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資料3

高等教育の質保証システムとして導入された認証評価制度について

平成19年10月22日

財団法人大学基準協会
前田 早苗

1 認証評価導入までの経過

平成3年6月 大学設置基準の改正

  • 自己点検・評価の努力義務化

平成9年9月 大学設置基準の改正

  • 自己点検・評価の義務化、結果の学外者による検証の努力義務化

平成14年11月 学校教育法の改正

  • 自己点検・評価の義務(省令から法律へ格上げ)、結果の公表の義務化
  • 平成16年度からの認証評価制度の導入

2 認証評価制度の概要

 すべての大学は教育研究等の総合的な状況について、7年以内ごとに認証評価機関の評価を受けなければならない。
 さらに専門職大学院の認証評価も

  認証評価機関とは、文部科学大臣の認証を受けた者をいう。

 認証の要件は詳細に規定されている。

  • 評価基準(認証評価機関が独自に設定)が設置基準に適合していること
  • 評価基準が、評価の対象となる大学の特色ある教育研究の進展に資する観点を含んでいること
  • 評価基準の設定・改定に当たっては広く社会の意見を徴すること
  • 評価基準に以下の項目の評価が含まれていること
    • 一 教育研究上の基本となる組織に関すること。
    • 二 教員組織に関すること。
    • 三 教育課程に関すること。
    • 四 施設及び設備に関すること。
    • 五 事務組織に関すること。
    • 六 財務に関すること。
    • 七 前各号に掲げるもののほか、教育研究活動等に関すること。
  • 評価方法に、大学の自己点検・評価の結果の分析と実地調査が含まれていること
  • 評価委員が大学の教員等であって大学の教育研究活動等に関し識見を有するものであること
  • 大学の教員が、自身の所属する大学を対象とする認証評価の業務に従事しないこと
  • 認証評価の結果について大学からの意見の申立ての機会を付与していること
  • 認証評価を適確かつ円滑に行うに必要な経理的基礎を有する法人であること

等々

 認証評価機関は、認証評価の結果を大学に通知するとともに、社会に公表し、文部科学大臣に報告しなければならないこと

3 認証評価機関について

四年制大学の機関別認証評価機関

  • 大学基準協会(財団法人、会員制、収入は会費と評価費)
  • 大学評価学位授与機構(独立行政法人、収入は運営費交付金と評価費)
  • 日本高等教育評価機構(財団法人、会員制、収入は会費と評価費)

評価の目的

  • 3機関ともほぼ同様
  • 評価機関自身が設定した基準に照らして大学を評価し、その質を社会に保証する。
  • 2 評価プロセス、評価結果を通じて、大学の側面的支援を行う。

評価基準

大学基準協会 大学評価・学位授与機構 日本高等教育機構
1 理念・目的 基準1 大学の目的 基準1.建学の精神・大学の基本理念及び使命・目的
2 教育研究組織 基準2 教育研究組織(実施体制) 基準2.教育研究組織
3 教育内容・方法 基準5 教育内容及び方法 基準3.教育課程
4 学生の受け入れ 基準4 学生の受入 基準4.学生
5 学生生活 基準7 学生支援等  
6 研究環境    
7 社会貢献   基準10.社会連携
8 教員組織 基準3 教員及び教育支援者 基準5.教員
9 事務組織   基準6.職員
10 施設・設備 基準8 施設・設備 基準9.教育研究環境
11 図書・電子媒体等    
12 管理運営 基準11 管理運営 基準7.管理運営
13 財務 基準10 財務 基準8.財務
14 点検・評価 基準9 教育の質の向上及び改善のためのシステム  
15 情報公開・説明責任   基準11.社会的責務

評価結果

  • 大学基準協会
    大学全体としての合・否。長所、助言、勧告
  • 大学評価・学位授与機構
    基準ごとの合・否と大学全体の合否。優れた点、改善を要する点
  • 日本高等教育評価機構
    基準ごとの合・否と大学全体の合否。優れた点、改善を要する点、参考意見

評価費

  • 大学基準協会
    • 会費 収容定員により 20万円〜120万円
    • 評価費 大学200万たす学部数かける50万たす研究科数かける50万
  • 大学評価・学位授与機構
    • 評価費 大学200万たす学部数かける30万たす研究科数かける20万
  • 日本高等教育評価機構
    • 会費 学部数により 25万円〜45万円
    • 評価費 大学200万たす学部数かける50万たす研究科数かける25万

4 大学基準協会の評価

評価体制

最近4年間の申請大学数、分科会数および評価委員数

  • 2004年度 34大学 81分科会 延べ 348名
  • 2005年度 25大学 73分科会 延べ 399名
  • 2006年度 46大学 172分科会 延べ 665名
  • 2007年度 54大学 168分科会 延べ 584名

評価の特徴

  • 大学の継続的改善を求める評価
  • 自己改善機能を重視した評価
  • ピア・レビュー重視の評価

課題

  • 評価の出発点である大学の自己点検・評価の不十分さ
  • 評価のための大学の負担
    • 多重の評価
      • 機関別評価と専門職大学院評価、認証評価と法人評価
      • それぞれの評価の周期の違い
  • 評価者の意識
    • 教育研究に加えて評価は負担
    • 評価委員の確保の困難さ
  • 事務局体制
    変動する申請大学数にどう対応するか→運営コスト

年間スケジュール

4月上旬 申請大学、調書・添付資料等の評価資料提出
4月 大学評価委員会で各分科会評価委員を選定、理事会承認後、委員委嘱
5月中旬 評価者研修セミナー実施
5月中・下旬 事務局、評価委員に評価資料を送付
5月下旬〜7月上旬 評価委員、評価資料を検証し、評価所見を作成
7月上旬〜7月下旬 各分科会主査、「分科会報告書(原案)」を作成
8月〜9月 各分科会を開催。分科会は「分科会報告書(原案)」を検討し、主査は「分科会報告書(案)」を作成(実地視察での調査事項も記載)
9月中旬〜11月上旬 事務局、「分科会報告書(案)」を申請大学に送付。実地視察を実施
9月下旬〜11月中旬 主査、実地視察後「分科会報告書」を完成
11月中旬〜11月下旬 大学評価委員会の正・副委員長・幹事会における「評価結果(委員長案)」の作成(「分科会報告書」をもとに作成)
12月上旬〜12月中旬 大学評価委員会、「評価結果(委員長案)」を検討、「評価結果(委員会案)」を作成
12月中旬 「評価結果(委員会案)」を申請大学に送付
1月中旬〜1月下旬 大学評価委員会、申請大学からの「意見申立」を検討、「評価結果(最終案)」を確定
2月 理事会、「評価結果(最終案)」を承認
3月 評議員会による「評価結果(最終案)」の承認、理事会による最終承認を経て「評価結果」を確定。大学に通知、文部科学大臣へ報告、社会に公表。
4月 (異議申立があった場合)異議申立審査会は、異議申立について検討し、異議申立報告書作成。理事会は、異議申立審査報告書を踏まえた「評価結果」を承認。
5月 評議員会、理事会による「評価結果」の最終承認後、当該大学に対し通知、文部科学大臣へ報告、社会に公表。

【参考】認証評価関係法令

  • 学校教育法
  • 学校教育法施行令
  • 学校教育法施行規則
  • 学校教育法第六十九条の四第二項に規定する基準を適用するに際して必要な細目を定める省令