特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議(第6回) 配付資料

1.日時

平成20年10月27日(月曜日) 16時~18時30分

2.場所

中央合同庁舎第7号館 西館 金融庁9階 共用会議室1(903)

3.議題

  1. 障害のある子どもの早期支援と就学指導の在り方について
  2. その他

4.配付資料

5.議事要旨

  • (1)高倉座長より挨拶が行われた。
  • (2)事務局より配付資料の確認が行われた。
  • (3)宮﨑副座長より、東京都における就学支援シートの取組について発表がされた。
  • (4)事務局より、障害のある子どもの早期支援及び就学指導の在り方について説明のあった後、自由討議となった。

 (3)、(4)の概要は以下のとおり。

概要

宮﨑副座長による発表について

【委員】
 東京都では「就学支援シート」という名称を用いているが、「就学指導」と「就学支援」は特に区別して使う必要があるかということについて、どのような理解が必要か。

【発表者】
 東京都では、具体の指導をするときの参考のツールになるということから「就学支援シート」という名称を用いているのだろう。これらは各学校において指導に生かされていくものなので、個別の教育支援計画等に関しては「指導」という言葉を使っても良いのではないか。

【委員】
 東京都では、幼稚園や保育所等で関わっていた医療機関、あるいは保護者等からの情報をもとに小学校で個別の教育支援計画を作成する際、一義的には担任や特別支援教育コーディネーター等学校サイドと保護者で個別の教育支援計画を作成し、そのときの材料として、医療機関などからの情報提供という形で就学支援シートを活用するということか。就学支援シートは、就学指導の一環と理解してよいか。

【発表者】
 全区市について把握しているわけではないが、基本的には学校が就学支援シートを受けて個別の指導計画や個別の教育支援計画を作成するということになると思う。ただ、そのときに学校だけでやるのではなく、保護者も入るし、必要に応じて専門家や教育委員会等も入って対応している。保育園や幼稚園とも連携する。就学相談にかかわる大事なツールとして就学支援シートが活用されていると理解していただいて結構。

【委員】
 参考資料にある就学支援シートの記載例には現状について記載されているが、課題等は特に取り上げず、現状を中心として情報を共有するというものか。また、記載例は9月作成となっているが、子どもは5歳代ですごく伸びるので、学校に上がるまでにギャップが出る子どもについては、どのように修正を行うか。

【発表者】
 書いた時点と入学時点の差異については担任が把握していくことになると思う。就学支援シートの考え方には、幼稚園・保育所での指導の継続や保護者の願い事を学校が受け継ぐという視点があり、それを受けて、就学後のアセスメントや行動特徴についての把握等は担任がしなければならないと思う。

【委員】
 就学支援シートには多くの個人情報や複数の機関が絡んでくるが、どのような形で保護者にそれを説明して、また何か問題が起きたときに情報公開等を求められた場合、どのような形で責任体制がとられているのか。

【発表者】
 就学支援シートは、保護者の同意・承認が必要。承認をした上で対応するという中身になっている。必ず保護者の承諾を得ること、個人情報は厳守することに十分留意しながら作成する。

【委員】
 東京都の就学支援シートの取組は過渡期的にはすばらしいが、個別の教育支援計画がよりしっかりと作成されるようになり、移行期における様々な情報も引き継がれれば、これは必要ないのかもしれない。

【発表者】
 東京都では小・中学校の個別の教育支援計画あるいは個別の指導計画を作成するということが、現在大きな課題になっており、そこを大事にするという取組の一環として就学支援シートが作られている。今後、幼稚園や保育所でも個別の教育支援計画等が作られれば、ご指摘のような動きが出てくるだろう。ただ、今までそのようなツールが全くなかったので、これを全都的に取り組むという点は貴重な動き。

事務局による説明について自由討議

【委員】
 幼稚園や保育所における早期支援の充実という視点で言えば、早い段階で個別の教育支援計画の作成が進んでいくということは大賛成。ただ、公立より私立の幼稚園が大変多いという実態や、保育所が多いということもあるので、省庁を超えての対応をどのような形で推進していくかということが大きな課題。そのため、具体的には早期からの教育相談や保護者への情報提供の在り方が大きなポイントになる。
 また、幼稚園・保育所や療育機関等を利用しない若干名については、乳幼児期の健診や、その後の福祉の窓口等との連携等が必要になるかと思うが、難しい課題。

