5 スクールカウンセラーの業務

  スクールカウンセラーは、その最も中心的な業務として面接(相談面接)を行わなければならない。この相談面接にはカウンセリングとコンサルテーションがある。面接の形態としては、1対1の個別面接から1対多の面接、多対多の面接など様々なものがありうるが、特にコンサルテーションや協議では複数の相手と面接する場合も多いので、そのような形態にも慣れておかねばならない。
  さらに、スクールという臨床の最前線に位置していることを受けて、スクールカウンセラーには相談面接だけではなく、その他の多くの業務もまた求められている。

(1)面接相談1-カウンセリング

  相談室でのカウンセリングは、スクールカウンセラーの最も大切な業務である。それぞれのカウンセラーによって、いろいろな立場、考え方があるとしても、カウンセリングが第一義的な業務であるということは譲ることができない。個別カウンセリングの第一義的な重要性を認めない考え方の臨床家は、スクールカウンセラーとしてはふさわしくない。
  面接は、窓口になる教育相談担当者や養護教諭が設定するスケジュールを順にこなしていく(待機するカウンセリング)だけでなく、コンサルテーションなどを通じて、面接が必要であると認められた生徒や保護者については、積極的に面接を組み立てていかなければならないし、それを積極的には求めてはいない対象についても、どのように面接相談の場に来談してもらえるかについて、担任や担当教員と連携しながら面接を組み立てていく努力(接近するカウンセリング)を行わなければならない。
  カウンセリングの枠組み-治療構造は、スクールではきっちりと守られない局面も多い。そのような場合、学校や教育委員会に対してかっちりとした堅い治療構造を求める努力も大切だが、現在の構造の中でどこまでの面接ができるのかを臨機応変に考えていくことも怠ってはならない。治療構造論とは、「治療の外的構造が、治療の中身に影響を与える」という議論であって、「枠がなければ面接はできない」という議論ではないということを忘れてはならない。
  週1回50分の、長期に継続する治療的なカウンセリングを、スクールカウンセリングの枠組みの中で実施できるかどうかは議論の分かれるところであるが、例えば生徒について放課後にそうした面接を行おうとすると、1年間のスクールカウンセラーの任期の間に、最大でも3人の生徒としか関われないということには留意すべきである。兵庫県のスクールカウンセラーの基本姿勢である救急心理臨床という側面を考えるならば、長期の構造化された治療面接を必要とすることが予測されるケースについては、外部の相談機関に依頼するということも必要である。スクールカウンセラーはそのための紹介先を持っていなければならない。

a 生徒のカウンセリング

  生徒が相談、カウンセリングの対象であることは言うまでもない。ただし、それを完全予約制にして、すべて学校-担当教員のコントロール下におくのか、あるいは生徒が自分で相談室に出向いてくるものも受けつけるのかは、学校の教育相談の現況によって変わってくる。それについては、学校との十分な協議が必要である。しかしながら、将来の方向性としては、生徒自身が、プライバシーの守られた状況の中で、自分の意志で相談を希望し、カウンセラーがその相談を受け、そのことは守秘される、しかしながら必要と認められることは、カウンセラーの責任において学校に報告されるという相談状況が作られることが望ましい。そのためには、学校の中でスクールカウンセラーが、日々の活動を通して信頼関係を構築し、学校にとって必要不可欠なものとして認められていくことが重要である。
  また、学校、保護者などによって相談の必要は認められているが、その意欲のない生徒を、どのように相談の枠組みに吸収していくかも重要である。このような場合は、積極的に生徒に接近し、生徒の面接に対する不安を取り除き、楽な気持ちで話ができるような状況を設定してやらなければならない。そうしたことを行うためには、何もないときの日常的な生徒との関わりが重要である。また面接室外での生徒との関係作りも重要で、そのためには、スケジュールが合えば行事などにも積極的に参加することが望ましい。スクールでの臨床は、面接室外での生徒との関係を、面接室内での治療関係にどう反映させていくかという点で、従来の堅い枠組みの臨床とは幾分異なっているということを理解せねばならない。
  生徒の授業時間中の面接に関しては、担任や学年と協議し必要と認められた場合にのみ行うことができる。カウンセラーの立場から、授業時間を使ってでも個別面接が必要であるということがあったとしても、生徒はまず第一義的に学習する権利をもっている。従ってどうしても面接が必要な場合は、その第一義的な権利に優先する緊急性、重要性があるということを、担任や学年に対して説得し、その了解を得なければならない。その了解を得ることができ、しかも生徒自身も面接をうけることに同意した場合にのみ、授業時間中の面接が可能となる。週に1回同じ授業時間に面接するということは、その時間の授業が毎回欠けることになり、それは生徒が教育を受ける権利を大きく侵害することにもなっているということを知らなければならない。

