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学校の組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直し等に関する検討会議(第5回)議事要旨・配付資料

1.日時

平成20年6月30日(月曜日)14時〜17時45分

2.場所

文部科学省東館10階第2会議室

3.議題

  • (1)関係団体からのヒアリング
  • (2)その他

5.議事

【委員】

 では、日本高等学校教職員組合の方がいらしているので、よろしくお願いいたします。

【日本高等学校教職員組合】

 学校の組織運営についてですが、学校が組織として問題解決にあたる体制構築のところですけれども、具体的に我々、日高教としては、1から4の具体的な条件整備等を考えております。とりわけ4の学校事務の軽減は文科省内でもいろいろとプロジェクトチーム等を立ち上げていただき、今、議論されているところかと思いますが、特に学校現場では報告書の作成やら調査統計やら、いろいろと重複する部分がありまして、そういったところがほんとうに煩雑になっており、多忙の一因ともなっております。
 また、1の業務の精選につきましては、例えば部活動、そして授業、あと地域や団体の対応、掃除、戸締り等々いろいろあるわけですけれども、これが果たして精選できるどうかというのがちょっと疑問なところもあるのですけれども、ただ精選をすることによって、教員の負担の軽減につなげていければと思っております。
 外部人材の活用に関しては高度な教育相談、また、校外補導や地域ボランティア等々、あと、保護者からのクレームの処理、とりわけ部活動指導は今、社会体育等、地域への移行等で軽減が図れればというように思っておりますが、こちらの部活動につきましては、後段出てきますので、そちらのほうで説明をしていければと思っております。
 教員の勤務とその処遇についてのところですが、教員の勤務時間管理を適正に行うことは日高教としても必要であると考えております。しかし、教員の自発性や創造性に基づく教育活動を阻害及び制限することにつながる恐れがあるのではないかということ、また、相当数の教員の勤務時間管理をどのように行うのかという疑問点もあります。さらに家庭訪問、部活動の練習試合等でもそうですけれども、そういった学校外での時間管理も課題になってくるのではないかと思われます。勤務時間管理が時間外勤務の縮減に直接結びつくとは考えておらず、逆に管理強化につながらないように配慮していかなければならないところではないかと考えております。
 次に、まず現在、メリハリある給与体系の実現を目指しているかと思いますが、まず我々としては頑張る教員というのはどういったものなのか、その定義がはっきりしていないのではないかと思います。現場の教員はおそらく大方、ほとんどすべての教員が頑張っているということ、また、そういったところで教職員評価についても今のところきちんとしたものが確立されていない中で先走っているのではないかというような危惧、疑問さえ浮かびます。評価する場合に、例えば民間であれば、おおよそ数字が出やすく、評価もしやすい。また、行政職におきましても、そこの守備範囲が教員よりは狭いのではないかというふうな部分におきまして、教員としては、まず対生徒、または業務の中身も内容も、業務の広さが普通に考えますと評価しづらい部分ではないかというような点があります。
 また、時間外勤務の長短がそのまま職務負担を反映しているとは限りません。家に持ち帰って仕事をするだとか、そういった部分もありますし、おおよそメリハリある給与体系の実現ということで考えますと、主幹教諭や指導教諭、新たな職ですけれども、それらが今回導入されたことにより、そこでもうメリハリは十分についたというふうなことで我々としては認識しておりますので、そういったところでメリハリというようなことでできればと思っております。
 部活動指導についてですけれども、現在の部活動は教員の熱意と善意に支えられている部分が非常に多くあります。高校教育でも非常に部活動が、強いて言えば中学よりも非常に活発に広範なところで活動しているケースが多く見られ、部活動指導はもちろん、対外試合の引率や大会の運営をしている場合がほとんどです。顧問として必ずしも得意な分野を指導しているわけでもありません。また、休日も休むことができないといった実態があります。加えて、生徒の事故が直接その指導教員に責任問題として発展する場合も多々ありまして、顧問に対する負担が非常に大きいものがありますが、しかしながら、部活動としての教育的効果ははかり知れないものがあります。
 日高教といたしましては、まず代休を取得しやすくしたり、また、10月から部活動の指導手当を倍増するというふうなことですが、そちらのほうの手当もきちんとした対応等が各県でなされるべきではないかと思っております。
 いわゆる持ち帰り業務についてですけれども、そもそも我々教員は学校に生徒がいれば、その生徒に対応する時間がほとんどでありまして、生徒が帰ってから雑務と申しますか、事務処理を行うというようなことがほとんどです。そういった中で、やはり育児や介護をする教員であれば、生徒と同じ時間帯に帰宅し、事務処理なんかは家に持ち帰ってやるというような部分も多々あります。そういったことを踏まえれば、まずは教員の定数を改善していただき、また、パソコンについても行政職に関してはおそらく1人1台に配備されていると思いますが、教員に至っては自前のパソコンを使用している実態が数多くあり、そこで個人情報の漏えい等にもつながる危険性があることから、ここに記しておりますが、定数改善とパソコン等の使用に対する改善を早急に図っていただければと考えております。
 教職調整額の見直し方策についてですけれども、日高教としては、時間外勤務手当を支給しないかわりに勤務時間の内外を包括的に評価して一律に支給するものであると、こちらのほうはずっと統一して我々のほうも考えております。また、教職調整額が創設された趣旨は、当時も現在も何ら変わることがないと思われます。日高教は時間外勤務手当ではなくて、一律の教職調整額を維持した上で水準の改善を検討すべきであると考えております。そちらの水準の改善は実態調査に基づいての水準の改善というようにさせていただければと思います。
 逆にほとんど時間外勤務をしていない人には4パーセント支払うことは適当ではないのではないかというようなところですが、勤務実態調査におきましては、勤務日1日当たりの平均残業時間量が0分の教員が1.1パーセントに過ぎません。その中において、その1.1パーセントの方々でも、例えば平日勤務日に休憩ができなかったりだとか、持ち帰り残業をしているだとか、そういったケースもあるかと思います。
 文科省としては、月平均34時間の部分を、事務処理の軽減やらさまざまな部分で半分の17時間に抑えるというふうなことを伺っておりますが、その17時間というふうな残業時間であれば、現在の4パーセントではなくて、12パーセントが妥当ではないかというように思います。
 時間外勤務手当化の課題等については、まず必要な財源確保が必要ではないかと。また、時間外勤務手当にした場合には、例えば時間外であれば100分の125というふうなことで、割り増しの金額が必要になってくるかと思います。我々が考えているのは、当然、完全支給ということで、サービス残業等がないようにというふうなことを思っております。これはあくまでも時間外勤務手当を導入した場合ということで、もともとは我々は一律支給というように考えておりますけれども、そこの教員の勤務時間管理ということでありますが、こちらのほうは当然行っていただければと思います。タイムカードにするのか、それともさまざまなことで考えられますけれども、日誌等で書いていくのか、そういったことでいろいろとあるかと思います。
 持ち帰り残業の評価のあり方ですけれども、そういった教職員評価もひとつきちんとしたものを考えていかなければいけないのではないかと。あと、法制上の問題等もあると思いますが、このほかにも例えば時間外勤務手当にした場合に、教員のモチベーションが下がってしまうのではないかということ。あと、今まで教員はお金に目が向いていないと言ったら語弊があるのですけれども、無頓着な部分が非常に多かったかと思うのですけれども、今回、こういった時間外勤務手当を導入した場合には、お金に目が向いて動いてしまう教員も少なからずあるかと思います。一律支給であれば、不満は全くないとはいえませんが、使命感で動いている先生方がほとんどですので、そういったことであればやはり時間外勤務手当はなじまないかなと思います。あと、もし時間外勤務手当にするのであれば、社会的な認知、保護者に対してもきちんと、先生方は勤務時間外になれば時間外勤務になってしまうんだというようなことも説明をしていかないと、今までどおりの教育活動が多分阻害されてしまうのではないかという心配があります。
 いわゆる超勤4項目についてですけれども、この4項目に対しては大きな支障になっていないと考えておりますが、これが例えば超勤4項目を拡大していく場合に、教員は日常的に勤務時間を超えて学習指導、生徒指導等々を行っておりますので、仮に勤務時間外手当を導入する場合には、これらの職務を超勤として認めて、時間外手当を支給するべきであると考えております。
 変形労働時間制ですが、教員は年間を通じて多忙だということがいえるかと思います。とりわけ平日は生徒もいますし、そういったことでは時間外での仕事が常態化しているところがほとんどではないかと思います。それが例えば変形労働時間制にされた場合に、結果として休める人と休めない人の格差が拡大すること、また、教員免許更新制が平成21年度から導入されるわけですけれども、それらが夏期休業中に集中している、あと、それ以外の自己研鑽や研修等をこういった休業中に行っておりますので、そういった意味では変形労働時間制はなじまないと思っております。また、育児のための短時間勤務制度の導入や、ワーク・ライフ・バランスの観点からも問題は大きいのではないかと考えられます。
 そのほか、教育の機会均等や人材確保の趣旨を再確認していただき、教育予算の拡充、教職員定数の抜本的な改善を今後も図っていただければと考えております。今回は定数が1,000人増ということになりましたが、高校に至ってはゼロというふうなことですので、そういったところも、義務だけではなくて高校教育のほうにも目を向けていただければと思っております。

【委員】

 教職調整額を一律に引き上げられれば一番いいと思います。これは新たな火種を持ち込むことがないわけですので。ところが、財源を確保できなければ何もならないわけですね。得るものがないということになってしまうんです。もし、教職調整額の一律引き上げ、支給率の引き上げが難しいということになった場合に、それでも時間外勤務手当には反対ですか。

【日本高等学校教職員組合】

 はい。引き上げが難しいのであれば、時間外勤務手当でも引き上げは難しいと思うんですけれども。結局、トータル的な総額が一律支給と時間外手当にした場合に、果たして時間外手当のほうが多く総額がいただけるのかどうかというところだと思うんですけれども。もしそうであれば、時間外勤務手当もやむなしかと思うんですけれども、そのようなことでなければ、一律支給が望ましいのではないかなと思われます。

【日本高等学校教職員組合】

 今の時間外勤務の実態を考えたときに、100分の125という数字も出しておりますけれども、これが仮に100分の100であっても、今、教職調整額4パーセントとして確保している財源を相当オーバーするのではないかというような、細かな精査をしたわけではありませんが、そのような印象を持っております。ですから、私たちは基本的には教職調整額としての一律アップではありますが、仮にということでご質問もありましたけれども、仮にそうなるのであれば、やはりきちんと、時間外勤務をした部分については全額支給をしていただくような財源をしっかりと措置した上での議論になっていくのかなと思いますけれども。

【委員】

 ちょっと細かいところなのですが、勤務時間管理は、今の制度を変える、変えないにかかわらず、本来もうちょっと適切に行う必要があるわけですが、そこのところで管理強化にならないようにということを書かれておりまして、勤務時間管理をもっと厳格に行った場合に、具体的に管理の強化ということとの関係でどういう問題が起きそうなのかということを、もう少し具体的にお話しいただけましたら。

【日本高等学校教職員組合】

 今まで、学校現場ではこういった勤務時間管理が行われていなかったというところがありまして、ただ、今回こういった管理を行うことによって、「A教諭は帰りなさい。もう時間だから」ということになった場合に、生徒が質問しにきても、じゃあ帰らなければいけないのかとか、まあ、帰らなくてもいいといえば帰らなくてもいいのかもしれませんけれども、そうなった場合に、それに対しての監督責任はだれになるのかと。もし問題が起きた場合に。校長先生としては、「管理職としては、超勤の命令を出していないのに勝手に時間外勤務をしたのだから、教員のほうの責任だ」とか、そういったことを言われたら、そういった部分では自発的創造性が損なわれてしまうのかなというような危惧が考えられるのではないかと思われて、このような管理強化というようにさせていただきました。

【委員】

 教員としては、自分としてはもっとやりたいのに、もうこれ以上はだめだと言われるようなケースが増えるのではないかと。

【日本高等学校教職員組合】

 そうですね。言葉として管理強化という言葉を用いましたけれども、自発性、創造性に基づく云々というところで、例えば明日の授業に備えて教材研究をしたいと。ただ、5時半、6時過ぎているから帰りなさいというときに、十分にできないようなおそれ、そこでは阻害という言葉も使っていますが、そういう部分での仕事が制限されたり制約されたりする余地があると。やはり、どれだけやればいいという部分がなかなかないんですね。ある程度これだけやって授業に臨む方もいらっしゃるかもしれませんし、いろいろなプリントを用意したりということで、やればやるほどきりがないわけですけれども、そういう部分が時間管理との関係で十分にできなくなってくるおそれがあるのではないかと。それを、ここでは端的に管理強化という表現で結びつけてしまった感もありますけれども、そうなることをちょっと心配しております。

【委員】

 今のことに関連するのですけれども、逆に、時間外勤務手当を導入した場合、当然、予算の範囲内でしか時間外勤務は命令できないと思うんですね。そうすると、今、三十何時間と言われるけれども、そんなに予算がつくはずがないと思うんですね。そうしたら、一定の時間数は学級担任なら同じような仕事をしているわけですから、同じ時間数を命じたとして、それを超える部分は自主的な勤務として、教員が残ってもっとやりたいということであればやってもいいという考え方は受け入れられますか。

【日本高等学校教職員組合】

 受け入れる、受け入れない以前に、生徒がそういうふうに、もし指導してもらいたいだとか、やはり教員も納得しない部分であれば、そういったところでは時間を考えずに今までもやってきましたので、それはやれるかと思うのですが、ただ、今回、時間外勤務手当といった場合になりますと、先ほども言ったように、お金に目が向いてしまって、もういいやということで、ここで見切りをつけて帰ってしまったりとか、そういったことで教育活動が今よりは多分低下してしまうのではないかという恐れがあるのかなと思います。
 これはもう極論なんですけれども、例えば財源がとれなかったといった場合にしても、一律支給の、今現在4パーセントですけれども、4パーセントにしていたほうが時間外勤務手当にするよりかははるかに不満は少ないかなというふうに思っております。

【日本高等学校教職員組合】

 見直しの根本のそもそものところに、一律だから見直しましょうというところが議論のスタートになっているところが私は非常に悩ましいところだと思うんですね。いろいろな考え方はわかるのですが、やはり学校で時間外勤務の代償について差がついてくるというのは、一定程度やむを得ないとは思いつつ、やはり学校という職場を考えたときには、一律の支給をぜひ維持していただきたいというのが私どもの考えです。

【委員】

 一律支給ということは、確かにわかりやすいというか、説明しやすいのですけれども、実際に高等学校の現場を見ていると、はっきり言って、よく世間で言われているように、その学校にとって約3分の1ぐらいの人が一生懸命働いてその学校を維持していると。残りの3分の1はまあまあ、あとの3分の1はほとんど手を抜いているんではないかということがよく言われているんですね。今、教育に対する、あるいは教員に対する風当たりが非常に強いということは認識しておられると思うのですが、やっぱりこれは一律支給ということは、今の社会世相というか、民間とかいろいろなことから考えたら、なじまないというのが前提だと思うんですね。それをあくまでも堅持するということについては、少し問題があるのではないかというふうに1つ思うのと、それから、そういう前提から考えると、やはりこれは学校教育がどんどんいろいろなことを抱え込んできているということも認識しておられると思いますね。これは私も考えているのですが、そうすると、思い切った業務の精選というようなこと、ここに挙げてあるようなことも含めてですが、例えばこれ、本来の学校が果たすべき役割、あるいは教員の果たすべき役割というのはどんなものかということについて、例えば高等学校教職員組合で話し合われた経緯があるのかどうかですね。そういったことについて、こういう点が本来の学校がやるべきで、あるいは先生はこういうことをやるべきだと。その点から見ると、もう少し業務が精選できるではないかというようなことにならないかどうか。

【日本高等学校教職員組合】

 学校で教員がやらなければいけないのは、まず基本的には授業が一番かと思うのですけれども、もう一つは生活指導、生徒指導が2点目かなというように思います。それ以外の部分に関しては、やはり精選が必要ではないかというようなことでは、うちの組合でも話はしております。
 あと、メリハリのある給与体系の部分ですけれども、一律支給の部分ですが、まず、頑張る教員の評価がどのように評価されるのかと。私もずっと部活動で一生懸命やってきまして、「あの先生は部活動一生懸命やっていないから、あまりよく働いていないな」と思っていた先生もいたのですけれども、放課後、教室を覗くと課外をやっていたりとか、ほんとうに目に見えない部分で頑張っている。また、先ほど申し上げたように、家に帰宅してやっている先生も中にはいるかと思うんですね。そういった部分で、どれだけ頑張っている、頑張っていないという評価ができるのか。先ほど言いましたが、定義がどういうふうになるのか、また、それを評価する管理職が果たしてできるのかどうかという部分が疑問としてあります。
 また、民間でも評価がいろいろと盛んになっていましたけれども、1番目に民間企業で入れた企業が、現在はもう評価をしないという企業も出てきているというようなことも報道等でも知られているところでありまして、そういったことでいきますと逆行しているのではないかなと、そういった部分で考えております。