【委員】
 形だけ校内委員会を設置したり、個別の指導計画を作成したりしても、機能はしていないという実態が多くの幼稚園であると思う。そのような中、事務局作成の資料にあるように個別の教育支援計画を教育委員会が作成してくれるのは良いことであるが、例えば東京の場合、私立の幼稚園が9割であり、そこに在籍する多数の幼児の実態を、区市の教育委員会でしっかりと吸い上げる仕組みをつくることが可能か疑問。

【事務局】
 幼稚園は幼稚園としての個別の教育支援計画をしっかりと作っていただき、それに対して、教育委員会が推進・支援を行っていく。一方、市町村教育委員会によって作成される個別の教育支援計画は、そのような早期の対応を踏まえながら、就学にどう結びつけていくかという視点からの、あくまでも移行のポイントにおける個別の教育支援計画というものを想定したものであり、必ずしも幼稚園における個別の教育支援計画と重なるものではない。そのような複数の計画の中で、どう就学に結びつけていくのかという取組が、いろいろな組織の連携の中で進められるという形を想定している。

【委員】
 特別支援教育の理念について、一人一人の教育的ニーズに応じた支援をするということに加えて、幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立つということが重要で、これには長期的な展望に立って、その子が自立や社会参加ができることを目指して支援していくという視点がある。就学指導についても、そのときどうするということだけではなく、その子の将来に向けてどうするということが個別の教育支援計画の中である程度記載され、それに基づいて、この時点でどうするということを考えるべき。
 また、個別の教育支援計画の作成範囲について、事務局は学校教育法施行令第22条の3に該当する子どもを基本として考えているということだが、幼稚園の段階では、気になる子どもなど、もう少し幅広にしておく必要があるのではないか。

【委員】
 当県では、視覚障害と聴覚障害の子どもについては、早期からの教育相談や支援はある程度できているが、知的障害等の子どもについての就学前の対応が十分でないという印象がある。知的障害等の子どもに関しては、保健サイドや医療サイドも含めて、特別支援学校あるいは市町村の教育委員会との連携が確立していけば、早期からの教育相談や支援の充実に繋がっていく。

【委員】
 資料では、「幼稚園(保育所)」と保育所が括弧書きで記載されているが、保育所は、0歳から行っている子もいて先生方が早く気づき適切に対応している場合もあり、また、保護者が両方働いているので療育機関に通えないという事例も随分ある。そのように、保育所での個別の支援計画や家族支援は大事なのだが、これは幼稚園と同じように進めていくのか。

【事務局】
 所管官庁が違うということは前提にあるが、しっかりと連携を図っていく必要がある。保育所についても、保育指針において、幼稚園教育要領と同様に個別の支援計画についての記述がされている。我々教育サイドとしては、それらを教育委員会でも情報を共有化し、それを適切な就学や適切な教育に結びつけていくという連携の中で考えていく課題と捉え、括弧書きではあるが、保育所を入れている。

【委員】
 ぜひ文部科学省主導で協力していってほしい。区市の段階では縦割り行政が歴然としていることが多いので、モデルを示してほしい。

【委員】
 現在、乳幼児期については、保育所と幼稚園だけではなく、認定こども園がある。全体的に数はまだ少ないが、文部科学省と厚生労働省とで連携しながら進めており、それは地方でも進んでいくだろう。縦割り行政は残っているが、以前と比べると数段ステップアップしている。

【委員】
 子どもに障害があるということがわかった時が1つの大きな家族支援の必要な時期であり、そのときの支援体制をどうつくっていくかということが重要。また、個別の教育支援計画は教育機関が中心で、個別の支援計画は区市町村の福祉の分野が中心となると思うが、それをもう少し明確にしていく必要がある。

【委員】
 幼児期の家族支援について、マルトリートメントの家族への対応も問題。発達障害の問題と子ども虐待という問題は非常に絡み合っており、広義での虐待に当たる家族への対応は、避けて通ることができない問題。

