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教育バウチャーに関する研究会(第3回)議事要旨

1. 日時
  平成18年3月10日(金曜日)9時30分〜12時

2. 場所
  三菱ビル地下1階M2会議室

3. 出席者
 
有識者: 小川正人委員(座長),金子郁容委員,金子元久委員,新見一正委員
文部科学省: 久保生涯学習総括官,大槻生涯学習政策課長,清木高等教育企画課長,永山行政改革推進室長,その他関係官

議事については、以下の通り。

司会進行:小川委員

新見委員より、前回研究会の補足として、ニュージーランドとチリの状況について説明があった。
川端私学教育研究所所長からプレゼンテーションがあった。
小塩神戸大学大学院教授からプレゼンテーションがあった。プレゼンテーションにおいては、以下のような提言がなされた。
 
教育の分野においても、消費者の選択の自由が最大限尊重されるべきであるが、教育の持っている特殊性にも注意を払う必要がある。
義務教育のように、全ての人が受けなければならないような分野では、バウチャー導入の効果は余り無い。ただし、職業訓練等、義務教育以外の対象者が不特定多数である分野であれば、メリットがあるかもしれない。

【主な発言は以下の通り。】

諸外国の状況について

 諸外国の例を見ても、純粋に生徒一人当たりに係る経費を基準として、それのみに基づいて公費を学校に配分する制度をとっている国はなく、様々な補正をかけたり、生徒数以外の要素も考慮したりしている。

 ニュージーランドにおいては、全国で一律に一人当たりの単価額を設定し、それに基づいた公費が配分されているが、オーストラリアは、ニュージーランドに比べて人口も国土も大きいため、一律に単価額を決めると言うことではなく、地方差など様々な要素も考慮しているようである。ただし、細かい制度については詳しくわからない。

 アメリカのバウチャーは、累進制や所得再配分といった観点で実施されているものであり、競争という観点で実施されているのではないように思われる。バウチャーというよりも、弱者に対する公的支援の意味合いが強い。

基本的考え方の整理

 バウチャーはどこで、誰に対して実施するのかというコンテクストによって、かなり効果が変わってくる。

 バウチャーの額をどのくらいにすると、どのような効果があるのか。よくわからないが、バウチャーの額を高くしていくと、2極化するような気がする。

 バウチャーの額を上げ過ぎると、私立学校が授業料を引き上げるといったモラルハザードが生じるかもしれない。

 所得の高い人々は、バウチャーを与えても実はあまり意味が無く、そもそも塾など外部的なものを惜しみなく消費する。一方、例えば少額のバウチャーが支給されたとしても、公立から私立に移る人は(バウチャーの額を超えた部分を負担しなければならなくなるので)あまりおらず、結局、所得の高い私立に通う者のところにバウチャーが支給されるだけである。つまり、高所得者がバウチャーを受け取り得をするだけである。

 学校同士で競争をさせるのであれば、実はバウチャーはあまり意味が無く、裁量権の付与の方が大事である。

その他

 地方によっては、学力の低い子どもが私学に行くようなところもある。

 競争という観点ではなく、不登校児童生徒やいわゆる落ちこぼれの生徒達に対するケアの手段として、バウチャーを検討することは意味があるのではないか。

 認可されたフリースクールのようなものに、バウチャーを配るということを検討する余地はある。

 政策的な誘導の手段としてバウチャーを実施するのであれば、コストの半額以上の額のバウチャーを支給するなどしなければ意味がなく、少額のバウチャーには政策的な意味はほとんど無いと言うことになろう。しかし、不登校児童生徒などに対するバウチャーであれば、安い額のバウチャーであっても効果があるかもしれない。

以上

(生涯学習政策局政策課)

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