【委員】

 例えば、そういう評価が、ある程度納得できるような評価システムができれば、これはいいと考えられるのか、あるいは評価する校長先生がそういうことについて非常に理解できて、頑張る先生と頑張らない先生、そういうことが了解できるようなシステムが構築されれば、それはいいというふうに考えてもいいんですね。

【日本高等学校教職員組合】

 基準は客観性、公平性等々と書いてありますが、だれもが納得できる部分であれば、それはよろしいかと思うのですが、それについて評価のために頑張ってしまう先生方が逆にあらわれてきてしまうのではないかというようなデメリットもあるのかなと思います。
 また、今回、新たな職が導入されましたので、そこの部分でとりあえず今のところはメリハリということで世間に認識してもらえれば、まずはいいのではないかなと。それでまた何かありましたら、またそれで議論を深めていけばというように考えております。

【日本高等学校教職員組合】

 評価を真っ向から否定しているわけではありません。やはりいろいろな要件、条件が必要でしょうし、あとは校長先生も3年、4年のスパンで動いていく中で、そういう中で評価の精度をしっかり高めていくことが必要だと思うんですね。それが教員評価というのが若干の温度差というか、時期の違いこそあれ、始まっている中で、ほんとうに極めて精度が高い、しっかりした制度として定着しているかというと、必ずしもそうではないという状況もあるのではないかと。それが、じゃあ、いつなのかということにもなるのですが、そういうのがある程度客観的に判断できるようになれば、そういうことをもって導入していくということについては、やぶさかではないと思います。

【委員】

 今、主幹教諭制度等があるということでメリハリがついている、評価できるのではないかということでしたが、具体的にはその場合のメリハリというのは一体どこで差がついている、一体どこに着目したメリハリだというふうに考えておられますか。

【日本高等学校教職員組合】

 それは特に給料表が変わりましたので、その給料表が特2級というようなことで普通の教諭の2級よりかは上がっているわけですから、それで主幹・指導教諭は給料が高いと。

【委員】

 結果に差がつくというのはわかるんですけれども、要するにそういう特2級が適用される人を選び出しているわけですよね。その選び出している部分がある意味メリハリといえるのではないかと思うんですけれども。現状に対する評価、これでいいという評価として、現状、どういうところに着目して特2級の人を選んでいるというふうな評価なんでしょうか。

【日本高等学校教職員組合】

 学校の中で、例えば教務主任であるとか、そういう方、これまではいわゆる主任手当というような形で若干出ておりましたけれども、それが給料表が変わることによって、これまで以上の若干の給料改善が出されていると思うんですね。選ぶという言葉を使われましたけれども、学校の中でそれなりの仕事をする方は、それなりにいろいろな仕事ができるといいますか、適材適所といいますか、そういう職というかポストにつけているわけですから、そういう方が選ばれたというような形で2級と3級の間の給料をもらうと。管理職ではありませんから教諭ではありますので、その点でメリハリがついているのではないかと、そのような考え方ですけれども。

【委員】

 要するにそれは、主幹とか指導教諭の仕事の中身と、それにつけてもいいというような評価をだれがというのはあると思いますが、主として仕事の中身ということなんでしょうか。

【日本高等学校教職員組合】

 同じ教諭であっても、主幹とか指導教諭となれば、当然、いろいろな職務負担といいますか、高度な仕事といいますか、多忙な仕事にも当然なってくるだろうということですから、そういうことで、評価を受けるのは当然だろうなと思います。

【委員】

 今、時間外勤務が多いという実態があるわけですよね。ならば、夏休みとか冬休み、休める日があるわけですから、サービス残業をしている分を休めるときに休ませたほうがいいと思うんです。ただ、昔のまとめ取りみたいな形になるわけですけれども、上限を設けないと無理があると思うんですね。そうすると、昔、まとめ取りをやっていたときには、年間10日ぐらいは何とかなるんじゃないかと思うんですよ。冬休み5日ぐらい振り替えすれば、夏休み4日ぐらいで済んじゃうんですね。それぐらいは今でも年休取るわけだから、振り替え可能だと思うんです。1日当たり、忙しい時期は1時間上乗せして9時間勤務にして、その分を夏休みに4日、冬休みに5日、春休みに1日とかいうふうにやれば、休める人は休めるんじゃないかと思うんですね。
 それでも部活やりたい人はやると思うんですよ。その人は週休日だから、部活手当を支給すればいいんじゃないかと思うんですけど。今は勤務日にやっても何も出ませんよね。だから、いろいろな工夫の余地があるんじゃないかと思うんです。変形労働時間制の導入というのは反対ですか。

【日本高等学校教職員組合】

 まず、何で教員だけなのかというのが疑問としてあります。

【委員】

 生徒に関する仕事は、生徒の課業期間と休業期間で、勤務の忙しい時期と割と楽な時期がはっきりしていますよね。勤務の特殊性みたいな。

【日本高等学校教職員組合】

 勤務が8月にも当然、夏休み中にもあるわけですから、逆に平日で時間外が多いということがまず問題かなと思うんですね。
 まずそこを改善していただくのが第1段階かなと。そこを先ほど言った手当にしても、逆にまた財源が増えていってしまうのではないかなと思うのですが、それもきちんと部活動手当等の財源も確保した上でないと、そういった、外堀を逆にどんどん埋めていかない間に、今度、変形労働時間制となると、すごく現場では不満が構築されてしまうというように思います。

【委員】

 次に、全国高等学校長協会からのヒアリングを行いたいと思います。

【全国高等学校長協会】

 大きく分けて3点ぐらいから来ているんじゃないかというふうにとらえております。まず、学校の組織の運営についてですが、一言で申しますと、教員数に対しまして管理職の数が少ないと思っております。あるいはそれに付随するような課長補佐とかをまずつけていただきたいと思っております。それは後にも連動してきますけれども、業績評価をするにしろ、ここの教員がどのように働き、どのような業績を上げ、どのような意欲を持ってやっているのかを把握することに関しましての時間的なゆとりが非常に少ない、例えば本校にしましても60名近くいますけれども、私と副校長2人で業績を評価しなければいけない。そうすると、それだけのゆとりがない。ならば、副校長、教頭、あるいは主幹を評価者にする課長補佐等にあてて、一人一人の業績に対して的確に、あるいは的確というのは言い過ぎかもしれませんけれども、納得できるような形で評価できるような形にまずはやっていただきたいと思っております。
 その次に、持ち帰り業務等、適正な勤務管理についてですけれども、これは勤務時間といいましても、さまざまな形態といいますか、理解しづらい部分がたくさんございまして、例えば部活動ですと朝練をやるとか、あるいはゼロ時間目をつくって早朝からの授業をするとか、あるいは個々に不十分なところに指導するというようなことも多々やっております。勤務時間外に関しましては、3時過ぎまでは生徒に直接かかわっています。その後に、またさまざまなそれぞれの役割に応じた仕事が生じてきますから、どうしても教員の、大きな仕事であろう教科指導に関する時間が十分に取れない。それに関してやはり自宅に持ち帰り、それらの業務をしなければいけないという現状があります。
 勤務時間外に学校でやろうとしても、できない立場の教員もいます。それは介護を抱えているだとか、あるいは子供が小さいとかでございます。自宅でやる時間と学校に残ってやる時間の業務効果がどちらかというと教員の業務から考えましてもほぼ同じであろうと。いわゆる教科の研修だとか、あるいは指導法等に関する業務というのは、学校内であろうと、自宅に持ち帰ってやろうと、その効果というのは変わらない。そういう教員独特の業務の特殊性があるというふうにはとらえてはおります。
 それと、では、部活動はどうかということが書いてありますが、部活動指導に関しましても、一時期、社会教育と二分化されまして、それは一長一短があるというふうには思っておりますけれども、今の社会の実態からしまして、個々の持つ特性とか能力とか資質を向上させるだけではなくして、部活動から得られる連帯感だとか責任感だとか、指導力だとか、そのようなものは学校教育の延長線であるからこそ、より身につくのであろうというふうにはとらえております。また、社会教育のほうに委ねましても、その指導者とか施設とかをかんがみますと、現時点においては学校教育で部活動を面倒見なくちゃいけないのだろうというふうにはとらえております。また、それのほうが効果も大きいというふうに私自身はとらえております。
 その次に、教職調整額の見直しでございますけれども、我々が評価する立場として一番苦労しますのは、成果、能力等に関しましても、明らかに目に見えるものが非常に少ない。後から聞く、あるいはそうだったのかという、いわゆるほんとうにその人とのコミュニケーションを十分にして初めてそういう成果というのがわかるような実態がございます。逆にいいますと、そういうコミュニケーションをとらない限り、この人がよく頑張っている、この人がよく頑張っていないという判断が非常に難しいところがたくさんあるということです。
 また、昼休み等にいたしましても、各委員会をやったりとか、あるいは個々の教科指導をしたりと、ほんとうに45分間でも30分間でもいいですけれども、休息、休憩が取れるというふうな実態でないことも事実でございます。それこそまさに教員の仕事の特殊性であるだろうし、そこをきちんと割り切ってこうしなさい、ああしなさい、この結果がいいというような評価基準というものが明確にできるのであれば、それはまた別問題になるでしょうけれども、現行の我々の職務からして、その基準をつくるということに関しましては、非常に時間を要するだろうし、また、それがだれしもが納得でき、客観性があるのかとなると、現時点においては私は非常に不安を感じております。そういう面からしましても、やはり教職調整額というものは現行を維持していただきたいと思っております。
 一方で仕事をしない人もいるではないかというふうな声も聞こえますけれども、確かにそれは皆無であると言えばそれは言い過ぎになるだろうし、そういう事実も確かにあるでしょう。しかしながら、教職調整額をとり、それを時間外勤務手当に振り替えるようになってきますと、それはさまざまな方法がまた考えられてくるのではなかろうかと思っております。無理をして残って、教職調整額に値する行動をとらなければいけないというふうなことも出てくるだろうし、果たしてそれが先ほども申し上げましたけれども、無理をする必要があるのかどうかというふうにとらえます。自宅に持ち帰り、そのような業務をしてもいいのではないかというふうに思います。
 そういうところからかんがみましても、この教職調整額を廃止し、時間外勤務手当により、それに応じた額を支給するということに関しましては、私自身は非常に無理があるととらえております。
 超勤4項目と変形労働時間体制でございますけれども、これはもう結論から言いますと、理想論じゃないかというふうな感じがします。現実問題、これを行った場合において、生徒のさまざまな事故とか事件が起こった場合において、それで許されるのかどうかということです。その教員の責任はどうなるんだろうかというようなことを非常に危惧しております。ですから、個々でしかとれないだろうと思っております。ある時期、全員が勤務時間を短縮するとかに関しましては、現状からして、全く生徒が不在であればそれは結構でしょうけれども、そういうことがまず考えられないので、変形労働時間制というのは非常に難しいととらえています。子供に対する責任というものがこれによって大きく崩れるのではないかと思っております。

【委員】

 高校の様子がよくわからないので、ちょっととんちんかんなことを聞くかもしれませんけれども、教員の持ち時間数というのは、教科によって違いがあるのかとは思いますけれども、大体どのぐらいのものですか。

【全国高等学校長協会】

 各県によって違うかもしれませんけれども、東京都でいえば、教科指導が18時間です。それはどういうことかというと、18時間は持たなくてはいけないのであって、その上を持ってもいいですよと。だから、最低18時間必ず持ちなさいと。それプラス、担任を持っていますとロングホームルームが入ってきます。また、今やっております総合的な学習に関しましても、その時間数と数えられるのは、例えば、本校ですと8クラスですから、1学年に1単位やると、8時間は持ち時間としますけれども、例えば8クラスを2展開、3展開、16時間やるとか24時間やるとしますと、その部分は持ち時間と考えませんので、もっと多くなる。そのような実態でございます。

【委員】

 18時間ですね。小中学校と比較するわけにいかないのですが、私なんか小学校で、大体25時間から28時間ぐらい持っていました。そうすると、ほとんど空き時間がないんですが、高等学校の場合は一応18時間目いっぱい持ったとすると、かなりゆとりがあるんじゃないかというふうな感じがするのですが。まあ、それはゆとりがあるかどうかということの感覚の問題は別として、例えば授業のない、あいている時間というのは、高校の教員というのは何をしているんですか。

【全国高等学校長協会】

 30時間ですね。週5日で6時間としますと。そうすると、今言いましたように、まず18は拘束されるだろうと。そして、ロングホームルームで拘束されるだろう。そしてもう一つは、必ず各種委員会がございますから、分掌とか、さまざまございます。それが入ってきます。そして、あとはほとんど、教材研究であろうし、各課題に関する時間に費やしているというのが現状でしょう。
 もちろんそれは学校によります。高校の場合は非常に多種多様でございますから、教科指導だけしているような学校であれば、教材研究に使う時間も多く費やされるでしょうけれども、問題行動の多いところであれば、その対応に対しまして、それはしょっちゅう起こりますから、それに対する時間を要するだろうし、あるいは専門高校なんかになりますと、補習といいますか、検定に対する研修といいますか、そのようなもので多く費やされていると思います。
 確かなことは、ぶらぶらはしていません。同時に、もっと言いかえるとすれば、私の学校でもそうですけれども、昼休みに外に行く人はまずいないだろうし、大半が弁当かコンビニで買ってきます。ですから、そのぐらい時間がせっぱ詰まっているのは事実でございます。

【委員】

 というのは、私は、持ち帰り仕事というのは、子供がいるときにやらなければいけない仕事は学校で当然やりますよね。でも、もしも空き時間があるということになれば、持ち帰らなくてもできるんじゃないかと。持ち帰りもしますし、それからなおかつ、子供がいるときにはたくさん業務がありますよということになると、そんなに時間が足りないのかなというのが、ちょっとわからないという部分があって、まあ、これは実際は忙しいのだろうと思いますが。
 もう一つ、ちょっと話を変えて、先ほどの職員団体のほうから、特定の職員に職務が偏りがちになるという話があったのですが、これは例えば校長先生からごらんになっていて、やっぱりその職務の偏りというか、それを平準化するということは難しいことですか。

【全国高等学校長協会】

 そうですね、難しいというより、どうしてもそちらに頼ってしまう傾向があるということです。

【委員】

 仕事ができる人のほうに行くわけですよね、結局。

【全国高等学校長協会】

 そうですね。それが現状ですね。ですから、画一的に能力に応じて同じような仕事量を分配できれば、それは少しは緩和できるかもしれません。でも、それがなかなか難しいわけです。それから、これはどちらかというと負の文化かもしれませんけれども、まじめな教員が多いですから、どうしてもどちらかというと経験豊富な人に頼りがちな傾向になっている事実がございます。もちろん主任とかになりますと、そちらのほうに仕事量が多くなりますけれども。

【委員】

 そこでメリハリをつけるということは難しいことですか。

【全国高等学校長協会】

 やはり若手の教員に全てを任すということは、なかなか安心感という部分に関しては得られないことがございます。教科指導にしましてもそうでしょうし、もう一つ、他の分掌の業務なんかになりますと特にそうでございますね。

【委員】

 いつまでも育たないという感じですね。

【全国高等学校長協会】

 いや、そんなことはありません。ある程度経験すれば育ってくれます。ただ、一律に2年、3年経験した者と10年経験した者と比較すると、やはり10年経験した者の方が仕事の量が増えてくるということになります。

【委員】

 私も高校で経験があるのですが、例えば今回のような問題があったときに、やっぱり義務教育、小学校、中学校は、例えば全員が担任を持たなければならないような状況にある。高等学校は学級数の倍ぐらいの教員がいる。専門高校だともっといるわけですね。担任を持たなくても済む教員はかなりの人数はいるんですね。担任を持つか持たないかによって勤務の状況がもちろん変わってくる。さらに、部活動、例えば運動系の部活動を持つか持たないかによってまた変わってくる。そうすると、メリハリをつけるというような、ある意味では職場の勤務の状況とか、そういったことを工夫することができるのは、高等学校現場こそではないかなと思うんですね。
 例えば担任を持つか持たないか、あるいは部活動でも非常に激しい部活動を正顧問として持つか持たないかとか、そういったことである意味ではメリハリをつけて、勤務の状況を評価するというような仕組みが導入しやすいところではないかなと。そういう点でどうですか。改善の余地はないですか。

