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資料3−(1)

博物館に係る過去の検討結果について(総括)

1. 博物館登録制度について
 
過去の検討結果 位置付け 検討内容
大学博物館の整備 地域における生涯学習機会の充実方策について(平成8年4月24日生涯学習審議会答申) 大学は豊富な知的資産を有することから、学術審議会学術資料部会において、ユニバーシィティミュージアムを設置して学術標本の多面的活用を図ることが提言されている。今後、大学における知的情報発信拠点の一つとして、大学の研究実績等に応じて設置されることが期待される。また、学芸員の現職研修への協力や研究活動への援助などを通して、博物館全体の振興に大きな役割を果たすことが期待されている。
登録博物館の設置対象に大学を始めとする学校法人を含めることを検討する 社会の変化に対応した今後の社会教育行政の在り方について(平成10年9月17日 生涯学習審議会答申) 大学等において充実した博物館施設が整備されつつあることから、学校教育と社会教育の連携を推進する観点から、学校法人が設置する施設等についても博物館として登録することができるようにするなど、博物館登録制度の在り方について検討する必要がある。
登録制度の継続の意義 地方分権推進計画(平成10年5月29日閣議決定)による平成11年度博物館法改正の際の整理   博物館登録制度は、博物館が資料の収集、保管、展示とともに我が国の教育・文化・学術の水準向上に重要な役割を担うものである。しかしながら、何人でも博物館を設置し、名乗ることができることから、一定の水準を満たす施設のみを博物館法上の「博物館」として登録することにより、行政として奨励・支援すべき対象を明らかにし、博物館の振興を図るために設けられたものである。
 こうした登録博物館に対して、国は
  1 博物館を設置する地方公共団体に対する補助金の交付や博物館における学芸員の研修事業等の支援措置等を講じ、
2 私立の博物館に対する税制上の優遇措置等を設けている。
 さらに、
  3 「美術品の美術館における公開の促進に関する法律」(平成11年法律第999号)においても、「登録博物館」が定められている。
 このような博物館登録制度は博物館の基本的枠組みであり、今回博物館の登録事務が機関委任事務から自治事務になったとしても、引き続き、登録制度は必要であると考える。
登録要件の見直し(定数・定量的評価から活動内容重視の評価へ)
審査体制の見直し(各都道府県教育委員から全国的な審査組織へ)
博物館相当施設の設置主体の拡大(首長部局所管、学校法人)
「対話と連携」の博物館(平成12年12月)日本博物館協会委託事業   多様化する各種博物館を博物館法に定める登録認可条件で区別することは困難であり、法第19条に定める所管条件などを見直す必要がある。しかし多様化する博物館に求める、望ましい姿を規定する条件を現状のみで定めるのも問題であり、今後も博物館が時代とともに更に多様化する可能性が大きいため、「望ましい博物館」が如何に在るべきかについての統一認識の下に新たな基準を定めることが望ましいが、法的には最低の規範にとどめるべきである。しかし、博物館が教育分野において果たすべき社会的役割の重大さを考えれば、博物館の登録実務と登録原簿の保管は第10条に規定するように教育委員会が行うのがよいと考えられる。
 現状の博物館は、都道府県教育委員会所管の有無により登録制度が行われているが、所管による位置付けは廃止するべきである。
 博物館の登録・相当施設などの審査は、主として所管の違いや、施設の規模・学芸員数・収蔵資料数などによる定数・定量な方法によりその評価が行われているが、今後はこうした方法ではなく、博物館の理念に基づく機能や条件を、どれだけ実践しているかという活動内容を重視した審査を行うべきである。
 登録審査等は、これまで都道府県教育委員会にその事務が機関委任されており、運用の基準に差異が生じてきており、また、平成12年4月からは、都道府県の自治事務とされている。博物館のレベルの向上を図るため、全国的に機能する博物館登録審査委員会のような組織を設置すべきである。
 博物館法で言う登録博物館は、その設置主体が地方公共団体、民法法人、宗教法人、日本赤十字社等に限定されており、所管は教育委員会となっている。また、博物館相当施設については、設置主体が国、株式会社、学校法人、個人でも指定出来るが、公立の博物館相当施設の場合は教育委員会所管の施設に限るという運用がなされてきた。しかし、首長部局所管の博物館も増え、博物館の連携も必要なこところから、博物館相当施設への道を開き、更に大学博物館設置の方向も進み学社連携の必要性も高いところから、学校法人の設置する博物館も登録博物館への道を検討すべきであるとしている。
「博物館」、「公立博物館」、「私立博物館」の定義を見直す。
設置者の対象範囲の拡大
「博物館」の名称独占
評価の在り方に関する調査研究委員会「体制・税制委員会の審議状況(報告)」(平成16年3月)<日本博物館協会>  博物館の設置・運営の現状からみて、法に規定する「博物館」、「公立博物館」、「私立博物館」の定義は実態に合わない状況にあり、その定義を見直す。
 また、設置者(国、地方自治体、公益法人、宗教法人、学校法人、国立大学法人、独立行政法人、企業、個人など)に係わらず、その施設が行う活動を促進する視点から、優遇措置とは分離して、一定の要件(公益性、非営利性、安定した管理運営体制など)を沿うものについて、博物館として登録する新しい制度の導入を検討する。その際、「博物館」の名称独占についても検討する。

