令和5年度消費者教育推進委員会(第2回)【議事録】

1.日時

令和5年11月15日(水曜日)10時~12時30分

2.場所

文部科学省内及びオンライン

3.議題

  1. 文部科学省の取組について
  2. 成年年齢引下げを踏まえた効果的な消費者教育実践モデル構築事業について
  3. 今年度開催の消費者教育フェスタについて
  4. 令和6年度取組状況調査について
  5. その他

4.配付資料

5.議事録

議題1:文部科学省の取組について
事務局より文部科学省における最近の消費者教育の取組として、資料1に基づき消費者庁との連名通知について、また独立行政法人教職員支援機構(NITS)の校内研修シリーズにおける「消費者教育」の研修用動画の更新について報告を行った。委員からの意見等は以下のとおり。

【上村委員長】  補足として、文部科学省が窓口となっている消費者教育アドバイザー制度と、消費者庁が窓口となっている消費者教育コーディネーターについて、消費者庁と文部科学省が連携をして、こういう制度があるということを発信したほうが効果的ではないかということで、1回目の委員会の後に事務連絡を発出していただいた。
せっかくこういう制度があるので、アドバイザーやコーディネーターは、それぞれの地域でうまく組み合わせて活用いただきたい。

【島田委員】  今年度のアドバイザーの派遣実績はどのぐらいか。

【伊藤係員】  現段階では9回ほど行っている。今後も数回程度の申請が来ているところだが、例年10回程度なので、それよりは多少増加する見込み。
 
議題2:成年年齢引き下げを踏まえた効果的な消費者教育実践モデル構築事業について
 事務局より事業の説明を行った後、株式会社omochi、国立大学法人奈良国立大学機構、公益財団法人消費者教育支援センターより御説明いただいた。説明及び委員からの意見等は以下のとおり。

【株式会社omochi(土井様)】  事業概要は、持続可能な地域社会の実現に向けた消費者教育及び環境教育推進事業において、兵庫県神戸市を拠点にする株式会社omochi、民間の金融機関と大学の3者で地域の子供たちに届ける消費者教育コンテンツの開発に取り組みながら、地域の子供たちや大学生の消費者教育力を高めるモデルの構築に今取り組んでいる。
 本事業のポイントは、フェアトレード(開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す貿易の仕組み)をテーマにしながら、消費者教育実践モデルを構築するところ。
 金融リテラシーマップにおける位置づけとしては、小学生が習得すべきことである、産業に従事する人々は工夫や努力をしてよりよい製品を生み出していることを理解するところを目指しており、自らの消費行動によって社会にどのような影響を与えることができるのかを、子供たちに楽しく学んでもらえるような教材を作りながら、知るきっかけを届ける事業になっている。
 3者の役割分担について、株式会社omochiは、みなと銀行、神戸学院大学をつなぐコーディネーター的な役割を担い、教材開発を進める。みなと銀行の役割は、事業の監修や企業紹介といった連携の部分。神戸学院大学の役割は、学識指導と学生による企画立案というところ。
 株式会社omochiは、食の豊かさにふれられる機会を広げるところをミッションに、食べ物が食卓に届くまでの背景を知る機会づくりに取り組んでいる。昨年度、チョコレートをテーマにエシカル消費やフェアトレードについて学ぶ機会を創出し、大阪府枚方市教育委員会と連携をしながら、複数の小中学校にプログラムを導入する事業を実施した。みなと銀行は、小学校低学年から高学年を対象として、遊びながらリスク・リターンを学べる仕組みづくりを目指した教材開発などに取り組んでいる。
 進捗状況について、まず、教材アイデアの発想法を体感するために、学生に対してワークショップを実施し、どうやって教材、アイデアを発想するのかをSDGsをテーマに体験してもらうような時間を取った。そのほか、フェアトレード認証を取得している企業への訪問や、みなと銀行から消費者教育や金融教育についてのレクチャーを受けた。
 教材制作状況について、9月頭から開始し、最初は教材のアイデア出しをしながら、現在はプロトタイピングというところで、学生が20名ほどいる中で4つの制作チームに分かれて試作品を作っているところ。教材アイデアの現状として、生産者の立場で取引やフェアトレードの仕組みを体験するゲーム、生産者の立場を尊重する仕組みを考えるゲーム、フェアトレード商品による心理的メリットを体験するボードゲーム、フェアトレードの概観をつかむすごろくなどを作っている。この後、12月にかけて、実際に遊べるものに教材を仕上げ、1月15日に小学校6年生を対象に教材を体験してもらう予定。その先の予定として、次年度以降に神戸市内の小中学校に幅広く展開させてもらえるような仕組みづくりも、教育委員会と連携をしながら進めている。

【上村委員長】  消費者教育と金融教育とつなぐときに、食をテーマにしているのはとても魅力的だと思う。自分たちの特色として、食育と金融教育をつないでいるところが特徴というのを、モデルとしてよりアピールしていただけると良い。
 また、神戸は、消費者教育フェスタも神戸から始まったように、先進的な文化を持っていると思うので、地域の雰囲気や特色を踏まえたモデルということも整理をしておいていただくと、また違う地域で違う地域資源を活用して行ってくださるときのヒントになるかと思う。

【島田委員】  9ページに記載の4つの教材はどれも非常に魅力的だと思う。その中で、フェアトレード商品による心理的メリットを体験するのは、なかなかない視点で、どういう内容なのか御説明いただきたい。

