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教育バウチャーに関する研究会(第8回)議事要旨

1. 日時
  平成18年12月4日(月曜日)10時〜12時

2. 場所
  丸の内仲通りビルK1会議室(地下1階)

3. 出席者
 
(有識者)   小川座長、金子元久委員、新美委員、渡邊委員、
(文部科学省) 大槻生涯学習政策課長、徳久初等中等教育企画課長、佐久間調査企画課長、澤川行政改革推進室長、その他の他関係官

4. 議事要旨
 
教育再生会議について事務局から説明
スウェーデンのバウチャーについて澤野助教授から説明
(以下、主な発言内容)

契約や教員給与の柔軟化はバウチャーと直接は結びつかない。バウチャー固有の問題と契約の柔軟性等それ以外の問題は分けて論じた方が良い。本当にバウチャー制度自体についてポジティブな評価があるのかどうかは疑問である。

当初穏健党政権下では授業料を徴収しても良いことになっていた。しかしその後の社民党政権下では階層化が広がらないように授業料の徴収を認めていなかった。少なくとも、現行基本的には授業料をとってはいけないことになっているが、穏健党が最近政権を取ったことに伴い、状況が変わってくるかもしれない。寄付金制度が柔軟であれば、授業料徴収の抜け穴になると考えられる。

社民党は私立学校制度化すること自体は反対していなかったが、私立学校の存在により公立学校が潰れるようなケースが想定される地域においては、私立学校の設置認可をしてはいけないというような法律を作ったりしたこともあった。社民党はあくまでも公立学校を支持する立場である。穏健党はすべてを自由化することが望ましいという立場であり、ある程度の格差が生じてしまっても仕方がないというように考えているようだ。

農村部でも、私立学校が増えていたようだ。ただし、都市部より小規模な学校や宗教系の学校が多いと聞いている。

これまでは、徒歩で通学するのが通常であり、スクールバスは少なかったが、最近ではスクールバスが増えてきているようだ。

教員給与が学校毎に個別化する前は、コミューンが雇用者であったが、現在は確認していない。しかし、採用や給与に関する契約は校長と結んでいるので、学校が雇用者ではないか。

いずれにしてもすべてコミューン単位で追加措置も含めて予算額が決められている。少なくとも施設維持費などは、バウチャーとは別に配分されていると認識している。

経常費と施設等維持費が分かれているのは当然として、経常費の中でも追加的要素があるかどうか。つまり厳密な意味でバウチャーになっているかどうかは把握できていない。

一つの仮説だが、バウチャーの額が高い地域でしか私立学校が成り立たないというように考えることはできるか。

義務教育段階では学力選抜してはならないことが教育法で規定されている。従って、ほとんどの場合、順番待ちか抽選で選抜を行う。順番待ちに関しては、早い方が有利であるため妊娠が分かった時点で、応募するようなケースもあるようだ。高等学校についても入学試験は行っていないが、内申点等を考慮することはあるようだ。

生徒一人当たりの教員数や学級規模などの国の規定をすべて廃止したため、各コミューンによりシステムがそもそも異なっているが、各コミューンの詳細は把握できていない。

私立でも公立でも待遇格差が起こっており、その結果、無資格教員問題が生じている。競争力の弱い学校では、そのような無資格教員を雇うといったことが報告されており、全体でも3割近くが教員資格を持っていないという実情である。このような状況があり、教員の質の問題は深刻になってきている。教員養成と教員研修については見直しに向け、国内でも議論されているようだ。

株式会社立の学校の中には第企業(銀行等)が作ってるのもあり、チェーン展開をしている。それ以外にも、元校長が校舎を買い取り学校のオーナーになることもあれば、教員同士で作ることもあり、様々な形態がある。

公務員の制度について詳しくは承知していないが、スウェーデンでは労使交渉で条件が決まることが多く、教員の給与に関しても労使交渉の結果が大きく影響しているだろう。

北欧5ヶ国のうち、デンマークでは私立学校が多く、例えば、20人生徒を集めれば学校が作れる等、柔軟な制度になっている。しかし、ノルウェー、フィンランドは私学がほとんど増えていない。スウェーデンでこれだけ、私学が増えてきた背景は、移民や難民が多くなってくる等、学校側に多様な対応が求められるようになってきたというのが理由ではないか。

バウチャー制度導入時には、私立の方が経費が安い割りに質が良いという議論があったようだが、今後、穏健党政権でどのような方向に移っていくのか、見守っていく必要があるだろう。

学校選択制について事務局から説明
義務教育段階における予算配分制度について事務局から説明

以上

(生涯学習政策局政策課)


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