第2節  高齢者との交流を促す学校施設整備の必要性

(高齢者との交流の必要性)

  平成9年6月の中央教育審議会答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」(第2次答申)において,今後の高齢社会に対応し,学校・家庭・地域社会における教育の充実を図り,子供たちに豊かな人間性をはぐくむとともに,子供たちが高齢者とふれあい,高齢者から学んでいくことの大切さが示され,この中で,学校においては,高齢者とふれあい,交流する体験活動を重視すべきことが提言されている。   核家族化の進行に伴い,子供たちと高齢者のつながりが希薄になっている今日の状況において,今後,地域における様々な活動の中でそのつながりを強めていくことが大切であり,学校においても,高齢社会に対応する教育の一環として,高齢者との交流を積極的に進めていくことが求められている。

(高齢者施設との連携)

  また,今日の高齢社会の進展に伴い,自由な時間のある高齢者が生きがいをもって学習活動を行う機会や,社会に参加・貢献する機会が増加する一方で,医療や介護を必要とする高齢者が増加することが見込まれている。   これら高齢者の需要に対応し,高齢者を対象とした講座等を開設する社会教育施設や,介護を必要とする高齢者に対し在宅サービス,施設サービスを行う高齢者福祉施設等の高齢者施設は,今後21世紀の基幹的な公共施設の一つとして重要な位置を占めることが予想される。   特に,高齢者福祉施設については,平成12年度からの介護保険制度の施行に伴い,デイサービスセンターや老人ホーム等の整備需要が今後さらに増加することが見込まれている。   このような状況に対応し,学校教育においても,これら地域の高齢者施設との連携を進めていくことは,児童生徒が交流活動を通して高齢社会がどのような社会であるかを学び,実際に地域社会や高齢者のために主体的に行動する意欲をはぐくんでいくことにつながると考えられる。

(学校における交流の場の整備)

  学校教育において,児童生徒と高齢者との交流活動を進めていくためには,交流を行う場を設定することが不可欠である。   交流の場は,活動内容や高齢者の身体的特性等の諸条件に応じ,学校に高齢者を招く場合のほか,高齢者施設への訪問や地域の公共施設の利用など様々なケースが想定されるが,今後,学校が地域に開かれ,地域社会との連携をより深めていくためには,学校が交流を目的とする高齢者を積極的に受け入れていくことが望まれる。   現在,各学校においては,関係教職員等の努力により,様々な形で高齢者との交流が積極的に試みられているが,施設面においては高齢者を受け入れるための十分な対応がなされていない例が多い。今後,高齢者との交流を積極的に実施していくためには,交流を円滑に行うための早急な学校施設の改善が求められる。
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