【株式会社omochi(土井様)】  内容について変更する可能性はあるが、例えば、環境や倫理的、社会にとって何かいい配慮がされた商品を買うこと自体、自分が何か社会に貢献できているという自己肯定感が上がり、いい買物ができたという、心理的に何かいい効果があるのではないかを、価値として学生が考えて、それをよりリアルに、小学生の皆さんにも実感してもらえるような教材が作れないかを考えている。ボードゲームになるようなイメージ。

【島田委員】  大変貴重で大事な視点を御提供いただいている。ぜひもう一歩広げて、フェアトレード以外の様々なエシカルな分野に果たせる消費者の役割、力を実感する内容につないでいただけると、さらによいのではないか。
 
【国立大学法人奈良国立大学(大塚様)】  消費者教育における直近の課題として、今回のモデル構築のメインテーマである成年年齢引き下げと、社会のデジタル化、言い換えると、不可逆的なICTへの依存の進行の2点を設定した。成年年齢引き下げに関しては、消費者教育や法教育を受ける機会があり、ほかの世代よりも知識が豊富である大学生中心の若者世代と、取引経験の豊富な大人世代とが、知識と経験を共有し合える可能性を追求していきたい。社会のデジタル化、ICTの振興に関しては、児童や高齢者が特にデジタルデバイドの関係で消費者被害に遭う危険性があるため、情報教育を受けた大学生の世代が、児童生徒や高齢者にインターネット上のリスクについて学びの機会を提供する、あるいは、デジタルデバイスを活用した消費者教育教材を開発して、学ぶ機会を提供することができるのではないかという方向性を想定した。
 そこで、成年年齢引き下げを契機として大学生と市民が学び合うということで実現する地域や世代を包摂する消費者教育モデル、このようなコンセプトを設定して、情報化社会の中でますます深刻化していく消費者問題全般に対して対応できるような消費者教育の新しいモデル構築を目指す。
 まず、具体的な事業内容としては、第一に、この目的の下で新しい消費者教育プログラムの開発を学生と行う。奈良女子大学学生の消費者問題研究グループと一緒にプログラム開発を検討する。第二に、検討中の新しい消費者教育コンテンツを用いた啓発講座等を、このグループの学生が奈良県内各地の市町村を訪問して実施する。第三に、啓発講座の成果をフィードバックしつつ、消費者教育プログラムのブラッシュアップを行う。
 このサイクルを繰り返しながら、プログラムをより洗練化させていくことを狙っている。また、このプログラムを今年度で完結させるのではなく、中期的に続けていきたいと考えている。
 もう一つ重要な特徴として、多様な主体との連携を図るという点がある。実施組織は、教員である私と、事務局担当の大学機構企画課の堀係長、奈良女子大学消費者問題研究会(BEACS)、このBEACSが中核を担いつつ、奈良県消費生活センター、大和郡山市消費生活センター、NPO法人なら消費者ねっと、奈良弁護士会消費者保護委員会及び保護教育委員会、それから奈良女子大生協などに、啓発講座のアレンジメントやコンテンツ制作に関連して専門的事項の指導や助言を受けたり、大学生へのアンケート調査実施に向けた教育などをお願いしており、今後は講座自体への参加もいただくべく調整を図っている。また、同じ学科に所属している情報学分野の学生、教員には、ネットワーク上のダークパターンの分析についての知見やオンライン消費者教育プログラムの開発にも協力を願うことにしている。
 具体的には、奈良県中部の吉野郡下市町で11月中に消費者啓発講座を実施し、そのほかに奈良県北部の大和郡山市での啓発講座、東吉野村でも児童生徒を対象に啓発講座の実施を予定している。東吉野のような高齢化が進んだ中山間地域も対象地域としている理由として、それらの地域では、この種の啓発活動が実施されることがほとんどなく、また、弁護士などによる法律相談などにアクセスする機会も大変限られていることや、林業の盛んなこの地域住民は事業者としての取引経験などを有している人が多く、本学の学生との間で総合作用的な学び合いが可能ではないかという期待もある。また、このプロセスで、地域の人々の暮らしがその背景にある歴史、文化、産業、環境といったものといかに関わっているのかを学び、自立消費者市民によって構成される地域というものがどのように維持され、発展していく可能性を有しているのか、どういう条件の下でそれが可能になっていくのかについて、深く考察するきっかけになるはずだと考えている。
 そのため、参加学生と住民とが互いに交流し合いながら学ぶことを特に重視している。一方向のレクチャーになることを極力避けて、啓発ゲームや寸劇を実施するが、住民も学生と一緒に参加して共に同じタスクに取り組み、一緒に学ぶことを考えている。そして、学生と参加住民による話合いの時間を必ず最後に設けて、当日の学びの内容や、参加住民の消費者あるいは事業者としての経験なども自由に話していただき、座学では得られない実践的な学びを学生がやっていくことも狙いにしている。
 現在、学生たちにコンテンツづくりに取り組んでもらっており、クイズを含めたすごろく型のゲームを3パターンほど、手作りで用意してもらっている。そのうち1つを下市町で試行する予定にしているが、そのほか、オンラインゲームによってスマートフォンの利用の注意点を学習するコンテンツや、神経衰弱型のカードゲームの制作も試行用に行っている。寸劇に関しては、これから奈良県内で寸劇による消費者啓発に取り組んでいる市民グループと連携して制作する予定。
 このプロジェクトの目標として最も重視しているのは、新しい消費者教育モデルにインクルーシブな性格を付与していくことであり、奈良県のような場所では世代や地域もインクルージョンしていくことが重要だと思う。
 もう一つ、大学でこのような授業を実施していることの意味として、特にコロナ禍以後の大学生は状況が変わり、孤立しがちで心身がしんどくなっている人たちが、全国的に増えている中で、今回のような、地域や社会の人々と交流する公益的なプロジェクトを通じて、心理的メリットも期待できると思う。こういう公益的プロジェクトを通じて、自分と違う場に住まう人々や違う世代の人々と交流し、新たな物の見方を得るという楽しさや社会に貢献しているという実感、充足感を得て、学生たちも、自分自身に対する肯定的感情をより強く持つようになってほしいという狙いもある。
 このような活動は短期的に成果が出るわけではなく、最初に申し上げたサイクルを繰り返していくことで徐々に内容もブラッシュアップでき、効果も測定可能なものになっていくと考えているので、中期的に活動を継続していきたい。