b 保護者のカウンセリング

  保護者の面接は、担任や窓口教員が介在して始まることが多い。その介在の仕方には、保護者自らがスクールカウンセラーの情報を知って、相談内容は明らかにせず面接希望を担任に伝える場合と、担任や窓口教員が面接の必要性を保護者に説得し、それに応じて保護者が面接にやってくる場合の二通りがある。
  いずれの場合も、面接内容について、必要なことを介在した担任や窓口教員に報告しなければならないが、前者の、相談内容がまだ明らかになっていない場合には、担任や学校に対する批判が含まれることもあるので、報告には注意を要する。そうした批判は、そっくりそのままの形で報告するのではなく、その批判の起こってきた経緯、問題となっている事象の全体像をよくつかみ、解決の糸口を提示するような形で報告を行なう必要がある。
  後者の、説得による来談の場合は、その保護者にこのように変化してほしいとか、こういうことを説得してほしいとかの介在者の期待が込められている場合が多いので、その点に注意を要する。これも問題の全体像をつかんだ上で、その期待の妥当性の評価を含めて報告を行なわなければならない。
  保護者の面接では、直接保護者自身の問題ではなく、子どもの問題が語られることがほとんどである。自分自身の問題ではないということで、カウンセリングではなくコンサルテーションとして問題を設定したほうが良い場合もあるが、基本的には家族カウンセリングと考えて、カウンセリングの設定で話を聞くべきである。そのときのクライアントは、親子のペアと考えればよい。

c 教職員のカウンセリング

  教職員が自分自身のプライベートな問題に関して相談にやってきたときには、生徒や保護者の場合と同じようにカウンセリングの対象となる。このカウンセリングでは、医療機関その他の相談施設での一般成人のカウンセリングの場合と同じく、相談内容は厳しく守秘されなければならない。ただし、学校組織や児童・生徒を危機に導く危険性のある相談内容については、スクールカウンセラー自身も学校組織の一員であるので、上司である管理職に報告されなければならない。そのことは、相談の前にクライアントである教職員に告げておくべきである。
  クラスや生徒のことが話題になる場合は、それが教職員自身の問題の中で出てきているテーマなのか、それとも純粋に対象としてのクラスや生徒そのものの問題なのかを区別せねばならない。基本的に、後者の対象としての担当クラスや生徒の問題は、コンサルテーションの枠組みで行われるもので、カウンセリングとは面接の進め方、守秘のあり方などが異なっている。(特に守秘については、コンサルテーションの場合は、1対1のカウンセリングにおける守秘義務より、1対多の教育公務員としての守秘義務の要素が大きい。)ただし、担当するクラスや生徒の問題へのコンサルテーションとして始まった面接であっても、その問題によって教職員自身が大きなストレスを抱え込んでおり、身体症状や、抑うつ的な症状などが見られるときは、面接をその教職員自身のカウンセリングとして設定しなおさなければならない。
  新任教員は、通常以上の大きなストレスを抱え込んでいることが普通であって、配置された学校に新任教員がいる場合は、勤務の様子を観察し、大きなストレスを抱え込んでいないかどうかよく見ておかなければならない。また、新任教員が何かのときに相談しやすいように、日常的な関係を作っておく必要がある。兵庫県では、平成14年度に新任教員のストレスが原因と考えられる放火事件が起こっている。今後そうした事件が再現されないよう気を配っておくことは、スクールカウンセラーの重要な職務である。
  なお、教職員には、教員だけでなく、事務職員、給食職員、市町村職員なども含まれることも忘れてはいけない。

