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資料3

「学校評価の在り方と今後の推進方策について(議論の素案)」に関する各団体からの意見(抜粋)

 この「抜粋」は、学校評価に関するいくつかの論点について、各団体の意見書からその一部分を抜粋したものであり、例えば第三者評価の在り方に関する意見等については割愛している。

 日本教育大学協会については、加盟各大学ごとに意見が提出されており、統一的にまとめられないため、本資料に意見の全文は添付しているが「抜粋」には掲載していない。

 全国都道府県教育長協議会については、後日意見が提出される予定であり、本資料には添付していない。

 次の3つの団体については、混同を避けるため、「抜粋」には略称で記載した。
  日本教職員組合   日教組
全日本教職員連盟 全日教連
全日本教職員組合 全教

《各団体からの意見の概要》

 学校評価の必要性について、ほぼ全ての団体から賛成の意見があった。

 学校評価の実施手法について、自己評価、学校関係者評価(外部評価)、第三者評価の3つの要素により構成することについて、賛成の意見が多く見られた。

 自己評価及び学校関係者評価(外部評価)について、その具体的な在り方について様々な意見があったが、ほぼ全ての団体からその実施・公表が必要との立場からの意見が見られた。
 (なお、自己評価の実施・公表等を省令に規定することについて、1団体から明示的に反対の意見があった。)

 その他、いくつかの具体的な論点に関する意見については、次ページ以下のとおりである。

【自己評価の在り方について】
 学校評価において,義務教育の質を保証する「全方位型」と学校の独自性を高める「課題指向型」は,大切である。ただし,総花的評価になったり,年間の学校経営が評価に終始したりするおそれがあるので,2つの型を統合するなど評価項目を精選する方向で,検討すべきである。(中核市教育長連絡会)

 現状把握型の網羅的なものでなく、学校の抱える課題にポイントを絞った課題解決型のものに進化させていくことが必要である。現在、ほとんどの学校で自己評価が行われているが、現状把握型にとどまっているところが大半だと思われる。今後、そこから各学校が抱える課題を抽出し、その問題を解決するためにPDCAのサイクルを回す動的な評価にシフトしていくことが求められる。(日本経済団体連合会)

 組織マネジメントの視点から考えれば、自己評価は、教職員が業務をどれだけ遂行できたかを振り返り、評価の観点から新たな気付きを生み、業務の改善の視点を見出すものと考える。従って教職員が自分の分掌している学校の重点施策について自己評価する方が、学校にはCheckからActionに結びつきやすいと考える。(全国町村教育長会)

 専門用語を多用した評価項目や多岐に渡る膨大な評価項目では、「学校関係者評価委員」が正しく「自己評価」を検証することは難しい。各学校の実態に応じた評価項目の精選や評価者の視点に立った、分かりやすい自己評価項目の工夫が必要である。(全日教連)

 「共通項目」の設定などは,市町村教育委員会で学校運営や教育活動に関して一定の具体目標を示している場合は効果があるので,学校の独自性を確保した上で,共通評価項目の設定や共通アンケートの実施を積極的に行うべきである。(中核市教育長連絡会)

〔教職員対象の研修について〕
 教職員による感覚的、主観的なアンケート調査結果のみで「自己評価」とするならば、客観的に判断された「自己評価」であるとは言い難く、そのことが「自己評価」が次年度に生かされない要因となっていたと考えられる。(中略)教職員が主体的に「自己評価」に取り組み、次年度の改善点として生かしていくためにも、まず、学校評価のとらえ方を全教職員で共有すべきである。そして、なぜ自己評価を行うのか、自己評価をどう活用し、組織的・継続的な学校改善につなげていくのかについて、十分な時間を確保して共通理解を図らなければならない。(全日教連)

 自己評価の充実には、教職員に対するマネジメント研修の充実を図るべきである。そして、教育委員会は研修体制を充実させ、その責務を十二分に果たしていかなければならない。

 指導主事は教科等専門的な分野での指導者であるため、マネジメントの指導にはなじまない。学校経営の観点からすれば、学校の管理職経験者(退職した校長、事務長等)の活用も検討に値するのではないか。(全国公立高等学校事務職員協会)

【国による評価項目・指標等の設定について】
 教育委員会は、学校の教育水準を客観的に比較することも必要であるから、国が基本的な学校評価のフォーマットを作成することが肝要である。そのフォーマットをもとに教育委員会は、重点施策によって評価の観点を加除することが必要である。(全国町村教育長会)