【委員】
 保護者の意見を知るため、保護者と話してきたのだが、保護者は我が子の変化には非常に敏感に気づいているということと、就学相談を受けるに当たっては1つの決断と勇気が要るので、いろいろな人からの情報を得るため、遅くなっている傾向があると感じた。我々は、保護者の意見をどのように集約して就学相談の在り方を考えていくかということも大切。
 また、保育園と幼稚園の先生等とも話したが、小・中学校の先生に対して、就学支援シートの扱いについて、個人情報の保護がしっかりとしているということを意識づけられたことで、非常に手渡しやすくなったとのこと。就学支援シートは、我々教育関係者が信頼を持って扱い、情報保護の確立をしっかりとしていかなくてはならない。

【委員】
 就学前の段階で市町村教育委員会が個別の教育支援計画を作成することについて、新たに多数の「支援計画」を作成することを考えるとかなり大変だが、当市では就学相談の後、必ず各々について相談報告書を教育委員会として作成し、就学予定校に知らせており、今行っていることを工夫して広く活用できるような形を考えれば、十分可能かと思う。ただし、就学相談担当者の資質や専門性の部分がより重要になる。
 また、平成14年に文部科学省が作成した「就学指導資料」は非常に詳細で有効な資料であるが、特別支援教育という時代や個別の教育支援計画の作成ということを考えると、そろそろ改訂の時期であり、内容的により高められていくと、現場の教職員はもちろん、相談に当たる者も大変助かる。
 個別の教育支援計画については、学校が主体となってつくるというイメージが強いため、本格的に作成する前の段階の移行的な支援計画については、新たに作成する主体が変わるのであれば、文言的な整理もしておいたほうが良いのではないか。なお、個別の教育支援計画については、これまで「策定」としてきたように思うが、「策定」と「作成」で、文部科学省としての言葉の使い分けの違いはあるのか。

【事務局】
 小・中学校の学習指導要領の記載に合わせ、今回の会議資料では、全て「作成」として整理した。

【委員】
 就学前からの個別の教育支援計画の作成の時期について、現行では学齢簿の作成が前年度の10月1日ということになっていることもあり、少し早い時期からやっていかないと、保護者の理解等も得られない部分もあるかと思う。
 就学先決定の手続について、現行では、学校教育法施行令において、原則特別支援学校に就学し、特別の事情がある場合は認定就学となっているが、「就学校の決定に当たっては、一人一人の教育的ニーズをきめ細かく把握した上で、就学基準に該当するか否かに加えて、専門家や保護者の意見、地域の状況等を市町村教育委員会が総合的に勘案して、本人の教育的ニーズに最も適切に対応できる学校を就学先として決定する。」と資料にあり、今後、おそらく認定就学という考え方がなくなっていくように読めるのだが、そのような理解で良いか。

【事務局】
 就学前からの個別の教育支援計画の作成の時期については、基本的には、乳幼児期も含めて早期からの支援・教育相談を進めていき、その中で、子どもたちの情報は教育委員会にも入ってくる部分があると思われるので、そういうところはできるだけ早期から教育委員会も承知し、情報の共有化を積み重ねていく。そのような中で、教育委員会の体制として限界はあると思うが、様々な関係機関との連携の中で、できる限り早く、それらの就学予定者を対象とした個別の教育支援計画ということでの取組をしていただくというイメージ。
 就学手続の変更については、基本的にはご指摘のとおり、認定就学、特別の事情という形ではなく、総合的な判断ということを新たに位置づけようという趣旨。

【委員】
 認定就学については、市町村の段階では条件整備等の問題もあり、現実的には難しい面もあって、ケースがあまり増えてこなかったところもあるのではないかと感じている。現在の就学基準をベースにしつつ、いろいろな意見、そして最終的には教育的なニーズということをしっかりと踏まえて学校に就学するということであり、それはそれで良いことなのではないかと思う。ただ、そのときに個別の教育支援計画をいかに生かしていけるかということが大きな課題としてある。
 また、個別の教育支援計画について、必要に応じて各市町村の教育委員会が1年前、2年前と早い時期から個別の教育支援計画の必要性をうたっていきながら作成していき、必要な部分を就学指導の1つの材料としていくというような考え方の整理で良いか。

【事務局】
 基本的には学齢簿の作成をしてからでないと全体が把握できないので、そこからということになるだろうが、学齢簿の編纂や就学時健康診断の後ではとても間に合わないということもあるので、かなり早い時期からの情報も集まってくるということで、取組として始めるのはできるだけ早くという整理。それは、1年前ということでなくて、もっと早期からということも考えられ、今も市町村教育委員会では1年ぐらい前から、そのような体制をとって取り組んでいただいているところもあり、そのようなことをやっていただくというイメージ。

