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学校の組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直し等に関する検討会議(第8回)議事要旨・配付資料

1.日時

平成20年8月1日(金曜日)10時〜12時

2.場所

文部科学省 東館 3階 第3特別会議室

3.議題

  • (1)審議のまとめ(案)について
  • (2)その他

4.配付資料

資料1
 審議のまとめ(案)
資料2
  今後の開催予定

5.議事

概要

  • (1) 事務局より、配付資料の確認が行われた。
  • (2) その後、自由討議となった。

    【委員】

     この「審議のまとめ」の1の中で何回か「組織的、一体的な教育活動」という言葉がキーワードとして出てきますが、そこのところが2以下の論点にどうつながっていくのかというところが、この検討会議のスタンスとして、組織的、一体的な活動という話を勤務時間管理や教職調整額の話にどう結びつけていこうとしているのかがもっと明確になるといいというのが1点目です。
     それから2点目として、学校の役割の明確化というところです。ここも、明確化と言った場合に、問題は2つあるような気がします。1つは、もう既にどこかで決まっているものを周知するという話と、そもそも決まっていないものを決めるという話です。例えば学校と家庭、地域との役割分担のところでは、もうどこかで決まっているものを周知するという、そちらに重点が置かれているような気がします。そもそも、その前の段階として決めるというステップも必要なのではないかということです。

    【事務局】

     組織的というのは、きちんとした役割分担があって、それぞれ本来的な業務というものが一人一人の職員に割り振られていて、それが相互に連携しているというようなイメージだと思うんです。一体的というのは、校長がそれを全部統括していて、時間と仕事を適切に割り振って、だれがどこまで何をやるか、それと関連して別の人は何をどこまでやるか、それを管理職がきちっと管理するというようなイメージだと思うんです。

    【委員】

     つまり、組織的にやはりルーズで、一体的にやっていないということが、学校業務の効率化とか、合理的な運用というのを阻害しているというような趣旨でしょう。

    【事務局】

     逆の意味を考えればいいんですね。非組織的で、各自がばらばらにやっているのではないという状態です。

    【委員】

     結局、勤務時間とか教職調整額との関係で言うと、理解としては、やはり勤務時間は、仕事の中身が変わらないのであれば、それは仕事をしているということになるのか、そこも勤務時間の総量の問題と人ごとの配分の問題が合っているように、一応分ける必要があるのかもしれないけれども、とにかくトータルとしては勤務時間を減らす方向につながる。
     それから、評価の面でも、これまでばらばらで、そもそも評価されていないけれども、ちゃんと評価していく必要があるという、そういうつながりになってくるんでしょうか。

    【事務局】

     学校の役割の明確化というのは、まさに制度上はというか、学校の役割、所掌事務というのは、制度上は一応決まっていますけれども、実際上は家庭が担うべき役割まで担わされつつあったりということがありますので、まず明確にこれとこれはもう学校はやらないと言うのは難しいかもしれませんけれども、意識の問題として、それは本来の仕事ではないということを少なくとも周知できるような取り組みができないかということで、記載させていただいています。

    【委員】

     2の今のところ、主語が明確ではないのが気になります。学校の役割を明確にするというとき、各学校で努力してやってください、地域住民に説明してくださいということではなくて、国や教育委員会がきちっと指針みたいなものを示さないと、学校単位でやるというのはかなりしんどいので、その辺はもう少し明確にしたほうがいいのではないでしょうか。
     時間外勤務手当の請求に関するいろいろな裁判判例をみると、今の教職調整額制度のもとで時間外手当を請求するのは無理という判断がなされるときに、次のようなロジックが使われているんですよね。例えば、いろいろな業務がいっぱい来て、それを所定の8時間の中でこなせないという現状があるかもしれないけれども、その業務を担うことを決めたのは、教職員の自発的な意思決定で決めたんじゃないか。つまり、職員会議でもってみんなで割り振りをきちっと議論して決めたし、また、部活動の負担が大きいと言うけれども、それも基本的には先生方一人一人の自発的な了解でもって決めたことだから、そういう専門的な見地に立って自発的に決めたことについて、これは時間外勤務だから時間外勤務手当を請求するのはおかしいというロジックです。最近の札幌高裁や京都地裁の判決ではそういうロジックで、全部原告側が敗訴になっているんです。超過勤務の問題を学校の先生方の自発的な意思で全部処理させるというのは、あまりにも現実を見ていないので、そういう点では、学校の基本的な役割は何かという業務の交通整理をするときには、やはり何らかの国や教育委員会の基本的な姿勢というか、基本方針をきちっと明記するということがとても重要だと思います。これを読むと、各学校が地域にいろいろ説明するようなな話になっているので、主語をもう少し明確にしたほうがいいのではと思います。