 評価の必要性は、誰も認識しています。しかし、社会的に耐えうる評価基準が作れなくて、なかなか進まない。また、たとえ作れたとしても、全国でバラバラのものでは困ります。先ず、国が評価基準をつくり準則として示すべきでは。それを受けて県教育委員会が県の考えを示し、これに基づいて各学校が自己評価し、2次評価を県教育委員会がする。それを更に外部の目で見てもらうべきではないでしょうか。(全国公立高等学校事務職員協会)

 学校教育法第42条による「文科大臣の定め」については、学校評価の実施手続や公表のあり方についての大綱的な基準に留めるべきである。また、国会答弁にあるように、学校評価の評価項目や指標を文科省が一律に規定すべきではない。(日教組)

 今後、学校評価を推進し、よりよい学校運営をおこなっていくためには、それぞれの学校と地域の特性に応じた学校評価が必要であり、全国一律の評価項目による評価や市町村単位の画一的な評価は学校評価にはなじまないと考える。(全国公立学校教頭会)

 学校の評価基準は全国一律ではなく、地域特性を十分に踏まえ、それぞれの学校において教科以外の活動や特色ある学校行事・活動、保護者・地域住民との協働事例などを盛り込むべきです。(日本労働組合総連合会)

 (注:自己評価・学校関係者評価(外部評価)の実施・公表等の在り方について)省令に定める必要はなく,各市町村の教育委員会が自主的に管理規則に定めることで十分である。(中核市教育長連絡会)

【数値的な評価について】
 評価の明確化を考慮した場合、基準の数値化が前提となるが、その場合は、目標値の低水準化や数値化できない教育目標等実教育との乖離が生じる可能性がある。一方、文言による評価は、抽象的になる可能性がある。教育現場に即した評価基準の設定を望みたい。(全国公立高等学校事務職員協会)

 評価に客観性をもたせることは必要なことであると認識している。しかし、数値化された学校評価の内容を画一的に公表することは、数値に反映された項目のみによる学校間の序列を生む可能性がある。また、数値の上下によって教職員や家庭、地域が一喜一憂し、数値の上昇のみを目指した教育活動を進めることは適正な教育活動を推進しているとは言い難い。(全国公立学校教頭会)

 学校の評価は、単純に数値で計ることには問題がある。学力調査結果等をもとにした数値重視の学校評価は、学力偏重をもたらし、数字をあげるための表面化した教育実践が横行する危険性がある。(日教組)

 学校の序列化につながるような、全国学力調査結果などを単純に評価項目とすべきではありません。(日本労働組合総連合会)

 「素案」は「学力・体力調査の結果などに示された学校の現状を踏まえ、具体的かつ明確な教育目標等を設定する」と述べていますが、これは、大変危険であると考えます。とりわけ、「全国一斉学力テスト」の結果などが学校目標と連動するならば、学校が定める目標は、限りなく数値目標化されてしまいます。(中略)昨年の国会でも「いじめ」による自殺が大きな問題となり、その温床に「いじめゼロ」報告によって、「いじめ」の実態が隠されてきた事実が明らかにされましたが、数値目標化は、教育のいとなみの本質からはずれ、教育をゆがめる大問題を引き起こす危険性が強く、おこなってはならないと考えます。(全教)

 評定方法についても、学校の序列化につながりかねない5段階的な評定の仕組みにすべきではない。(日教組)

【児童生徒等の意見の反映について】
 児童・生徒、保護者、地域住民を対象とするアンケートや懇談会は、授業の理解度や学校に関する意見要望を把握するために行うものとして位置づけられているが、アンケートを教育の受け手による評価として位置づけ、学習者重視の教育を実現すべきだと考える。児童・生徒も、評価主体として位置づけることは当然である。

 評価者の匿名性の担保について、方針を示すべきである。(日本経済団体連合会)

 「児童生徒による授業や教職員の評価」については,評価の妥当性が懸念されることから,「児童生徒による授業や教職員に対するアンケート」と改めたほうがよい。「授業や教職員に対するアンケート」は,教職員が自らの指導を振り返るための資料及び自己評価のための資料の一つとして実施すべきである。(中核市教育長連絡会)

 評価基準の策定にあたっては、教職員、保護者、地域住民の代表者が参画して行い、また、児童・生徒の意見反映を保証することも重要であると考えます。(日本労働組合総連合会)

 評価者の評価に対する責任という観点からも、児童生徒による評価の参画については慎重に進めていく必要がありますが、児童生徒によるアンケートの実施は、子どもの目線に立った安全管理や施設設備の改善などの観点から有効ですので、積極的な活用を図っていくことが望ましいと考えます。(全国公立小中学校事務職員研究会)