【大久保委員】  質問は3つ、11月23日、10時半からと14時から2回あるが、同じ内容が2回なのか、それとも午前の部、午後の部をひっくるめてなのか。
 2つ目は、奈良女子大学生と一緒に学んでみませんかということだが、女子大学生のほかに、例えば弁護士や消費者センターの方とか、ほかの方も参加されているのか。
 3点目は、レクチャーにとどまらずいろいろありますよという中に、オンラインゲームも一緒にやりましょうということが書かれている。どのようなオンラインゲームなのか、教えていただきたい。

【国立大学法人奈良国立大学(大塚様)】  午前午後は同じもの。違ったコンテンツを用意する。午前だったら参加可能、午後だったら参加可能という方も休日なのでいるかもしれないため。
 また、今回のプロジェクトは差し当たり、弁護士は参加していただく予定はない。消費生活センターの方は未定だが、参加していただける可能性もある。いずれにしても、私たちでやってみた上で、これら専門的に消費者問題に取り組んでいる方々にその成果をお示しして、アドバイスを得て、次につなげていく際には御参加もいただこうと考えている。
 オンラインゲームは、スマホを利用していく際の様々なリスクについて順を追って学んでいけるものを学生が考えている。これは地域の高齢者や児童生徒にとっても有用なものと考えている。ゲームというのは、高齢者の世代の方には難しい面もあると思うが、このオンラインゲームは、比較的どの世代でも、スマートフォンを持っていれば取り組みやすいものになると考えており、このオンラインゲームをブラッシュアップして、プログラムの中に位置づけていきたい。

【大久保委員】  課金トラブルなど、オンラインゲームの相談をすごく受けているので、どんなお話をするのかとても興味深かったのでお聞きした。

【上村委員長】  オンラインゲームの課金に関して、11月9日に大塚先生の授業をのぞかせていただいたが、そのときに一緒に聞かれていた消費生活センターの神澤さんが、学生のゲームに関して今のトラブルの実態を踏まえてアドバイスをされていたので、そういうのも取り入れていただけると良い。
 
【消費者教育支援センター(小林様)】  
 本事業は、成年年齢の引き下げを踏まえて、小学校、中学校から継続した学びが大事ではないかということと、消費者市民としての行動につなげていく学びが大事と考え、モデル地域を設定して、地域における小学校、中学校を中心とした、教育委員会、行政、事業者、団体、市民の連携・協働の体制を構築することを狙いに企画した。
 モデル地域は滋賀県の近江八幡市で、選定理由は、平成28年度より近江八幡市の消費生活センターが中心となって、消費者庁の交付金を活用して消費者教育に取り組んでおり、消費者教育支援センターは平成28年度より委託を受けて、消費者教育の推進を支援、サポートをしている。
 そこでは、平成28年度の「消費者教育のあり方検討会」をスタートに、3つの大きなプロジェクトを開始している。
 1つ目は学校、2つ目が生産者と消費者のコミュニケーションの場をつくる親子体験型プログラム、3つ目が子供が見守る側の主体となって地域と連携するSDGsこども見守り隊、である。
 「消費者教育のあり方検討会」は、そもそも近江八幡市の中で消費者教育が全く広がっていない状況で、関わっていただく方にまず消費者教育について理解をしていただいた上で、一緒に企画を考え、連携・協働を図っていくことを目的に、3回連続のワークショップとして開催した。
 このとき、子供・保護者、高齢者・障がい者、市民の3つのグループに分かれて、それぞれに企画していただいた。その企画を基に立ち上げたのが、先ほど紹介した3つの取組。
 学校(子供・保護者)は、最初に校長先生や各学校の先生、地域と学校をつなげるコーディネーター的な役割の方などに研修を行った。平成29年度から教育委員会の指導主事の先生と中心になる校長先生を含めた8名で先生方のワークショップのプロジェクトを立ち上げ、さまざまな消費者教育に取り組んでいただいた。その成果を広めるためにリーフレットを作っている。去年度からはモデル校を設置している。
 親子消費者教育プログラムは、消費者と生産者のコミュニケーションの場として小学校の親子を対象に企画。
 SDGsこども見守り隊は、子供たちは見守られる対象じゃなくて、地域の人たちを見守る側ということで、子供たちが主体になる取組を進めている。
 今年度のモデル構築は、この近江八幡市の取組に継続して連携・協働してくださって、いる方たちの思いを聞き取り、消費者教育の連携・協働の検証を行い、重要な要素をリスト化することが一つの大きな目的である。
 そして今回、効果的に持続可能にしていくために、関わってくださる方から意見をいただいて連携・協働の体制を作ることを企画している。
 実施の方法はヒアリング、ヒアリング対象者を中心としたワークショップ・意見交換会、それをまとめた報告書で行う予定。
 ワークショップ・意見交換会では、それぞれの取組を共有した上で、近江八幡市が目指す消費者市民の育成を目指し、それが持続可能になっていくためにどんなことをしていったらいいのかを、いろんな方たちの意見を交えながら、議論していく。
 最後の第三者評価では、モデルとしてほかへの波及という点ではどうなのかを評価していただくことで、上村先生と東先生を評価者として考えている。

