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資料3

これまでの主な意見の整理(案)

(下線部は前回からの主な変更点)

平成20年11月11日

 これまでの主な意見を基に、事務局において意見を整理したもの。

1.無償化の意義及び必要性

  • 国際的にみて、日本の幼児教育に対する支出は低いのではないか。
  • 幼児教育は社会全体で取り組むべきものであり、無償化についても、国全体として一定の質が確保されるシステムを整備することが必要ではないか。
  • 日本では、高齢者に対する社会的給付と比較して、子どもへの社会的給付は少ないのではないか。
  • 下線ここから幼児教育は、就園率が高いこと、本人の選択によるものではないこと、保護者に若年層が多く収入が少ないこと、私立の占める割合が多いことなどから、高校などの他の教育段階より無償化の実施が期待されるのではないか。下線ここまで
  • アメリカでは、幼児教育の経済的効果は高いという研究成果がある。日本でも、幼児教育の効果の研究や調査が必要ではないか。

2.無償化の目的

  • 無償化の目的は、国家・社会を維持する人材を育成するための幼児教育の振興・充実か、子育てをする保護者の負担を軽減するための少子化対策か(幼児教育の振興・充実を主たる目的とする場合と少子化対策を主たる目的とする場合とでは、無償化の対象が異なるのではないか)。
  • 下線ここから一方、無償化は教育と少子化の両方の目的に合致するものであり、どちらかの目的に絞るのは適当ではないのではないか。下線ここまで
  • 多くの国では、幼稚園及び保育所を文部科学省に相当する官庁が所管しており、幼稚園及び保育所は、社会福祉政策ではなく、教育という位置づけとなっているのではないか。
  • 国際的にみると、同一の年齢を複数の役所が管轄しているのは日本の特殊事情であり、これが幼児教育の無償化を難しくしているのではないか。

3.無償化の対象(対象施設、対象年齢及び対象者の所得)

下線ここから(1)幼児教育の範囲下線ここまで

  • (幼児教育の振興・充実を主たる目的とする場合、)幼児教育の範囲を明確にすべきではないか。
  • 幼児教育の範囲については、中教審の答申では、家庭で育つ子を含め全ての就学前児童となっている一方、学校教育法では、3歳から就学前までが幼稚園での教育の対象となっている。

下線ここから(2)無償化の対象とする施設下線ここまで

  • 無償化の対象とする幼児教育とは、施設教育・集団による教育すべきではないか。
  • 幼稚園・認可保育所以外の施設等も対象に含め、広く全ての子どもを対象として幼児教育の充実を図るべきではないか。
  • 在宅サービス、通園施設、養護施設、無認可施設など、子どもの生活する場であれば、教育・療育を問わず、子育て全般について、無償化の対象とすべきではないか。
  • 質の担保がされないことを理由に、認可外施設を対象外とすると、認可外施設の子どもがより厳しい状況となるのではないか。
  • 障害児や保護を要する児童のために認可外も対象とすべきという議論もあるが、質の確保の観点からは、基準を満たす施設に援助するという考え方が必要ではないか。
  • 下線ここから認可外施設を対象とすると、制度設計が難しくなり、また、複雑な制度となるため、国民的な理解も得にくくなるのではないか。下線ここまで
  • 下線ここから無償化の機会に合わせて、認可外施設を認可施設のレベルにまで引き上げるよう、促進策を講じるべきではないか。下線ここまで
  • 下線ここから保育サービスのあり方については、現在、別途検討中であり、保育所に係る無償化については、その検討結果を踏まえるべきではないか。下線ここまで

下線ここから(3)無償化の対象とする年齢下線ここまで

  • 集団による教育とした場合には、まずは3歳から5歳を対象とすべきではないか。
  • 保育所の場合、保育の中に養護と教育が一体となっていることから、保育所を無償化の対象とする場合には、年齢制限すべきではないのではないか。無償化を優先すべき年齢を考えるとすべきではないか。
  • 日本においては、幼稚園と保育所の就園率が3歳児で75パーセント、4歳以上児では95パーセントである状況を考えると、まずは4,5歳児を優先すべきではないか。
  • 早く教育を始めると投資効果が上がるのであれば、3歳からとすることが重要ではないか。
  • 年齢を問わず、広く就学前の児童を無償化の対象とすべきではないか。

