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資料4−(2)

博物館行政の実態に関するヒアリング(平成18年度実施)

 文部科学省では平成18年7月〜8月に3自治体(都道府県レベル)の各教育委員会の博物館担当者を対象に、博物館の登録制度、評価、学芸員資格等についてヒアリングを実した。主な意見は以下のとおりである。

質問項目 地方公共団体からの主な回答
(1) 各都道府県における博物館の役割
1 都道府県行政における博物館の位置づけ
 
博物館の主目的(教育、文化、観光、地域活性化)
社会教育、生涯学習、文化振興
教育委員会所管と首長部局所管の相違点、メリット・デメリット
<教育委員会のメリット>
生涯学習や学校教育との連携がスムーズ
<知事・首長のメリット>
まちづくりや観光振興に係る施策の展開が可能であり、その分の予算措置もある。
博物館に関する行政評価の実施状況
自己評価は導入済み。平成18年度には第三者評価を試行する予定。
市町村行政との関係(市町村立博物館とのネットワーク化、相互の情報提供等)
域内の博物館とのネットワーク化を図る。
人事交流、資料の貸借、情報交換を実施しているところもあり。
2 博物館行政の現状と将来展望
 
新設、統廃合の状況(市町村の状況も含む)
県立を市町村へ移譲。
館長ポストが課長級から係長級になるなど、組織が縮小傾向にある。
市町村立で閉館したところもある。
指定管理者制度の要件設定状況、運用方針
有識者会議で要件を検討
資料の保管にあたり、セキュリティの管理が重要となる。
博物館を取り巻く状況、課題、課題に対応した今後の取組
予算削減
施設の老朽化
学芸員の高齢化(過去4年程度採用なし)
指定管理者の導入による弊害
集客・経営改善・人材育成
生涯学習・社会教育の中での博物館の役割・位置づけ
学びを深める体験の場
ボランティアの活動の場
地域における生涯学習の拠点
学校教育との連携
総合的な学習の時間での活用
独自に開発した学習プログラムを学校に提案
青少年向けプログラムの活動の場の提供
(2) 博物館登録制度
 
1 最近の博物館の実態を踏まえた登録制度の意義、必要性
博物館が社会教育施設であることは学校との連携の根拠として対外的に説明しやすい。
類似の施設には相当を目指して努力しているところもあり、一定の基準となっている。
2 博物館の設置主体を現行法のように限定(地方公共団体、民法34条の法人、宗教法人、政令で定める法人のみ)することのメリット・デメリット
大学や首長所管の動物園で登録になりたがっているところもある。
3 登録博物館と博物館相当施設の制度の意義、実行上の意義について
公立にとってのメリットが欲しい。
登録かどうかよりも国宝、重要文化財を取り扱える館(信頼できる学芸員がいるかどうか)かどうかが重要。
登録制度を一般に周知することが必要。
4 登録制度に係る申請手続きの現状について(博物館法第16条の規則の有無も含む。)
申請を受けてから1年間は実績を見ている。
審査期間を短縮することで、償却資産等にかかる固定資産税の課税期間を短縮できる。
登録制度の更新がないので、館の名称が変わったり担当者が変わることで実務上問題が生じる。
(3) 学芸員資格制度
 
1 博物館職員に求められる資質・能力。学芸員資格に何を求めるか。
博物館の人事異動で学芸員の資格を持っているかどうかは考慮していない。問題もおきていない。
財団の職員の場合はジョブローテーションにより、寄託や営業も担当する。
資料が扱えて、専門的な知識で資料を説明できることが重要。
2 現行の学芸員資格取得資料に関する学問的知識・技術、博物館の経営などに係る幅広い専門性・資質を備えた学芸員を大学院レベルで養成する必要があるか。
教育普及やマネジメントを科目に入れてはどうか。
資料の扱いについては大学の養成だけでは不十分。フランスでは徒弟制がとられている。
3 学芸員の資格について、専門分野毎の資格の細分化や上級資格が必要か
採用が少ないので、採用要件で対応可能。
学芸員として働いている人と資格を持っているだけの人とで資格に差があってもいいのではないか。
4 学芸員資格の更新は必要か。具体的な方法としてどのようなものが考えられるか。
学芸員の養成がファジーになっているので、更新制度はあるべき。
指定管理者制度が導入されたことで、技術の伝承がなくなってしまう。
(4) その他
 
「公立博物館の設置及び運営上の望ましい基準」の有効性
 
博物館法の入館料原則無料規定の意義
資料購入には既に税金を投入していることもあり、入館料にはどめがかかっているので、残した方がよい。
料金算定の方法が必ずしも適切でない。
評価の在り方
私立博物館で評価に係る資料を作成できるところは少ないのではないか。


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