 児童・生徒による評価については,発達段階に応じた評価を工夫していくべきだと考える。小学生では、学校生活が楽しいか、授業が楽しいか、授業が分かるかなどで評価することが出来る。おとなと同じような内容で教師や学校を評価させることは、望ましいものではない。(全国連合小学校長会)

 保護者や生徒、外部による評価は、学校の一面しか見られない事、個人の主観に大きく左右される事など評価する側の問題が大きく、事前に十分に説明をし、評価側の意識及びスキルを高める必要がある。(日本高等学校教職員組合)

 児童生徒・保護者による評価をその匿名性の担保に配慮し、学校評価の一貫として実施すること。また、結果を適切に取りまとめ個人情報等に配慮しながら、ホームページ等で公表するよう促すことは意義のあることである。また、児童生徒・保護者による評価結果を教育委員会に報告し、市町村教委または、都道府県教委が学校改善のために適切に活用できるように促すことも意義のあることである。

 児童生徒が自己評価や外部評価の主体となることの是非は、意見が大きく分かれるところである。それぞれのメリット、デメリットを洗い出し、よりよい方向性を検討していくことが大切と考える。この頃はきわめて大事な時期でもあり、児童生徒・保護者からの要求ばかりで義務と責任が不在となっている。義務と責任をしっかり問い、果たすことも求めるべきである。(全国市町村教育委員会連合会)

【学校関係者評価(外部評価)について】
 小中学校は、「社会的な場」として地域で支え地域に開かれたものでなければならないと考えます。そのような観点から、学校評価は、自己評価を中心に、保護者や地域住民代表を加えた外部評価を基本とするべきです。(日本労働組合総連合会)

 これまで教職員が中心となって行ってきた評価活動に保護者や地域住民等の参画を、より一層積極的に位置づけていかねばならない。評価活動に企画立案や改善策の検討などについても、保護者や地域住民の意向が一層反映されるような参画・推進が求められている。外部評価として、保護者や地域住民が学校の教育目標や取り組みについて、願いや意向を述べたり、評価したりすることは必要とするが、保護者・地域住民として「どのように子どもたちが変わればよいか」あるいは「どのようにかかわってきたのか」など、家庭や地域社会のあり方について考え、振り返り考えることは必要である。(全国市町村教育委員会連合会)

 外部評価については、学校関係者による評価という性質から、公表・説明後の相互の理解と連携につながるよう配慮することが大切であり、日常の開かれた学校づくり・特色ある学校づくりが基盤であることを忘れてはならない。(全国都市教育長協議会)

 学校への不当な要求が問題になっています。外部の理不尽な力から、学校を守るのに管理者は大変です。外部評価をあまり大きな扱いにすると、真の教育者は萎縮し、潰されてしまいます。最終的に責任を取らない者の意見は、限定的に扱うべきではないでしょうか。(全国公立高等学校事務職員協会)

 ここで言う「外部評価」では、学校関係者が自己評価結果を検証するとされているが、定義することによって難しい要求を保護者に強いることになる。教育は本来、子供たちが「楽しく学校に通い、集団の中で生きる力をはぐくむ」ことが出来ればよいのではないかと考える。そのような状況が保護者に看取ることが出来れば、まずは成果が上がっていると言えよう。このような観点から外部アンケートを実施していくことが、保護者や地域の学校教育への理解や協力、ひいては信頼を作り出すものと考える。

 学校関係者評価(外部評価)について、外部アンケートをはずすことは適当でない。理由は先に述べた。コミュニティースクールのような形態を取るのであれば、重要な概念であるが、そうでない体制ならばアンケートは外部評価とすべきである。(全国連合小学校長会)

 児童生徒や保護者を「学校関係者」としながらも、それを「外部」と見なしているのが「素案」の立場ですが、果たしてそれでよいのか、強い疑問があります。(中略)子ども、父母は、「外部」ではなく、教職員と同様に、学校を構成する不可欠の存在です。「素案」では「自己評価」と「学校関係者評価(外部評価)」は「表裏一体の評価」とはしているものの、カテゴリーとしては別のものと規定しており、問題です。(全教)

 保護者からの評価については、私立幼稚園は、すでに保護者から入園・就学を通じて一定の評価をいただいています。学校と保護者は、お互いが向き合い、意見等を交換し合える関係となるべきだと考えます。(全国私立幼稚園連合会)

〔評価者対象の研修・情報提供について〕
 「学校関係者評価」を行う評価者は、学校教育総体に対する評価を持ちにくく、断片的評価や感覚的評価、情実的評価になりやすい傾向を持つと同時に評価技術・技能も十分とはいえない。評価者の評価訓練や評価方法などを含めた評価システムについての検討を願いたい。(全国教育管理職員団体協議会)