【全国高等学校長協会】

 それは学校によって違います。私もいろいろな経験をしましたけれども、担任をやりたくない学校と担任をやりたい学校があります。学校によりますと担任のほうが楽ということもあります。
 ですから、高校の難しいところは、学校によって、さまざまな抱えている問題、それに費やす労働力というものが非常に違うということがあります。学校によっては担任持てといっても嫌がり逃げるような学校もございますし、落ち着いた学校だと担任を皆さん持ちたがります。分掌のことをやるよりは生徒と接したほうが楽しいのではないかというようなこともあります。
 教材研究に時間を費やさなければいけないというようなところと、これまでの経験で何とかして、生徒指導に時間をかけるようなところもあるでしょうし、それは高校の一番難しい側面でございます。

【委員】

 変形労働時間制のことなんですけれども、ここで検討しているのは1年単位の変形労働時間制でして、課業期間中は若干勤務時間を多くして、その分を夏休みとか冬休みに、生徒がいないときに休ませようという発想なんですけれども、その場合でもこれは無理だというふうにお考えですか。さっき、生徒が不在なら可能かもしれないというお話があったのですけれども。

【全国高等学校長協会】

 実際問題、生徒が不在のときは本校の場合はほとんどございません。

【委員】

 夏休みもそうなのですか。

【全国高等学校長協会】

 夏休みでも、本校ではまず1週間は8割以上が参加する合宿があります。そして夏期講習をやりますし、それからもう一つは、9月当初からすぐに文化祭が始まりますから文化祭の準備があります。東京都では、ことし、冷房が全校に設置されまして、より一層、補習、補講を各学校とも高めています。そのときに問題が出てきたことは、夏休み中に10日間ぐらいは、文化祭等の準備に来る。もちろん部活動もございます。そういうときに、その教室をどうするのかということになりまして、どこかで部活動と、文化祭の練習と補講と、この三つどもえについて、その時間の割り振りをしないといけない現状がございます。
 強いていえば、冬休みの3日間ぐらいはいないかもしれませんけれども。そのような実態になっております。

【委員】

 生徒がいるといっても、全校の生徒が毎日来ているわけじゃないと思うんですよね。

【全国高等学校長協会】

 もちろんそうでございます。

【委員】

 週休日を設定するとすれば、それは職員単位ですから、人によってずれるわけですよね。昔、指定休というのがありましたよね。それと同じようなものなんですけれどもね。

【全国高等学校長協会】

 まとめ取りの形ですね。

【委員】

 それならば可能じゃないかと思うんですね。もし、逆に、それもやらないとすれば、結局、勤務日だからいろいろな仕事が入ってきちゃうんじゃないかと思うんですよ。結局、忙しくしているのは自分たちじゃないかなというふうに思うんですけどね。

【全国高等学校長協会】

 そこは検討の余地はあるかもしれませんけれども、また違った観点から申し上げますと、今、部活動だとか週休日に出た人の振り替えをやっておりますが夏期休業中に取れないという現実もあります。ですから、本校などでもそうですけれども、丸1日来ないということができないこともたくさんあります。夏休みの休暇を5日入れますと、残りの期間では部活動だとか、さまざまなことをやっていて消化できないという一方の現実もあることも事実です。

【委員】

 そういう高校ばかりですか。

【全国高等学校長協会】

 それはさまざまだと思います。そういうようにできる学校もあるかもしれません。例えば、小規模な定時制なんかはそういう可能性があるかもしれません。ところが、ある程度の活力があり、それなりに子供たちが活動している場合においては、それを夏休みは休みだから全校生徒が来ていないからできるんじゃないかというようなことに関しまして「そうです」というふうに素直には答えられない部分があります。

【委員】

 夏休みに週休日を設定するとしても4日ぐらいで済むと思うんですよね。冬休み5日、夏休み4日、春休み1日、そういうふうにして。全校の生徒と全職員が出てきているわけじゃないですから、夏休みは。

【全国高等学校長協会】

 それはもちろんそうです。全職員がということではございません。

【委員】

 来なくてもいい先生は週休日にすれば可能じゃないかと思うんですけどね。工夫しなければ、サービス残業を是認するというか、逆に認めているというか、校長の承認のもとにやっているわけですから、多忙化は解消しないですよね。

【全国高等学校長協会】

 もちろんそうでございますが、夏期休業中、果たしてそれが全員できるかどうかは非常に疑問に感じますけれども。

【委員】

 思い切った高校の業務の精選をする機会だと思うんですね。そういうことを全国高等学校長協会としてぜひ考えてもらいたいということと、それから、高校こそほんとうに勤務の内容、あるいは勤務の量に、ある意味では軽重がつけられる職場だと思うんですね。要するに、一生懸命の1人の先生に仕事が偏るというようなことを考えると、業務の内容、それから量に、ある程度軽重がつけられる。職員の定数から考えても小中に比べれば、若干そういうことが考慮できる職場だと思うんですね。その点を、繰り返し言うようですが、こういう問題が起こったときこそ、やっぱりこれはきちんと前向きにとらえて職場を改善するという意味でやることは考えられないですかね。

【全国高等学校長協会】

 考えられないことはないのですが、先ほど申しましたように、高校の一番の問題は、ある程度、選択制みたいにとってくださればいいんですけれども、すべての学校に適用となりますと、非常に難しい部分がある。ですから、いろいろな調査でもそうですけれども、悉皆で来た場合において、例えば奉仕でもそうですけれども、言われることは非常に正しいことを言われている。しかし、それが、その高校の実態、生徒の実態にとって、高校ですべてやらなければいけないのかと。それがある程度選択制であればいいのですが、この学校ができたからあなたたち全部できますよと言われてくると、我々高校は非常に困るものがあるということだけはご承知おきいただきたいと思っております。

【委員】

 次に、全日本教職員連盟のほうからご意見をお伺いしたいと思います。

【全日本教職員連盟】

 人材確保法が施行されまして34年を経過したわけですが、非常に教員を取り巻く環境が大きく変化している。そういうことを考えながら述べさせていただきたいと思います。
 まず学校の組織運営についての学校が組織として問題解決にあたる体制の構築についてです。校長、副校長、教頭という管理職が学校のリーダーとして教員や保護者、地域からも信頼されるよう管理能力を十分育成するための研修をきちんと取り行うということがまず何よりも重要です。その上で、問題解決に当たる体制を構築するためには、学校内の組織の再編が重要ではないかと考えます。現在の学校組織体制は非常に細分化されております。それはなぜかといいますと、社会の要求に学校教育がこたえようとするあまり、多くのものを抱え過ぎたためではないかと我々は考えております。それだけ多くのものを抱えているのですから、小規模校になるほど1人の教員が受け持つ仕事が膨大な量になっていきます。それが時間外労働を増やすことにもなっております。とにかく今日的教育諸課題のすべてを学校が抱え込んで、学校教育においてそれらを解決しようとしたことが教員の多忙化を招いた要因でもあると思います。
 さらに、校長のマネジメントによって学校としての業務を全体的な視野から整理して、限られた時間を効率よく配分するために共同のシステムづくりを行うことが重要ではないかと考えます。その中心となるのが、主幹教諭や指導教諭という中堅リーダーです。これら中堅リーダーを十分に活用することが、限られた時間を有効に使う、または効率的・機能的学校運営を行っていくために必要なことだと思います。さらに学校事務職員を分掌取扱主任として権限や責任の特定を行うことで、分掌等の事務処理の効率化が図られるのではないかと考えます。
 次に、外部人材の登用ということですが、現場においては打ち合わせや協働の過程が新たな負担となって、逆に子供と向き合う時間が削られるのではないかという懸念が広がっております。その上で、業務を委ねる場合は、ある程度長期間にかかわる人物を選ぶことが大切です。毎年毎年、人が変わっているようでは、非効率的なものになっていくと思います。授業においての教員の補助や支援等、幾つか挙げさせていただきましたが、これらのことが可能ではないかと考えております。
 続いて教員の勤務とその処遇についてですが、教員勤務実態調査等からも明らかになりましたが、現在、さまざまな問題を抱える子供たちに対応したり、安全上の問題から放課後子供たちを残しておくことができなかったりするために、教員の1日の休憩時間が10分以下という実態が明らかになっております。トイレにも行けない状態が続いているという教員もいます。さらに、子供たちが事件や事故に遭ったとき、逆に子供たちが事件や事故を起こしたとき、保護者と話し合ったり、関係機関と連絡を取り合ったりと、勤務時間外に動かなければならないことが日常的に存在するということ。こういうことを考えますと、勤務時間管理は大変難しいのではないかと考えております。
 時間外勤務の縮減ということですが、それによって子供たちや保護者等の対応を疎かにしてはなりません。ですから、そこを適正に行おうとするのであれば、教育において学校、家庭、社会の責任分担を明確にしなければいけない。ある程度の線引きが必要だと思います。そうしない限り、教員の勤務時間管理は非常に困難であると考えます。
 現在の給与制度は必ずしも職責や職務遂行能力が給与に反映しているとはいえません。教員の意欲や資質の向上につながる、能力にふさわしい給与を与えることは重要だと考えます。しかし、一方でそれが行き過ぎてしまい、成果主義に陥ってしまっては教育現場の荒廃を招くことになると考えます。成果主義は個人主義を生み出す元凶でもありますし、お互いに協力しようとする姿勢もなくなります。つまり、教員が自らの成果を上げることのみに力を注いだら、お互いに助け合ったり、協力し合ったりしながら子供たちを健全に育てていこうとする教師文化が損なわれてしまうのではないかと思います。
 何よりも、信頼に値する教員評価制度を確立することが重要と考えます。評価される側、評価する側、そして中立的な第三者でも納得できるようなシステムづくりが必要です。能力や実績を鑑み、責任ある業務を担っている教員に対しては主任や主幹教諭、指導教諭という任用として処遇すべきではないかと考えます。一方で休職中の教員や、指導力不足で研修中の教員と、学校現場で子供たちの指導にかかわっていない教員については給与を減額する方向で検討してよいのではないか。それによって十分メリハリはつけることができると考えております。
 次に部活動についてですが、部活動の指導に当たっている教員の負担は非常に大きいものがあります。家族からも、何とか改善できないかという声は上がっております。しかし、部活動における教員と生徒の深い結びつきが教育的な効果を上げているということも、事実としてあるわけです。ですから、部活動を教員の手から離してしまうことは、学校教育にとっても大きなマイナスになることを考慮しなければならない。その上で、現在、少子化の影響から、1つの学校で部活動が成り立たない状況等がありますので、地域のクラブ化等を進めて、数校の教員、または地域の専門家が協力して指導に当たるようにすることで教員の負担軽減を図れるのではないかと考えます。
 いわゆる持ち帰り業務についてですが、この業務は教員の特殊な勤務業態と考えております。これを改善するのは非常に難しいのではないかと思います。なぜなら、持ち帰り業務は教員の家庭的な事情が大きく関与しているためであります。持ち帰り業務をしている教員の多くが女性であることからもこれは伺うことができます。したがって、情報管理の徹底を行うこと、それから適切な校務分掌への教員配置を行うこと等で対応することが重要だと考えています。
 教職調整額の見直しの方策についてです。一般の行政職に比べて教員は教材研究や授業準備、児童生徒の指導等、勤務時間外においてもその職務を維持する必要があります。一律処遇を見直すべきという意見がありますが、これは教員の勤務の実態を理解しているとは言えません。つまり、教員の問題ではなくて、むしろ教員が受け持っている校務や仕事、それから受け持っている子供たちの問題が大きく起因していると考えています。ある学校に勤務したときは時間外勤務が長くなり、問題がないような地域の学校に勤務すれば、当然、時間外勤務が短くなる。または、校務分掌等で受け持っている業務の内容や、学校が変わったことで、校務分掌も変わり、それによって勤務時間が長くなったり短くなったりということがあるわけです。ですから、時間外の個人差を短期的に見て問題と取り上げることは非常に無理があるわけです。
 このような状況から、我々としましては、約34時間という時間外勤務を考えますと、教職調整額はむしろ今の4パーセントから12パーセントに引き上げる事が妥当ではないかという見解を出しております。ただし、これも休職中の教員や指導力不足として研修を受けている教員、子供たちと直接関わっていない教員に関しては減額または支給しない方向で考えるべきではないかと思っております。
 それから、一律に4パーセントを払うことは適当でないという意見に関してですが、これは先ほど述べたように、やはり勤務する学校や、自分が受け持った仕事によって変わっていくということで、これに関しても教員の特殊な勤務実態を把握したものではないと考えます。
 時間外勤務手当を導入しようとすることに関しては、我々としては反対です。とにかく教員の勤務は時間で区切ることができません。教員が勤務外に実施した生徒指導や家庭訪問、地域行事への参加、持ち帰り業務について時間外手当を支給することが可能なのか。または、休日、学校に来て仕事を行った場合、休日出勤として休日手当を支給できるのか。さらに教材研究や授業研究と称して遅くまで学校に残り、組合活動等私的な業務を行う教員を把握できるのかという点など非常に問題があると考えております。管理職でもこれらの管理は非常に難しい。逆に、それを管理職に任せることで、管理職になろうとする教員の減少ということまで危惧されるのではないかと思いまして、我々としては反対しております。したがって、「仮に」ということに関しても、仮であろうとも強く反対します。
 いわゆる超勤4項目についてですが、臨時的・緊急的に設けられた研修等を行う場合が想定されます。
 変形労働時間制についてですけれども、これは長期休業中に関しましては変形労働時間制の導入は十分考えられるのではないかと考えます。ただし、研修等が今、増えておりますので、限られた時間の中で充実した研修が行えるようにすることが望ましいと思っております。
 その他、教員給与や勤務条件の見直しでありますけれども、とにかく教員給与というのは一般行政職と比べて決して恵まれているとはいえません。行政職が10級まであるのに、教員は今のところ4級までしかないというように、昇給メリットもないということ。それから、もう一つ、教員には非常に給与にこだわらないという面がありまして、その教員の人のよさに頼って、何も言わないからということで、そのような施策をとるということは非常に問題ではないかと考えます。
 とにかく教育は、今後5年、10年の将来の日本を支えていくものであります。しかも、今、教育学部に進む生徒が減少しているという状況もありますので、十分に魅力ある職業とするための給与条件の確立を強く願うものであります。

【委員】

 教員の給与は一般行政職と同じ給与水準にする、2.76パーセント削減が決まっているわけです。このまま何もしなければ、もうそうなってしまうんですよね。それを前提に考えた場合に、あくまでも教職調整額のみを主張しますか。

【全日本教職員連盟】

 我々としては、もちろん教職調整額だけを主張するわけではありませんが、とりあえず2.76パーセントの削減、これは閣議決定されたことであります。ただ、今回、教職調整額等についてということで、我々としてはそこに焦点を当てた見解を持ってきました。先ほどもお話ししましたように、教員給与自体を、我々としては5級制とか6級制に将来的にもっていき、行政職と同じような、いわゆる昇給メリットを十分見越した将来的な教員給与体系のあり方というものも提言していきたいと考えております。

【委員】

 教職調整額を一律に引き上げれば一番いいと思うのですけれども、もしそれがだめだとしたらどうしますか。それでも時間外勤務手当の導入は反対ですか。

【全日本教職員連盟】

 時間外勤務手当に関しては、我々としても十分に検討しました。しかし、もう既に40年近く前に時間外勤務手当にするか教職調整額にするか、十分検討された上で教職調整額というのが導入されたという経緯も考えてもらわなくてはいけない部分だと思います。それから、家庭に帰った後、突然呼び出しがあって、子供の家に行かなければならないとか、交通事故に遭って11時、12時、1時近くまでその子供の家にいなければならないということもある。このように教員というのは時間から時間までということに縛られる勤務ではないものですから、その辺をどのように時間外勤務手当に反映していくのかということを検討しましたが、これは正直言って無理だろうと考えました。そこで、教職調整額という今の制度自体の堅持と考えました。ですから、我々としては時間外勤務手当の導入は無理ではないかと考えております。

【委員】

 一律に引き上げられなければ、もう一般行政職と同じ水準になるのもやむを得ないということですか。

【全日本教職員連盟】

 そういうことではありません。教職調整額が今の4パーセントのままで、さらにそこに時間外勤務手当がついていくということになれば、また我々としても十分考えないといけないと思います。今回の私どもの考えとしては、教職調整額にかわるものとして時間外勤務手当が入るとすれば、それは我々としては反対しますということです。

【委員】

 2つあるのですが、給料表が教育職の場合は4級ですね。1級が助教諭または講師の場合と。圧倒的多数の教諭は2級ですね。あとは教頭の3級と校長が4級ということですが、この給料表をもう少し行政と同じように、行政は主事から部長までの10級ぐらいあるんですけれども、それをもう少し増やすというのは、もちろん2級の教諭のところを増やそうという考えなのか、例えばそれを増やすということは、教諭の中にある意味では、業務内容か何かによって差をつけるということですね。そういう給料表を導入するということについては賛成ですかということと、もう一つは、給与改善ということは非常に難しいということで、やはり学校教育現場の教員を目指す学生が少なくなったというのは、教員の処遇面とか、勤務の条件とか、いろいろな意味で非常に難しい状況になっているのが原因で、そこを改善する必要があると思います。給与面だけではなくて、処遇面で、ある意味でもっとすっきりした職場であれば、教員を目指すものも増えてくる可能性があると思うのですが、その処遇面についてはどのようにお考えか教えていただきたい。