    【事務局】

     学校、家庭、地域の協力機能という意味での役割分担の問題の話と、学校と教育委員会という、設置管理する立場と、実際に学校生活をするという、設置者と学校との間の役割分担という、学校教育行政の中での役割分担というのが1つ。
     それから、その他の関係者というのは、児童相談所や、警察や、社会教育関係団体などとの関係のことなんですね。それは学校以外の福祉や警察などという隣接する行政領域との関係という意味も入っていて、ここはいろいろな論点が入っているという感じがします。主語は、国はというか、制度として明確にすべきだという論旨にしたほうがいいのかもしれません。学校自身が自分の仕事はここまでですと言うのは、おかしな話だと思います。

    【委員】

     私は、やはりメリハリある給与体系というのは必要だと思います。一人一人の教員の力に差異がある、それから勤務に対する意欲ですとか、実際の勤務内容にも差があるという中で、きちっとメリハリをつけるということは大切だと思いますが、私は、そのためには業績評価をきちっとやっていくということが非常に重要だと思います。この案の中で、いろいろなことに触れている中で、業績評価についてほとんど触れられていないということが、全体を通して見直す必要があるのではないかと思います。
     評価については、1ページ目の3段落目、2行目、「そしてその評価などにも大きく影響する」、ここで言う「その」という指示語が何をあらわすのかよくわからなくて、この評価というのが、学校の組織運営ですとか勤務時間管理、それから時間外における勤務の在り方の評価ということになりますと、個々の教員の業績評価ではないんです。
     それから、次に評価という言葉が出てくるのは、7ページの3教員の適切な処遇の下3行、1行目に「各教員の職務を適切に評価し、それを給与に反映させる」、これがおそらく業績評価かと思いますが、その2行下の「適切に教員の時間外勤務の実態を評価し」という、この評価というのは違う意味の評価だと思うんです。
     それから、8ページ目の4行目、「適切な時間外勤務の評価」という表現がまた出てくるんですね。それから、8ページの一番下、ここも「組織運営、教員の勤務時間管理、教員の時間外における勤務の在り方、そしてその評価」と、「その」というのが、指示語があいまいだし、この評価というのは業績評価ではないと思います。
     教員のメリハリある処遇というものを考えていくときに、やはり業績評価というのは非常に重要な柱であって、それについてこの審議のまとめの中で触れないというのは、あり得ないと考えます。
     そのほか、ちょっと細かいところで気になりましたのは、2ページ目の上から2つ目のまるです。「更に、学校の運営体制が、校長、教頭以外は横一線に並んでいる、いわゆる鍋蓋型組織であることなどから」と書いてありますが、現状はやや変わりつつあるのではないかと思います。既に鍋蓋型組織、校長、教頭以外は横一線という組織ではない自治体もあるわけですから、ちょっと現状とは違うのではないかと考えます。
     それから、先ほど話題になりました(2)の1の2つ目のまるです。学校と教育委員会、その他の関係機関との役割分担とありますが、教育委員会とその他の関係機関を一緒にするのは無理があると思います。
     それから、3ページ目の3の3つ目のまる、外部人材の活用ですが、給食指導に外部人材の活用というのは、意味がちょっとわからないです。
     それから、8ページ目の3つ目のまるなんですが、一方、教員の職務は自発性や創造性に基づくという考え方もあるということが書かれてありまして、考え方もあるということですのでよろしいかなとも思いますが、先ほどの、一体的な校長のリーダーシップのもと、学校が組織として活動するという抽象的な表現に対して、今の学校に求められている教育内容というのは、自発性に基づいた教育ではもう対応できないということをしっかり述べていったほうがいいのではないかなと考えます。その上で、自発性に基づくという考え方もあるということであればいいかと思います。一番大きく論点として入れないといけないと思うのは業績評価についてです。

    【事務局】

     時間外における勤務の在り方、そしてその評価というような書き方をしているところがありますが、これはまさに時間外における勤務の評価という意味で書いているものでして、業績評価という意味では書いておりません。ですので、業績評価、教員評価という意味的な部分として含まれているのは、7ページの一番下のところの「各教員の職務を適切には評価し、それを給与に反映させる」というくだりぐらいでありますので、そこについては明確にわかるような形で盛り込んでいきたいと思っています。