 保護者や生徒、外部による評価は、学校の一面しか見られない事、個人の主観に大きく左右される事など評価する側の問題が大きく、事前に十分に説明をし、評価側の意識及びスキルを高める必要がある。(日本高等学校教職員組合)(再掲)

(1) 学校関係者評価の評価者は、学校評議員、保護者、PTA役員、有識者等であり、教育の中身に付いての専門性は必ずしも高くはない。自己評価の内容を評価するとすれば、十分な資料・情報提供と、学校教育についての研修を要する。
(2) 保護者や学校評議員にもよく理解出来る内容の評価項目が望ましい。
(3) 評価者には、学校へ足を運んでもらい学校の実情を十分把握した上での評価の実施と、課題への対応策の提示を求めたい。(全日本中学校長会)

 教育委員会は学校関係者評価の在り方を検証し、必要に応じて「学校関係者評価委員」を対象にした研修会や、他校の「学校関係者評価委員」との情報交換会の開催を行うことが望ましいと考える。

 学校は「学校関係者評価委員」が学校教育活動の実態を正しく把握するためにも、開かれた学校づくりをより一層推進し、「学校関係者評価委員」との情報共有の場を適宜設ける必要がある。(全日教連)

 保護者に対する研修もシンポジウムや、ビデオ・DVD等工夫して、興味深くわかりやすく啓発していただきたい。(全国高等学校PTA連合会)

【評価の推進のための体制について】
 学校評価を円滑に実施するためには、教職員のさらなる増員、評価のための研修、事務費用、評価結果による改善に必要な予算確保、教育委員会の支援などが不可欠です。学校評価の実効性を担保する体制整備を図ることが重要です。(日本労働組合総連合会)

 学校評価の有効性を高めていくためには、アンケートや学校評価の結果の検討・結果分析やデータ管理などを責任を持って担当する校内組織が重要になってきます。(全国公立小中学校事務職員研究会)

 各都道府県や市区町村から示された学校評価項目は多いところでは200項目を超え、その集計や結果公表に当たる教員の負担は過大なものになっている。また、担当教員の事務量軽減のための人的配置はない。本来児童生徒の教育活動に向けるべき時間の多くが、膨大な評価項目の集計・公表のために割かれていおり、評価のための評価になっている現状がある。特色ある学校づくりを進めている現在、評価項目や評価方法において学校の特色について適切な評価を行うなど学校評価の実施方法について十分検討し、必要に応じて人的配置を進めるなど、教育活動の停滞が起こらない仕組みを構築していただきたい。(全国公立学校教頭会)

 評価に対する事務作業の増加や評価者への理解を求める時間的な制約など、マネジメント体制をしっかりと構築すべきである。そのためには学校教育法の改正によって置くことができるとなった副校長等の役割が重要であり、定数をしっかりと別枠で確保しなければ、一層教職員の多忙化を招く結果となる。(日本高等学校教職員組合)

 評価のために、過度な学校への事務負担をさせないように留意すべきである。なお、「学校関係者評価」の推進については、渉外的な事務業務が発生するが、専門的職員である事務職員の活用をはかる必要がある。(日教組)

 アンケートや懇談会の実施、学校評価委員会の運営をはじめとして、保護者・地域や関係者等との連絡調整など事務局としての業務や渉外等の業務が増大していきます。ICTの活用等により効率化を図るとともに事務処理体制を強化することで事務職員が担っていきたいと考えております。(全国公立小中学校事務職員研究会)

 「学校評価のための事務等」の中で,特に懸念されるのが,外部アンケートの集計・処理に関わる事務であり,事例等を学校評価ガイドラインなどで紹介することも考えられる。(中核市教育長連絡会)

 「学校評価」の結果の公表のためには相当の事務量を必要とする。この結果、教育活動に支障をきたすことになっては、何のため「自己評価」なのか分からなくなる。学校の事務量の総量を規制し、事務量の軽減を図り、教職員が本来の教育活動に意欲とゆとりを持って専念できるようにすべきである。(全国連合退職校長会)

【学校種・設置者別の特性について】
 高等学校は、学校の種類(普通校、専門学科、総合学科、定時制、通信制)など校種によってその目的が大きく異なる事、私立学校などは建学の精神もあり多様な形態、学校の目的・目標が考えられ、評価者がその部分を十分に認識していることが重要である。(日本高等学校教職員組合)