(2)面接相談2-コンサルテーション

  コンサルテーションは、あるケースについて、その見方、取り扱い方、かかわり方、などを検討し、適格なコメント、アドバイスなどを行う。カウンセリングよりも指示的な意味合いが強く、従って対象に対するなんらかの見方、意見、コメントなどを、コンサルタントであるカウンセラーが提示しなければならない。コンサルテーションとカウンセリングを混同して、コンサルテーションの場面でただ受容的な傾聴に徹するとしたら、教職員から「なんのアドバイスももらえない」という不満が出てくることになる。
  コンサルテーションの具体例としては、上記の対応が困難な様々の事例のほかに、もっと一般的に臨床心理学的観点から意見を求められることも多い。

  • 不登校をどう理解するか、及びそれへの対応の仕方フリースクールの意味、必要性、是非など
  • その他の問題行動や症状の理解の仕方、及びそれへ対応の仕方
  • 生徒指導上の問題に関する心理学的観点からの助言
  • 発達上の課題に対する理解の仕方、及びそれへの対応の仕方
  • 学級、学年、学校が崩壊状態になっている場合のその事態の理解の仕方、対処の仕方
  • 虐待の理解の仕方、被虐待時への対処の仕方
  • 災害、事件、事故などへの危機対応、心のケアの行い方、PTSDの理解の仕方
  • 教職員のメンタルヘルスに関する管理職の相談

  などである。いずれにしてもその場面では、臨床心理学的な観点からの適格なアドバイス、コメントが求められているのであるから、その期待を裏切らず、要求を満たさなければならない。そのためには、スクールカウンセラーは、それらの事象に対する臨床心理学的な見方に精通していなければならないし、それらに関する最新の研究成果にも精通していなければならない。
  コンサルテーションの枠組みで行われる保護者との面接もある。例えば

  • 友人が子供の不登校で悩んでいる、その親子にどのように対応すればよいのか
  • 近隣の家で虐待が行われているようだ
  • 地域に困った人がいるがどうも精神病らしい

  など、直接自分の子供や家族のことではない相談が持ち込まれる場合である。このような場合も、どこへ相談に行けばよいかなど、できるだけ具体的なアドバイスができるように対応する必要がある。特に虐待などの場合は、当事者がスクールカウンセラーの勤務する中学校や担当の小学校の生徒である場合が多いので、状況を詳しく聴取し具体的な対応をしなければならない。また隣接の校区である場合は、情報をその中学のスクールカウンセラーに通知する必要がある。
  その他に

  • 友人が隣接する校区のスクールカウンセラーの言葉や対応に傷つけられた
  • 知り合いの子供が通う学校のスクールカウンセラーは、相談室で生徒にタバコを吸わせている。

  など、スクールカウンセラーへの怒りや抗議がよせられることがある。これらは、事実関係の確認など困難な局面が予測されるので、自ら解決しようとせずスクールカウンセラーのスーパーバイザーに報告することが望ましい。

(3)協議-カンファレンス

  協議(カンファレンス)は、ある事例に関して、関係者がそれぞれの立場から現状報告や関わりの現況の報告を行い、情報を共有し、その事例のそれ以後の解決に向けた対処の方向性を話し合う。事例への関わりの役割分担、連携のための動きの分担もその都度確認される。学内の生徒指導委員会、教育相談委員会などもこの協議にあたる。
  コンサルテーションと違って、一方向的に専門家であるスクールカウンセラーに対してアドバイスやコメントが求められるわけではなく、その場ではスクールカウンセラー、生徒指導担当者、養護教諭、学年、担任などが、学校でのそれぞれの役割に応じて対等である。
  協議の場でも、コンサルテーションの場面と同じように、カウンセラーは傾聴するだけでなくその専門的立場からの意見表明を行わなければならないが、他の立場の参加者の意見を真剣に聞くことも重要である。また、カウンセリングを実施している者についての協議では、カウンセリングの現況の報告について、どこまでが共有できる情報でどこからは守秘しなければいけない情報なのかについては、前もってよく確定しておかなければならない。守秘しなければいけない情報は最初から話題にする必要はない。
  協議ではそれをコーディネートする役割が必要であり、例えば生徒指導委員会では生徒指導担当者がコーディネーターとなって協議が進んでいく。先に述べた関わりの困難な事例になどについては、スクールカウンセラーがコーディネーターとならなければならない場合もある。そのときには、窓口となる教員とよく相談し、資料の準備、各参加者への連絡など事務的な作業も行う必要がある。また、困難事例について、医師、子供センター担当者、保健センターの保健士、行政の福祉担当者、裁判所調査官など連携先となる学外の専門家を協議に参加させる場合は、前もって管理職の許可を得る必要がある。