【柿野委員】  今回、近江八幡市で8年間続けてきたプロジェクトがほかの地域にどのように参考になるのかを改めて考える機会をいただき、本当にありがたい。
 教育委員会調査をしていても、依然としてほかの優先課題があり取り組めないところが回答としては最も多い中で、どう仕組み化していったらいいのかが少し見えてきている部分もあり、成果を報告書としてまとめて、2月1日のフェスタでも広く展開していけたらと思う。

【須黒委員】  ヒアリングの項目の中で、どこが課題になっているのか、どこが引っかかっているのか、何があれば継続していくのかが、どれぐらい出てくるかがポイントになると思うが、そこについて教えていただきたい。

【消費者教育支援センター(小林様)】  市民の方、学校に関わる方、それぞれ課題が違う。市民の方は僅かな謝金で関わってくださっている中で、負担感がどうしても拭えない。そんな負担の中でも関わってくださっている理由は、やりがい。自分の様々な思いと活動が重なっている、なおかつ、自分たちの個人的な行動ではなくて、行政の取組であることに誇りを持って関わってくださっている。
 それぞれの方は、思いを持って関わっていらっしゃるので、価値観の違いでジレンマをお持ちの場合もある。そこを行政の方がリードする中で、コーディネーターの存在が非常に重要なので、支援センターが抜けた後どうすべきかというのは大きな課題。
 学校の先生方は、様々お忙しい中で消費者教育をやることに時間を割くのは、本当に難しい状況。
 今後、学校の中では横展開が大きな課題。ずっと同じ先生だと広がっていかないので、コアになってくださる先生をいろんな学校に増やすのが良いと思っているが、優先課題がある中でどこまで関われるか。
 また、平成28年に関わり出したときからの課題だが、消費者教育は教育研究会がないことがヒアリングでも大きな課題として挙がっていた。

【松葉口委員】  長年にわたって地道にやってこられたのは本当にすばらしい。
 学校教育の中で広げるために、教育研究会がない中で進めていく上で、例えば、今、家庭科とか社会科の中で行っていることが多いが、これだけの壮大な地域の中で広がっていくというものなので、何とか総合的な学習の時間に入れていければ。総合的な学習の時間の歴史をたどると、地域全体を巻き込んでやっていた歴史もあるので、消費者教育からぜひいろいろつなげて壮大にやっていいただきたい。
 
議題3:今年度開催の消費者教育フェスタについて
 事務局より事業の説明を行った後、消費者教育支援センター、NPO法人無花果より御説明いただいた。説明及び委員からの意見等は以下のとおり。

