第1章  高齢者との連携の必要性

第1節  「開かれた学校」から地域のコミュニティーの拠点へ

(生涯学習社会への対応)

  近年における自由時間の増大や高齢化の進行等,社会の成熟化に伴い,生涯を通して人々の多様で高度な学習需要が増大し,地域社会における各種の学習機会の提供や総合的な学習基盤の整備等が求められている。   このような社会的要請の高まりの中で,学校は,児童生徒の学習・生活の場のみならず,地域住民にとって身近な施設として,地域の人々の学習需要に応え,その教育機能や施設・設備を提供することにより,地域の生涯学習の拠点として,積極的に地域に開かれていくことが必要となってきている。   このため,今後の学校施設は,本来の学校教育に必要な施設・設備をより多機能化,高機能化するとともに,快適で豊かな環境を整備していくことが必要であり,また一方で,それらの施設・設備を積極的に活用することにより,児童生徒の学習の多様化,高度化を図ることも有効な方策である。

(学校・家庭・地域社会の連携)

  現在,家庭や地域社会の児童生徒に対する教育の充実が求められている中で,これらの教育機能を活性化し,活用していくためには,学校が家庭や地域社会に対して積極的に働きかけを行い,家庭や地域社会の支援を受けることに前向きに取り組んでいくことが望まれている。
  さらに,家庭や地域社会における教育力を学校教育において有効に活用するためには,学校・家庭・地域社会が相互に連携し,それぞれが適切な役割を果たしていくことが重要となる。
  このため,学校施設は,学校教育施設としての機能を十分確保するだけでなく,家庭や地域社会とともに児童生徒を育てる場,交流の場として機能していくことが必要であり,地域の人々の利用を考慮したスペースづくりや高齢者,障害者に配慮した整備などを進めていくことが求められている。

(地域のコミュニティーの拠点へ)

  このように,学校が地域の学習・交流の拠点として機能していくためには,学校施設の開放を今後さらに推し進めることが重要である。
  また,学校施設が地域の様々な学習需要に応えていくためには,学校開放のみならず,社会教育施設や社会体育施設等の文教施設との複合整備を行い,連続性のある空間として一体的に構成することにより,施設の相互利用や運営面での連携を進めていくことも有効な方策である。
  さらに視点を広げ,今後,学校施設が地域のコミュニティーの拠点として機能し,地域の人々が様々な活動を通して交流を行う場としての広いニーズに応えていくためには,学校施設としての教育的な配慮を行いながら,地域の実情に応じて,高齢者福祉施設等の地域の公共施設等との連携を進めていくことも必要となってきている。
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