【委員】
 実際に、10月1日から半年、あるいはもっと前から個別の教育支援計画の作成に取り組むというのは難しいと思うが、そことはあまりリンクさせずに、相談は相談として早い時期に行い、就学の段階で個別の教育支援計画の集約されたものをベースにして就学相談にも乗せていくようにするとの理解で良いか。

【事務局】
 現状、そのようなイメージで考えている。

【委員】
 個別の教育支援計画については、作成するだけではなく、その後の活用が重要。計画だけで終わるのではなく、それに基づいて長期的な支援が行われていかなくてはならない。
 就学前からの個別の教育支援計画の作成については、例えば幼稚園で個別の教育支援計画を作っていた場合に、それでも教育委員会は別に作るというイメージか。もしそうだとすると、それは就学指導をするための資料であって、個別の教育支援計画という本来提起されていたものとは別のものなのではないか。個別の教育支援計画は当事者を支援するために作るものであり、教育の側から計画するために作るものではない。

【事務局】
 幼稚園と教育委員会とがそれぞれ作成する個別の教育支援計画は複線の関係で、重なる部分もあるが、そうでない部分もある。教育委員会が作成する個別の教育支援計画の有力な情報源は、おそらく幼稚園で作成している個別の教育支援計画であり、そこはかなり重なってくる情報もあるだろうと思う。それを、就学後の教育を見通して、就学の問題を考えていく際に教育委員会で作成するという考え方。
 また、文部科学省として個別の教育支援計画の概念規定については示しておらず、中央教育審議会答申においても教育委員会が中心となって作成する個別の教育支援計画も当然想定されており、複数あってもよいのではないかという考え方の中で資料1のように整理している。ただ、そこにはご指摘のような疑問も生じる可能性もあり、移行期のものであることを明確にするような仕分けも必要なのではないかというご意見もいただいているので、当会議でもご意見いただきたいと思っている。

【委員】
 認定就学にはいろいろな条件があり、基準の問題等も含めた検討における最良の条件ではなく、簡単に言えば「別の道もいいのではないか」という意味合いが含まれるので、このような形のものを抱えたまま就学指導を進めていくということよりは、認定就学制度は見直したほうがいいと思う。また、認定就学制度を見直す場合には、就学基準の問題も含めて検討すべき。

【委員】
 認定就学制度を見直し、就学基準は就学基準としてあるが、その中でも専門家・保護者の意見、地域・学校等の実情等を総合的に勘案し、そして教育的ニーズとしてどうかという論点から就学指導していくことは、就学指導の在り方としては非常に良い考え方ではないかと思う。

【委員】
 特別支援教育を推進していく上で、学校の中で子どもにとって十分力を発揮するような教育・支援を行うに当たって、もとになるものが個別の教育支援計画であるということは、教員の中にも意識されてきている。それを幼児教育のほうでより早く取り組み、それをもとにして、教育的ニーズに基づいた適切な就学先を決めていくということは、1つの使い方として有効ではないか。就学指導の担当者不足等、条件が厳しい部分があるが、時間がかかるにしても、そのようなものを目指していこうという理念は掲げつつ、あまり早急にやってしまうと逆効果というような点がないかということ等も考えて、戦略的に進めていく必要がある。例えば、親のほうで、個別の教育支援計画を子どものこれからの支援のために使うということよりも、就学指導のために使うという意識にいってしまったときのマイナス部分がある。就学支援シート等が段階として入っていきながら、配慮が行き届いた形で最終的には個別の教育支援計画のほうに持っていこうというような段階的なものにならないかということを感じている。

【委員】
 資料の中に、就学指導における学校の役割や、それに関わる教員の専門性の向上についての記載がないので、それらも入れてほしい。就学が決定してから入学式を迎えて授業が始まって軌道に乗るまでの非常に重要な期間を担ったり、事前に幼稚園や保育園を情報収集に飛び歩いたりする特別支援教育コーディネーターの資質向上のための研修や時間の確保が必要。また、特別支援学級における初任者や若い教員に対する専門的な研修も必要。