    【委員】

     例えば時間外勤務について、管理職が命令して時間外勤務をして、それに対して手当を出すような状況になった場合も、やはり個々の教員の業績に応じて、力に応じておそらく時間外勤務を命令することになると思うんです。ですから、時間外勤務を命令する場合も、個々の教員の力の評価、役割上の評価、業績評価抜きではあり得ないと思うんです。

    【事務局】

     給食指導の外部人材については、特に小学校の場合ですけど、給食指導でものすごく時間がとられている、休憩時間がとれないということで、そこを地域や保護者のボランティアの方たちに入ってきていただくというような、肩がわりしてもらうということはできないのかという意図で書いています。

    【委員】

     話題になっていましたよね。昼休みの休憩は、ランチルームのある学校ならば、そこに子どもを集めて外部の人が指導できるのではないかという、そんなことも話題になっていました。

    【事務局】

     栄養教諭などの職員と外部の人たちとで指導してくれれば担任は外れることができるのではないかということです。

    【委員】

     特別支援学校とか、そういったところへも介助員のような形のボランティアになる人がいれば助かると思います。

    【委員】

     現実問題として、給食指導に外部人材というのは、ちょっと不可能ではないかと思います。全校児童が集まるというようなランチルームがあるというのは、まずあり得ないと思うんです。栄養教諭を配置していただければ、その給食指導を栄養教諭が中心になって進めていくということで、担任の負荷がその分減るということはあり得ると思いますが。

    【委員】

     別の視点で、こういう視点があってもいいのかなと思うんですが、学校の組織運営ということで、どうしても教職員というか、大人の論理がずっと出ているんですけれども、やはり学校の主体は児童生徒なので、例えば、考え方として、今の状態は児童生徒にとっては決していい状態ではないというような考え方ですね。教職員が、多忙感というか、勤務時間がほとんどオーバーするのは、どうしても児童生徒への対応を最優先しているからだと思います。児童生徒がいる間は教職員は一番忙しいと感じているわけですから、児童生徒への対応を最優先するあまり、その他の業務というか、学校のいろいろな業務がどんどん先送りされていく。それがずっと勤務時間がオーバーしていくという原因にもなっているので、やはり学校ということを言ったら、子どもの立場、子どもが今の学校をどう見ているかというような考え方から、子どもにとって決していい状況ではないというところも、もう少し明確に書いてもいいのではないかと思います。児童生徒にとっても今の学校は決していい状況ではないんです。そういう点で、教員にとっての勤務の在り方というものを見直す必要があるという切り込み方もあるのではないかと思います。

    【委員】

     部活の問題が一番難しい問題だと思っています。
     例えば8ページのまる3つ目の下半分の「更に」という部分ですが、「これを教員の勤務時間と位置づけ時間外に及んだ場合には時間外勤務手当を支給すると部活動指導が抑制され、支障が生じるという意見もあるが」、これはそのとおりなんですけれども、「そもそも土日の部活動指導に勤務時間を割り振っていない現状に問題があり」と、ここまで言うと結構反発が出ると思います。結局、土日に勤務時間を割り振って、ではその分夏休みに休めるかというと、夏休みも部活をやるわけです。時間外勤務で、ここが一番難しい問題かなと思うんです。だから、部活の問題は、やはり自主的にやっているというような形にしない限り、解決しないのではないかと思うんです。
     これを書くと、現場をわかっていないのではないかという反発が出ると思います。

    【事務局】

     学校教育の一環というふうに指導要領で位置づけて、学校が継続的な教育活動の中に組み入れるという姿勢を打ち出した以上、勤務時間外で行うとは言えなくなってくると思います。

    【委員】

     時間外勤務として位置づけざるを得ないと思うのですが。

    【事務局】

     本来的に、初めから勤務時間を割り振ると。それはやはり、どうしても理屈の上からはそうせざるを得ないわけです。

    【委員】

     1人の教員の1年間の総勤務時間は決まっているわけですから、そこから授業をやる分とか、学級経営とかを引いた残りの部分で部活動をやるしかありませんので、今やっている部活動の実態からすると、とてもそれでカバーできませんので、教員を増やすしかないという話になりますよね。