 特別支援学校においては、そのセンター的機能の推進とともに学校の情報発信が進んでいる。特別支援学校における教育の専門性やセンター的機能、広域性等を充分配慮し、学校評価を進めることができるよう私立学校や高等学校と同様に検討を深めていただきたい。(全国特別支援学校長会)

 私立学校は、それぞれの建学精神があり、それぞれの実情や特性があります。学校評価については、画一的な基準の適用等により、私学の独自性を損なわないようご配慮をお願いします。(全国私立幼稚園連合会)

 今般、学校教育法とともに改正された地方教育行政の組織及び運営に関する法律では、改めて、私立学校に関する教育行政の所轄は都道府県知事であることが確認されており、このことなどを踏まえれば、学校評価についても、私立学校に関する教育行政には教育委員会が直接関与しないことを明確に示すべきである。

 私立学校の学校評価の評価方法、評価結果は多種多様であるべきで、一律的、普遍的な評価基準による評価が馴染まないのは言うまでもない。(日本私立中学校高等学校連合会)

 高等学校、幼稚園、私立学校の学校評価については、それぞれの校種の特性・状況や設置意図、建学精神などに充分配慮した制度設計とすること。(日教組)

【学校に関する情報の公開について】
 評価が学校改善へのコミュニケーションツールであると考えると、情報の一方的な公開から、さらに双方向の情報の共有化へと推進し、学校情報を通した対話、そして「学校の応援団」の拡大につなげていく必要があると考えます。(全国公立小中学校事務職員研究会)

 学校評価を実施する上で、学校の情報公開は必要である。地域住民、保護者が評価を行いにくいのは、学校での教育活動等を十分理解していないところにある。外に向かって情報を発信すること。その逆に外からの意見を聞き、教育活動に活かすことは今後益々必要となってくる。東京都では平成18年度から事務室は経営企画型事務室と変わり、公報・公聴を事務室の役割としている。ホームページ作成技能の習得等課題はあるが、事務職員の役割は大きい。(全国公立高等学校事務職員協会)

 保護者等の「外部評価」の実施率は低い。これが高められる方策は既に講じられていようが、問題は、保護者は評価しにくいことである。自分の子どもを通しての極めて乏しい或いは歪曲された情報で評価することは適切ではないというのが、常識をわきまえた保護者の偽らざる意見である。信頼性の高い評価がなされるには、学校の事情が頻繁に正しく伝えられることが大切である。更には、学校の教育活動が日常の場面で公開されること、或いは特に点検したい箇所等を公開することが望まれる。

 教育は、ともすると学習、能力・適性の向上に目を向けたままであるが、保護者は先ず安心して子どもを学校に委ねているのである。(校庭・体育館・プールの管理、保健室のあり方、教室の照明・温度・風通し、階段・廊下、屋上、床、手洗い等〃校舎内をPTA役員にのみでも見学させていただきたい。)(全国高等学校PTA連合会)

 学校の情報公開の在り方については、学校の努力を認めるとともに、学校評価ガイドラインにおいて明確化を図ったり、情報公開の方法について情報提供を望みたい。(全国連合小学校長会)

 個人情報保護に留意しつつ、学校の情報を保護者や地域に公表していくことは重要なことである。留意すべき点は、学校の序列化や競争といった弊害が生じないための公表情報の精査と公表方法の工夫が必要である。(日教組)

 父母と教職員が力をあわせた学校づくりをすすめるためには、情報の共有が前提であり、学校の情報公開は当然必要であると考え、2(注:「学校は、学校で起こっているできごとや、とりくんでいることについて、困難もふくめて父母に大いに知らせよう。」)にそれを提案しています。しかしそれは、「学校評価」の一環としての位置づけではありません。(中略)もっとも利用されやすいのは客観性、公平性を装った「学力テスト」の結果による「学校評価」であり、情報公開がそのようなものとされるのは、本末転倒であると考えます。そうしたことをおこなえば、学校の序列化と格差づくりがすすみ、学校間競争が激化することは火を見るよりも明らかです。情報公開を「学校評価」の手段とすることには、反対します。(全教)

【評価結果の公表について】
 自己評価の実施に比して公表が少ないのは、元々「公表」を前提として評価してない、内容が専門的過ぎて公表にそぐわない等が考えられる。今後、「公表」が前提となるので、自己評価本来のねらいや目標を損なう結果とならないよう、内容、方法等十分検討していく必要がある。(全日本中学校長会)