下線ここから(4)その他(対象者の所得など)下線ここまで

  • 福祉政策ではなく、教育として、機会均等、平等を目指すべきではないか。
  • 対象とする所得階層については、教育の一環として考えると、対象を限定しない方がよいのではないか。
  • 財源が限られている場合には、費用対効果を勘案してターゲットを絞る、又は段階実施とすべきではないか。
  • 所得階層別とするか否かは、(福祉政策としての)所得の再分配システムの一環として考えるかどうかにかかっている。下線ここからただし、幼児教育の行われていない層に対して幼児教育が行われるように所得再分配するのならば、所得の再分配と幼児教育の振興・充実とを同時に実現できる。下線ここまでなお、所得の再分配政策については、経済学的に言えば、下線ここから保護者にとっては下線ここまで現金給付の方が効率的である。下線ここから一般的には、下線ここまで現物給付とすることは、特別のメリットがないと難しいのではないか。
  • (少子化の影響により将来、労働人口が少なくなることを考えると、)女性が働きやすくなることにより、日本全体の生産性が上がる効果があるのではないか。
  • 保育所では、無償化の対象を4時間など時間で切り分けることは、不可能ではないか。

4.無償化の条件

(1)義務化の有無

  • 義務教育は、外部性が強く、義務教育によって日本人全体が得をすることから、無償化されている。無償化した場合、教育を受けさせない親が出てきたときには、そのデメリットが大きいならば、義務化すべきではないか。
  • 現在の義務教育は教科書に基づく教育である一方、幼児教育は教科書もなく教育方法が異なる。既に4〜5歳児の90パーセントが幼稚園か保育所に入園している中で、義務教育になじむのか。
  • 義務教育とすることと、どういう内容の教育を行うかは別の問題であり、義務教育とした場合でも、発達段階に応じた教育を行えば良いのではないか。
  • 義務化とする場合には、保育所の扱いをどうするかが難しい問題となるのではないか。また、施設には行かず家庭教育を選択する子どもをどうするか。
  • 日本では、幼児教育において私学が占める割合が多いなど外国とは異なる社会文化の状況があり、私学の自主性等の問題を踏まえるべきではないか。
  • 保護者に対して就学義務を課するのではなく、市町村が幼児教育に関して責任(義務)を負うということも考え得るのではないか。

(2)教育の質の確保

  • 教育の質が悪いと効果があがらないので、無償化は質の確保と併せて議論すべきではないか。
  • 質の確保のうち、条件・構造の質が最低基準であるが、それだけでは不十分ではないか。
  • 自己評価を考えるにあたっての基準は、保育所では保育所保育指針にあり、幼稚園では幼稚園教育要領にあるのではないか。幼稚園教育要領等は告示されており、国は、当事者評価及び当事者評価を基礎とした第三者評価により、当事者が考えることを援助する仕組みを設けるべきではないか。
  • 国として質を確保する場合には、比較的客観的な指標とせざるを得ない。学校評価と個別の園に対する支援を組み合わせて考え、その園の教育の質を上げていくことを考えるならば、自己改善をサポートする機関に依頼する仕組みをつくるということではないか。
  • 質の担保といったときに、行政が基準を定め、公的関与を行うといった仕組みとなるのではないか。
  • 質の担保がされないことを理由に、認可外施設を対象外とすると、認可外施設の子どもがより厳しい状況となるのではないか。【再掲】
  • 障害児や保護を要する児童のために認可外も対象とすべきという議論もあるが、質の確保の観点からは、基準を満たす施設に援助するという考え方が必要ではないか。【再掲】
  • 下線ここから無償化に際しては、教諭や保育士の研修の充実など人材育成のための取り組みが必要ではないか。下線ここまで

5.その他(国と地方公共団体の役割など)

  • 幼稚園と市町村の関係を強化する必要があるのではないか。(児童福祉法上、市町村に保育サービスを提供する義務があるが、私立幼稚園は都道府県の所管とされており、法律上市町村の関与がないため、住民に近いレベルで幼児教育を総合的にみることができていない。保育所のように、市町村に対して幼児教育の機会を提供する義務を課す必要があるのではないか。【前掲「4.(1)義務化の有無」参照】)
  • 就園奨励費を出していない市町村があるが、問題ではないか。(幼児の就学機会に地域格差があっては不平等であり、例えば、就園奨励費の法定化を検討するなどの必要があるのではないか。)
  • 諸外国では、私立学校であったとしても、公的な教育の一部分を担っていることから、無償化の対象としている。
  • 幼稚園の専門性を求めるのであれば、職員の待遇改善が必要ではないか。他方、経営の観点からは、勤務年数の長い職員が多くなると、経営上厳しくなる。
  • 無償化の対象経費としては、人件費など教育の根幹となる部分とするべきではないか。(例えばクレヨンなど個人の私物になるようなものや、スクールバスなど個人の事情によるものは対象から外すべきではないか。)
  • 無償化は、保育サービスという捉え方であれば、事業主拠出を含めた財源となり、幼児教育という捉え方であれば税財源ではないか。
  • 幼児教育の無償化は将来に対する先行投資であるが、その実現のためには、幼児教育の重要性を国民に理解していただくことが不可欠であり、啓発に取り組むことが重要ではないか。