【全日本教職員連盟】

 まず1点目に関してですけれども、我々としましては、当然、2級のところをもう少し細かくしてほしいと考えています。まず2級は一般教諭になるわけですが、今、特2級で主幹教諭、指導教諭といっています。まずそこを3級に上げること。4級が教頭、副校長になり、5級が校長ですが、将来的には教頭と副校長の間にも当然、1本線が引かれて、教頭、副校長、校長という形もあると考えています。それがまず1点目です。
 2点目の処遇面に関してですが、もちろん、先ほど見解の中で話しましたように、教師というのは、非常に給与に関しては、ある意味、気にしない部分があるわけです。多くの教員が自分の仕事に充実感を持って、誇りを持ってやっています。それから、実は皆さんもわかっていると思うのですが、夫婦とも教員という方が結構多い。そうすると、教員であれば、これは十分な所得があると思われている。

【委員】

 そうですね、家庭的には。

【全日本教職員連盟】

 ところが、そういう家庭は一部でしかないし、配偶者が働いていないという教員ももちろんいるわけですから、全ての教員が同じ形態の家庭ではないわけです。それから、処遇面に関しては、とにかく今、教師に多忙感がある。モンスターペアレンツなどという話もあり、自分の子供に教師はやめたほうがいいという親もいるという話も聞いています。やはり勤務実態の改善ということがまずは一番大切なのだろうと考えております。

【委員】

 外部人材の支援のことで、確かに今、外部人材を導入すれば学校が仕事が少なくなるんじゃないかと言われるけれども、実際問題としてはなかなか調整をする、コーディネートをすることに時間がかかって、かえって忙しくなるのではないかという懸念がある。これは当然、私もそういうふうに思います。だからといって導入をいつまでも拒むというわけにはいかないだろうと。もう少し、コーディネーターを育てる、コーディネーターも校内でのコーディネーターと、校外からコーディネーターを育てるといったような、そういうふうなことも必要なのではないかという感じがしているんですね。
 そこで、第三者評価というのが、教員の評価制度を確立することが重要であって、中立的な第三者ともに納得できるようなシステムにする必要があると。この第三者評価というのが今、盛んに言われてきているのですが、この第三者評価あたりから、そういった外部人材の投入を求められたり、それから、よく頑張る先生だとか、あるいは、問題教員まではいかないけれども、もう少ししっかり働いてもらいたいという人たちの指摘があった場合に、全日教連としてはどうでしょうか。

【全日本教職員連盟】

 中立的な第三者機関をどのように置くかということは、今後十分検討していかなければいけないと思います。信頼のおける中立的な第三者からある程度評価を受けた場合、我々としてはそれを受け入れる用意はあります。例えば、いわゆる指導力不足教員の認定を受けて、研修に行きなさいと、第三者から評価を受けた場合は、我々としては受け入れる必要があると考えております。ですから、逆に、それだけ十分納得できるシステムをまずつくっていただくというのが大切です。
 それから、いわゆる外部人材に関してなんですが、これは我々としましても、多忙化を解消する一つの大きな切り札にはなると考えています。ただ、現場におりたときに、先ほども話したように、まずコーディネート、つまり動かすまでに非常に時間がかかる。多分、一度動き始めれば回っていくと思うのですが、それが毎年毎年、新たな人、つまりあなたは1年限りですということで、毎年毎年変わっていくと、そのたびに4月、5月に打ち合わせを一から行わなくてはならなくなる。ですから、我々としましては、例えば3年だったら3年、4年だったら4年と、ある程度の長期的なスパンを考えた上で外部人材を導入するということが大切ではないかと。そうすれば、2年目、3年目は非常によく回っていくのではないかと考えます。

【委員】

 つまり、そういうシステムをうまく構築していけば、外部人材の投入ということについては、最初の初年度は大変であったにしても、可能であると、こういうことですね。

【全日本教職員連盟】

 はい、可能であると考えております。

【委員】

 勤務時間の長さ自体について、ある程度、全体として減らしていく必要があるだろうということはあると思うのですが、それに関してはきょうのご報告というのは、ある程度、学校がやるべき仕事を限定する一方で、その限定された中では個々の教員は自発的にというか、自分の判断で仕事をするというような働き方を考えておられると、そんな感じでよろしいのでしょうか。

【全日本教職員連盟】

 ある程度限定するということは、学校の業務と、いわゆる学校が受け持つ責任という形の上でということですか。

【委員】

 というのは、ちょっと思っているのは、要するに学校自体の業務を減らしても、教員というのは時間があれば仕事をしてしまうのではないかということがあったもので。

【全日本教職員連盟】

 それは、もうおっしゃるとおりだと思います。業務を減らしたからといって、じゃあ、教員の勤務外時間が極端に減っていくかということになると、教員一人一人の資質的なこともありますから、その辺は教員一人一人にかかってくる部分ではあると思います。ですから逆に、時間外勤務手当というのは、その辺で難しい部分があるのかなと思います。
 ただ、今、現場では、ここまで学校がやらなくてはいけないのかというような悲鳴も実際に上がっています。例えば、小学校1年生にはしの持ち方を教えてくれという親も実際にいます。要は自分の子供だけを見てくれということです。けんかをしないように休み時間も自分の子供から目を離さないで欲しいという親もいますから、どこまでを学校が責任を受け持つのかということは、ある程度明確にしておかないといけないと思います。学校現場においては、教職員がこれ以上は抱えきれないという、限界まで来ていると考えています。

【委員】

 次に、全国連合小学校長会のほうからご意見を伺いたいと思います。

【全国連合小学校長会】

 私どもは小学校の校長会でございますので、小学校の実態から、教員の勤務の実態からお話をさせていただきます。
 最初に、私どもの独自の資料、これはごく一般的な小学校の時程です。ご案内のとおり、教員の現在の勤務時間は8時15分から5時ということですが、この表を見ていただくとわかるのですが、子供が実際は8時10分から登校します。ですから、勤務時間の最初から子供は既に登校している。1時間目から、新しい学習指導要領になれば6時間目まで、ほとんどの学年が授業を行うと、授業の終了が3時15分です。ということは、この後、5時まであるのですが、学校の場合は休憩時間は最後に持ってきています。昼休みは給食指導があるので、この時間帯は勤務ということに現実なっておりますので、実際に勤務時間内では子供とともに過ごしていると、小学校の場合は、中学、高校、または大学と全く違いまして、朝登校したときから子供とともにあることになります。
 ですので、健康観察から始まって、子供の様子を見て、宿題を集めて、そして子供と会話し、また、休み時間というのは、これはほとんどの学級担任は子供の心をつかむためには、やっぱり休み時間も一緒にいなくてはいけないし、子供と一緒に遊んでいる。そうすることによって子供の心をつかんでいます。給食時間も今、食育ということが言われていますし、特に小さい子供たち、給食時間というのは、これは戦争でございまして、まさに配膳から全部教師がやっているということで、この3時15分までは全く子供と一緒にいる。ということは、自分の仕事というか、事務仕事はこの間できないんですね。その後、実際の勤務時間がまだあるんですが、休憩時間等は、これはほかの教員との打ち合わせにほとんど充てています。今、少人数指導が入ってきたりしていますから、担任同士、同じ学年で連絡調整をしなくてはならない。それから、学年の中で進度の調整だとか、いろいろそういうこと、または、会議もこういう時間帯でとります。
 ところが、教員の実際の仕事というのは、事務仕事ということもあるんですが、この調査の中にも、ほかに仕事が移せないかという話があるんですが、現実、学級担任の仕事は余人をもってかえがたいと。これは、例えばテストの採点をほかの人が採点して保護者に返したり、ノートをほかの人が見て返したら、これは親の信頼を失うんですね。やっぱり担任が見て、担任が赤で一言書くということでお互いの信頼関係が生まれてくるということで、非常に仕事の内容をほかに委ねるということは厳しい状況にあります。
 今、保護者の対応、それから子供もさまざまです。例えば、子供のトラブルが、小学生ですから日々あります。そのトラブルの対応も放課後に行ったりということになってくると、どうしても時間外に事務的な仕事をしなければならないという現実があります。ただ、そのほとんどの仕事が作文を読んだり、作品を見たり、教室掲示をしたりというようなことで、子供と直接かかわる仕事がほとんどであるということで、実際には勤務時間外にそういう仕事をすることが多いです。ただ、現実には教員はさまざまでして、仕事の早い教員、遅い教員、います。ですので、効率よく時間内に処理をする者もいれば、なかなか終わらない者もいます。ただ、担任の仕事量というのは、力がないからといって減らすわけにはいかない。自分のクラスは自分で責任を持ってやらなければならないというようなところがありますので、長い勤務をする教員もそれなりにあります。
 それから、現在の小学校の教員の特殊性は、女性職場であるということです。そして今、団塊世代が退職する関係がありまして、全国的に若い教員が増えている。そうしてくると、当然、これから結婚、出産ということになってきます。そうした場合に、仕事の量は決まっている。しかし、保育園には迎えにいかなければいけないというような教員が非常に多くなってくるだろうと。その場合、どこで仕事を処理するか。家に帰って、子供を寝かしつけた後、自分のやるべきことをやるという教員の職務の特殊性といいますか、次の日に子供の作品は見て返さなければならないというようなこともありますので、どうしても持ち帰り仕事は避けられないというような現実があります。
 中学校と小学校の違いなのですが、中学校の教員の持ち時数は平均して22時間です。小学校の場合は平均して26時間です。週6時間やって5日間ですから、30時間、空き時間4時間、このところで事務仕事を処理するというのは非常に難しい状況にあります。というようなことで、この表の裏面を見ていただくと、これが授業です。まさに授業時間というのは教員は全部授業をやっているわけです。小学校の場合は、毎時間違います。中学校の教員の場合は、国語の担任ならば、4つクラスがあれば同じ授業を4つやればいい。授業の準備は1回で済むと。例えば、現実、小学校は一つ一つ、授業準備をしていかないと対応できないというような厳しさがあります。そして、これは学級担任ということになると、これらの時間を全部持っていくと。そうすると、教材準備、教材研究、そういったものはやはりこれも時間外でせざるを得ないということで、そういう意味では非常に厳しい。
 中学校の場合、今、時間外ということで部活動の問題があります。部活動を見た場合には、確かに明確に時間的に超過勤務ということで数えることができますが、小学校はそういう明確なものはないけれども、現実にはそれだけの仕事をしているという現実があります。
 私ども、全連小としてどう考えるかということですが、現在までの教職調整額、これは大変私どもにとってはありがたい制度です。ただ、今、この時代の中で、果たして時間外をしていない教員にまで払うのか。その考えは私どもも納得できます。ただ、特殊性を考えて、考え方として、一部、教職調整額的なものを残せないだろうか。1パーセント、2パーセント、3パーセント、それは考え方はさまざまだと思うのですが、そういうことができないだろうかと。それと、やはり時間外勤務手当として、現実にすべての時間を時間外で計算したら大変なことになりますし、それを管理する管理職の仕事が増えることも明らかであります。今、非常に副校長、教頭という、このポジションの事務量が多くて厳しい状況にある中で、その超過勤務の時間を管理するのは非常に難しい問題があります。ということで、ある程度それは自己申告にならざるを得ないのかなと思うのですが、その部分もやむを得ないだろうなと。
 教師というのは、ほかの人に仕事を委ねられないだろうかというところは非常に難しい問題で、現実には、やはり教師自身がやらなければならない仕事だろうと思っています。それともう一つは、職人的な部分があるんですね。教師という仕事は。やればやるほど自分の力がつきます。例えば教材研究一つにしても、2時間、3時間やればそれだけの力が自分に返ってくる。ところが、やらない教員もいます。やらない教員は力がいつまでたってもつきません。さまざま問題になっている教師はそういう教師です。これは両方あるということ。ですので、私どもは給与にメリハリをつけることは大賛成です。現実、頑張っている教員にはそれなりのことをしてあげたい。ということで、一つは職階による給与。今、主幹教諭、指導教諭というのが入ってきていますから、このあたりを明確にして、もっとメリハリをつけてもいいのではないかと思っています。
 また、全国的に、今、教員評価制度が導入されています。これも躊躇する校長もいますが、現実に東京都では、もうかなり何年か教員の評価を行っております。やろうと思えばできるはずです。ですので、そういった教員評価制度によるメリハリある給与体系、そういったものもあわせて積極的に導入していただきたいと私どもは思っております。

【委員】

 時間外勤務手当について、基本的には賛成であるというふうにした上で、能力に応じた評価とあわせて時間外勤務手当もあってもいいのではないかということかと思うのですが、これはやはり時間の長さに応じて手当を、ある意味、時間外勤務手当というのはその時間に比例したお金を払うということですが、そういう部分もやはり必要だというお考えですか。

【全国連合小学校長会】

 確かに、時間を超えて仕事をしている職員には、教職調整額がなくなるならば、それなりの手当はしてあげたいと思っております。ただ、それだけでははかれない部分がありますので、そういったことについてはメリハリのある、先ほど言いましたように、職階によるものとか、評価によるものというものもあわせて考えていきたいということです。結局、100点満点はないと思っているんです。中学校とか高等学校のように、部活動とか生徒指導とかが主になれば、定量的にかなりできていて、どこまでかというのがあるので、比較的時間外勤務手当で対応できるのかなと思っています。ただ、小学校というのは教材研究を含めて、なかなかどこでやるかという線引きができない。それから持ち帰り業務も多い。そこへの対応もしてあげたい。メリハリもつけたいとなると、やっぱりどうしても両方のよさを持ってきた、複合的なやり方がいいのではないかというのが我々の判断です。

【委員】

 教職調整額がなくなることを前提としたお話なのかなというのもあったのですけれども、例えば教職調整額をある程度残して、そこに級を増やして昇格によるメリハリをつけて、時間外勤務手当はなしという選択肢が仮にあるとしたら、それとの優先順位というか、どっちがいいというのはどうお考えでしょうか。

【全国連合小学校長会】

 私どもとしては、教職調整額が一番ありがたいと思っています。それは、現実にはかるというのは非常に難しいと。ただ、現在の状況からいって、非常に教職調整額が課題もあることは事実ですので、そうなった場合はこのような考え方でいきたいということです。

【委員】

 仮に教職調整額を廃止して時間外勤務手当にするというふうな選択をせざるを得なくなったとき、おそらく実際の超過勤務の時間に対応して全額支給されるということはあり得ないので、上限を設けられた状況ですと、限られた財源の中で、何を超過勤務として、管理職として認定するかという、そういう意味での優先順位というか、プライオリティーをつけて判断せざるを得ないと思うのですけれども、そうなったときには、基本的にはどういうところを時間外勤務手当として、小学校校長として手当をしていくことになるのでしょうか。
 というのは、もう一方では、時間管理というのは非常に難しいので、基本は教員の自己申告をベースにしてというようなこともお話しされているので、やはり限られた財源の中で校長が優先順位をつけるというふうな判断と、先生方のほうから自己申告してくれることについては、できる限り認めたいということには、ちょっとやはり対立するところもあるので、何らかの調整というのが図られざるを得ないと思うのです。

【全国連合小学校長会】

 まず最優先しなければならないのは、子供に関することだと思うんですね。児童の保護者対応も含めて、子供の指導に関することは必ずやってもらわなくては困ることですので、そういったものを最優先したい。そして、教科指導、指導内容にかかわる教材研究等、授業に関することですね。それがその次。また、校務分担があります。その中でも校務でも教員によって重い校務を背負っている者と、軽い校務の者があります。ですので、そういった教務主任、生活指導主任といった重い校務を背負っている者にも優先して認めてあげたいというふうに思っています。ですので、支給率といいますか、そういったものもできたらメリハリをつけたいと。やはり重い仕事をしている者にはそれなりの時間外勤務手当をつけたいというふうに思っています。

