令和3年度消費者教育推進委員会(第2回)議事概要

1.日時

令和3年12月1日(水曜日)10時~12時

2.場所

霞ヶ関ナレッジスクエア

3.議題

  1. (素案)消費者教育の今後の在り方について
  2. 消費者教育の今後の在り方について
  3. その他

4.議事録

参考:「令和3年度消費者教育に関する取組状況調査」の中間報告
事務局より参考資料「令和3年度消費者教育に関する取組状況調査」中間報告書に基づき説明を行った。委員から中間報告書から今後の調査項目の追加等の意見を得た。
 
議題1:(素案)消費者教育の今後の在り方について
資料1-1、1-2に基づき、事務局より「(素案)消費者教育の今後の在り方について」について説明を行った。委員からの主な意見は以下の通り。
<(素案)消費者教育の今後の在り方について>

〇「消費者教育の今後の在り方」を作成する経緯としては、消費者教育推進法が成立から10年になり、本委員会では、「大学等及び社会教育における消費者教育の指針」を発表しているが、昨今の状況(新型感染症、デジタル化、SDGs等々)を踏まえた課題・問題についてこの委員会にて見通しについて取りまとめる方向になった。

〇インターネット関係での表現としては、「マルチ商法、キャッチセールス、アポイントメントセールス等々」は昨今あまり使用していない。そのため、「フィッシング詐欺」などの新しい言葉を含めた説明があったほうがよい。

〇消費者教育を中長期的に定着させるために一定の発信が必要である。

〇例えば、2022年4月から施行される成年年齢引き下げ後の消費者教育推進の取組を示すものとして、「消費者教育の今後の在り方」を発信することで、消費者市民社会を形成する消費者教育、つまり消費者が自立して将来に向かって発信していくための社会構築を再確認させるという目的がある。

〇学校教育に総合的な学習時間が導入され、総合的に物事を考える教育が求められており、結果的に何々教育というように教育が細分化されていると実感している。

〇学社融合の視点が必要である。「教科横断的な」という言葉のように、学校教育の中で使用する言語を社会教育サイドも意識的に使うと歩み寄り易くなる。

〇全ての教育段階の学習指導要領に一貫して「主体的・対話で深い学び」や「思考力・判断力・表現力」が使用されている。これは言い換えると「行動力」だと思う。

〇消費者教育の行動力という観点でみると、例えば「だまされない教育」も1つの行動力である。また、環境教育やキャリア教育にしても基本的に「行動力」が必要なのではないかと認識している。

〇OECDはEducation2030において、変革をもたらすコンピテンシーとして、生徒のエージェンシーを重視しながら、「責任ある行動をとる力」を掲げている。この作成には日本も深く関わっており、今後日本の教育にも大きく影響していくと考える。SDGsの文脈にはそれらが含まれており、またSDGsは産業界と学校教育両方で使われ、親和性が高くいいのではないかと考えている。

〇「消費者教育の今後の在り方」に消費者教育推進法から10年の決算、将来に向けての消費者教育および人材育成、SDGsを意識した文面、国の施策として新たに発信していくことが大事ということも記載する必要がある。

〇消費者教育が何々教育の中でもどの位置付けがわかるように視覚化することが大事だと思う。

〇今後の消費者教育では何を目的として取り組んでいくのか、という視点を加えることが大事と考える。

〇外部講師が広く活用されていることがきっかけとして、さらに活躍の場として外部講師を利用するという体制を固定化していく方向に進めていくチャンスである。

〇「成年年齢引下げに伴う消費者教育全力」キャンペーンやアクションプログラムをきっかけとして、学校教育での外部人材の活用が推進されていることから、今後も外部人材を活用する体制を進め、さらに活用の場を広げる方向に進める機会とする、旨を記載してほしい。

〇「当面の課題」については本委員会にて議論していただいている事柄を文章化していく必要がある。

〇これまで取り組んできた「連携協働の事業」について総括してみる、各自治体間連携の取組を各地域で大学等を中心に実施した取組を総括した上で、今後どうあるべきかを考えていく必要がある。

〇インターネット被害関係、消費者被害の問題など、新しい課題を整理して、実態に合わせた表現にする必要がある。
誰かによってなされるのではなく、自分がSDGsの問題に当事者であると考え、消費者として何をすべきなのか、何ができるのかという意識に変えていくことが、将来的にはもっと大きな課題になってくると思う。

〇消費者教育に固定概念を持っている先生方や指導者にアンラーニングが必要である。

〇研修方法、研修する人、しない人ではなく、双方に学び合えるという視点を築く必要がある。

〇デジタルに係る表現の定義が視点により変わってくるため、しっかり示しておく必要がある。また、デジタル化に対して、自分が主体的になっていくためにも必要な教育、デジタル化の重要性を発信する必要がある。
「消費者教育の今後の在り方」の前文に「社会教育や学校教育ではなく、消費者教育とはみんなにとって誰一人取り残さないために大事」だということを明記することが大事である。

〇消費者教育が育む力として、「消費者教育の推進に関する基本的な方針」に①消費者市民が社会の構築に関する領域、②商品等やサービスの安全に関する領域、③生活の管理と契約に関する領域、④情報とメディアに関する領域、とあるが今後も取組むべき中心的な中身になる。