【消費者教育支援センター(小林様)】  「消費者教育フェスタin近江八幡」ということで、フェスタを企画するときに注目したのは、あらゆる自治体で消費者行政と学校現場、教育委員会との連携・協働が非常に難しい、という課題がある中で、近江八幡市では毎年毎年積み重ねた上で、ようやく連携・協働の形ができてきたこと。
 本当に時間をかけてこれだけ頑張ったら地域連携ができた、でもその先も続けていくためには何をしたらよいかというのを、いろんな地域の方と共有する場で、同じ課題を抱えていく人たちと議論していきたいというのが、この消費者教育フェスタin近江八幡を企画したきっかけ。
 タイトルは、「地域連携による消費者教育!ここまでできる!これからも広げる!~近江八幡8年の軌跡と未来~」とした。
 2月1日午後開催のプログラムになっており、近江八幡市にある滋賀県立男女共同参画センターで行う。対面で150名程度、オンラインでも申込を受付け、今週から受付を開始している。
 内容は、消費者行政と教育委員会、学校、市民、事業者、団体等様々な主体の連携・協働が重要と考えて、8年間多くの人に関わっていただいた消費者教育について共有をする場とした。
 そして、そこの場に行く前に、まず消費者教育において大事なスキルを基調講演でお話しいただいた上で、近江八幡市やそのほかの消費者教育の取組はどうしているのか、どうしていったらいいのか、現状とこれからを共有して、連携・協働を考えるというプログラムにしている。
 まず、1時から開催地の御挨拶と主催者の挨拶で、文部科学省と消費者庁の取組について、ここは全体の連携・協働プログラムに関わるお話をしていただけるとありがたい。短い時間になっているが、行政のいろいろな取組をお話ししていただいた上で、基調講演で岡山大学の中山先生に「消費者教育と非認知能力」のお話をいただく。
 消費者教育に必要な力を共有した上で、実際にどう取組を進めていくのかを事例報告で紹介するが、事業は動画で紹介をしたい。今年度12月9日に実施する体験プログラムと、12月7日に行われるSDGsこども見守り隊の授業を動画で紹介する予定。加えて、11月8日にモデル校で研究授業をしていただき、11月29日に同じくモデル校でもう1つ実践授業をしていただくので、それも動画で紹介したい。
 動画を紹介した上で、近江八幡市の御担当、池田さんのほうから、近江八幡市の取組について消費者教育の取組をお話しいただく。
 その後、事例報告の2つ目が、モデル校の近江八幡市立武佐小学校の消費者教育推進リーダーの犬丸先生から、「いつもやってることやん消費者教育モデル校の実践」とお話しいただく。去年、モデル校を始めて、「近江八幡市の学校での消費者教育の取組は、社会科と家庭科ではやっている。さらに広めていくときに、実はいろんな教科の中に消費者教育のエッセンスはいっぱいあって、普段やっている授業で消費者教育の視点を意識しただけで、消費者教育になっていく。」というスタンスでずっと学校では取り組んできた。
 先生たちにはできるだけ負担をかけないで消費者教育を広めていくのが、近江八幡市での活動のベースになっていて、ワークショップで関わってくださっていた先生は、消費者教育に対して非常に理解が深い先生だった。モデル校となると本当に全ての先生が関わってくださり、その中でワークショップなどをしながら出てきたのが「いつもやってることやん」。
 これは方言だが、「何や、そんな大仰に消費者教育って構えなくても、いつもやっていることなんだね」というのが先生から出てきたので、去年作ったリーフレットに、そのタイトルを入れさせていただいた。これはまさしく近江八幡市で、学校で取り組んでいる消費者教育を言い当てている言葉だと思う。
 モデル校での実践状況をお話しいただいた後、交流タイムを設ける。今回、ワークショップではなく、いろんな団体のいろんな取組をやっている人たちと、その場で交流をしてもらう、マンツーマンでいろんなお話を聞いてもらう場にしたい。今紹介をしたモデル校とワークショップ、体験プログラム、見守り隊の4つの展示のほかに、全国でいろんな消費者教育に取り組んでくださっている団体の方も加わっていただき、そこでいろんな消費者教育の議論をしていただく場ということで交流タイムを設けた。
 交流をしていただいた後に、パネルディスカッションを行う。「未来から考えるこれからの消費者教育の連携・協働のかたち」ということで、パネリストの皆さんはヒアリングをさせていただいている方なので、関わっていらっしゃる方が、連携・協働をどうしたらいいかというリアルを議論していきたい。
 最後、全体の講評として上村先生にお願いをさせていただいている。

【松葉口委員】   この基調講演が、今すごく注目されている非認知能力と重ねているというのも、非常にすばらしい。本当に楽しみだ。

【白上委員】  事例報告「いつもやってることやん消費者教育」の、この感覚をどういろんな先生方に感じてもらえるか。過去の会議でもよく出てきたが、消費者教育やられていますかと聞いて、本当はやっているけれども、アンケートを回答される方が認識されてないと、やってないとなってしまう。
 特に文科省の新学習指導要領の思考力・判断力・表現力が押さえられているかどうかという話なので、○○教育はどうしても区切られてしまう。でも、思考力・判断力・表現力はもう非認知能力だから、そこをどう先生方が視野を広げていくか。何か、極上の栄養価の高い煮込みスープみたいなものが教科として出てくると、社会科の単元、家庭科の単元、キャリア教育も環境教育も、それから金融教育、金銭教育も、とにかくやらなきゃいけないことだらけだけど、これをやるとすごい栄養価が高くてみんな学びが深まるみたいなものが何か開発されると、先生方もすごく、あ、なんだ、と変わる。
 東京から立派な先生を呼ばなきゃいけないではなくて、地産地消の具材をそろえながら何かおいしい料理というか授業ができるような、何かそういうものが、ここの先生方がする消費者教育フェスタを通して、頭の中や価値観が変わる、広がっていくと良いと感じた。

【萩原委員】  近江八幡というと川端五兵衛さんが思い浮かぶ。八幡堀を守った市民たちとか、蒲生野考現倶楽部の「たんけん・はっけん・ほっとけん」という井阪先生たちの取組とか、非常にこの辺りは昔から住民主体の活動が活発だったところなので、今回のこのプログラムがここでされるということは非常に感慨深いし、時間をかけて連携・協働を積み上げてきた未来も見えてきているので、楽しみにしている。

【上村委員長】  協働する歴史を持っている地域だから、支援センターが入られたことによって、質の高い動きがあったことだと思うので、それをモデルとしてまたフェスタで発信していただくという機会になればいい。
また、早めに広報していただいて人を集めていただかないと、次のフェスタ開催が近いので、まず支援センターで募集をしていただけるとありがたい。
 