    【委員】

     ただ、新しい学習指導要領の趣旨で、学校教育の一環ということは、いくらでも部活動をやっていいということではないと思うんです。やはり公立の学校教育の中において、部活動の適当な量というのは当然あるべきであって、校長がどういうふうに考えているか、または設置者である教育委員会はどういうふうに考えているかということはあってしかるべきであると思います。
     教員が毎日部活動をやるとか、地域のスポーツ系のクラブを育成するよりも部活動だというような狭い考え方ではなくて、やはり全体的なこれからのスポーツ行政というものも見ながら、部活動の意義を考えていかないといけないと思うんです。
     だから、部活動を学校教育の一環として位置づけるというのは、そこには非常に重要な役割というか、意義があるということを認めたことではあるわけですが、現在の部活動の在り方がそのままでいいということではないと思うんです。

    【委員】

     いろいろなところで、教員個々人の発意とか、自発性、創造性というキーワードが出てくるわけですが、例えば3ページの一番終わりから4ページの冒頭の記述を見ると、個々人の自発性、創造性、それと組織的な活動、一体的な活動というのを択一的にとらえているようにも見える記述があるような気がします。そこは択一的というよりは、両方の性格があることは否定できないと思います。あとは、個々の場面で、どちらの面をより強く評価するとか、あるいは、ここは個人の自発性とか創造性にゆだねる部分だということと、ここはそうではない部分だというそもそもの切り分けをはっきりさせるというところがむしろ重要だと思います。給与への反映の話も、そういう整理を前提にしてまとめるといいのではないかというのが1つです。
     それから、2の(1)の1の最初のまるのところ、労働基準法が適用されているという書き方ですが、要するに教職調整額との関係で、例えば37条、割増賃金に関する規定は適用除外にされているわけですね。これのポイントは、37条の割増賃金の規定は適用されていないけれども、原則的な労働時間の長さの規定である32条は適用除外されていない。その後に出てくる勤務時間を管理する責務ということも、基本的には32条から出てくるものだということです。問題意識というのも、割増賃金の規定がないのと同じように、あたかも労働時間規定のすべてが適用されていないかのように思われているというところだと思うので、もっと細かいレベルまで書いたほうがよろしいのではないかと思います。
     ちょっと悩んでいるのが、この1の各丸の並べ方です。要するに、法律的に言うと、労基法上の労働時間の長さの規定がまずあって、ある程度それとリンクするような形で、労働災害を予防するための労働安全衛生法の規定があって、その次に労働災害が起きてしまった場合の安全配慮義務に関する法律がある。労基法、労安法、安全配慮義務という並べ方が、労働法的な観点からはあります。
     あと、同じところの4番目のまるで、国の安全配慮義務の最高裁判決が出ていますが、事案は労働時間とは何の関係もない事故のケースで、これはもちろん国の義務ということで挙げるのはいいんですが、長時間労働に関する民間部門の使用者の義務に関する判決などもあわせて挙げてもいいのではと思います。

    【委員】

     それから、6ページ目にいって、(2)の1の4番目のまる、「教職調整額制度は、教員の勤務管理や時間管理を行う必要性の乏しい制度である」というところで気になるのは、これはあくまでも実際上の運用レベルでそうなっている問題で、そもそも勤務管理とか時間管理を行う必要性というのは、ここについては労基法32条から出てくるもので、そこはそもそも教職調整額制度とは別のところに法の根拠があるということになるので、したがって、割増賃金から教職調整額に変わったから、制度として時間管理を行う必要性がなくなったとは言えないのではないかと思います。

    【委員】

     それから、8ページ目の教職調整額の見直しのところですが、細かい書き方をどうするかはともかく、論点の整理にも少し重点を置いていただきたいと思います。これを重視するとこうなる、これを重視するとこうなるというような、論点の整理に重点を置いていただきたいという意見です。
     9ページ目の1年単位の変形労働時間制ですが、1年単位の場合には、変形の上限、延ばせる時間の上限が2段階ぐらいあって、長いほうを使っていいのは何回までとかいう点が結構あって、労基法の定めている制度だと、学校では使いにくいかもしれないと考えたこともありました。検討されるのであれば、労基法の制度をそのまま導入するだけではなくて、学校に合った形で導入するという可能性も検討課題にするべきだと思っています。

