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学校評価の推進に関する調査研究協力者会議(第9回)議事要旨

1. 日時
平成19年3月14日(水曜日)16時〜18時

2. 場所
東京商工会議所 5階 502会議室

3. 出席委員
天笠委員、小松委員、青木委員、金子委員、川名委員、久保田委員、竹原委員、千々布委員、中西委員、松尾委員、山口委員

4. 事務局
伯井教育水準向上PTリーダー、岸本学校評価室長 他

5. 議事
(1) 千々布委員より、「外部評価の新たな手法の提案」についての説明があった後、フリーディスカッションが行われた。その概要は以下の通り。
 (○は委員からの質問、●は発表者からの回答)

委員からの質問  横浜国立大学付属横浜中学校では、評価結果をどのように公表しているのか。
 また将来的には、評価者について付近の学校の教諭だけでなく、保護者や地域住民を評価者に含めていくという人選を考えているのか。

発表者からの回答  研究発表会の際に評価結果を公表している。なお、保護者に向けての文書の作成等は行っていない。文書の作成よりは、授業の改善に力を入れている様子である。
 保護者等による外部評価は別途行っており、この評価は第三者評価的に位置づけられている。

委員からの質問  横浜の例の場合、同僚性の中で普段感じていることを評価するというものであるが、同僚性が強すぎてうまく評価ができないということはないか。
 また、学校経営の感覚が要求される評価の観点となっているが、うまくいっているか。
 指導主事の活用を考えた場合、自己評価、外部評価、第三者評価のうちのどの部分に位置づけるのが最も有効か。

発表者からの回答  同僚性による限界は確かにある。例えば、遠慮して授業に関する評価をほとんど行っていない評価者もいたが、評価者も回数を重ねるにつれて育てられるのではないかと考えている。
 経営の視点を求めるのは確かに難しい。その場合は、退職校長など、別の評価者を考えた方が有効である。
 指導主事訪問は、学校関係者評価に位置づけるのが最も有効であると考える。指導主事の学校訪問では、校長が上司であるなどの理由から適切な指導ができない場合がある。第三者評価機関は、そのような指導体制に対して改善の指導を行う機関であるべき。

委員からの質問  学校評価とは学校経営に関しての評価であるため、横浜での取組はむしろ授業評価でないかと思う。校長のやることに対する評価を行うので、評価者には教諭だけでなく、3人に1人くらいは校長を含むべき。

委員からの質問  メモや模造紙を使った評価の仕方についてもう少し具体的に教えていただきたい。
 また、京都市で増えている指導主事は教育職かそれとも行政職か。指導主事の増員は行政が主導して行っているのか。

発表者からの回答  指導主事の増員は、京都市の市長が当選した際に市単独の予算で措置を行ったもの。他地域でも、市長の英断でこれだけの定員を確保できるのではないか。
 模造紙に付箋を貼って行う評価についてのイメージとしては、マネジメント研修で行なわれているように、横軸に効果の高いものと効果の低いもの、縦軸に取組の容易なものと困難なものと設定し、気づきや改善策を記入した付箋を適切な場所に張っていくことで効果が高くて取組の容易な改善策が明確になるというやり方がある。

委員からの質問  教員同士のチェックでは、雰囲気作りはできるけれども、それが具体的に改善に生かされていないと意味がない。発表にあった学校では、評価結果は研究会等以外ではされないとのことだが、評価結果を受けてどのような改善をしたかという成果は、評価者に対してどのように示されるのか。

発表者からの回答  近隣校評価の場合、その場で改善策まで話し合っているので、その場でフィードバックがされている。ただ、その周知まで行われているかは疑問である。
 また、学校評価は学校経営を対象とする評価であるとのことだが、日本の学校は授業の改善によって相当改善されるのではないかと考えている。授業の改善は現行の経営体制の中でも十分に取組ができる。
 経営評価を否定するわけではないが、授業評価という側面や視点を強化してもいいのではないか。

(2) 事務局より、「これまでの議論のとりまとめ(素案)」に関する説明があった後、本資料に関する議論が行われた。その概要は以下のとおり。
 (○は委員からの質問、●は事務局からの回答)