【NPO法人無花果(中藤様)】  タイトルに、「フリースクールと学校:それぞれの消費者教育の可能性」とあるが、メインで考えているのは、特に島根県内の学校でよい消費者教育をどのように展開していくかというところ。私たち自身もフリースクールを運営している中で、フリースクールはある意味で枠組みがないからこそ、ちょっとスーパーに買物に行くとか、小さなところで生まれる消費者教育みたいなところもある。そういった、学校の枠組みの外からも考えていけるような時間にすることで、より島根県の学校で消費者教育が広まっていくということを大きなテーマとして、このフェスタを開催する。
 NPO法人無花果は、岡山県でフリースクールと、通信制高校の学習等支援施設という、昔でいう通信制サポート校を運営している。島根県にある明誠高校の学習等支援施設を運営しているので、そういった御縁もあり、このたびは島根県のほうで開催をさせていただく。
 開催日時が2月10日、場所は駅から徒歩9分の島根県益田市の市民学習センター。想定参加者は、益田市とか島根県内におられる教育関係の方や、中高生の子たちにも来ていただけることを目指していきたい。
 午後1時からスタートして、終わりは約17時頃を想定している。
 まず、私、代表の中藤が御挨拶をさせていただき、その後に行政説明をいただきたいと思っている。
 その後、事例報告の1つ目として、島根県の益田永島学園明誠高等学校理事の山本氏にお話しいただき、2つ目として、オンラインの形で、東京の小田急電鉄がこの9月よりオルタナティブスクールをスタートしているので、そちらに関する事例報告をしていただく。
 その後、公認会計士である福代氏に基調講演をいただく予定になっている。
 休憩を挟んでパネルディスカッションを行い、その後、参加者の中でワークショップやディスカッションを行い、そして総評があり、閉会という流れで考えている。
 それぞれの詳細について、まず、事例報告1つ目の島根県にある明誠高等学校は、学校法人として普通科を持ちながら、通信制課程も持たれており、全国に約30校の通信制の学習等支援施設を持たれている。島根県における消費者教育はもちろん、全国のサポート校の中における消費者教育の事例報告をしていただきたい。
 また、その発表者の山本氏に関しては、明誠高校の理事をされながら、NPO法人志塾フリースクールで、全国に約30のフリースクールを持たれているので、そちらも踏まえた上での事例報告をいただく予定。
 事例報告2つ目の小田急電鉄には、特に子供たちの興味関心から広がる消費者教育についてお話をいただく。小田急電鉄だからこその特色が分かりやすいオルタナティブスクールでみんなが電車のことをすごく好きで語り合っていたり、小学生や中学生が物理の計算をしながらブレーキについて学んでいたり、いろんなことを学ばれている。
 そういった中で例えば、電車の運賃は、沿線の人たちがより暮らしやすい地域にするために使われている、といった部分や、パークアンドライドで電車を利用すると環境にやさしいなど子供たちの興味関心が深くあるからこそそこから広がっていく消費者教育の可能性をお話しいただければと思っている。
 狙いとしては、学校の枠だけではなく、その外からでも消費者教育を考えるところを狙いとしている。
 基調講演は福代さんで、SNS上では「大手町のランダムウォーカー」という名前で活動されている方。商業高校では普段から授業や講演をされている方で、『決算書の読み方』を、フリースクールの生徒にも理解しやすいような形の、クイズ形式で理解できるものをテーマにした書籍を販売されている。
 基調講演の内容は、実際に中高生にも届けることを想定した講演をしていただこうと考えている。実際にメタ的な視点を入れていくことで消費者教育がより深まっていくとか、広がっていくところに関してもお話をいただくことを考えている。
 狙いとしては、企業の理解を、難しい形ではなく、楽しく興味関心が持てる形で、そこを知りたいなと思える機会をつくっていくことで、注意喚起だけではなくて、何でそれがだまされやすいのか、どうしてだましやすい広告を打つことができているのかとかをお話しいただければと思っている。
 例えばセブン-イレブンだと、売上げの原価を見ると10%と書かれていて、この数字だけを見ると、おにぎり100円なのに10円しかお金がかかってないのとか思われるが、実はセブン-イレブンはフランチャイズとしての売上げが立っているので、実際もっと原価はかかっているけれども、会計上で見ると10%にしか見えないんだよとか。
 そういったことをクイズ形式でやっている。最近では脱毛に関するいろんな広告が流れている中で、どうして安くやることが可能なのか、その裏には消費者の情報をいろんなところに提供することで可能になっている、みたいな背景だとか。
 他にも、すごく安くてみんな手を出しやすい通販の裏では、苛酷な労働状況があるなど、そういったところをクイズも交えながらいろいろ知っていただいたり、より理解を深めていける内容を考えている。
 また、基調講演とトークセッションの間に映像を挟む予定。消費者教育に関して、教育関係の方々といろいろお話ししていくことももちろん大切なことだが、やはりそこには今その場にいる子供たちの声も大切だと思っているので、フェスタよりも前に島根県内の中学校、高校を回らせていただいて、実際に今困ったことがあったとか、こういうトラブルに遭いそうになったとか、そういった声を拾い、それを映像にして、その内容を踏まえた上でディスカッションに移るという流れを考えている。
 一緒に映像を作る瀬戸内サニー氏はユーチューバーで、香川県知事ともよく動画を撮られていたり、岡山市と連携をする形で、人権教育に関するところをTikTokで発信していくこともされている方。
 トークセッションに関しては、今までお話ししたメンバーに加えて、無花果の副理事長で弁護士でもある橋永邦明氏と、実際に益田市教育委員会で活動されていらっしゃった大畑氏、コーディネーターとして、香川県で消費者教育に関することをされている財務局の方をお呼びして、パネルディスカッションをさせていただく。
 大きな狙いとしては、ここまでで、全国のフリースクールや通信制高校の消費者教育の事例と、中高生の実際の声も出てきたので、そこを踏まえた上で、島根県の中学校・高校における消費者教育の可能性を見いだしていくための時間にしたいと考えている。
 大畑氏と明誠高校理事の山本氏が島根のこともしっかりと知っておられる方で、山本氏が全国と島根を橋渡しする方という立ち位置で、全国で消費者教育をされている方とのディスカッションを考えている。
 当日は、スマホなどでいつでも質問できるような仕組みも導入していこうと思っているので、疑問に思ったことを匿名で質問し、そこを基にトークセッションがより広がっていったり深まっていったりすることを想定している。
 こうした会を通じて、実際にオフラインで参加をされた、ふだん消費者教育に関わっている方や関心のある方々が出会い、そこでお話が生まれることで、次の消費者教育の可能性が広がっていくところに重きを置いていきたい。なので、ワークショップで参加者同士の交流を図る。例えば、今日のフェスタでこれっていいなと感じた瞬間を共有していただいたり、具体的にどんなふうにそれを実践していくことができるだろうといったものをテーマにお話をして、それをしっかりと形に残していけるような会にして終わらせていくという流れにしたいと思っている。
 今の進捗状況は、今月末にチラシが完成予定になっており、映像の撮影に関しては、今年中に撮影を終える目標で進めている。