〇消費者として何をすべきか、消費者市民として何をすべきかを軸にこれからの消費者教育、何をすべきなのかを象徴するような言い方を考える必要がある。

〇自分が何をすべきなのか、それらを自ら生活を改善していくと同時に、社会全体に与える影響、さらに広く発信していくという消費者市民社会を構築する力が必要だと思う。

〇「成年年齢引き下げ」というのは大学がしっかり役割を認識して、受け止めるべき課題である。

〇新型感染症拡大に伴い、一時的にキャンパスに人が集まれない状況によって、人と人のつながりが減少している実態がある。この状況を踏まえた今後の消費者教育をどのようにしていくか考える必要がある。

〇当初の指針では、単なる消費者教育という言葉だけでなく、消費者市民、私たちは社会の一員なのだという意識をもって、生涯の学び直しが必要という思いがあった。

〇当初の指針の3つの目的は、「実践的な生涯設計も含めた問題解決能力」、「倫理性をもった責任のある行動」、「持続可能なライフスタイルの創造」である。

〇当初の指針の目的を整理しなおし、戦略的文書に直す。今まで、何を目指してきたかを整理しなおすことで、より明確に伝わると思う。

〇日本の地域が持っている力、日本の協働が持っている力が意識された文書に当初の指針になっていたと思う。

〇消費者教育というと「だまされない教育」、「お買い物」というイメージだが、消費者市民と表現することで、「私たちは市民であり、生活者だ」という認識になる。その辺をわかりやすい図式にすることで、わかりやすいものになる。

〇人とのつながりが減少している場合に消費者教育を推進していくには、SNSやオンライン教材などを使って活用していく必要があるのではないか。オンラインにより、お互いの共通理解を求められていく学びになることで、非常に良い学びの場になると考える。

〇今まで人間関係を築くことが得意ではない人がオンラインにより活躍することもあれば、逆にこれまで人間関係の作り方が得意だった人が孤独化していくということがある。孤独化とは消費者被害のリスク要因になっている。そのような人たちをどのようにケアしていくのかということが課題である。

〇項目の中に従来の被害防止教育をどう捉えていくのか、新しい学習指導要領、成年年齢引き下げの外部講師の活用の視点も外せない。

〇人間の利他性に着目し、そこに働きかける必要がある。被害にあわないように、相談機関につなげ、学び直しが必要というのは、被害にあわない教育から被害者を作らない社会をつくる一員になっていくバージョンアップも必要ではないかと思う。

〇我々が目指すのは消費者市民社会という担い手であり、当事者性で消費者被害の現実を正しく認識した上で、社会を自分たちの力で変えていく人々を育てていく方法について考える必要がある。

〇新型感染症拡大に伴い、デジタル化が急速に進んだ認識がある。消費者教育の中で、物事を選択する力が、消費者教育の大きな目的の1つと思う。デジタル化が進んだことで、あふれる情報のなかから何を選択するかという選択力が以前よりも影響を受けている。

〇物事が新しく更新されているという意識を踏まえつつ、根底に考え方は変わらないということも大事にしたい。
リスクをチャンスにしていくためにもデジタル化の重要性を認識させる。消費者市民教育にとっても、やっぱりデジタル、関係性をどういうふうにリスクの中で作っていくかという教育又は仕組みづくりが大事である。

〇デジタルに対応した教育への対応が十分に実施できずに情報に対する仕組みを知らないので騙されるということが多々ある。

〇ITリテラシー育成など一定の知識を得ないと様々なものがデジタル化されていく中では、どんな職種であってもデジタル化に対応した情報教育というのが必要である。そのことも消費者教育の中の大きな柱になると思う。

〇消費者市民社会に向けての教育では、消費者としての教育はもちろんのこと学校段階で教育する必要がある。行政がもっと促していく必要がある。

〇「取組状況調査」のデータの一つに「消費者教育が他の優先事項があり取組めない」という数値が高い現状がある。これらに対して、どのぐらい解消したかということがもっとも重大な課題の1つである。

〇この委員会を通じて学校での消費者教育の在り方を先生方に対する示唆を発信していきたい。

〇教育委員会の消費者教育の重要に対する認識が弱いので、それらをどのように認識を強化していくかが課題である。

〇学校教育では学習指導要領に基づき、すべての児童・生徒に消費者教育が充実されつつあるが、コロナ禍に伴い、デジタル化の推進や今までのように十分に授業が行うことが難しい状況になっている。

〇デジタルコンテンツは今後、様々な段階で作成されると思うが、それを活用して、若者に趣旨、また本質を伝えられるのかが大きな課題である。

〇今後、対面ではできない場合に対面以上の効果が上がる研修、教材が必要のなではないかと思う。

議題2:消費者教育の今後の在り方素案作成部会の設置について
事務局より「消費者教育の今後の在り方素案作成部会の設置について」説明を行った。委員からの承諾を得た。
 
議題3:その他
参考資料に基づき、事務局より「令和3年度消費者教育フェスタ実施概要」について説明を行った。委員からの意見を頂戴し、実施に向けて反映していくとこを検討した。

お問合せ先

男女共同参画共生社会学習・安全課
消費者教育推進係
電話番号:03-5253-4111
ファクシミリ番号:03-6734-3719
メールアドレス:consumer@mext.go.jp

(男女共同参画共生社会学習・安全課)