 素案では、公表されないのは、最初から公開することを意識していないから進まないとしているが、日本的な風土が影響していると考えられる。日本人は他者評価は受け止めるが、自己評価を積極的にしてこなかったことに起因していると考える。自己評価を披瀝することは美徳としない。このような観点からも流布しない理由を考えてもよいと思う。これを打ち破るには,何を公表するのか事例を示していくことであろう。(全国連合小学校長会)

 「自己評価」の結果の公表については、何を、誰に、どの程度、どう公表すべきかをよく検討し、ガイドラインにおいて明確にしておく必要がある。(中略)安易に、全てを公表することを義務づけることによって、成績主義、競争原理が導入され、保護者や地域から学校に対する不満や信頼を欠くことになる要因になる恐れがある。(全国連合退職校長会)

 PTAは発足当時顕著であったが、本来は「学校応援団」の性格を有している。学校評価も、PTAは「わが子の学校良かれ」と願って、学校経営に協力し、支援する重要な情報の一つと考える。したがって、すべからく公表されることを期待する。(全国高等学校PTA連合会)

 私立学校においては、既に、「生徒募集活動」を通じて日常的に社会の評価を受けているという実態があることから、私立学校の学校評価の評価結果の公表は、各学校の自主性・独自性により様々な方法で行われるべき。(日本私立中学高等学校連合会)

【評価結果を踏まえた改善の在り方について】
 平成18年度の「教育に関する保護者の意識調査報告書」の学校評価制度についてのアンケート結果によると、約76パーセントの保護者が学校自己評価制度について「知らなかった」と回答していますし、約77パーセントが自己評価結果が公表されているかわからないと回答しています。12パーセントの公表を認知していると答えている保護者の約46パーセントは自己評価結果が、学校の教育活動や学校運営の状況を十分に評価し、改善策を打ち出せていると答えています。約半分の保護者は認知はしていても結果が生かされていないと感じている現実があります。このことは今後の私共も含め大きな課題だと思っております。(日本PTA全国協議会)

 学校評価は,評価自体が目的ではなく,その結果に基づき,学校と利害関係のある家庭や地域が共にその改善策を考えること及び教育委員会等からの支援や指導を基に,自ら学校を改善することが目的である。したがって,評価だけが行われることも,評価と支援・指導が切り離されて行われることも望ましくない。(中核市教育長連絡会)

 支援・改善は「何故達成できなかったかの原因追及・解明」の方向ではなく「こうすれば目的をより適切に達成できる」との示唆・提言に基づくものであって欲しいと願っています。教育では「不得手克服」より「得手伸長」策が有効であることが多いです。(全国高等学校長協会)

 「学力調査」をはじめ、様々な調査、統計結果などの客観的数値は、広い意味で一つの学校評価と見ることができる。そして、様々な調査、統計調査に対しての考察と課題克服のための改善プラン等が個々、別々に作成され、推進されている。学校評価の公表は、課題克服のための取り組み計画と共に公表してこそ意味があると言えよう。(中略)現在の学校を取り巻く、様々な調査、統計等から発生する改善プランとの課題整理をする必要があろう。(全国教育管理職員団体協議会)

【評価結果を踏まえた設置者等の役割について】
 学校自らが、その責任において改善できるものと改善できないもの、設置者が行うべきものと、行い得ないものを明確にした上での評価作業とされたい。責任の所在の不明確さゆえに、問題を教師の指導力不足、資質低下に収斂させることなく、各学校長の職務権限の拡大につなげる中での学校評価とすべきであると考える。(全国教育管理職員団体協議会)

 改善すべき課題が明らかになったとき、その責任の所在が全て学校にあるわけではない。設置者の制度的拡充と予算措置(行政がどこまで踏み込み、どこまで権限を行使し、条件を整備し、施策に反映していくかなど)はどこまで図られるのかが課題である。(全日本中学校長会)

 学校評価の結果を設置者等に報告することは重要なことであるが,その報告を受けて支援を行う場合,学校独自の努力で改善できる場合と設置者等の支援が必要な場合とに分けて捉えることが大切であり,その判断規準及び改善・支援の事例集等の作成が望まれる。(中核市教育長連絡会)

 学校評価に基づき学校改善を行うために教育委員会の果たす役割について十分検討し、学校からの学校評価の報告のみに終わらせず、学校評価に応じた教育委員会の学校支援策の立案など実際的で有効な手だてを規定して欲しい。(全国公立学校教頭会)

 教育委員会の支援について、せっかく学校が評価結果を踏まえ改善策を講じても、予算的、人的に支援がなければ実効性は低くなる。重点的な教育委員会の支援が必要である。(全国公立高等学校事務職員協会)