1. 「学校評価の実施状況と課題について」
2. 「学校評価の用語の定義について」
3. 「自己評価の充実と外部評価の着実な導入について」

委員からの質問  7ページの評価の在り方についての部分は、詳細は後述するという箇所が多くがわかりにくいので、表記について検討すべきではないか。

事務局からの回答  ここで後述とあるのは、18ページの内容を指している。ここでは、第三者評価の在り方について、広範な諸基準について学校評価を通じてその合規性を検証することは難しいと述べている。一方で7ページにおいては、第三者評価に限らず、自己評価や学校関係者評価でも、そのようなチェックリスト型評価は無理があり、日常の公文書の確認等を通じた学校運営の中や、教育委員会等が行う関係機関等が行う専門的なチェックの中で行うべきではないかということを記述している。

委員からの質問  チェックリスト型評価は、日本の学校評価の中では一種の流行であった。しかしそれは組織の評価としては不十分であり、校務全体を学校組織として評価するということががポイントではないか。

委員からの質問  学校評価をなぜ行うかということについて、法律があるからというのは一つの視点であるが、一般、ないしは学校関係者が読むとしたら、学校の裁量を高める、自律性を高めるために、というように、学校評価はなぜ必要かというところからまず入らないとわかりにくい。学校関係者評価という用語については、外部評価よりもずっとなじみが良いと思うが、ここでも、なぜそれが必要かが述べられていない。
 自己評価に関しては、文章化しなくても良くなる学校は良くなる。しかし全国でそれを期待するのは厳しいものがあり、やはり経営面なり組織の評価が必要となってくる。
 また、新しい事業に対して成果を挙げているということを示したり、保護者らが学校の経営に参加できているというモチベーションを持つためにも、外部やステークホルダーの参加は必要である。
 前文において、評価を行なう上で限度がある地域は、最低限これだけはやってほしいという部分を記述するべき。日本全国を見ると、組織の評価をしないとうまくいかないことがたくさんある。また、外部からの視点も必要だということをどこかに入れて、用語の整理をすると分かりやすくなるのではないか。

委員からの質問  7ページの指摘部分はもう一度吟味を。また、今、なぜ学校評価をこのようなかたちで議論する必要があるかという考え方を明示していく必要がある。

委員からの質問  ガイドラインを改訂するときに、学校が保護者、地域の現状をどう見ているかという項目があってもいい。また、評価が双方向になっていないということから、特に保護者、地域が学校をどう見ているかという視点を入れられないか。サービスの受け手である保護者や地域住民も学校と一緒になって共同体として評価するシステムがあってもいい。
 また、学校評価には「課題指向型」と「全方位型」のチェックがある。いずれかではいけないし全部チェック型でやるのも大変である。自己評価なり学校関係者評価も、何年かに1回は全ての項目で行い、課題が出たところについてはそれぞれ外部評価を受けるという記述ができないか。

4. 評価に基づく支援・改善など関係機関の役割の在り方について
5. 学校に関する情報の公開の促進について

委員からの質問  学校の情報公開については、保護者や地域住民の視点に立ち、という点を強調し、枠内にしっかりと書いてほしい。保護者や地域住民はサービスの受け手であるとともに担い手でもある。学校のオーナーでもあり子供たちの教育に関する主体でもあるということで、双方向に情報を公開し、共有し、促進していかなければならない。ここを濃厚に書いてほしい。

委員からの質問  教育委員会がある程度の枠組みを作って、質問項目を合わせ、経年で比較したり、学校同士、自治体同士を比較できるようにしてほしい。保護者・地域住民にとっては、情報の公開によって学校を一層知ることができ、それが参加するモチベーションとなる。
 また、教育委員会は、設置者として学校の裁量権や自律性を高めるためのモチベーションを意識して行政施策の上に反映していくことが大事である。
 4の中には、このようなことを明示的に書いてほしい。

委員からの質問  中教審では12、13ページの部分(学校と教育委員会の関係)の議論がなく、国と地方自治体の話に留まっていた。国からは一定の権限の移譲を受けつつ、一方で、学校を締め付ける自治体がでてくることが懸念されるため、ここでは、学校評価結果に基づく設置者の支援、改善というあたりを丁寧に書き込み、学校と教育委員会あらたな関係を構築することが重要である。

委員からの質問  教育委員会が、リーダーシップ、イニシアティブをとって学校評価を先導してほしい。
 品川区で外部評価を制度化していった際には、教育委員会がかなり強いリーダーシップをとり、外部評価のフォーマットと対になるような自己評価を各学校で行っていた。外部評価は大事だからやりなさいよ、だけでは各学校の取組は把握できない。
 指導主事に関しては、自治体により指導主事の数に差があるという気がする。また東京都では、平成12年度より、学校に対する指導・助言よりは膨大な事務をこなすことに重点が置かれる傾向にある。