【樋口委員】   私は、公民教育、社会科教育などを専門としており、学習指導要領等にも携わっていた観点から、今回の福代さんの基調講演が、非常に消費者教育の可能性を広げる部分につながるのではないかという示唆を受けた。
 財務諸表に関してこれまで中学生・高校生が触れる機会はほとんどなかった。商業高校は別だけれども、社会科の新しい学習指導要領の解説で会計教育を扱うようになっている。現場の先生方は、これをどのように授業の中で扱えばいいのかというところが今、模索中の状況。まさに学習指導要領の内容そのものでもありつつ、今回、これを会計教育というパーツにとどめるのではなく、消費者教育につながる可能性があると思っている。
 損益計算書、貸借対照表、これの読み方に関してはもちろん、学校の授業の中で少しずつはやっていくけれども、クイズ的に行うことによって、私たち自身が会社を支えていく、それから株主として株を買うという金融商品の選択の仕方、さらには、起業家教育といって、会社を創っていくというときに外せない諸表。それらをつなげることによって、実は、起業家教育、会計教育、金融教育も消費者教育とつながっているんだということを、クイズとして分かりやすく伝えていただけるのかなと思った。
 フリースクール、それから通信制教育ということだが、島根県内の学校に広げていく可能性をということので、そのコーディネートをされるときに、可能性を広げるためにはやはり学校教育の中で内容として扱うことも大事で、内容として扱う根っこがあるのだということが伝わっていくと、現場としては消費者教育を学校教育の中で扱っていくということがさらに広がっていくのではないのかと感じた。
 また、これが起業家教育という話になってくると、社会科だけではなくキャリア教育というところで、特別活動で全ての先生方が関わっていくので、そのような視点も御提示いただければ、非常に展開の可能性があると感じている。

【柿野委員】  フリースクール、通信制の学校に行っているということは、何か事情があってそういった形になっている方が多いと思うが、不登校で家の中に引きこもってしまっている人たちが外に目を向ける機会として、小田急の鉄道というようなところで興味を持って社会に目を開いていくという中で、消費者教育の可能性がそこにあるということをすごく強く感じた。
 なので、最後、「島根県の学校における消費者教育の『可能性』を見いだす」というゴールというよりは、むしろ、フリースクールとか通信制の学校に通っている子供たちの課題をどのように消費者教育を通じてアプローチできるのかのようなディスカッションのほうが、面白いのではないかと思った。
 また、島根県では、消費者教育コーディネーターの方や、NPO法人の消費者ネットしまねという、適格消費者団体を目指すような団体が消費者教育の活動を県内でたくさんされているので、そういうところとの連携・協働という、地域に根差して消費者教育をやっている団体との連携を意識していただくと良いと思う。

【杉浦委員】  学校教育に携わっている側からすると、学校の枠の外から入っていくというアプローチの仕方が、すごく興味を湧く、ちょっとここ聞いてみたいなという気持ちになる。
 ただ、ゴールとしては、学校の外も中もないよねという形にしたほうがいいと思う。消費者教育はそういう何か分ける必要はないと思うから、アプローチとしては外からでいいとけれども、最後のまとめというかゴール地点は、そういう垣根はないですよねということのほうが良いと思った。

【萩原委員】  私もそこには賛成。境界線を破っていくというのは、消費者教育のすごく魅力だと思う。それから、登壇者に女性が誰もいないということは一言申し上げたい。
やはり現在ではジェンダーバランスをしっかり考えるということを、今後、意識をされたほうがいい。特に消費者教育畑は女性がずっとやってきた部分でもあるので、今後はぜひ検討してほしい。