 評価をいかに改善に結びつけるか、その改善の具体的な方策、予算付け、人的な配置などフォローに役立てる事こそが重要である。しっかりと評価し改善の方策を提示している学校については、予算付けや人的措置なども検討しなければ、評価が生きない。(日本高等学校教職員組合)

 評価の結果が学校のランク付けになり学校選択制に使用されたり、予算の傾斜配分に結び付くことがないような配慮が必要である。(全日本中学校長会)

 学校評価の評価結果の活用に関して、教育にも市場原理を導入し、良い評価結果の学校には予算を集中的に配分して優遇すべきとの意見もある。評価結果の良し悪しを予算の優遇配分に結びつけるには、一律的、普遍的な評価基準による評価で各学校の評価結果を比較することが必要になる。
 学校評価が予算の優遇配分を受けるための手段となれば、例えば、学校評価の評価結果を公表する際、数値を高めることだけに主眼が置かれ、学校が評価結果のランクを気にするあまり、テスト科目に偏重した授業をする学校が現れないとも限らず、本来の目的を見失うことになる。(日本私立中学高等学校連合会)

 学校評価の結果が、行政機関が行う「政策評価」や「行政評価」に反映し、学校の支援や改善を目的とした教育委員会の施策や教育予算の充実に結びつくようにすべきである。(日教組)

 自己評価については、結果の公表に努めるとともに、真に学校運営の改善に資するものとなるよう指導・助言していく必要がある。(全国都市教育長協議会)

 明らかになった学校の課題等についての具体的支援・改善は設置者や人事権者である教育委員会が、指導主事訪問等を通じて実施していくことは重要である。(全国市町村教育委員会連合会)

 自己評価・学校関係者評価の結果の公表の在り方では、国の省令に定めることは必要である。ここには、設置者による評価結果の扱いが明記されないのか。結果を提出しただけでよいものか。

 学校の自己評価は、あくまでも学校の運営改善にあり、可能な限り自助努力で克服すべきであって、学校が安易な他力本願的な要望で改善すべきものではないことを十分管理職に認識させる必要がある。

 学校の自己評価・学校関係者評価を受けた設置者による支援については、財政的・人事的に自ずと制限があり、学校が自律的に運営改善する意欲を引き出す施策を講じるのみでも可能である。具体的には、学校が特色ある教育活動を推進するための予算を学校の要望をもとに措置するなど、各教育委員会の実状に応じて対応することができる。

 町村教育委員会は、すでに財政的には限界に来ている。国として、義務教育における質の保証の担保として学校評価システムを提案する場合は、予算的・人的な措置について総論に明記すべきである。財政的裏づけがなければ、このシステムは形骸化してしまうことは、これまでの教育施策を見ても明らかである。(全国町村教育長会)

 現在、自治体の財政力などによって、少人数教育の推進状況、教材費や図書費の整備状況、旅費の措置状況、耐震化の推進状況、就学援助や奨学金の措置状況などについて、格差が拡がっている。国や自治体は全国どこでも一定水準の教育を保障するための教育予算を確保・拡充するために、必要な措置をすべきであることを附言する。(日教組)

 一難必要なモノサシ・人・カネを考えてと言いたい。全てを学校に押しつけ、文科省と県が逃げてしまうことになって欲しくないです。生徒のためになる評価でなければ何の意味もないのです。(全国公立高等学校事務職員協会)

【設置者への報告の在り方について】
 自己評価及び外部評価の設置者等への報告については、各自治体で報告書の様式等を工夫し、学校運営の改善と支援に生かせるようにする必要がある。(全国都市教育長協議会)

 公立学校の設置者は教育委員会であるが、一方、私立学校の設置者は学校法人であることから、私立学校の学校評価の結果については、当該学校を設置する学校法人の理事会に報告すべきである。(日本私立中学高等学校連合会)

 学校の自己評価や外部評価の関係機関への提出率が出されているが、学校現場からすれば、支援・改善が学校が要求するようにはならないことに起因すると考える。評価を提出するのは、2月や3月であるとすれば、年度予算で動く行政にとっては対応できないこと、同じく人事についても時期がずれており新年度からは有効に機能しないことになる。校長はPDCAサイクルを意識していても、Aの部分で対応が遅れるのであればなんのために評価したのか分からないという教育システム上の問題が大きくあるのである。これをどうするのか具体的な提案が欲しい。(全国連合小学校長会)

