第3章  学校と高齢者施設との複合化

第1節  複合化整備の基本方針

  高齢者を対象とした講座等を開設する社会教育施設や高齢者福祉施設等の高齢者施設と学校施設が共存し,互いに連携・交流を図っていくことは,今後,学校が地域におけるコミュニティーの拠点として機能していくためにも有効な方策の一つであり,都心部における敷地の有効利用や余裕教室の転用等により,両施設が複合的に整備される事例も見られるようになってきている。
  核家族化が進行する中で,児童生徒が学校生活において高齢者と日常的にふれあうことは,高齢・福祉社会に対する理解を深めるという観点からも,大きな教育効果が期待できる。また,高齢者にとっても,はつらつとした児童生徒の姿を間近にできることは,勇気付けられることであり,閉鎖社会になりがちな高齢者施設に新しい地域の風を呼び込むことにつながる。
  一方,両施設の複合化は,限られた敷地内に施設機能が異なる施設を一体的に整備することから,安易な合築は互いの生活環境に悪影響を及ぼす恐れもあり,複合化整備に当たっては,以下に示す基本的な整備方針を踏まえて,良好な施設環境が確保できるよう計画することが重要である。

  (1)連携・交流を前提とした空間構成及び動線計画

  学校と高齢者施設の日常の活動に支障が生じないことに留意しつつ,両施設相互の連携や交流活動が円滑に実施できるよう,過度に分離することのない空間構成や動線の計画を行うことが重要である。

  (2)教育環境の質的な向上

  両施設を複合的に整備することにより,各施設の諸機能の高度化,多機能化を図るとともに,ゆとりと潤いのある環境づくりに配慮し,教育環境の質的な向上を図る計画とすることが重要である。

  (3)施設の管理・運営等に対する配慮

  両施設の管理区分・管理体制を複合施設全体について総合的に計画するとともに,設備計画についても,適切かつ効率的な運営を図るために工夫を行うことが重要である。
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