    【委員】

     あと、民間部門の労働関係について、割増賃金を支給するとか、その割増率を上げるということについて、むしろ時間外労働に関する金銭的なインセンティブを高める面もあって、時間外労働の削減にほんとうにつながるのかどうかについては議論があるところです。割増賃金にしたほうが時間外勤務の削減につながりやすいというような書き方になっているんですが、民間部門の議論からすると、単純にそうはいかないのではないかと考えます。

    【委員】

     最後の1年間の変形労働時間制の話で、これも個々の検討会議の中で、変形労働時間制の運用を学校現場に適用するというのは、いろいろな無理があるので、教師の仕事の特性から固有の仕組みというのは考えられないかという議論もあったんですけれども、それは実際可能なことですか。変形労働時間制というような趣旨ではなくて、例えば今の週休日の振り替えの延長のような形は考えられるんですか。

    【委員】

     まず確認しておきたいのが、今の教員の仕事の特殊性とか、学校の働き方の特殊性というのは、具体的に何なのかということです。多分変形労働時間制が着目しているのは、実際はどうかはともかく、学期と休みという形で繁閑の差があるということです。週休日の振り替えも同じことなのかもしれませんが、あらかじめペースの予測がつくようなケースでは変形労働時間制が適しているでしょうが、振り替えというのはもうちょっと個別的な対応だと思います。
     その上で、それぞれ、今の労基法上は、変形労働時間制には先ほど言ったように変形の上限がありますし、週休日の振替については、基本的には同じ週の中で振り替えないと週当たりの時間がオーバーして時間外労働になるという問題があって、基本的には同じ週の中で振り替えることになります。学期中の労働を休みのときに振り替えることはできないというか、やってもいいんだけれども、その場合には別途時間外労働に対する割増賃金を払う必要があるという状況です。ですので、例えば、ある程度代表的なものとして、トータルの労働時間数を原則的な場合よりもより短くするような制度を講じた上で、例えば休日労働に対して休みの期間中に振り替えることを考えるというのはあり得ると思います。
     また、教員の働き方の特殊性から、どうしても測定が難しい部分が出てくるだろうと思います。現状では全部測定が難しいということになっているんだけれども、ほんとうは測定可能な部分と、測定が難しい部分というのをはっきり分けて考えて、測定可能な部分については、例えば時間に応じた処遇というのはある程度考えて、それと同時に、測定不可能な部分があるということも制度の中ではっきりと認めるというような整理の仕方で、測定可能な部分は、きっちりその実労働時間を見て、労基法の規定をかけた上で、測定不可能な部分については、時間規定の割増賃金はやめて、別の形にするというのも考えられると思います。

    【委員】

     変形労働時間制を導入した場合に、時間外勤務手当制度について見ると、夏休みの分はどうなんですか。それは割増賃金になるのか。課業期間中が増えるわけですけど、それは時間外勤務ではないからいいのですか。

    【委員】

     そうですね。変形労働時間制というのは、まさにそういう制度というか、忙しいときの労働時間を、例えば1日9時間とか、1カ月単位であれば10時間ぐらいまでは残業にならないとかにします。

    【委員】

     時間外勤務にならないということですが、今、4週間の変形労働時間制が認められていると思うのですけれども、週休日の振りかえについては、例えば長期間認めてくれないところもあります。前8週間、後16週間までなら認めるのですけど、長期間を認めないというのはどういう理由なんですか。

    【事務局】

     振りかえの期間は県によって条例が違います。それに基づく規則で決めていて、ある県は長くして、勤務時間の割り振りをうまくできるようにするために、週休日の振りかえの期間を長くして、休みと引っかけられるようにしているんですね。多分その期間は、国家公務員の期間が前4週、後8週なんですね。ですので、それとの均衡とか、そういうのがあってそうしていると思います。県によって長さは全然違います。判断基準としては、前4週、後8週という基本があります。

    【委員】

     それをさらに延長する場合なんですけど、後16週間は大体同じなんですよね。ところが、前は12週間認めている県がどこか1県あったと思うんです。

    【委員】

     結局、その部分は多分条例ですね。

    【事務局】

     そうですね。条例や規則のレベルだと思います。

    【委員】

     ええ、もちろんそうですけどね。

    【委員】

     多分、そこも割増賃金を払わないでいいと、さっきの同じ週の中じゃないとだめという話は全然問題にならないので。あとは、そうすると、もう単純に条例でどう決めるかというだけだと思うんです。

