の集合体。
 菌類は昆虫に次ぐ多様性を有しており、胞子の形態により鞭毛菌類、接合菌類、子嚢菌類、担子菌類、不完全菌類に分類される。この分類とカビ、酵母、キノコという分類は一致しない。
 菌類の多様性は他の生物との関係にも現れており、寄生、中立、片利共生、相利共生のすべてがある。
 菌類は生息場所も多様であり、ほとんどすべての環境に生息する。
 菌類は人間との関係も多様であり、医薬品原料を産生する一方、マイコトキシンによる食害、アレルギー反応による健康被害、文化財汚染を引き起こす。

(5) 事務局から当面の予定について説明があり、質疑応答が行われた。委員からの主な意見は以下のとおり。
 
 日本防菌防黴学会に専門家がいるのではないか。

 本日は御欠席だが、高鳥先生から適当な方を推薦していただけるのではないか。

 微生物コントロールで一番重要なのは燻蒸ガスであり、その専門家からヒアリングを行いたい。従来は臭化メチルと酸化エチレンの混合ガスを用いてきたが、地球温暖化対策の一環で臭化メチルが使えなくなった。代替ガスが出ているが、まだ歴史が浅い。

 現在は化学薬剤のみに頼らない生物対策を推し進めている。御指摘の部分の情報は東京文化財研究所で概ね把握しているのではないか。とはいえ、実際の使用にあたっては様々な問題等が起こっていると考えられ、文化財虫害研究所あたりからヒアリングを行ってもよいのではないか。
 なお、現時点で文化財虫害研究所が認定している燻蒸ガスは酸化エチレン、酸化プロピレン、ヨウ化メチル、フッ化スルフリルの4種類。

 文化財被害はカビだけでなく細菌によるものも多い。本会合の議論の対象はカビに限定されないという認識でよいか。

 カビがいれば当然に細菌がいることも想定される。カビを中心に議論を行いたいが、それ以外の微生物を排除するものではないと思っている。

 全体的に美術関係者からのヒアリングに偏っているのではないか。交流の意味も含め、この機会に自然史博物館の方からもヒアリングを行いたい。

 当面の予定については、概ね共通理解が得られたと認識している。追加で意見があれば事務局までお願いしたい。

(6) 次回は7月11日(火曜日)13時30分から開催することとなった。

(大臣官房政策課)

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