2. 学芸員資格について
 
過去の検討結果 位置付け 検討内容
定期的な再教育による学芸員資格の更新
高度な専門性を評価する制度
今後の生涯学習の振興方策について(審議経過の報告)(平成16年3月29日 中央教育審議会生涯学習分科会報告) 博物館の学芸員等の専門性を高めるため、資質向上のための資格要件の向上も必要であるとの意見もある。また、資格要件を上げるだけではなく、資格取得後にも、現職者に対しては、定期的に再教育し、資格を更新していくという仕組み高度な専門性を評価する制度について検討してはどうかという意見もあり、更に議論を進めることが必要と考えられる。
高度で実践的な専門的能力を有する学芸員に対し、その専門性を評価する名称を付与する制度を設ける
社会教育主事、学芸員及び司書の養成、研修等の改善方策について(平成8年4月24日 生涯学習審議会社会教育分科審議会報告)   高度で実践的な専門的能力を有する学芸員に対し、その専門性を評価する名称を付与する制度を設けることが有意義と考えられる。(以下略)
 このような高度な専門性を評価する名称付与制度は、学芸員制度のみならず博物館制度全体との在り方とも関連を有するものであり、その具体化のために、実施機関、評価の対象、具体的名称、評価の方法等について、国をはじめ関係機関や博物館関係団体等が連携しながら研究を進めていくことが必要である。
高度で実践的な専門的能力を有する学芸員に対し、その専門性を評価する名称を付与する制度を設ける
自然科学系学芸員の体系的な現職研修の実施について(平成9年3月 学芸員の資質向上の在り方に関する調査研究協力者会議)
学芸員の研修の体系化にあわせて、学芸員の高度で実践的な専門性を評価する制度について、博物館関係団体等と連携しながら研究を進めていくことも重要な課題である。
大学院における上級学芸員の養成
学芸員資格の更新
評価の在り方に関する調査研究委員会「体制・税制委員会の審議状況(報告)」(平成16年3月)
現在の学芸員の資格要件は、実際の事業展開に十分な内容となっていない。博物館の事業や運営を円滑に進めるためには、資料に係る学問分野に関係する専門知識・技術とともに、資料の保存や事業展開、経営など博物館学に関する広い視野の専門性を身につけることが不可欠である。そのような資質を備えた専門職員を、上級学芸員として、大学院で養成する制度を創設する。
学芸員(上級学芸員)の資格は、期限を限って認定することとし、取得後の実務経験や研修の実績に応じて、資格を更新することとする。
国による資格認定の必要性
資格認定に係る全国組織の強化の必要性
「対話と連携」の博物館(平成12年12月)日本博物館協会委託事業   博物館施設の設置主体や管理運営の所管は、現状では多くの省庁・部局に及んでいるが、新たな基準に基づく各種資格の認定は、生涯学習・社会教育施策の統一的かつ継続的な実施という観点からすれば文部省が一括して担当すべきである。付随する多くの課題を遅滞なく処理するためには財団法人日本博物館協会の様な全国組織を強化するかまたは新たに設立する事が必要であろうと思われる。
 大学における博物館講座により取得される学芸員資格は、その質を高める必要があり、大学院または博物館で長期実習のうえで取得可能とすべきである。

3. 評価について
 
過去の検討結果 位置付け 検討内容
目標の設定と自己評価
第3者による評価の導入
評価の在り方に関する調査研究委員会「体制・税制委員会の審議状況(報告)」(平成16年3月)  博物館はその使命、目標、計画等を明確にし、実施した事業について定期的に点検し、評価する仕組みを整えることを期待する。
  1 博物館は、それぞれの使命を達成するため、実施する事業の目標、計画を策定し、公表するよう努める。
2 博物館は、事業の水準の向上を図るため、定期的に、自ら点検および評価し、その結果を公表するよう努める
3 博物館は、市民などの外部の意見を反映するための協議組織を設けるよう努めることとし、上記12の実施に当たっては、協議組織の協力を得る。
4 自ら行う点検および評価に併せて、外部の第3者による評価を受けることを推奨する。
自己点検と自己評価
第3者による評価の導入
「公立博物館の設置及び運営上の望ましい基準」の告示(平成15年6月)  博物館は、事業の水準の向上を図り、博物館の目的を達成することができるよう、日頃の運営方法の工夫、改善に努めるとともに、事業の成果等について自己点検・自己評価を行い、その結果を広く公表するよう、努めるものとすること
 利用者の意向が適切に反映されるよう、博物館協議会等を十分に活用することが望まれること。なお、必要に応じて外部評価を導入することについての検討も望まれる
外部評価の導入
評価指標の検討
「対話と連携」の博物館(平成12年12月)日本博物館協会委託事業   博物館は、博物館の利用者を含めた外部からの評価を受けなければならない。外部からの評価は、内部評価では気付かない指摘もあり、欠くことのできない要件である。
 博物館の評価は、理念や目的、方針にそった質的評価を中心とし、入場者数や経済的指標など、外形的数表のみの評価では不十分である。博物館活動全体をとおしてみた、包括的公正な評価でなければならない


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