    【委員】

     そもそも教職調整額の見直しということが学校教育に与える、あるいは先生に与える印象としては、何となく負のイメージになっていくので、それを払拭するような意味合いがどこかに出てこないといけないと思うんです。先ほど子どもの立場ということを言いましたが、もう一つ、現在いる教員にとって明るい方向性を出すことも必要だと思います。教員にとっての資質能力の改善、向上というところもやはりこれは大きな視点で、そのための見直しなんだというような内容も必要ではないかと考えます。
     それからもう一つは、これから教員を目指す人たちにとって、学校運営の組織が非常にわかりやすい、働きやすい教育環境になるということが、優秀な人材を確保する上においても非常に大切な要素だということが、方向性として入ってもいいのではないかと思います。

    【委員】

     教材研究などについてですが、通常必要なものは自発的に教員が行う業務ではないと思うんですね。私は、ある学校で、その学校の地域の実態に合わせて、子どもたちの実態に合わせて教育の質を上げようと。ある教員については、教科の教材研究が不足しているから、それをきちっとやりなさい。ある教員については、児童生徒理解について力が不足しているから、例えばカウンセリングや教育相談の勉強をやりなさいというような、そういうようなことは自発的に教員が行う業務というよりは、学校教育のために、それは職に付随したものだと思うんですね。そういうことと、教員だけが自発的に教材研究等をやるというようなイメージをあんまり私は出さないほうがいいと思うんです。
     私の友人で、民間企業の開発担当をしている者もいますけれども、勤務が終わって家に帰ってからも専門書をずっと読んでいますよね。教員だけじゃないんですね。やはり、ある職についている場合には、その職に必要なことを自発的にほとんどの方がやっているんじゃないかと思うんです。ですから、私は、あんまり教員だけが、もちろん教員の自発性というのはすごい大切なんですよ。それはもう論をまたないんですけれども、教員だけが自発的という印象を与えるのは、私はあまり賛成ではないですね。

    【委員】

     教材研究等の教員が行う業務についても、通常必要なものについては勤務時間内でやりなさいと、それならよくわかるんですけど、教材研究は自発的に教員が行うという前提というのはおかしいと思うんですね。もちろん、自発的にやって、上は限りがないですから、理想というのは非常に高いですから、教員が自分の質を高めるためにほんとうに教材研究をやっていったら、勤務時間内に終わるわけがないですよね。でも、通常必要なもの、少なくとも学校教育に必要な最低限のものについては、きちっと勤務時間内にやるのは当然です。

    【委員】

     多分これはあり得るとすると、要するに仕事の中身というか、量のレベルの話と、仕事の進め方、あるいは時間の配分の仕方のレベルの話というのは、ある程度分ける必要があるのか。労働時間規制という面から見ると、裁量労働制とかいうのは、基本的には仕事の中身の裁量ではなくて、仕事の進め方、進める手順、あるいは労働時間の配分に関する裁量の話をしているのであって、そういうレベルである程度教員の自発性にゆだねる必要というのは、多分専門の科目が違ったりしたら、別の人が進め方を指示するというのは限界があるだろうというのも、おっしゃったように、どういうことをやるかという仕事の中身そのものは、確かに自発的にやるものもあるかもしれないけれども、自発的じゃないものも当然あり得ることになると思います。

    【委員】

     教員の資質能力の向上という点では、ほんとうに自発的に教員が行っても限りがないと思うんですね。ですから、教員としては、勤務時間以外でも子どもたちを理解するための専門書を読んだり、教科についての専門書を読んだりするというのは、それはもう絶対必要だろうなと思うんですね。自発的にやっていくことが必要だと思うんです。
     ただ、その学校の教育、それこそ校長先生のリーダーシップのもと、教員が組織的に学校の教育の質を高めていく上で、あなたは教材研究を何もやっていないから、まず教科の教材研究について、こういうのを読んでごらんなさいとか、そういうようなことは、自発的に教員が行う以前として、それはもう管理職が教員に、こういうことはあなたの職務を遂行するために必要なのだからやりなさいというのが当然あってもいいと思うんですね。それがおそらく通常必要なものだと思うのです。
     上を見たら、ほんとうに幾らでも教員は自発的にやっていかないといけませんし、先ほど民間企業の開発担当の話をしましたけど、私の友人の民間企業の開発担当も、製品が開発されれば、家で読んでいた専門的な勉強も一応区切りがついて終わるんですけど、教員ってそういう区切りがなくて、幾らでも質を高めていかないといけないわけですね。