(4)研修・講話

  スクールカウンセラーは、教職員や保護者、地域へ向けた研修、講話、講演などを行うことができなければならない。これには、情報伝達型の講話や講演形式のもの、参加型、体験型のワーク形式のもの、参加者の発表にコメントを与える事例研究形式のものなどがあるが、そのいずれの形式でも担当できるだけの準備と力量が必要である。
  情報伝達型では、例えば

  • 不登校をどう理解し、それにどう対応するか
  • 思春期の子供の特徴と対応の注意点
  • 幼児から思春期までのそれぞれの時期のこどもの発達の特徴
  • 児童虐待をどう理解するか
  • カウンセリングマインドとは何か

  などが考えられるが、これらのテーマを与えられたときに即座に対応できるだけの準備は、普段から行っておかねばならない。
  参加型・体験型では

  • ロールプレイを用いた傾聴練習
  • 描画などの作業を用いた構成的エンカウンターグループ
  • 動作法や自律訓練法などのリラクゼーションの体験

  などがある。参加型・体験型研修については、カウンセラー自身が様々のワークを経験することで、技法の幅を広げる努力を積んでおかねばならない。
  事例研究形式のものでは、少なくとも

  • 不登校事例
  • 生徒指導に関わる問題行動の事例
  • 特別支援教育に関わる発達上の課題を持った事例
  • 広汎性発達障害が想定される事例
  • 小学校でのキレル子の事例
  • 虐待が想定される事例
  • 災害、事件、事故などによる外傷性障害の事例

  については簡潔で適格なコメントが出せるように普段から準備をしておく必要がある。
  いずれの場合も、専門語に偏らず、簡潔で適格な言葉遣いで、分かりやすい説明を心がけなければならない。言葉遣いが不明瞭で、しかも小さな声で、何が話されているのかがよくわからないというような評価を受けないように努力する必要がある。特に教員研修では、対象である教職員は、人前で分かり易い話をするプロたちであるということを心すべきである。

(5)査定、診断(見立て)、調査

a 査定(アセスメント)

  スクールカウンセラーは、心理検査を用いた査定(アセスメント)が行えなければならない。すべての心理検査を実施できる必要はないが、医療、児童福祉、司法などの、心理判定を主たる業務とする専門機関と連携して事例に対応する局面が多いので、少なくとも代表的な心理検査については、その結果の見方を知っていなければならない。
  心理検査を行うときには、それが何を測定するどのような検査で、その実施がなぜ必要であるのかが、被検査者に対して告げられなければならない。インフォームドコンセントのない状態で心理検査を行ってはならない。また、心理検査の内容は、厳しく守秘されなければならないプライベートな情報であるので、その情報がスクールカウンセラーと被検査者以外には漏れないように細心の注意を払わなければならない。
  検査結果は、被検査者に対して説明されなければならない。

A 人格検査

  次のよく用いられる人格検査については、検査結果の見方について知っておいたほうが良い。

  • 質問紙法
    YG性格検査、エゴグラム
  • 投影法
    ロールシャッハテスト
  • 描画法
    バウムテスト、HTP(HTTP)、風景構成法