【委員】

 これは持ち帰りも含めてですよね。

【全国連合小学校長会】

 ただ、持ち帰りだけは読めませんので、私どもが持ち帰りまで管理をしようというのは、ちょっと不可能かなと。

【委員】

 先ほどのお話の中で、持ち時間は最大で小学校が26時間、中学校が22時間、高校は先ほど聞いたら18時間ということでした。明らかに小学校の持ち時間数が多いというのは数字的に見てはっきりしていて、しかも子供が小さいということからすると、勤務時間の中で、授業以外の事務的な仕事をすることがなかなか難しいというのが現実だと思うんですね。そうしたときに、例えば小学校の校長会として、小中高の校種によって教職調整額を変えるとか、それから、何か校種によって何か支給方法を変えるというふうなことの要望というのはあるかどうかというのが1つ。
 それから2番目は、教頭というのは、大変重要な役割をしていると思うんですが、今、膨大な事務量を抱えて担っているんですね。文科省も都道府県の教育委員会も、あるいは市区町村の教育委員会も、事務的なものの調査の数を減らそうという傾向はあるわけです。しかも、パソコン等、ITが学校には少ないといえども少しずつ入り始めてきて、これから軽減をしていくのではないかというふうに思われがちなんですが、その辺の事務量というのは、さらに増えていくのか、具体的にはどういうふうなことが増えていくのか、ちょっとお話しいただきたいのですが。

【全国連合小学校長会】

 それでは、最初のことですが、これについては、もし校種によって教職調整額と時間外勤務手当との在り方というのを変えることが可能ならば、それはそれで、私どもにとっては逆にありがたいと思います。
 それから、教頭の仕事についてです。教頭の事務量が多いというのは、これは担任の仕事、担任に事務的な仕事を回さないために、ここが防波堤になっているんですね。さまざまな調査が学校に来るときに、教頭がそのペーパーを各担任に振れば、それは教頭は楽でいいんです。ところが、それをやったら、本来教員がやる授業がおろそかになるし、そうさせないために、やはり教頭がやらざるを得ない。そういう中で、非常に事務量が増えてくる。
 今、私はパソコンが普及したおかげで、学校に来る文書が増えていると思っています。日付だけ変えて毎年同じ文書が来ますから。そして、それにこちらは一生懸命回答しなければならない。今、学校に、教員にパソコンをと言いますが、私ははっきり言って反対です。パソコンに向かうような教員は小学校では要りません。子供と向き合ってほしいし、子供と向かい合ってほしい。そのためには、やはり事務量の軽減というのをぜひやっていただきたい。
 追加すると、1つ目のほうですけれども、やっぱりどうしても中学校、高等学校になると、部活動とか生活指導、生徒指導みたいなものが定量的にかなりわかりやすいものが多いのではないかと。小学校のほうは教材研究の部分というのは、ある意味、自己啓発とか研究とかも絡まって、なかなか難しい面が出てくる。ですから、やっぱり学校種別によって、ベースになる教職調整額と超過勤務手当分というのは違ってこざるを得ないのではないかと思っています。
 それから、2つ目の副校長の軽減の問題ですけれども、やはり配当される予算というのは超過勤務手当も総予算が決まっているでしょうから、そこの部分に目いっぱい申請して、全部膨らんだ場合、どうしてもどこかで決済して、査定してやらなきゃならないという、そういう作業が出てくるのだろうと思います。Aさんは認めるけど、Bさんはどうとかという、そういう作業が仮に出てきたとしたら、これは大変な難しい作業でありますし、それから、場合によっては、やはり職員と、その説明責任も出てきますし、それを納得させるための材料をつかむためには、いろいろな記録もしなければならないと。そういう点では相当の負担増になることはたしかだろうと思っています。ですから、なるべくそうならないような形にしなければならないのかなと思っています。

【委員】

 メリハリということでは、2つ考え方があるということをお話しされたのですが、例えば職階による給与制度と、もう一つは人事考課、あるいは評価ですね、その制度がきちんとすればメリハリをつけることができると。職階による給与制度ということですが、現行では、毎年、よほどのことがなければ一定に上がってくるんですね。そうすると、先ほどおっしゃったように、教務主任とか生活指導主事となるのは、ある一定の年齢で、それなりの処遇というか給与が高い人がそういうポストになることが多いのですけれども、そのほかに、例えば職階による給与制度というのは、どのようなことを考えて、イメージしておられるかということです。
 人事考課ということについては、これは東京都が非常に早くから導入されているのですが、今、各都道府県等はそれを検討しているのですが、評価の視点とか、それから特に業務の内容について、先ほど来お話しになったように、若干、小学校等では軽重がつけられるというようなお話もあったのですが、そこで評価がうまくいけば、メリハリをつけることが可能だという、そういうことでしょうか。

【全国連合小学校長会】

 職階による給与なんですが、今、学校の場合は校長、教頭、そして教諭とで差がついています。今、主幹教諭が導入されようとしているところなのですが、これは特2級という形で無理やり押し込んだというか、ほとんど差がない。要するに、教頭と教員の間に無理につくった給料表ですので、非常に苦しい状況です。その関係で今、管理職になろうとする教員が激減しています。優秀な教員があんなに大変な仕事をしているのに、私たちとさほど給与に変わりがないじゃないかと。それならば、やはり学級担任をして子供と一緒にいるほうがいいということで、あまり給与に差がないので、上を目指そうという教員が減ってきている。そういう中で、これから指導教諭、主幹教諭という幹部をつくっていくときに、やはりもう少しメリハリがないと、なかなか教員が上を目指そうという気持ちになっていかない。そういう意味では、職階による給与制度をひとつお願いしたい。
 それから、教員の評価と給与の関係ですけれども、現実に今、私どもは授業を見ています。これは年3回見ることにしています。そして、そのときに教員が自分で今年はこういうことをやりたいという自己申告書とあわせて話をすると。授業を見ると大体教員の力はわかります。それによって、ほぼ、その指導力という面で評価できますし、また、そのほか、学校のいろいろな仕事、校務分掌というようなことで働いているのも、日々、彼らの仕事ぶりを見ていればわかるということで、そういう意味では、遅くまで残っている教員が必ずしも力のある者ではないというふうに私どもは見ています。
 そういうところで、例えば昇給についても、評価の高い教員は早く昇給をするというようなことでメリハリをつけていきたいと思っています。

【委員】

 後半の第1番目は、日本教職員組合のご意見を伺いたいと思います。

【日本教職員組合】

 まず冒頭に、ペーパーに沿って日教組の考え方ということで意見を述べさせていただきたいと思っております。
 日教組は、教職員が心身の健康を取り戻し、その力量を十分に発揮することが子供たちの豊かな学びと育ちを保障することになるという立場に立っています。子供とのかかわりは、極論すれば24時間体制にありまして、それぞれそうした職であるということを自覚して教職についております。教員の超勤が1日平均しますと2時間程度というのは、今の日本では普通のことであり、特別のことではないとする指摘もあるとは承知しているところでありますが、休憩時間の取得が、夏期休業中を除けば、平均10分程度となっていることに象徴されていますように、絶えず子供の様子や安全面等に気配りをする必要がありまして、学校現場は他の職場と異なる現状があることをまず訴えておきたいと思っています。
 こうした視点に立ちまして、文科省の勤務実態調査にありますように、34時間に及ぶ残業時間や、持ち帰り残業時間の縮減のための実効ある対策と教職の正当な評価を行う必要があるのではないかと考えます。そのための基本として、教職員の定数改善と人材を確保するための教職員賃金水準の確保が必要であるということであります。
 現場実態と乖離した教育施策の実施によって学校が多忙となっている面があることは否定できないと考えます。教員は直接的な子供とのかかわりと、そのための教材研究、授業準備などに時間を割くことについては、多忙であっても許容はできます。しかし、個に応じたきめ細やかな教育がより必要となっていることから、少人数教育を推進するための教職員定数改善こそが重要であると考えます。
 一方で、多忙に拍車をかけているのが、直接的な子供とのかかわりとは違う業務の増加です。また、学校外主催の行事や研究会活動の多さ、部活動の加熱などが多忙の原因となっております。こうした面の解消を図ることも重要となっております。資料は後ろのほうに添付してあります。きょうはもう触れませんが、それぞれご参照願いたいと考えております。
 給特法の趣旨についてでありますけれども、40年前とは状況の違いが生じてきているということで、一つに、学校教員を取り巻く環境が変化していることや、保護者や地域社会からの要請が高まっていること、2つ目に環境教育、キャリア教育、体験活動、ボランティア活動など、教育活動や授業内容が増加していること、また、しつけや健康、食育などの生活指導の増加や学校通学時の安全確保など、さまざまな課題への対応が必要となっていること、3つ目に、こうした中で40年前と比較して超勤実態が増大していること等が挙げられます。こうしたことを考慮すれば、勤務時間の内外を再評価する意義というのは、給特法の制定時よりも現在のほうが格段に高まっているのではないかと考えております。現状の給特法体制は幾つかの矛盾点も生じているということも指摘できるかと思います。一つに、無定量な超勤実態の抑制となっていないこと、2つ目に超勤実態と支給額が見合っていないこと、3つ目に長期休業中の勤務形態も異なってきていること、4つ目に適切な配慮、研修の活用が十分されていないこと、5つ目に今後も自発的な勤務の名のもとに無定量な超過勤務実態が拡大する可能性が大であることがあります。こうした実態があるにもかかわらず、これを改善せずに、これからも労基法の37条を適用除外し続ける一方で、実質の超勤の抑制に結びつかず、超勤実態の固定化拡大につながりかねないこと、一律支給とはね返りを廃止し、賃金が削減されることは認めることはできません。
 教職調整額の見直し方策についてでありますが、3つの手法が考えられると思いますが、一つ目に本俸に組み込むこと、2つ目に給特法の精神を生かすこと、3つ目に時間外勤務手当化することというふうになりますが、2つ目の給特法の精神を生かすことでも、担保が必要な部分があります。その一つに、40年前との勤務の内外の再評価の相違と超勤の8時間から34時間への増加を考慮して教職調整額の率は最低現在の2倍とすること。ただし、大幅な教職員定数改善ができなければ4倍とすること。2つ目に、本俸を引き上げるのが趣旨であることから、一律支給とはね返りを維持すること。3つ目に、無定量な超過勤務実態を解消するための具体的な施策が必要であること。また、実効の伴った適切な配慮を確保すること。4つ目に自発的勤務が隘路となり、公務災害認定に不利に働かないこと等の担保が必要であるということであります。
 教職調整額は時間外勤務手当とすべきであるというふうに思っております。なお、教員の職務は教員一人一人の自発性、創造性に支えられていることを否定するものではありません。時間外勤務手当とする場合の留意点として大きく5つあります。一つに、時間外勤務手当の財源確保について、一般行政職は7パーセント、消防職は8パーセント、警察職は13パーセントとなっておりますが、超勤34時間を踏まえた職種間の均衡が図られる財源措置が必要です。なお、定数改善が図られなければ現行の4倍にあたる24パーセントとすべきです。
 2つ目に、時間外勤務手当の対象とすべき事由は、労基法36条の労使協定に基づき定めることとし、現在の教員の勤務実態を踏まえて認定されるべきであること。その際、仕事量の多い実情から行っている持ち帰りの実態も考慮すること。
 3つ目に、文科省が時間外勤務の範囲等をガイドライン等で定める場合は、学校や教員が行う仕事を明確にすることの観点を含めて日教組と十分協議を行う必要があるということ。
 4つ目に、時間外勤務手当にする場合は、学校現場に混乱が起きないよう、超勤対象範囲の確認、実態に見合った十分な財源確保、法制的な整理など、きちんと行った上で実施すること。また、そのことが確保できるような準備期間を設定すべきであるということです。
 5つ目に部活動についてでありますが、部活動は教職員の自主的・主体的判断とされ、付加的な職務としている現行の枠組みを維持すべきであると考えます。なお、平日を含めた部活動の超勤分は時間外勤務手当の対象とはせずに、特殊勤務手当の対象とすべきであると考えております。部活動を時間外勤務手当の対象とせざるを得ない場合には、2点、留意する必要があると考えますが、その1点として、時間外勤務手当の対象とした場合であっても、部活動の時間外及び週休日等の勤務は教職員に義務づけるものでないこと、強制するものでないことを明確にする必要があると考えます。2つ目に部活動を時間外勤務手当の対象とした場合、十分な財源の確保を義務教育費国庫負担金と地方交付税で確保する必要があるというふうに考えます。
 最後に、教員給与や勤務条件の見直しに対する意見として、幾つか述べたいと思いますが、教職員は40年ぶりに行われた文科省の勤務実態調査の結果が施策に反映されることを強く望んでおります。勤務実態調査を踏まえた給与措置等を強く要請しておきたいと思います。
 人材確保法の趣旨を正しく踏まえた本給水準の確保などの給与措置を強く求めておきたいと思います。
 教員給与について、メリハリ論がありますが、一般公務員との均衡を失するメリハリをつけるべきではないと考えます。また、教員の職務の特殊性を踏まえた特殊勤務手当を充実することを求めておきたいと思います。
 本年4月から改正労働安全衛生法が完全実施となりましたが、一部、誤解のある教育委員会や校長が存在します。周知徹底を強く求めておきたいと思います。
 1年単位の変形労働時間制については、超勤実態の固定化につながり健康破壊につながるものであることから導入に反対いたします。夏期休業期間においても、プール指導や林間学校、部活動、補習・個別指導、地域活動への学校としてのかかわり、教育委員会等による研修会・研究会・講習会も多く実施されておりまして、決して休みやすい状態ではないことを指摘しておきたいと考えます。
 地方自治体できちんと教職員給与が支給されるように、国が責任を持って義務教育費国庫負担金及び地方交付税の措置を確実に行うことを求めておきたいと思います。また、多くの自治体で財政難を口実にした給与カットが行われております。教職員の人材確保に支障が生ずることが危惧されます。こうしたことが生じないよう、義務教育費国庫負担金の2分の1復元と、給与の国準拠制復活の実現を最後に強く求めておきたいと思います。

【委員】

 教職調整額を一律に支給していることについて批判があるわけですけれども、例えば、休職者とか、明らかに時間外勤務をしていない人を除いて、それ以外の人を一律に教職調整額の支給率を引き上げるということについてはどういうふうにお考えですか。

【日本教職員組合】

 超勤実態調査34時間というのが出てきておりますから、40年前の8時間で考えれば4倍超という形でありますので、やはり引き下げるということじゃなくて、給特法の精神にのっとって引き上げる方向で、最低2倍あたりは定数改善との整合性とセットで考えていただきたいと思っています。

【委員】

 時間外勤務手当との関係ですけれども、どちらを優先に考えますか。

【日本教職員組合】

 日教組としては時間外勤務手当を目指しているわけです。

【委員】

 教職調整額の一律の引き上げよりも時間外勤務手当ということですか。

【日本教職員組合】

 そこは財源確保の大きな課題が出てくるかと思います。ただ、先ほど意見を申し述べたとおり、一般自治体職員が7パーセント、消防が8パーセントで、警察が13パーセントとありますから、そういう交付税措置ができるかどうかということがまた課題として残ると思います。

【委員】

 部活動のことについて、現状の教職員の主体的な自主的な判断に任せ、それを維持すべきだということをちょっと示されたのですが、日教組としては、そのことがさまざまな教員に対する過重負担を強いているというふうには考えられませんか。というのは、部活動をもつ人ともたない人にかなり労働の差が出てきているんですね。これは日教組としては、本来、教員の行う業務の中で部活動というのはどんなふうに考えておられるのか。教科指導はもちろん教員の本来の仕事だというふうに思われると思いますが、部活動ということについてはどんな見解なのか、ちょっと聞きたいのですが。

【日本教職員組合】

 部活動については、先ほど述べましたとおりに、あくまで付加的な職務ということで、やはりそれが教育課程の中に組み込まれて強制されるものではないと考えております。

【委員】

 それによる教育的な効果は認めているんですね。

【日本教職員組合】

 そうですね。それは否定するものではないと思います。

【委員】

 変形労働時間制のことなんですけれども、どの校種でも多くの人はほとんどが時間外勤務していると思うんですけれども、だったらその分を夏休みとか冬休みに休めるときに休ませたほうがいいんじゃないかと思うんですね。ただ、週休日を設定するに当たっては、昔、指定休という制度がありましたけれども、例えば10日ならば冬休みに5日週休日を設定して、夏休み4日、春休み1日ぐらいにすれば、今でも年休を取る人はいるぐらいだから、それは可能ではないかなと思うのですけれども、そういう発想というのは受け入れられないですか。

【日本教職員組合】

 夏期休業中と言われていますけれども、学校現場はほとんど休みがないという実態報告を聞いているわけですよね。先ほど言いましたとおり、最後に述べた部分ですかね、プール指導はすべての学校に入っていますし、林間学校はもちろんあって、その学年だけではなくて、例えば小学校5年生と6年生が林間学校なりキャンプなりあったときに、職員を半分に割って、どちらかに出るという形で、それもまたきっちりある。また、補習もあるし、各種研究会がありますよね。夏期休業中しかもう今、入れられない状況でありますから、それも文科省とか行政の指定の部分もありますけれども、例えば算数だったら小算研とかがあって、それが全部ぎっしり入っているという。ほとんど休みがない。そのような中で変形労働時間制が組み込まれたときに、それで超勤がほんとうになくなるかというと、おそらくなくならないと思います。そういう実態ですよね、学校は。