    【委員】

     例えば外国の場合には、はっきり言って、授業の持ち時間数で割り振りしますよね。で、その持ち時間数を超えた授業のコマがあった場合には、それに見合った手当を支払うということになんですけど、日本の場合には持ち時間数だけじゃなくて、生活指導をやったり、いろいろあるので、どこまで1日8時間の仕事の割り振りというのがイメージできるんですか。それがある程度できればいいんですけれども、なかなか難しいですよね。

    【委員】

     例えば、先ほどお話がありました校内研修なんていうのは、教員の力を高める上で、通常必要なものを身につける上で、システムとしてやっているわけですよね。でも、私は、今の学校教育の中では、変形労働制ではありませんけれども、長期休業期間中の時間があるときに、どうやって自分の力を高めて、それを学期中に発揮していくか。ですから、例えば学期中の授業の準備なんかも、長期休業期間中にしっかりやって、それを学期中に発揮していくというような流れをつくっていかないと、毎日の学期中の時間内でやっていくというのは、私は不可能だと思っています。
     ただ、長期休業期間というのは、例えば部活動指導があると言っても、1日8時間部活動を指導するのが本来の形かというと、私はそうではないと思うんですね。ですから、2時間部活動の指導をして、2時間プール指導したら、残りの4時間については自発的に、それこそ教員の自発的な、勤務時間内でありながら、何の勉強をしようかとか、そういうのは自発的に選べるわけです。そういう期間をしっかり活用して、通常必要なものについて、勤務時間内で身につけていかないと、今は難しいと思います。

    【委員】

     教員側の発想で言えば、授業とセットになっている分が教材研究だから、だから自発的というよりも、むしろ本来という、教材研究等は本来教員が行う業務というぐらいの意味合いで私たちは考えています。先生が授業をやるためには、教材研究というのはもう当たり前。それは当然という意味になるわけです。

    【委員】

     教員増についても入れ込んでほしいと思います。やはり業務の見直しの場合、ただアウトソーシングとか効率化だけでは済まないので。新しいポストについては、ポスト増をきちっとやるとか、あと、新学習指導要領によって授業時間数が増えますし、部活も教育課程の一環として組み込むと言ったときに、明らかに従来から見ると教員の業務は増えているので、それが数値的にきちっと算出できて、教員増が必要だというようなことが出せればいいんですけれども。

    【事務局】

     定数増については、勤務時間短縮の方法の中で、定数増があったり、あるいは外部人材の活用もあったり、それ以上に、まず第1に業務をもっと効率化していかないといけないという中で出てくる話だと思います。

    【委員】

     部活の問題というのは、考え方がさまざまだと思うんです。もっと抑えるべきだという人と、どんどんやるべきだという人と、ほんとうに両極端ですので、もっと整理しないと議論がかみ合わないのではないかと思います。特に勤務時間と絡めて部活の問題を議論するのであれば、本来、部活動というのは、どれぐらいの時間やるのが望ましいのかというのを最初に決めないと、議論がかみ合わないと思います。基準としては何かあるんでしょうか。

    【事務局】

     随分前ですが、文部省に置かれた協力者会議で部活動の在り方について議論して、例えば練習時間は2時間から3時間ぐらいにするべきだとか、あるいは週に休養日を入れるべきだとかいうような一定のガイドライン的なものは示したことがあるんです。
     ところが、実際は、各県見ても差があって、多分学校の中でも部によって違うところもあるのが実情です。今、教員の勤務のいろいろな縮減とか、学校の業務を見直すという中の一つとして、外部人材の活用とあわせて部活指導の在り方についても、各県で、会議などを設けて議論されて、手引きを出したりしながら取り組まれているわけです。

    【委員】

     例えば土日のうち一日休みにするとか、そういう前提じゃないと、勤務時間を割り振るとか割り振らないとか言ってもかみ合わないと思います。

    【委員】

     国立学校・私立学校に見習うべきところをどんどん取り入れる部分と、公立学校の教育の独自性でのメリハリということも入れたほうがいいと思います。大きな都市に比べて、地方では公立学校の教育に依存するところが非常に高いわけですので、公立学校の教育としてのメリハリという意味での学校運営で、見習うところは見習う、そうでないところはこうだというところも少し、せっかくここでいろいろ議論したわけですので、入ってもいいのではないかと思います。

―了―

(初等中等教育局財務課)