【白上委員】  今、地元で通信制高校のアドバイザーみたいな形で関わらせていただいていて、先ほど、フリースクール特有の課題とあったが、同時に可能性も持っていると思っている。
 まず課題としては、全ての子ではないと思うが、昼夜逆転している状態で、なかなか通常の学校には通えないところで通信制を選んでいる生徒さんも一定数いる。課金の話もあったが、ネット依存みたいな、何か特性のようなところ、多様な子供たちがいるんだということを、文科省のフェスタで改めて認知を広げていくというのは、とても貴重な場になっていくと思う。
 通常の学校でも、程度の差こそあれ、そういった生徒さんはいらっしゃるので、そういったところで見えてくる課題に対してどうアプローチしていくか。実際に今、通信制高校に通っている子たち、あるいは不登校の状態にいる子たち、こういった層に対してのリスクをどうしていくのかが1つあると思う。
 もう一つは可能性として、これは今の学校教育の課題でもあるが、先生と折り合いが合わなくて、学校に行かれなくなってしまって、不登校になってしまったと生徒さんとか、生活環境が変わると、空いた時間でアルバイトとかをしている。それは提供者でもあるということで、消費者教育では一つの可能性でもある。
 もちろん今、アルバイトしている高校生もいるが、日中アルバイトの比重がかなり多く、レポートを出しながらやっているという、生徒さんも通信制の高校にはいらっしゃると思うので、むしろそういう観点で消費者教育を受けた場合、どういう可能性が出てくるのかという話も未来志向型の形で議論され、新たな通信制高校ならではの提供できる消費者教育が開発されていくと、面白いのではないかと感じた。
 どちらかというと、高校生たちはとにかくレポートを出す、卒業あるいは進学のところにシフトを置いてという感じだが、それこそ、非認知能力みたいなところも通信制高校だからこそ大切にしていかなければいけない要素の部分があったりするので、うちの学校でもこれ取り入れられるかもしれないとか、こういう観点は課題だしこういうところは可能性があるから何かやれないだろうかと、特にパネルディスカッションはほかの通信制高校を含めた学校も刺激になるような場になっていくと良いと感じた。

【大久保委員】  こちらは会場だけで、オンラインはしないのか。

【NPO法人無花果(中藤様)】  オンラインもありで、当日オンライン配信をさせていただく。

【大久保委員】  その申込みはこれからということか。

【NPO法人無花果(中藤様)】  今月末でチラシ完成予定で、そこから随時、募集をしていく。

【大久保委員】  企画内容がとても面白く、会場に行けなくて残念だと思っていたが、オンラインがあるということで、アーカイブもあるのか。

【NPO法人無花果(中藤様)】  アーカイブも残す予定。

【大久保委員】  白上委員がお話しされたように、ネット依存の方がとても多くて、フリースクールにも行けないひきこもりの方が、やはりユーチューブなどの動画をずっと見続ける人が多い。保護者からも、どんなことを教えていいか分からないという相談もあるので、アーカイブを紹介して「これ、見たら」と言ってすすめてみたいなと思う内容だった。

【大久保委員】  ユーチューバーの方がお話ししたり、クイズがあったり、世界一楽しい決算書という興味深い本の紹介もある。堅苦しくない感じですごく受け入れやすいのかなと思う。
 
議題4:令和6年度取組状況調査について
資料4に基づき、事務局より「令和6年度取組状況調査について」について説明を行った。
 
議題5:その他
全ての議題が終了した後、委員より全体を通して意見があった。主な意見は以下の通りいただいた。
 
【永井委員】  消費者教育の目的は、消費者市民の育成が基本だが、消費者市民社会をつくるということを強く意識しておかねばならない。より公正で民主的な経済社会をつくっていくことだから、そこに向けての取組となると、消費者教育関係者だけで頑張るのではなく、企業とか生産者の力をもっと巻き込んでいくことが大事ではないか。
 そういう点では、先ほどの小田急の方の力を借りたりとか、地元のあるいは全国的な企業関係者の力を借りたりという、そういった取組をもっと積極的にやっていかなくてはいけない。あと、フェスタの後援とか共催の中にも企業関係の団体を呼び込むような方向が成り立っていけば良いと思った。

【神山委員】  消費者教育に長年携わってきたが、地域連携で、また地域の一部の消費者教育に興味がある人が中心になってやっていく以外にも、多様な視点から、いろいろな人たちとつながり合ってできるんだなと、本当に様々な可能性を感じることができた。
 次回の消費者教育に関する取組状況調査について、経年の比較を保ちつつ、どのような選択肢や自由回答欄を設けたら、このような取組が明らかになるのかと考えていた。

【大築委員代理】  学生たちが今抱えているリスクを聞くと、消費問題、消費生活に関するリスクは確かに中心だが、抱えているリスクはほかのことも絡み合っている。例えば、就職活動に関して情報商材を売りつけられたり、ガクチカを書くために活動として先輩から紹介されたものが実はマルチまがい商法だったりということが、現実にある。
 そうすると、学生たちは被害者だけではなく加害者にもなり得る。薬物のことについては、自分じゃないけど友達がそういうものを紹介されて買いそうになったと聞いたことがあるということもある。学生を取り巻く危険はたくさんあるんだなというのを、すごく感じていた。
 地域との関係であるとか、学生になる前の小学校、中学校、高校のところで、だまされない力を身につけるための教育というのはすごく大事なのではないかと思っていたので、そういうことが協力できたら良いと感じた。

お問合せ先

男女共同参画共生社会学習・安全課
消費者教育推進係
電話番号:03-5253-4111(内線2260)
ファクシミリ番号:03-6734-3719
メールアドレス:consumer@mext.go.jp

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(男女共同参画共生社会学習・安全課)