【委員】

 ただ、忙しいのはわかるんですけれども、全員の子供と全員の職員が毎日出てきているわけではないと思うんですね。だから、交代で休める人は休めるときに休ませるという発想ができないかどうかということなんです。
 それともう一つは、今、夏休みは自宅研修がなくなったというか、ほとんど認めていないので、結局、勤務日としてみんな考えてしまうから、いろいろな行事が入ってくるわけなので、週休日を例えば1人4日設定することになれば、逆に行事を入れにくくなって減っていくんじゃないですかね。

【日本教職員組合】

 そのスクラップ・アンド・ビルドができれば、可能性はあると思います。

【委員】

 そういう発想をしていかないと、なかなか多忙化は解消できないんじゃないですか。

【日本教職員組合】

 ぜひ、そういう施策を、我々というよりは文部科学省はじめ考えていただきたいというふうに思います。学習指導要領の改訂で授業増になることで、一部の教育委員会や校長先生の中には、夏期休業を短くしてそこに授業増を充てなければいけないという議論もあると聞いていますので、やはりそういうことを考えると、現場だけというか、我々だけではどうしようもありませんので、ぜひ実効あることを考えていただきたいというのが私どもの考え方です。

【委員】

 変形労働時間制について、学校単位で導入するかどうかというのが選択ができるとすれば、それはどうお考えですか。8時間勤務がいいという学校は今までどおり8時間にする。忙しいときは9時間。ただ、それが年間何日まとめて休みを取れるかによりますから、上限は、200日授業日があったとしたら、そのうちの3分の1ぐらいかなと思うんですけれども。

【日本教職員組合】

 学校間格差とか出てきますから、また違った課題が出てきますから、そこの整理ができれば余地はなきにしもあらずかもしれません。
 自分たちが選択して多忙化を解消できる部分も当然あると思うんですけれども、学校はいろいろな要請がありまして、教育委員会からの要請、ほかの部局からの要請、地域からの要請、学校長の主催する研究会などもあります。やはりそういうことがあって、純粋に自分の学校だけでという状況には今、なかなかならないのではないかというように思うんですね。その辺のことをまずしっかりと実際に整理する必要があるのだろうと思います。

【委員】

 超勤手当のほうにシフトをしたいというお考えを聞いたのですが、だとすると、全額出るかどうかということは、これは今の財政状況としては難しいと思うのですけれども、これは持ち帰り仕事をどういうふうに評価するかということにもよると思うのですけれども、そうした場合に仕事の量だとか質だとかいうことで当然そこに差が出てきますよね。

【日本教職員組合】

 それは差が出てきても、労基法の世界ですから、当たり前と思います。ただ、持ち帰り仕事の部分ということも無視できないんですよね。課題として現実にあるということ。例えば、小さいお子さんがいる教職員とか、介護をやっている教職員とかいますから、そういう方たちはどうしても持ち帰り仕事をせざるを得ない。そういうところをどう見ていくかということも課題として残っているわけです。

【委員】

 日教組としては、具体的にその持ち帰り仕事の中身というのはある程度分析をされていらっしゃいますか。

【日本教職員組合】

 分析までいきませんけど、実態調査はまた今年もやりたいと思っております。

【委員】

 例えば人によって、1クラスで丸つけするといった場合に、30分で終わる人もいれば、クラスのスケールの大きさにもよるでしょうけれども、2時間かかるという人もいるかもしれないし、通知表なんかだって、ベテランの人で1つの通知表を書くのに5分ぐらいで終わるという人もいれば、20分考えなければできないという人もいるかもしれないので、そういうときにある程度の標準化というか、そういうふうなことをしておく必要があるだろうと思うんですね。

【日本教職員組合】

 あります。

【委員】

 その辺のところは、そういうデータ的なものがないと、持ち帰り仕事が長ければいい──これは残業の時間もそうですけれども、長ければ何でもいいというものではないと思うんですね。そういうことについてのデータというのは、これからそろえるということでしょうか。

【日本教職員組合】

 そうですね。まず、8時間労働の勤務時間管理がきちんとできるかどうかという、まずそれを踏まえた上で持ち帰り、または超勤4項目とかありますけれども、超勤4項目以外で34時間出ている状態ですから、そこの部分はきっちり、こういう項目については超勤として認めていただきたいということは組合としては当然要求していくだろうと思っております。

【委員】

 いわゆる人事考課制度によってメリハリをつけることについてはどういうふうにお考えですか。

【日本教職員組合】

 評価制度については、日教組は5原則2要件ということで方針を出しているのですが、5原則とはいわゆる透明性、客観性、納得性、合目的性、公平性ですね。2要件というのは労使協議と苦情処理をきっちりやっていただきたいと。それを踏まえた上で、それの担保ができない場合には入れるべきではないと考えております。

【委員】

 それがある程度担保できるというようなことというのは、今の、例えば東京都も実際に実施しているわけですけれども。

【日本教職員組合】

 担保できていない中での制度になりますけれども。

【委員】

 できていないけれども、ある程度スタートしているわけですよね。そういうことに対してはどうでしょうか。なるべくそれに近づけるという形になれば。
 ある程度はやむを得ないというか。

【日本教職員組合】

 5原則2要件が担保できればですね。なかなかそれが担保できないということで、かなり厳しい状況であります。
 もう1点は、今度の国家公務員制度改革基本法が国会で成立しましたけれども、その後の労働協約締結権というのがどうなっていくのか。その中に管理運営事項としての扱いが協約の締結の要件になってくるのかどうかということも、ここ3年議論になるかと思います。どちらかといえば教職員の世界は人事考課制度が前倒しで各県、任命権者の中で入っているという状況でありますから、そこもきっちり整理しなければならないと考えます。

【委員】

 労働基準法の規定どおりの扱いをすべきだというのが基本的な考え方であるということで、それを前提として、一つはそのことと教員の職務の特殊性との関係についてどういうふうに考えているのか。つまり、ある意味、労基法の原則どおりというのは教員の特殊性を否定するような話にもつながりかねないわけなので、そこのところをどう考えておられるのかということと、あともう一つ、ちょっと細かい法律的な話になりますが、労働基準法の原則に沿って考えるということになると、持ち帰り残業を労働時間であると言ったり、あるいは部活の時間を労働時間でないと言ったりする理屈というのは、ちょっと難しいような気がしまして、その辺についてもし何か考えていることがあれば教えていただきたいのですが。

【日本教職員組合】

 悩ましいところなんです。労基法適用ということになれば、別にそこにはメリハリがあったとしても、それは当たり前の話だというふうに我々は思っていますから。ただ、部活をどうとらえるかということと、持ち帰り仕事をどうとらえるかということと、先ほど言いましたとおり、勤務時間管理ができていない状況でそこをどう整理するかという、この3点がクリアしないと、なかなか時間外勤務手当も難しいかというように思います。ただ、クリアして時間外勤務手当化するというのを日教組の方針として立てさせていただいています。
 時間外勤務手当化が基本ですけれども、やはり今の給特法があることによって、ある意味では自発的勤務ということで、ものすごく忙しくなっていると。それを何とかしてほしいというように強く思います。そういうことを考えた場合に、教員の職務は教員一人一人の自発性とか創造性に支えられているということは日教組は否定するつもりもないです。ただ、給特法があるゆえに自発的勤務ということで、それはある意味で教員はやろうとしてやっているわけですけれども、そこを、超勤を解消するなり、給与でいえばしっかりと見てほしいと。だから、逆に、給特法があることによってそういったことが何も進んでいないのではないかという強い心配があります。私学はもう時間外勤務手当の世界に入ったわけですよね。そうならば、公立学校の教員も時間外勤務手当にしたほうがいいと、そういう考え方を強くお話させていただきたいと思います。

【委員】

 次は、全国町村教育長会からご意見を伺いたいと思います。

【全国町村教育長会】

 私のところは、自治体が小さいですから、町村の代表、小規模校を抱えていると、そういう視点がかなり入ってくるんじゃないかと思うんですね。学校の組織運営について、条件整備でありますけれども、学校教育法に副校長、主幹教諭、指導教諭が位置づけられたと。実際問題としてほとんどこれがまだ学校の現場に入ってきていない状態です。これは文部科学省の予算とか、県の予算とか、県の人事委員会の勧告とか、いろいろ引っかかって、まだ全然来ていないと。埼玉県には市町村教育委員会が発令しているペーパーの主幹教諭がいるんですよね。225人ばかりいるんですけれども、今度は県が発令になりますから、そうなると、これがずっと規模が小さくなって、小規模校には配置できなくなる心配がある。要するに、大規模校しか主幹教諭がいないということになりかねない。これは一つ問題かと思っております。
 それから、特に小学校の教員が非常に酷使されていると思います。6時間、5時間連続授業をやって、休憩時間も取れないと。それから、終わってから子供の作品を見て、その日に返すということで、これはかなり重労働であると私は思っていて、結局、これを解消するためには、やはり教員数を増やすほかはないだろうと。
 現代的な課題に対応するための新たな機関・スタッフの配置ですけれども、例としてIT化への対応、業務のIT化の推進ですね。それから、保護者の不当な要求に対応する際の理論武装とするために、スクール弁護士と言ってはおかしいですけれども、そういうふうなスタッフが要るということです。
 それから、新たな職の配置ですけれども、職務を支援する新たな職務として、学務事務とか教材作成とか成績処理、文書作成、教育指導に付随するさまざまな教務を担当する職、そういうふうなものを配置していただければということです。
 教員が現在行っている業務の、他の組織への委譲についてです。学校の業務のスリム化というのは何年も前から言われていました。結局、スリム化じゃなくて、逆にビルド、ビルドというような形でどんどん増えているのが実情です。学校評価とか人事評価とか、教員免許の更新とか、いろいろな面で学校の業務は増えているので、何とかこれをスクラップ・アンド・ビルドにしていかないと、ビルド、ビルドでは、学校がどうしようもなくなってしまうということです。
 委託が可能だとすれば、教材費とか積立金とか給食費──この給食費が今、大問題なんですね。これは議会でも、どうして取りにいけないのかと聞かれます。これは結局、校長を通して教員がやりますから、教員は10時過ぎにあちこち出かけていって、これを取ってくると。教材費とか積立金とか給食費、こういうものをだれか外部に委託できればと思います。
 それから、次に難しいのは、準要保護と要保護の事務でございます。これもかなり手間のかかる事務だと思います。
 それから、学校基本調査の業務、それから学校の施設の修繕等の管理に関する業務、それから健康診断ですね。これ、学校が始まってすぐ一斉にと始まるわけですね。これを長期休業中に医療機関か何かを指定して、そこへ教員が引率していって行うようにしてくれればと思います。
 それから、作文とかポスターなどの作品募集に関する業務も外部委託にできればと考えます。
 教員の勤務とその処遇についてです。教員の勤務時間管理の適正化に係る課題と解決のための方策と、いわゆる持ち帰り業務に関して、教員の負担軽減の観点から、必要な対応についてと、これは同じ根っこですのであわせて議論します。同じ学校でも、小・中と比較して、幼・高・大の勤務実態はどうかと。これは特に小は非常に過酷です。私どももむしろ小学校の教員に給与をうんと与えて、そこで頑張れば、後になってそんなにお金を使わなくても済むのではないかと。かえって小学校が無理しているから、小学校が半端なままでどんどん中学、高校と上がってくるから問題があるのではないかと。いずれにしても、過酷な勤務実態が取りざたされるのは小・中が圧倒的であると。それは、単に発達段階の違いではなく、社会が学校に期待する事柄の絶対量の違いであると。これはもう圧倒的に小学校、中学校に対しての社会からの要望というものが多いということですね。小学校の教員の持ち時間数を減じて、十分、児童と向き合える時間を確保することです。これが今、一番学校にとって必要かなと。今、6時間から5時間やっていますから、2時間ぐらいは子供と向き合える時間というのを確保して、小学校の教員の持ち時間数をもう少し減らしてほしいと、そう感じます。いずれにしても、業務量の削減・委譲というのはわずかで、そんなに大きくはできません。結局、最終的には定数改善を敢然とやっていただきたいということなんですね。
 それから教員の能力・実績に応じた処遇のメリハリのある給与体系についてです。考え方としては結構だと思います。ただし、給与査定の根拠となる能力・実績をだれがどう査定するかが問題です。校長にその最終責任を持ってきたのでは制度は形骸化するだけです。現場の混乱は大きい。今の人事評価でもそうですね。全部Aで持ってくる校長もいれば、全部Bで持ってくる校長もいるのが実態です。つまり、人情としては、自分が最終責任者になりたくないわけです。これが客観的な事実に基づいて、だれもが明らかな事柄について決裁するならともかく、教員の能力・実績といった不確実性を含む内容の場合、かつての勤評がそうだったように形骸化するのは、目に見えると言うとちょっと極端ですけれども、いずれにしても校長が、これができないと言ったら校長の資格がないじゃないかと、そこまで言っちゃえばおしまいですけれども、実際に私も県教委の仕事をして、校長の評価、それから教育長や我々がする評価も、ほんとうに、例えば学校が50校あると、校長の評価がAとかBとか、全部同じになる例がある。こんなばかな話があるかという話をね。全部Aで出す。市によっては全部Bだと。そういうのが出てくるわけですね。結局、最終的に校長にそこまで要求するのが無理じゃないかなと。だから、メリハリをつけるのは賛成だけれども、それが客観性を持ってできるかどうかが課題です。
 これが一番難しいんですね。これが人事評価で最終的には処遇に影響を与えるというと、今それができないでストップしてしまっている状態ですよね。行政職の場合は、仕事はある程度きちんとしていますよね。教員の場合は何が起こるかわからないと。そこへぽんぽんぽんと勤務が延長していくというところがありますので、この基本的な考え方には賛成ですけれども、形だけになってしまって、誰もがAで出てくるのでは、もう話にならないと思います。
 それから、教員の負担改善のための、部活動指導に対する対応についてですけれども、部活動は地域の社会教育とか社会体育へ全面的な移行すれば、大分教員は楽になると思います。これはそういう方向で考えていただければと思います。
 部活動を一生懸命やっている者もいるし、またしようがないからやっていると、そういう者が一番、保護者の不評を買うわけですよね。教育に不熱心であると。だから、部活動が教員の職務として非常にグレーゾーンに位置づけられているということですね。給料外でありながら、やらなければ肩身が狭いと。いいかげんにやっていると、これは一般の保護者からもいろいろ批判を受けると。
 それから、時間外勤務について、一律の処遇を見直し、時間外勤務にふさわしい手当を支給すべきということですけれども、これは考え方としては反対です。教員の仕事は、その質を高めようとすれば際限がないと。多くの教員はその質を高めて、保護者、生徒の信頼にこたえるため、正規の勤務時間を度外視して奮闘している。それらは教職に対しての使命感、責任感から来るもので、決して金銭的な動機づけからではない。しかし、職務の専門性、特殊性から、それなりの待遇がなされているところ、これは人確法の精神ですけれども。先ほど言ったように、やはり私は教職調整額は継続していかなければならないと考えます。
 次に、ほとんど時間外勤務をしていない教員に4パーセントを支払うことが適当ではないという意見ですけれども、ほとんど時間外勤務をしていない教員というのは、どんな教員を指しているのか分かりません。例えば女性教員なんかは、自宅に持ち帰って仕事しているわけです。これ、特に、女性教員なんかは、終わるとすぐ帰るんですよね。しかし、いっぱい荷物を持って帰って、家に帰って、だんなにやってもらう、おじいちゃん、おばあちゃんにやってもらうと。そうしないと、もう続いていかないわけです。だからね、子育てを支援するなんて言っても、理想と現実はかけ離れています。そういうふうな仕事を与えておいて、それで子育てとか、もっと子供を増やせと言っても、とてもできない。これはほんとうに過酷なまでに大変なことなんですね。
 時間外勤務というのが給特条例7条を適用した命令に基づく勤務という狭義な定義によれば教員の時間外勤務というのはほとんどないわけです。これはもうできるだけ時間外勤務をしないというような運用上の扱いがありますので。だから、問題なのは、教員の自発的な時間外勤務です。
 それから、仮に教職調整額を廃止して時間外勤務手当を導入する場合の課題と対応策についてと、それから時間外勤務を導入する場合、その必要な準備とそれに要する期間についてです。これは問題点ですが、教員に、お金のために仕事をするという姿勢を植えつけることにはならないかということですね。時間外勤務の管理監督を誰がするのか。これは非常にまた校長に大きな責任と大きな仕事を与えてしまうんですね。校長は今、大変です。人事評価で授業には度々行くし、それから教職員とも話し合いをするし、今、校長のなり手がだんだん少なくなってきているのが現場では現状です。校長・教頭がすべてを管理監督することが果たして可能かと。書類の上だけなら可能かもしれないが、ほんとうに必要不可欠な業務なのかどうか、やったほうがベターな業務なのか、どちらでもよい業務なのか、その見極めが極めて難しいわけです。 財政上、時間外勤務手当の財源に上限が設定されると、その範囲内での時間外勤務手当だけが認知されることになる。教員には、その教員でなくては対応できない職務の特殊性、専門性があると。何らかの事情で仕事を持ち帰るということもあるということです。
 対応策としては、私は、教職調整額を減額して4パーセントを3パーセントぐらいでもいいと思うんです。減らした1パーセントをメリハリ用にして、教職調整額を維持していただきたい。その際、時間外勤務手当を支給する際の対象となる業務を運用で厳格に規定していかなかったら、これは問題になってくるんじゃないかと。いずれにしても、教職調整額を廃止して時間外勤務手当だけとなった場合は、教育の将来に大きな禍根を残す恐れがあります。
 それから、その他として、米百俵の精神ですね。制度をいじるだけでローコスト・ハイリターンを望んではいないかと。金をかけないで制度をいじるだけでは、教育はだめになってしまう。
 それから、最後ですけれども、変形労働時間制ですけれども、絶対の仕事量は減らないわけですよね。夏休みには夏休みの仕事があるわけです。あとは、普通の仕事があるから、それを形だけ、例えばここに書いてあるとおり、課業中を9時間にして、長期休業中を6時間にするとか、そういうような変形をやっても、絶対量は変わりません。
 特に、私も最近心配しているんですけど、夏期休業中で、小規模校ですから、担任外というのは2人ぐらいしかいないんですね。各小学校でね。免許の更新に初任研、5年次、10年次研修とありますので、学校が夏休みにはからからになっちゃうんですよ。これでは子供たちと向き合う時間もなければ林間学校のような行事もできない。その免許の更新に合わせて人事配置をしていないから、うっかりすると全員が抜けてしまう。そういうことがあるので、変形労働時間制というのは基本的にはちょっとなじまないのではないかと。