  検査ではないが、箱庭療法における箱庭作品の見方についても、よく用いられるという意味で一定の理解があったほうが良いだろう。

B 発達検査

  発達検査については、学校内でそれを実施する機会は少ないが、その見方については知っておいたほうが良い。とくに発達の遅滞や広汎性発達障害の判定のために用いられることの多いWISC知能検査(WISC3)については、知っておかなければならない。

b 診断、見立て(アセスメント)

  診断は医療行為である。従って医師ではないスクールカウンセラーは、軽々しく診断名を述べるべきではない。特に「人格障害」、「行為・行動障害」「境界例(ボーダーライン)」「神経症」「うつ」「精神病」「PTSD」「LD」「ADHD」「アスペルガー障害」などの診断名を、コンサルテーションや協議の場で、医師の診断なく特定の児童・生徒や保護者に対して断定的に使ってはならない。
  医師であるスクールカウンセラーの場合は、面接の設定の仕方によっては診断を行うことができる(スクールカウンセリング活動そのものは医療行為ではない)が、診断を患者の了解なく公表することはできないので、やはりコンサルテーションや協議の場で、特定の生徒や保護者に対して診断名を用いるべきではない。
  しかしながら、スクールカウンセラーは専門職であるので、対象となっている児童・生徒や保護者、教職員に関する、診断的観点からの見立て、アセスメントは行えなければならないし、それをコンサルテーションや協議の場で、分かりやすい形で専門家ではない教職員に伝えなければならない。この場合の情報の伝達には、対象となっている児童・生徒、保護者、教職員の人格を傷つけることのないよう細心の注意を払うべきである。

c 調査

  スクールカウンセラーは、児童・生徒の集団に対して、ストレスチェックなどのスクリーニングのための調査、その他の意識調査を行なうことがある。この場合も、結果が漏洩することのないようデータの管理には細心の注意を払わなければならない。また、調査を実施したときには、その結果は必ず学校に報告されなければならない。
  それらの調査の目的は、あくまで児童・生徒がよりよく学校生活をおくるためにその心理状態を把握するということであって、学術・研究のためではない。学術・研究のために調査を実施するときには、その研究主体が学校長および当該教育委員会に研究目的を告げ、許可を得たときに初めて可能となる。スクールカウンセラーとして実施した調査を、研究のために再活用する場合も、同様の許可を得ることが必要である。

(6)予防的対応

  スクールカウンセラーは、症状や問題行動が発現することを防ぐために、予防的対応を行なうことができる。

a 予防的対応1-ストレスチェック

  ストレスチェックを用いた予防的対応は、症状や問題行動を未然に防ぐために有効である。これは、簡単なストレスチェック用紙(資料)を用いて児童・生徒の現在のストレスの蓄積の程度を把握し、多くのストレスを蓄積している生徒について、予防的にカウンセリングを行い、ストレスの言語化を促し、そのストレスが症状や問題行動として発現することを防ぐやり方である。
  ストレスをチェックする仕方については、資料としてチェック用紙の実例をあげてあるが(資料5)、適切な別の用紙を用いても良い。(教職員など成人についてはGHQなどの用紙がある。)

b 予防的対応2-ストレスマネージメント

  より一般的にストレスに対処するために、授業や特別活動の時間を用いて、クラスや学校全体のストレスのレベルを低減するためのリラクゼーションを行なうというのも有効な方法である。これを行なうためには、スクールカウンセラー自身が、その時間の担当教員とともに教室や体育館などに入り、チームティーチング形式で授業に当たらなければならない。こうしたやり方も自分のスクールカウンセリングのメニューの中に入れておくことは重要である。(集団へのリラクゼーションは、危機対応時には必ず行なわなければならない技法である。)

(7)危機対応、危機管理(risk-management)

  学校で、災害、事件、事故などによって危機的状況が発生したときには、スクールカウンセラーは緊急危機対応を行なわなければならない。危機発生時には、まずその危機の規模を的確に把握し、支援が必要であると判断されるときには、速やかにスーパーバイザーに支援を要請しなければならない。全国、あるいは都道府県規模で報道されるレベルの危機に際しては、必ずその学校の状況をスーパーバイザーに報告し、協議しつつ事態に対処しなければならない。(→9 緊急危機対応の項参照)

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初等中等教育局児童生徒課