【委員】
 資料のP5の図にあるような障害のあるこどもに対する乳幼児期からの一貫した支援について、確実にこれをやってほしいが、地域の中の保育所や幼稚園等と本当に緊密な連携がとれるのかは疑問。現状の保育所や幼稚園を見ても、現状に対応するだけでも精いっぱいで、十分な時間がとれるかが不安なので、しっかりとフォローしなくてはならない。保護者にとって、個別の教育支援計画の作成について、保護者の意見や専門家の意見等を入れてもらうことはありがたい。また、就学先の決定の仕方も重要だし、就学後の経過を見ながら見直しができるなどのきめ細かな取組が示されていけば、親としても安心できる。

【委員】
 本人の教育的ニーズに最も適切に対応できる学校を就学先として決定することについて、現実的には、提供できるものはマイナスのこういう状況しかないから、そこに行ってください、ということになりかねない。個別の教育支援計画ができた場合に、それに合致する現場を整えるということを一緒にやっていかないといけない。

【委員】
 「就学指導」という言葉が資料の中身とそぐわない。学校選択制のこの時代に、障害がある子どもだけ指導されなくてはいけないというのは受け入れがたい。学校を単に選択するのではなくて、その子どもに合った適切な学校を選択できるように支援するのが周りの役割であり、その旨も表す言葉であるべき。

【委員】
 当県では、継続的な支援ができるようにという意味合いで、「就学指導委員会」から「就学支援委員会」に名称を変えた。
 また、個別の教育支援計画の作成や校内委員会の整備、市町村の教育委員会等の体制整備等をしっかりしていかなくては、個別の教育支援計画を軸として就学の在り方を考えていく際に、それが機能していかない。

【委員】
 親として一番心配なのは、地域の子どもとの関わりが切れること。特別支援学校に就学すると地域から少し離れてしまうが、そこで地域の仲間ではないような意識を植え込んだ後で、卒業後また一緒になるということでは、差別を助長するような取組が行われているように感じる。特別支援学校に行っているとしても、地域の学校との交流は大変重要な問題なので、制度化等の必要がある。

【委員】
 特別支援学校に行っている子どもの地域の学校への直接交流を行っていくためには、個別の教育支援計画や校内委員会、特別支援教育コーディネーター等について、その役割を明確に制度化して学校教育の中でやりなさいと言っていくことが必要ではないか。

【委員】
 居住地校交流については、実際に現在行われているものを広めていくか、あるいは教育委員会がきちんとそれを把握して学校任せにしないで取り組んでいく等、何らかのシステムが必要。
 それから、市町村教育委員会等の体制整備について、教育関係部局だけでなく、福祉等の関係部局との連携がうまくいかないと、私立の幼稚園や保育所等への働きかけがうまくいかない。専門性を持った人員の配置も必要だが、市町村の中での体制整備をつくっていくということが必要。

【委員】
 居住地校交流について、特別支援学校のセンター的機能の1つとして熱心に居住地交流に取り組んでいる学校も多々あり、センター的機能の1つとして明確に位置づけるのも、居住地交流を推進する1つの方策。
 また、継続的な就学相談については、現在でも就学相談・就学指導において継続的に見ていこうという取組は各地で行われているだろう。これを明確な特別支援教育の中の1つの柱として位置づけることで、全国的によりしっかりと進められていくのではないか。

【委員】
 親としては、以前は居住地校交流を学校側にお願いするということにパワーが必要だったが、東京都では副籍制度が始まり、少し楽になった部分がある。しかし、それも自治体や学校によってまだ温度差がある。全員が副籍を持っているのだということが受入れ側の校長や地域の住民にわかってもらえるような制度として、明文化すべき。

【委員】
 早期からの支援について、病院や福祉機関等における気づきの段階等については、どこが主体になるのか。資料から考えると、教育委員会になるかと思うが。
 それから、不登校の原因として、もとを辿れば、生徒と特別支援教育コーディネーターや保護者との関係が問題だったという、ある高校におけるケースを聞いたことがあり、指名すればうまく動くというものでは決してない。校内委員会等を主任や部長クラスでつくると、動きにくい組織になるのではないか。
 また、専門性の高い教員が学校の中に1人いるだけで、校内研修やケーススタディー等において大変ありがたい存在になり、学校も変わっていくことができる。

【委員】
 教員の力量の問題を発展させて考えていくと、教職大学院の在り方等にも今後触れざるを得ないと思う。

  • (5)事務局より今後の会議の運営について説明があり、閉会した。

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

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(初等中等教育局特別支援教育課)