委員からの質問  まずは、13ページのあたりに、学校の裁量拡大、自主性・自律性を高めるために、教育委員会の指導や支援・改善に努めるという所に、例示を加えていただけるとありがたい。
 また、学習指導要領の改訂に合わせた教育課程講習会、伝達講習会において、ぜひ学校評価のメニューを入れてほしい。教育課程と学校評価を一体としてとらえるという、横のつながりが期待される。

委員からの質問  現場の先生方は、これから先どういう作業をやらなくてはいけないのかというのが非常に気になっていると感じる。しかし、「報告書に取りまとめなさい」というようなことでは「じゃあ報告書を書けばいい」という動きになる。それよりも、何で教育委員会との連携が必要か、評価結果を保護者に知らせないといけないかという意義を説明するほうが重要。

委員からの質問  自己評価をしていないから、外部評価、第三者評価が必要と言われる。学校の裁量を拡大して自主性・自律性を高めるために、その前提として学校評価を、自己評価をやるべきだと書いてほしい。

委員からの質問  ユーザーの立場からは、適切な情報量がほしいのでなく、学校を選びたいからどういう学校なのかが知りたい。
 地方によっては教育のあり方、学校評価のあり方は違っているので、先進的なところでは学校選択のための情報公開という視点を取り入れてもよい。

6. 第三者評価の在り方に関する今後の検討課題について
7. 私立学校、高等学校等における学校評価の在り方について
8. 学校評価と教員評価の関連について
9. 学校評価の目的の達成のために

委員からの質問  もう少し第三者評価の意味をはっきり書いてもいい。課題はあるが今後検討ということでなく、1年間やってきて分かったことを3つぐらい書き、結論の出ていない部分は今後検討するという形にしたほうが前向きでよいのではないか。

委員からの質問  我々は、今年度、第三者評価の試行を一員としてやってきたが、その意義付けとかかわってくる部分としてはどうか。

事務局からの回答  試行事業そのものは、今後、報告書を取りまとめたい。協力者会議における指摘点も踏まえ、よい点なり課題なり書けるのではないかと考える。

委員からの質問  17ページに「評価者」は出てくるが、「評価機関」という言葉は出ていない。今後、何らかの機関が設けられることが予想されるので、評価機関ないし評価者ということを書いてほしい。
 また、19ページの評価の主体についての部分で、国の第三者評価に対する関わりは書かれているが、自己評価や外部評価に対する国や都道府県の関わりは書かれていないので、その部分を明示してほしい。さらに第三者評価についても、大学や研究機関の位置付けをどのようにするのか書いてほしい。

委員からの質問  第三者評価という言葉を使うからには、機関があり専門的なことができることが必要になる。それができないのなら、かぎ括弧つきの第三者評価と書くのが正しい表現ではないか。

委員からの質問  第三者評価機関を設置している諸外国の状況について調査することが有効。その際、学校に対する評価者という役割の者がいる国では、指導主事はいないのではないか。日本では指導主事がいるので、別途、評価者を設けるのではなく、今の教育委員会の組織体制を維持した上でできる第三者評価のほうが日本の風土になじむのではないか。

事務局からの回答  第三者評価に関連する部分については、本会議で基本的に合意を得た内容については、適当と考えるという表現を使っている。平成19年度もこの会議が開催されるので、第三者評価の詳しい内容についてはその場でお願いしたい。

委員からの質問  23ページ4番目の「学校評価のための事務等が過剰にならないように、教育活動に支障を来すものでないよう」の記述は非常に重要であり、もっと上に持ってきてもいい。

委員からの質問  21ページにある学校評価と教員評価の関連については、現場では全く別物だと考えている。教員評価というのは個々、学校評価は組織、あるいは全体としての活動ととらえており、教員評価をあえてここで記述する必要はないのではないか。

委員からの質問  まず、各学校の自己評価を教育行政のサイクルにきちんと連動させ、予算編成等に反映させるシステムとして位置づけることが大事。
 次に、事務の煩雑さについては、多少事務が増えてもメリットがあれば学校は自己評価を一生懸命やる。今は、評価が支援につながっていない。第三者評価もそうだが、あらゆる評価活動がコストをかけても、最終的に教育の質がよくなることを国民に示さない限り、議論しても仕方ない。

(3) これまでの意見のとりまとめについて、座長に一任することが了承された。

(4) 事務局より、今後の開催予定について説明があった。

(初等中等教育局学校評価室(教育水準向上プロジェクトチーム))


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