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3 教育委員会等は、多様な専門機関・専門家と協力しよう!

 いじめは学校だけでは解決できない。多様な専門機関や専門家の理解と協力を得ることが必要である。

 教育委員会を始めとした関係機関は、次の観点に留意していただきたい。

 教育委員会は、いじめにあった子どもや家庭に対して、きめ細かなサポートを行うため、学校の実情に応じて、スクールカウンセラー、「子どもと親の相談員」、民生委員、児童福祉司、警察関係者等の専門家から構成されるサポートチームを組織することが適当である。これにより、被害にあった子どもを決して一人にしないことが大切である。

 複雑な要因から成る深刻なケース等に対応するため、都道府県の教育委員会が主体となって、法律、精神保健、心理学の専門家等を始めとした緊急支援専門チームを危機管理の一環として組織化しておくことも有益である。

 教育委員会及び学校は、いじめの段階(レベル)が犯罪と認められる場合には、警察との連携をためらうべきではない。また、家庭環境により十分な養育がなされない子どもを保護する必要がある場合には、福祉機関と積極的に連携して対応すべきである。そのためには、警察や福祉機関との情報交流が大切である。

 文部科学省が本年2月に開始した全国統一ダイヤルによるいじめ電話相談については、その運用状況を定期的にチェックし、子どもたちへの周知を徹底することが大切である。

 電話相談に当たる者が適切に子どもの相談にのることができるよう、民間の機関等とも連携した相談員の研修が必要である。また、文部科学省は、全国統一のガイドラインをつくることが必要である。

 教育委員会が作成する電話相談カードは、文部科学省以外の省庁や地方自治体の電話相談、民間運営のチャイルドライン等子どもの悩みを受け止める相談窓口の電話番号を掲載するなど、子どもの目線に立った工夫を行うことが必要である。

 多くの地方自治体に設置されている教育相談センターや教育支援センターは、地域や地方自治体の実情に応じて、身近な相談機関としての役割を果たすことができるよう、専門性の向上と相談機能の充実を図ることが必要である。

 子どもの指導に長年当たってきた退職教員の協力を得たり、実績のあるNPO等民間機関との連携を図ったりすることで、人材が不足しがちな相談員を幅広く確保することが重要である。

 いじめの被害者、加害者ともに、その背景に発達障害や小児のうつ病などの医学的な対応が必要な場合や、複雑な家族背景への家族療法的な介入が必要な場合に備え、地域の精神医療、小児医療等専門家や児童相談所などとの連携が取れるシステムづくりが大切である。

 いじめと判断される場合に、いじめの加害者に対しては、学校外の適応指導教室や専門機関・施設等との連携の可能性も視野に入れ、指導体制を確保する必要がある。また、必要な懲戒を加えるだけでなく、心理学や精神医学等専門的観点を含むケアも検討することが適当である。

 いじめ等により出席停止を受ける子どもやその他特別な支援が必要な子どもをサポートする体制づくりが大切である。子どもの自立支援を促すための専門機関・専門家の関わり方について、教育と福祉両者の観点から総合的な検討が必要である。

 学校のマネジメント強化の観点から、例えば、情報産業、出版、広告といった分野で志高い民間の有能な人材をより多く校長に抜擢することも有益である。

 文部科学省と教育委員会との連携強化が必要であり、そのための1つの方法として文部科学省の若手職員が一定期間学校現場に出て、その実情を知るような機会を設けることを検討することも有益である。


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