資料6 今後の全国学力・学習状況調査結果を用いた分析について

平成21年3月

(分析項目の例)

1.教育施策の効果の改善や効果の検証に関する分析

  • 読書に関する学校の取組等と児童生徒の学力や学習状況等に関する分析
  • ICTの整備状況、活用状況等と正答率等に関する分析
  • 習熟度別少人数指導の効果に関する分析

2.効果的な指導方法等に関する分析

  • 特徴的な調査結果を示した学校の取組事例
  • 質問紙項目を基に学校を類型化し、教育効果との関連を分析し、現場に対して学校運営や指導改善に向けた情報を提供する。
  • 各学校が自らの学力・学習状況を視覚的に把握できる手法(全国学力・学習状況調査結果チャート)の発展
  • 地域の特性に応じた効果的な指導方法等に関する分析等
  • 学力の形成要因モデルの構築に向けた分析

3.都道府県・地域の特性などに関する分析

  • 特徴が見られる都道府県等を対象として、追加的な分析や実地調査を行い、これらの地域等の教育施策等の特性や課題を探求
  • 就学援助を受ける児童生徒が在籍する率が高い学校で成果をあげている学校の特性に関する分析

4.効果的な調査分析手法の開発、追加調査データや都道府県等が保有するデータを補完的に用いる調査分析手法の開発等

  • 都道府県等が独自に行う学力調査結果等を効果的に接合する手法の開発等
  • 個人情報を保護しつつ保護者に関する補完調査を行う手法の開発及び学力差の是正方策に関する調査研究
  • 平成22年度調査結果と平成19年度調査結果の効果的な比較分析

 

 


 

 分析項目の例(案)

1.教育施策の効果の改善や効果の検証に関する分析

 1.読書に関する学校の取組等と児童生徒の学力や学習状況等に関する分析

  •   読書を通じた読解力や言語力の育成の意義を実証データによって確認し指導等に生かすため、読書に関する学校の取組等が児童生徒の学力や学習意欲、読書習慣等に与える影響の分析や、読書習慣が児童生徒の学力及び学習状況に与える影響の分析を行う。(平成22年が「国民読書年」とされた趣旨も踏まえ分析を進める。)

 2.ICTの整備状況、活用状況等と正答率等に関する分析

  •   ICT環境の整備やITCを活用した指導の効果を実証的に解明するため、文部科学省「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」の結果を補完データとして用い、教育用コンピュータの整備状況、教員のICT活用指導力、ICTを活用した授業の実施状況と児童生徒の学力や学習状況との関連を経年比較も含めて分析を行う。

 3.習熟度別少人数指導の効果に関する分析

  •    教科の正答率や児童生徒の自尊感情などの関心・意欲・態度と習熟度別少人数指導の関係について、年間授業時数の割合や経年的な傾向の変化等を含めた多面的な分析を行う。

 

2.効果的な指導方法等に関する分析

 1.特徴的な調査結果を示した学校を抽出し、その取組を事例集としてとりまとめる。

  •   特定教科の正答率が高かった学校、正答率の低い児童生徒の割合が低かった学校、国語の記述式設問の無回答率が低かった学校、算数・数学の特定領域の設問に係る正答率が高かった学校、経年的に正答率が著しく向上した学校など、特徴的な調査結果を示した学校の取組の特性等を、市区町村教育委員会へのアンケート調査やヒアリングなどを通じて分析し、その優れた取組等を抽出し事例集としてまとめる。

 2.質問紙項目を基に学校を類型化し、教育効果との関連を分析し、現場に対して学校運営や指導改善に向けた情報を提供する。

  •   学校質問紙の項目について、「学習態度」、「独自の教育活動」、「地域のサポート」、「研修」等の質問群に分類・類型化するとともに、教育方法との関連の解明に重点をおいて分析する。さらに事例研究も行い、どのようなタイプの学校がどのような教育効果を得られるかなど、学校運営に示唆を与える情報や「全国学力・学習状況調査結果チャート」における分析を裏付けるデータの提供を目指す。

 3.各学校が自らの学力・学習状況を視覚的に把握できる手法(全国学力・学習状況調査結果チャート)の発展

  •   各学校等が視覚的に自らの児童生徒の学力や学習状況等の特徴を把握することができるよう、教科に関する調査及び質問紙調査の結果から算出したスコアをチャートを用いて表現する「全国学力・学習状況調査結果チャート」による分析手法を発展させる。

 4.地域の特性に応じた効果的な指導方法等に関する分析等

  •   国勢調査、企業統計調査、土地利用用途等のデータと連結して学校や地域の周辺状況と効果的な指導方法等との関係を分析する。さらに典型的な地域・都市を抽出し学力層の変化などを調査分析する。

 5.学力の形成要因モデルの構築に向けた分析

  •   効果的な学習指導に資する学力の形成要因モデルの構築に向けて、調査結果から得られた教科の学力との関係が見られる児童生徒質問紙項目、学校質問紙項目を主成分分析等により合成・要約し、要約された成分が相互にどのように影響しあっているか等を共分散構造分析により明らかにする。

 

3.都道府県・地域の特性などに関する分析

 1.各教科の平均正答率や無回答率等について、特徴が見られる都道府県等を対象として、追加的な分析や実地調査を行い、これらの地域等の教育施策等の特性や課題を探求

  •     上位県・下位県などを含め、各教科の平均正答率や無回答率等について、特徴が見られる都道府県、市町村、学校を対象として、教育方針や学校の取組等などの追加的な分析や実地調査を行い、これらの特性や課題を探求する。

 2.就学援助を受ける児童生徒が在籍する率が高い学校で成果をあげている学校の特性に関する分析

  •   就学援助を受ける児童生徒が在籍する割合の高い学校が多い地域にあって、各教科の平均正答が高い学校や低位層の底上げについて成果をあげている学校の取組等にみられる特性を解明する。

  

 

6.効果的な調査分析手法の開発、追加調査データや都道府県等が保有するデータを補完的に用いる調査分析手法の開発等

 

 1.都道府県等が独自に行う学力調査結果等を効果的に接合する手法の開発等

  •   都道府県が独自に実施している学力調査等の結果を全国学力・学習状況調査の補完データとして用い、児童生徒の学習状況や学習指導との関連を多面的に分析する手法の検討を行う。また、分析対象校の一部に対する聴取り調査や、都道府県教育委員会に対する質問紙調査などを実施し、全国調査の結果と都道府県が独自に実施する学力調査と組み合わせて有効に活用する手法を開発・提示する。

 2.個人情報を保護しつつ保護者に関する補完調査を行う手法の開発及び学力差の是正方策に関する調査研究

  •   保護者等に対する補完的な追加調査を設計・実施し、その中で、個人情報を保護しつつデータを収集する手法や、全国調査と補完的な追加調査のデータを紐付する手法の開発を行うとともに、得られたデータや実地調査を踏まえ学力差の是正に資する方策の検討のための資料をつくる。

 3.平成22年度調査結果と平成19年度調査結果の効果的な比較分析

  •   平成22年度の中学校調査の対象者が、平成19年度の小学校調査の対象者であることから、児童生徒の4年間の学力・学習状況の変化を多面的に分析する手法の開発等を行う。

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初等中等教育局学力調査室