【委員】

 教職調整額を減額してでも維持しつつ時間外勤務手当を導入するとありますけれども、これはむしろ、時間外勤務手当に関してはあったほうがいいということでないわけですね。基本的に反対ということなのか。どういう位置づけなのでしょうか。こういう形であれば、時間外勤務手当はむしろあったほうがいいといくことでしょうか。

【全国町村教育長会】

 教職調整額を残していてくれれば、教職調整額を減額しても、減額した分で時間外勤務手当というのをつくると。その際には厳格にやらないと、また校長が困りますよね。お金の問題もあります。やはり教職調整額というのは残していただきたいと。

【委員】

 そういうものであれば、むしろ時間外勤務手当はあったほうがいいというお考えですか。

【全国町村教育長会】

 そういうふうにも考えられますね。

【委員】

 具体的に、厳格に限定する勤務の中身というのは、どういう意味合いでしょうか。

【全国町村教育長会】

 これはかなり難しいと思うんですね。どれが時間外勤務手当に値するかというのを、全国的にはっきり規定していかなかったら、各校長が各自認めていったら、大変なことになると思うんです。一律の教職調整額は3パーセントにして、あとの1パーセントは、教員の努力を認める時間外勤務手当にするというのも、私はいいと思うんです。

【委員】

 なければ私のほうからお聞きしたいのですけれども、部活動の社会教育への移行の話とか、あと、学校として部活動を教育活動として位置づける際には、外部指導者委嘱などを考えるとしても、やはり管理責任まで委託できないというところで、学校側、教員側の負担というのはあまり変わらないというのが指摘されていて、私もそうだと思うのです。基本的には社会教育移管にしても、或いは、教育活動の一環として学校が担うにしても、そういうふうな教員側の管理責任、負担を軽減させるための措置というのは、やはり町村の教育委員会の果たす役割がかなり大きいと思うのですが、実際、そういうふうな取り組みとして町村教育委員会に委ねられた場合に、できる可能性というのはあるでしょうか。

【全国町村教育長会】

 社会教育にそれを持ってくるとなれば、当然、これは教育委員会の責任です。大変なことは大変だけれども、学校の業務を何とかスリム化していくとなれば、それについては私の個人的な意見になってしまいますけれども、やらざるを得ないのではないかなと。それほど学校は今、大変であるということです。

【委員】

 ここにいる者はみんな学校教育の現場が大変だということはわかっているのですけれども、一方で社会が学校教育や教員の勤務の状態などを見る目には非常に厳しいものがあるんですね。一般社会の状況から見て。そうすると、これは、例えばどこから改善するかというようなことについて建設的にやっていかないと、進まないようなことになっているんですね。一つ、私が思うのは、教職というのは割と組織というか、学校という中でやっているために、例えば責任の所在というようなことを考えると、一人一人の教員の教職に対する認識の差というか、そういうのもあることはあると思うんですね。そこである意味で軽重をつけるようなことをやっていくことを考える必要があると。学校全体としてものすごく忙しい、先生方もみんな忙しいけれど、一人一人を見ていくと、やはり差があるということですね。

【全国町村教育長会】

 ほとんど仕事をしない教員もいますよ。できないんですね、能力がなくて。だから、そういう教員はどんどん分限処分してもいいと思います。

【委員】

 そういうところが、やっぱり厳しい目があるんですね。だから、そこでもう少し改善できるところがあるのではないかと。

【全国町村教育長会】

 指導力不足教員への対応を徹底的にやるのが一番効果があると思います。
 指導力不足教員というのが一番目立つんです。その少数のために大多数の教員が、だめだって言われているんです。

【委員】

 その指導が不適切な教員に対して、人事管理システムのガイドラインというのが今度できたんですね。そういう点について各学校、あるいは市町村教育委員会が協力して、適切に管理するというようなことが盛り込まれています。その辺は浸透しているのでしょうか。

【全国町村教育長会】

 あまり浸透していないんのではないでしょうか。

【委員】

 小学校の教員が特に過酷であると。この過酷さを改善するには、定数改善をして、そして人員を中学校並みなりにもう少し上げていくと。こういうことしか方法としては難しいのかというふうに思いますが、そういうふうにして校種によって、例えば教職調整額の配分を変えるとか、時間外勤務手当はなかなか小学校の場合は見えづらいと思うので、そこについてはどういうふうにお考えですか。

【全国町村教育長会】

 いいのではないでしょうか。高校と違って、小学校は持ち時間数が多すぎます。教職調整額を学校種別にして、小学校を一番高くしてもらいたいと思います。全部が4パーセントじゃなくて、小中高に分けて、その範囲内でおさめればいいわけでしょう。とてもいいアイデアだと思います。

【委員】

 そうなったときに結局、市町村教育委員会は、小中高を管轄していて、おかしいじゃないかということに対してはどうですか。時間外勤務として認めるか認めないかで非常に悩むのと同じように、今度、教職調整額の支給率が明らかに違ってしまったときに、校長が悩んでしまわないかということなんですが。

【全国町村教育長会】

 小学校、中学校の勤務実態を見れば、高校は教職調整額は下げていいと思います。

【委員】

 いろいろな考え方がありますけれども、持ち時間数でははかれないですね。高校生といったら、ある意味では大人だから、扱いの難しさとかがあったりすると思います。それから実際に人事なんかをやっていると、むしろ高校から中学、中学から小学校へ希望する人がむしろ多いです。これだけ忙しいということがわかっていても。働きやすいということで女性が集まるということもあるので、一概にそう言えないように思うのですが。

【全国町村教育長会】

 高校の場合は、1つの科目を予習すれば、横へずっとつながるわけですね。小学校は朝からみんな新しいので、準備の時間などは大きく違いがあると思います。

【委員】

 最後になりますけれども、全日本教職員組合からヒアリングを受けたいと思います。

【全日本教職員組合】

 私たちは、教職員の勤務状況は、国による30人学級の実施、抜本的な教職員定数増なしには改善の方向は見えてこないと考えています。今回の教職調整額の見直しは、教職員の勤務実態と密接な関連がありますから、学校現場の現状と、検討されるべき課題について述べさせていただきます。
 第1に勤務時間管理とそれにかかわる諸課題についてです。まず、学校についても勤務時間管理を適正に行うことが必要だということです。2つ目は、学校職場にはタイムレコーダーもなく、勤務時間の観念も希薄ですが、改正労安法によって、労働時間の適正な把握が具体的な課題になっているということです。この取り組みをすべての学校職場で徹底することが必要だと考えます。
 また、労働時間の適正な把握の課題にかかわっては、持ち帰り仕事の問題もあります。持ち帰り仕事が恒常化しているという、その実態は解消されるべきです。本来、持ち帰り業務はないことが当然とされなければいけませんし、情報漏えいの問題からもなくすべきでありながら、現実的には余儀なくされているものと考えています。したがって、何より大事なのは、持ち帰り仕事をする必要がないように教育条件を改善することだと考えています。
 3つ目は、1年単位の変形労働時間制の問題ですが、これは異常な長時間労働の実態を隠ぺいする危険性があります。一方、教職員の多忙を解消する方策の一つとして、各都道府県教育委員会においては、割り振り変更などの運用があり、これには課題もありますが、一定の有効性も評価できるものだと考えております。
 第2に、教員給与水準についての考え方について申し上げます。処遇の基本は地方公務員法にあるとおりですが、あわせて総務省の研究会報告でも、人材を確保する観点と職務と責任に応じたものとすることが最も明確で、公務内外の納得性も高いとしている点は、重要な視点だと考えています。これらの点から改めて教員の処遇を検討する際、まず、その職務と責任に応ずるよう給与水準が確保されるべきで、今回の教職調整額の検討に当たっても、少なくとも現行の給与水準が引き下げにならないということが必要だと考えています。
 ところが、財政当局は教員給与について、一般行政職を上回る部分を確実に縮減することを求めています。しかし、教員は教員免許状が必要な職種である上に、免許更新制の負荷が新たに加わりました。さらに、教育公務員特例法の適用を受け、1年に及ぶ条件つき採用期間などもあります。機械的に給与額だけで教員と行政職員を比較する乱暴な議論は断じて認められません。
 それでは、どのように職務と責任に応じたものにしていくのかということになります。給特法がありながら、実態としては法が定める制限は機能不全に陥り、逆に際限のない超過勤務を許す法的根拠ともなっています。私たちは教育職員の職務と勤務態様の特殊性を否定するものではありませんが、無定量な勤務に歯どめをかけるためには、労基法37条を適用除外にしている現行給特法を抜本的に見直す時期に来ていると考えます。私たちは一貫して、専門職として不可欠な自主的研修など、時間計測が困難なものの見合いとしての定率の給与措置を確保した上で、測定可能な超過勤務に対して労基法37条に基づく割り増しの時間外勤務手当を支給すべきと主張してきました。しかし、時間外勤務手当制度が、もし教職調整額が全廃される中で極めて限定された予算で実施されるならば、賃下げにしかなりません。そうしたことにしないためには、自主的研修や教材研究など、時間計測が困難なものに見合うものとして、新たな職務手当の新設、または時間外勤務手当の中に一律支給部分を確保することなどが考えられます。ぜひご検討ください。
 第3に、時間外勤務手当制度導入にかかわる諸課題について述べます。前提としては労働基準法に定められている原則にあるわけで、労働者に時間外勤務を強いないということです。その上で1つ目は、時間外勤務はあくまでも校務のため臨時または緊急の必要がある場合と定められているわけですから、慢性的な超過勤務を解消する業務の縮減と定数増が不可欠だということです。
 2点目は、時間外勤務の実態に見合う必要な予算を確保することです。これがなければ違法なサービス残業が放置されることになってしまいます。
 3点目は、教職員の自主性と創造性が尊重される学校職場にふさわしい時間外勤務手当制度を確立することです。そのため、手続は事後確認を基本とします。管理職が勤務時間把握を通じて教育内容に介入、干渉することがあってはなりません。
 4点目は、教職員の健康及び福祉を害しないように、時間外勤務の上限を設定するとともに、特定の教職員への業務の偏りをなくし、健康状態などに十分配慮することが大切で、これらを労基法36条に基づいて書面で協定を結ぶことが必要です。
 次に、時間外勤務手当制度における対象業務の範囲についてですが、原則として私たちは、子供と教育にかかわる測定可能なすべての超過勤務を時間外勤務手当の支給対象にすべきと考えます。しかし、それに見合う予算が確保されなければ、サービス残業が横行するだけとなります。現実には予算の制約がある以上、教職員間で不公平感が生じないようにしなければ、円滑な学校運営が困難になります。そこで、学年会議など、校務の運営や教育活動のためにやむを得ず勤務時間外に集団的に取り組まれる業務の中から、現行の超勤4項目を考慮すること、その際、教育関係団体との合意を踏まえて対象業務の範囲を定め、予算の拡大に伴って計画的、段階的に対象を拡大することが妥当だと考えます。
 その際、時間計測が困難なものを含めたすべての業務を時間外勤務手当の支給対象にできない以上、制度の円滑な導入のために、当面は現行水準を一律部分として確保し、一律部分プラス実績方式とすべきです。また、持ち帰り業務については、時間外勤務手当制度を導入した場合も、特別なケースを除き対象外とすべきです。部活動については資料に書いたとおりです。
 次に、教員の処遇についてはメリハリづけが強調されていますが、総人件費削減政策のもとで、限られた予算の範囲内でメリハリをつければ、一部は賃上げとなりますが、多数は賃下げとなるものです。残業時間に応じたメリハリというなら、時間外勤務手当制度を導入すべきです。
 学校運営とその他の事柄について述べます。地域のボランティア等の活用に一定の有用性はありますし、スクールカウンセラーの全校配置も進められるべき重要な課題だと思います。しかし、同時に、導入されたところでは問題も出ています。また、地域の人がかかわることから、子供たちの個人情報という点からも心配があります。少なくとも外部の専門家や地域のボランティアの導入に当たっては、教職員の理解と納得が決定的な条件だと考えます。また、教員の、子供と向き合う時間を確保し、教育に専念できるようにするためには、非正規教職員の増加という問題もあります。事務職員の体制強化や保安的な業務等にかかわる職員の体制強化も必要です。また、学校が組織として問題解決に当たるためには、校長を中心としてすべての教職員が協力、共同することが不可欠です。
 しかし、処遇とリンクさせる教職員評価は、協力、共同の関係を困難にするものですし、主幹教諭等の新たな職の設置によるピラミッド型の運営体制は、教職員相互の意思疎通を欠き、学校として抱えている問題や課題を教職員全体で共有して解決していく上でマイナスにしかなりません。学校が組織として問題解決に当たる体制の構築のためには、まず学校の運営体制の基本を構成している校務分掌上の係や委員会、及び学年会等が民主的に機能していくこと。そして、何より職員会議が真に教職員の協議の場となっていくことが重要だと考えます。
 最後になりますが、学校現場では休職者統計以上に実態として精神性疾患が急増しています。これは人的にも財政的にも大きな損失です。今回の見直しが学校現場でひたむきに奮闘している教職員を励ます制度となるよう、心から要望し、意見発表といたします。

【委員】

 「教職調整額が全廃されるなかで、きわめて限定された予算で実施されるならば」という文言の後に「そのため、自主的研修や教材研究など、時間測定が困難なものに見合うものとして、新たな職務手当の新設、または、時間外勤務手当の中に」とありますけれども、これは教職調整額を廃止して、基本的には時間外勤務手当で行う。しかし、自主的研修とか教材研究など、持ち帰りも含めて、そういう、いわゆる自発的、創造的な教師の勤務というのは、なかなか時間管理が難しいということで、その部分については新たな職務手当、例えばここでいえば研究手当とか、そういうものをつくって時間外勤務手当と二本立てのような仕組みをつくるというふうなこととして理解してよろしいのでしょうか。

【全日本教職員組合】

 それもございます。教員の職務に見合う定率の手当の考え方というのは、決して1つではなく幾つかあるというふうに思っています。今おっしゃったのは、私たちも考えている一つの方策です。
 現行の給特法の中で教職調整額をやめて時間外勤務手当制度を入れたときに、法の中では矛盾してしまうということが、法的には起きるというふうに私たちは認識しておりまして、そうした場合に定率分をどのような考え方で、実際は計測できない部分の問題とか、極めて専門職性に見合うものとかいったものは当然あると思っておりますので、新たな手当制度の検討もあるだろうし、また、時間外勤務手当制度を導入したときに、一定部分を共通部分とみなすこともあるだろうし、本給そのものの水準ということもあるのかもしれません。ただ、本給そのものの水準改善は、私たちは見えづらいと思っていますので、今回の意見発表としては、職務手当的な新たな手当の検討というのも一つではないかというふうに書かせていただいたわけです。