【評価結果に対する意見等への対応】
 学校評価のマイナス効果への対応体制の整備について定めがあることにより、学校評価の積極的公表が促進できるのではなかろうか。(隠蔽体質払拭の一助)
「自己評価」と「外部評価」に乖離が生じ、反発を招いた場合の対応
学校間に格差が存する現状で、評価基準また評価に反発が生じた場合の対応
(中略)様々な格差(地域、学校、人事格差等)が現存する現状において、評価に振り回され、教育の方向性が歪められないために、評価の活用・意義につき、評価者への事前周知を十分に行うとともに、評価に対して軋轢が生じた場合のフォロー体制を予め示すことが必要ではなかろうか。(全国公立高等学校事務職員協会)

 学校評価や第三者評価結果の公表に対する苦情処理の方法の検討が必要であると考える。近年における保護者の学校に対するクレーム等の状況を見ると学校評価に対しても様々な苦情が寄せられることが予想される。このような苦情等に対しての処理方法、担当部署等について、検討をしていただきたい。(全国特別支援学校長会)

【学校選択制との関連について】
 学校評価は学校選択とセットになって学校改革を促す推進力になる。すなわち、両者を併せて実施することで、必然的に保護者、児童・生徒が学校に関する情報公開に対する関心が高まる。就学する学校を選択する上での有効な比較材料を提供するという観点から、当然、地域単位で評価項目や情報公開すべき情報を共通化・定式化することが必要である。(日本経済団体連合会)

 評価の結果が学校のランク付けになり学校選択制に使用されたり、予算の傾斜配分に結び付くことがないような配慮が必要。(全日本中学校長会)(再掲)

 学校評価の意義は、そのことを通じて、1学校が教育活動や学校運営を改善していくもの、2学校と保護者や地域とをつないでいくものである。したがって、学校評価が、学校の序列化を招来したり、学校選択のための指標としてはいけない。(日教組)

【教員評価との関連について】
 勤務評定としての教員評価に、学校評価の一環として行われた外部アンケート等の結果を反映させ、教育の受け手(児童・生徒、保護者)による評価を、教員の処遇や配置に反映すべきである。(日本経済団体連合会)

 現在、教員評価にあってはそれぞれの教員の資質や能力を伸ばすことを目指して、自己申告という形態を踏んでいる。このことは、教員の学校運営への参画を常に意識付けしていることになっており,学校の組織的マネジメントへの動機付けになっている。学校評価と教員評価は機能が異なってはいるが、教員の学校の組織的マネジメントの見方を確実に高めている。(全国連合小学校長会)

 両者は、その目的が大きく異なるという点について、学校経営の方針・ミッションについては、同一教員が同一性,同方向性を持って努力しなくては、学校の改善・改革にはたちゆかないので、重ね合わせることができる点もあると考える。(全国市町村教育委員会連合会)

 人事評価(勤務評定)と切り離して整理することが大切である。(中核市教育長連絡会)

 教職員人事評価と学校評価を結びつけることはすべきでない。(日教組)

 学校評価と教職員の人事評価は切り分けて整理していくことが必要だと考えます。(全国公立小中学校事務職員研究会)

 自己評価などが人事考課につながれば、目標設定が安易なものに偏ってしまう事が懸念される。(日本高等学校教職員組合)

【評価者・被評価者の意識について】
 校長の意識改革が最も望まれる。校長の中には、評価の低い内容が呈されると、自校が低レベルとされるとか、自分の経営能力が問われるとかを恐れて、評価が高くなるように脚色するような傾向の人物がいる。低評価を課題と捉えて改善に取り組むという学校評価の真意が生かされない。また、低評価の内容に、毅然と果敢に、他者の支援も得て改善に取り組む校長・副校長・教務主任・教諭・事務職員を養成していただきたい。(全国高等学校PTA連合会)

 学校評価を真に意味あるものとするためには、まず、評価される側の教職員が、様々な立場の評価者の意見を厳粛に受け止め、今後の改善につなげる意欲と度量を持つことが必要である。また、そのための意識改革を図るための働きかけも必要である。
 次に、評価する側の保護者や地域などの者も、恣意的な感情から個人攻撃となったり単なるクレーマー的な評価となったりしない中立・公正に評価できる力量と資質を高めるための啓発活動も必要であろう。(全国市町村教育委員会連合会)

 学校は、保護者や地域からの評価については誠実に受け止め、どの教職員も改善策としての教育方針をぶれずに説明できることが大切である。保護者や地域は、学校の一部を図ることしかできない評価結果に一喜一憂することなく、学校運営の改善に向けて前向きに協力していく姿勢を持つことが大切である。教育行政は改善努力が精一杯の学校に対して、予算措置や人員配置等、できるだけの支援を行う必要がある。(全日教連)


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