【委員】

 そうすると、今のところと、部活動指導についてのところに一律部分プラス実績方式というふうな提案がありますよね。これは、全く違った考え方の提案ということですか。

【全日本教職員組合】

 いえ、違います。同じものです。一律部分を確保した上でプラス実績方式という考え方です。その一律部分の考え方に大きくは2つあるのではないかということを申し上げているわけです。

【全日本教職員組合】

 私たちは一貫して時間外勤務手当を導入すべきだということを主張してきましたけれども、やっぱり教職には自主的研修だとか、教材研究など、時間管理把握になじまないものがどうしても残るのではないかと。そこをどうしたらいいかというのは、私たちも悩みどころで、なかなかいい知恵がなくて、考えられるのは、今、説明しましたように、新たな職務手当的な方法もあるだろうし、すべて時間外勤務手当制度にした場合でも、そういうものに見合う部分が一律的には残るのではないかという、そういう私たちの検討の途上を「考えられます」ということでここに書きました。
 そして部活動のところで提案している中身は、時間外勤務手当制度として割り切った場合の私どもの考えということで、私どもの立場はそういうふうに統一していると。

【委員】

 ただ、学校というのを一くくりはできないと思うんですね。小学校、中学校、高等学校、あるいは特別支援学校ということとか、いろいろ勤務の実態等が違いますが、例えば全日本教職員組合としてはその辺のところをどんなふうに見ておられるかということです。
 それから2つ目は、確かに一つ一つはわかるんですが、一方で社会の学校に対する、あるいは教員に対する厳しい見方があるということは認識しておられると思いますが、給与改善とか、あるいは定数増を大幅に要求するというのは、今の時代ではなかなか難しいところですね。もちろんそれができれば一番いいんですけれども、そういう状況の中で、例えば学校における教育環境を整備する、あるいは勤務状況等について改善するというようなことについて何か考えておられるようなことがあるかどうか。

【全日本教職員組合】

 学校種での違いがないとは思いませんが、そういう議論は私ども、まだ内部でやっておりませんので、こういうふうな違いでこういう、例えば定率の職務手当に差をつけるべきだといったことまでは全然考えておりません。現時点では。それが前段です。
 後段は、ご指摘のとおりだと思いますが、私、一方で、極めてこの間、教訓的だと思うのは、医者の問題ですよね。医者というのは、処遇というか給料としては一般的には極めて高いわけですよね。一般の日本の社会の中で。しかし、今、医者の不足の問題なんかも、あれだけ社会問題になり、そして医者の数を増やさなければいけないということで、大きく厚生労働省も動き始めているといった、この事実をどう見ているかということと、実は教員の問題というのはつながるところがあるんじゃないかなと思っておりまして、おっしゃられたように、教員の給与改善の問題なんかが社会的なバッシングに遭うんじゃないかということはあると思います。ただ、そのことが子供たちとの教育とのつながりね、どういうプラス面があるのかということを文部科学省や私たち職員団体なども含めて、社会に押し出していけるならば、決してそれは乗り越えられないことではないと考えています。

【委員】

 「持ち帰り業務については、時間外勤務手当制度を導入した場合も特別なケースを除き、対象外とすべきです」と書いてあるのですが、特別なケースとはどんなことでしょうか。

【全日本教職員組合】

 これは、当該の学校長の判断で、どうしてもやってもらわなければいけないといったことが、まれに生じないとはいえないと思っているわけです。ただ、前提としては、最初に意見表明しましたように、持ち帰り業務そのものがなくなることが私たちの考え方の前提なので、そういった考え方からすれば、対象外とするのが私は当然だと考えているのですが、ケース・バイ・ケースで「どうしてもこれ、あしたまでにやってもらわなければ困るんだ。家でやってきてくれないか」ということが、その特殊な状況の中で生じ、学校長が認めたときにそれは対象とすべきだろうと、そういったことを特殊なケースとして想定しているということです。

【全日本教職員組合】

 ここでの私たちのくだりの一番のポイントは、持ち帰り業務について、時間外勤務手当制度を導入した場合も、原則として対象外とすべきとしたというのは、かなり私たちとして議論したということなんです。教職員の中には、持ち帰りもあって当然なんだと、こういう現状があるから時間外勤務手当制度もなじまないし、時間管理もなじまないという風潮があるけれども、この現状を変えるために、私たちの意識も変える必要があるんじゃないかと。持ち帰りもやっているんだから、学校でやっている人と持ち帰る人とどこに差があるんだと。だから困難なんだという議論をね、いつまでも続けていてはだめなんじゃないか。だから、導入するとしても原則として対象外とすべきだと。しかし、そうはいっても、成績処理だとか提出期限がある仕事があって、管理職がそういうものについては「わかりました」と、「先生、お願いします」と言ったものについては、それも除外するのはあんまりだということで、「特別なケースを除き」とつけたというのが私たちの議論の到達点です。

【委員】

 「教職員の協力・共同で支える学校運営組織をめざして」というところなのですが、学校が非常に忙しいという中で、会議をスリム化していかなければいけないという、そういう方法というのはやらざるを得ないというふうに思っているんです。確かに職員会議が形骸化するようなことではいけないと思いながら、その職員会議についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。ある程度は会議の精選をし、短時間の中できちんとスリム化して行わなければいけないという考え方が今、非常に強くなってきているところですが、いかがでしょうか。

【全日本教職員組合】

 もちろん、スリム化できる部分はスリム化することは、全然、私たちは否定していませんが、教員の勤務実態調査の実態の分布を見ても、会議が教職員の負担とどういうふうにつながっているかというと、やっぱり集団的に全体でやらなければいけないものについては、かなり無理して時間外に出ることがあるにしても、その最小限にとどめながらやっぱりやっていて、教員の個人でやれるところがどんどん後ろにでてきているという分布ではないかと私たちは見ております。そういった意味では、実は、確かに定数増が困難になっている情勢ではあっても、やっぱり定数を増やさないと、個人的な部分を処理する時間というのは生まれてこないんですよね。会議そのものがどういう負担をもたらしているかというよりは、途中で幾つか細かく書きましたが、非正規採用教員が増えたり、打ち合わせの時間や調整の時間などが逆に増えてきたりしているという実態もあり、会議そのものが今の長時間労働の実態に直結しているとは必ずしも私たちは見ていません。
 逆に、若い教員の教育力を高めていく場としては、会議というのは極めて大事な側面もあって、職員会議にしても、そこで交わされる意見の一つ一つが、青年教師にとっては、直接発言しなくても、それを聞く場というのは極めて育ちの場にもなり得るわけで、そういったところを形式的にスリム化するということがいいというふうに単純には私たちは見ていない。そういうふうにご理解いただければと思っております。

【委員】

 一つは、ご報告内容の確認として、ある意味、時間外勤務手当の部分の理想というのは、労働基準法37条を適用して、民間企業の労働者であるとか、あるいは一般の地方公務員と同じにするところで、さっき出てきた職務手当の新設とか、一律支給の部分というのは、ある程度予算が現実に限られるであろうというところから出てきた話なのか、あるいは、教員の仕事というのは、やはりどこか特殊な部分があって、一般の民間労働者と違う部分が残るというふうに考えておられるのかということと、あと、もう1点なんですが、多分、我々の議論は、おそらく教員の給与に今までよりは横並びの度合をどこかで弱める必要があるんじゃないかというようなところがかなり出発点に近いところとしてあったかと思うんですけれども、それとの関係でいうと、時間外勤務手当というのも一つのメリハリの手段であるということ、それから、その後に能力・実績に応じた処遇ということで、キャリアの蓄積を踏まえた経験年数等の客観的指標による上位級昇給ということが挙がっているのですけれども、具体的にどういうイメージなのかということと、仮に何らかの差をつけるとした場合に、時間外勤務手当でいくのと、経験年数等による上位級昇給を手厚くするとか、そういう方法でいくのは、どっちがいいのだろうかということですね。

【全日本教職員組合】

 大きく2つ聞かれたというふうに理解しますが、まず、最初の時間外勤務手当に係る労基法37条適用の問題にかかわって、定率の部分を私どもが主張している、その背景として、それは予算額の全体としての限界なのか、それとも教員の勤務の特殊性なのかという、そういうご質問ですが、それは両方あるというふうにはっきり申し上げたいと思います。
 この問題についていえば、予算の限界も当然あるというふうに承知していますし、青天井の議論は当然あり得ないと思っています。ただ、それを全部超勤で考え方を整理すればいいのかというと、そうはいっても教師の勤務の特殊性はあるだろうというふうにも認識しているわけで、それは両面から整理をした考え方です。
 後段ですが、メリハリの問題で皆さんが議論されているのはもちろん承知していますし、どういうところにメリハリをつけるのかという問題ですが、時間外勤務手当制度そのものが一つのメリハリだというふうに考えています。これはもう実態に応じて対応するわけですから、間違いなく。
 同時に、経験年数で教師が蓄積していく能力というのは決して小さいものではなく、授業にしても、生徒との対応にしても、さまざまやっぱり経験年数によってキャリアを積んでいくことは間違いないわけですから、それを年数できちんと客観的に評価してあげるということは、教員にとっても非常に納得性が高くなるのではないかと考えています。今の一番の問題は、やっぱり透明性とか納得性が低いまま、評価と処遇がリンクされると、非常に疑心暗鬼が生まれたり、いろいろな困難な状態が生まれているのだと理解していますので、時間外勤務手当のメリハリでいくのか、キャリアの蓄積でいくのかというご質問について、私たちは、それは両方考えて当然いいんだというふうに思っております。

【委員】

 今のところの上位級昇給というところなんですが、主幹教諭等の導入には何か問題があるというような趣旨のことも書かれているので、具体的にどういうことをイメージしておられるのでしょうか。主幹教諭というような形とはちょっと違う新しい級を設けるということなのか、あるいはもっと違う形なのか。

【全日本教職員組合】

 それは、特2級を設けるということであれば、特2級が上位級になります。特2級がなければ、3級が上位級になるだろうと思います。それだけのことであります。主幹教諭のこととは全く異なると思います。

【委員】

 3級というのは、具体的にそうすると、教頭先生になるということですか。ここで。

【全日本教職員組合】

 給与水準としては上位級は3級だと。

【委員】

 1年単位の変形労働時間制の問題なんですけれども、教員は忙しい時期と長期休業みたいな比較的ゆとりのある期間がありますので、休めるときに休ませるべきだと思うんですけれども、ここに書いてあるように、各都道府県教育委員会において週休日の振り替えとか、あるいは振り替え期間の延長というのをやっているんですけれども、ただ、事由が限定されているんじゃないでしょうか。そうすると、すべての人が救済されるわけではありませんので、平日の日常的に時間外勤務をしている分を夏休みとか冬休みに、休めるときに休ませるというのは、私は効果的だと思うんですけれども。ただ、1日10時間なんていうのは、これはちょっと多すぎるので、1日1時間上乗せして9時間で、それも年間の上限を設けて、200日授業日がありますから、その3分の1とか、年間10日分に相当する80時間分ぐらいならば、冬休みに5日、週休日を設ける。夏休み4日、春休み1日ぐらいならば可能ではないかなと思うのですが、その辺はどうなんでしょうか。

【全日本教職員組合】

 変形労働時間制の問題で一番厄介なのは、事業所ごとに決めるという、この問題なんですよ。つまり学校ごとに変形労働時間制はゾーンで、期間で決めるわけで、そうなりますと、例えば今おっしゃられたように、9時間という考え方が例えばあったとして、4月、5月、6月、9時間ということになりますと、それはイコール拘束時間ということになりますよね。現状でいえば確かに9時間を超えてやっていらっしゃる先生もいますが、9時間以内の先生もいる。一人一人の違いというかアンバランス。それが拘束時間が一斉に学校ごとに延びるということでは、非常に逆の問題を生むのではないかということが、この変形労働時間制の問題であると。
 私たちが個別の運用に注目しているのは、個別対応できる形であれば、まだ逃げ道はあるのかなということは確かに考えておりまして、その点でおっしゃると、確かに今の各都道府県でやっておられる割り振りの変更には事由の限定もありますし、かなりまだ狭いものだということは全く同感なんですが、そこのところはもっと改善の余地はあると思います。また、どこで振り替えるかということについても、知恵を出すということはあるのではないかと思っていますが、一斉に学校ごとに、とにかくこの期間は9時間なんだということで拘束時間を決めるということに対しては、ちょっとそれは無理があるのではないかなということを思っています。

【委員】

 育児とか介護とか、個別の事情が配慮されれば、例えばそういう人は8時間勤務で、日常的に残業している人は9時間勤務とか、そういう対応ができれば受け入れられるということですか。

【全日本教職員組合】

 受け入れられるというより、考えてみてもいいですけれども、ただ、変形労働時間制はそういう制度ではないというふうに理解しておるものですから、時間外勤務手当制度との絡みも当然これは出てくる問題ですから、そこまでは踏み込んだ検討はしてございません。

【委員】

 時間外勤務手当に移行すると仮定した場合に、部活動の指導は時間外勤務手当の対象として措置するのか、それとも特殊勤務手当という形で時間外勤務手当の対象から外すというふうな考え方ですか。

【全日本教職員組合】

 時間外勤務手当の対象とはしないということです。つまり、外部からの支援を求めるときに、外部指導者に対しての何らかの手当的なもの、それを担当している顧問のほうが時間外勤務手当というような、そういった矛盾もありますし、また、クラブ顧問の指導活動そのものに対する評価の仕方もいろいろまだ現場によってはあると思っているんです。つまり、職務との関連性がどこまで整理されて、どういった形になるのかという点でいえば、やはり生徒の自主的な活動にかかわるんだという、そういった前提で部活動をやっているわけですから、私は固定的な職務定義には賛成できないと思っています。
 そうであれば、これは、今、平日、支給対象になっていないわけですから、平日も含めた特殊勤務手当として整理されるべき課題であって、時間外勤務手当とは違うのではないかということです。
 ここも非常に悩ましい、教職員の中でさまざまな意見のあるところで、かなり我々としては踏み込んだわけです。時間外手当制度を入れるとしても、部活動手当までは対象にしないと。当然、このことについての反発も組合員や教職員なんかであると思いますけれども、そこまで対象にすると、膨大な予算を確保しなければとても実現できないという問題と、それともう一つ、私たちは、外部の方にできるだけお願いしていきたいと考えているんですね。教職員がやるときは時間外勤務手当で一定の額が出るが、外部の人にはわずかな手当だと、それでは納得を得られないだろうということなども考慮して、この意見表明をしようというふうに至ったということです。

【委員】

 キャリアの蓄積を踏まえた経験年数に応じた客観的な給与というのは、現に今も、例えば年数ごとに、よほどの処分等を受ければ延伸とか何かあるのですが、そうでなければ一定に上がっていくというような制度は保障されているんですね。それは、例えば年齢が高ければ給与等は上がっていくと。
 もう一方で、組織の中での教員という、学校は組織で動くのですけれども、一人一人の教員という立場で考えると、全日本教職員組合としては、例えば個々人の教員の中に差があるという、勤務の状況とかいろいろなことで。そういう点についてはどんな見解なんでしょうか。これは、いつも学校というのはみんなでやるものだから、やはり一斉に給与等も保障されるべきだとか、そういうふうに考えられるのか、やはり頑張っている教員は頑張ってる。要するに、給与水準は一定に今、保障されているんです。それ以外のところでの個人的な能力の差とか勤務の状況等の差についてはどう考えておられるかという部分なんですが。

【全日本教職員組合】

 まず、キャリアで、今でも年齢で上がっていくというご指摘ですけれども、教育職の給料表というのは非常になだらかになってしまうのが、私は早いというふうに理解していて、必ずしも最後まで上がっている給料表だという認識は持っていないんです。とりわけ現状ではもう給与構造改革の経過期間にあるということもありますが、おそらく今、現場におられる先生方は、四十七、八歳以上の方は、いわゆる特2級とか3級に該当する職にいかなければ、一切、おそらく上がらない。そして、結局、そういった給料表そのものの構造の問題がありますから、必ずしもそんな単純には上がっていないだろうと思っていますが、ただ、いずれにしてもおっしゃる点は確かに理解できて、給料表が年齢によって上がっていく形になっているという部分があるのは、そのとおりだというふうに、それは思います。ですから、そこのところをもっと評価して、上位級につなげるような形があってもいいのではないかと考えています。
 それと、個々の差ですけれども、何をもって個々の差を見ているかというところでは、管理職の皆さんもすごく悩まれているのではないでしょうか、この問題については。私たちは、少なくとも今、残業時間に見合った部分については、時間の差の問題というのは個々の差が明らかになるわけですから、これは対象業務を整理すれば。それについては当然、差がついていいのではないかということを意見表明しているわけで、その他についてその差を認めるという評価がほんとうにはできないのではないかということを申し上げているわけです。

─了─

(初等中等教育局財務課)