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学校評価の推進に関する調査研究協力者会議(第7回)議事要旨

1. 日時
  平成18年2月13日(火曜日)14時〜16時

2. 場所
  東京商工会議所 4階 特別会議室S

3. 出席委員
  天笠委員、小松委員、青木委員、今村委員、長尾委員、中西委員、檜山委員、松尾委員、

4. 事務局
  布村大臣官房審議官、伯井教育水準向上PTリーダー、岸本学校評価室長 他

 
(1) 事務局より、学校評価の推進に関する論点整理に関する説明があった後、フリーディスカッションが行われた。その概要は以下のとおり。

 
1  自己評価・外部評価の実施・公表の義務付けの在り方について

 学校評価結果の公表の方法については、ホームページへの掲載や、保護者会での説明など、様々な形で行われている。一方で、保護者や地域住民の側からすると、説明を聞いただけで評価結果を公表されたという認識はない場合もある。公表を行う際に、何をもって公表とするかが重要。

 平成10年の中央教育審議会答申以来、学校には「地域に開かれて信頼される」組織となることが求められている。自己評価でも外部評価でも、実施した評価結果を公表することは、地域の人が学校が開かれていると認識するための必要条件であるが、十分条件ではない。評価結果の公表に留まらず、評価結果を学校が教育活動の改善のために活用しているという意識があって初めて、学校に対する理解を得て、その先の協力を得ることができる。

 学校側としては結果を公表していると認識しているが、保護者・地域住民からはそう思われていないという実感はある。また、網羅的に行われている自己評価をそのまま公表するのではなく、重点的な取組に対するコメント一文の公表をもって、結果の公表ととらえている学校もあり、ホームページ等で公表できる状態のものは少ない。
 公表を義務付ける場合、公表の方法がわからなかったり、公表後のことを考えて取り繕ってしまうような出し方であったら、いくら公表を義務付けても意味がない。教育活動の改善につながったり、保護者・地域住民からの協力を得ることができるような結果公表の仕組みが重要。

 保護者の間で学校の自己評価に対する認知が進んでいない理由としては、保護者の求めている情報と、学校が公表している情報に差があるからではないか。今後の学校は、開かれた学校となるために地域住民とのコミュニケーションが必要であり、自己評価も、そのための重要なツールとして位置づけられる。即ち、義務だから公表するという形ではコミュニケーションのツールにはならない。

 学校からの情報提供の内容と、それを通して、学校と保護者・地域住民との間にコミュニケーションが成り立っているかが重要。その中で、自己評価に関する情報が位置づけられていれば、保護者・地域住民の間での学校評価に関する認知度も高くなる。

 学校が信頼される開かれた組織になるための努力として、教育委員会、学校としては、保護者・地域住民に対して、直接的には授業参観、学級懇談、PTA総会等を行いながら説明を行っており、学級担任は学級通信、校長は学校便りやホームページ等を開設して、アンケート結果等の情報の提供に努めている。教育委員会としては、現段階の取組から一歩でも進めたい。
 前年度までは、ホームページ等においては、児童生徒、または保護者へのアンケート結果の公表は行っていなかった。本年度は、学校便り等では不十分と考えて、ホームページを開設した。今後さらに信頼された開かれた学校づくりのためには、評価結果の義務化に向けての取組が必要。
 学校評価はとても重要であると認識している。学校評価の重要性を、教員や、保護者・地域住民に理解していただくための研修の機会が国民的にあり、学校評価の有効性が全国に広まるということが、義務化と同時に必要。

 学校評価に関しては、校種の別、設置者の別をどう考えるかという問題がある。
 また、全ての学校で評価を行うことが必要という判断がされる場合は義務化となり、評価を行わないところがあっても良いのであれば、努力義務となる。
 さらに、義務化といった場合に、対象が学校なのか教育委員会なのかという点は、整理が必要。第三者評価に関しては、外部が主体となる評価を受け入れる主体として、第三者評価の義務化についても検討の価値がある。
 また、学校の裁量拡大に対する出口管理をするのが学校評価の目的とすれば、義務化を行うかは別として、評価の様式が各学校で整っている必要があると考える。
 ただし、合規制のチェックというのは設置者の責任のもとに行う方が好ましい。

 個々の学校に負担がかからないようにするべきということは大前提。第三者評価をやるかやらないかという話をしていることを前提にすれば、何らかの情報公開がどの学校でもされるのがあるべき姿。
 イントラネット内のホームページへの掲載をもって公表とする校長も存在する現状においては、開かれた学校に向けて意識を変えていく必要があり、そのためには、限られた形でも何らかの義務化の方向性が必要。

 学校は「評価」に対してまだまだ慣れておらず、公表に関しても、必要性は意識しているものの、その手法や仕組みに関しては、まだ不十分なところがある。そのため、フォーマットのようなものがあると有効。現状では、一方的な評価結果の公表が多いが、それが双方向的なものにつながるような仕組みになれば良いと思う。
 ただし、フォーマットにこだわりすぎると負担感につながるため、自分の学校用にカスタマイズできるようなものが有効。

 広島県では、学校の設置基準の改定の際に、自己評価の実施と結果の公表を義務付けた。設置基準の改定からは4、5年が経過しているので、ケーススタディーとして、本件における義務化の影響について調査を行うことも考えられる。
 自己評価と外部評価は区別して考えるべき。自己評価はフルタイムの教職員が行うものに対し、外部評価は委嘱された人がパートタイムで行っている。義務化の議論は重要だが、外部評価の場合、時間の余裕、報酬の問題、専門性の問題等について検討することが必要。

2  自己評価と外部評価の在り方について

 学校評価については、網羅的に行なうのではなく、重点化を図ることが重要であるという指摘は以前からされてきたが、それが現場では受け止めきれていない。学校評価とは、多くある項目を埋めていくものであるという意識が定着している実態があり、その点では、目標設定や重点化を進める方向性は重要。

 校長先生の中には、10以上の項目を網羅した全方位型の評価をやりたい人と、例えば確かな学力を優先課題として、他の取組は評価しないといったような課題志向型の評価をやりたい人の両方がいる。学校にはこの程度の自由度が必要ではないかと思う。その場合、目標設定や重点化に関してまで法令に規定するのは、学校の実態に対して無理があるのではないか。
 また、学校関係者評価では専門性が欠如しているため、独自の評価を行うことは無理だと思う。学校が行った自己評価に対して、自分の賛否を表明する程度が限界である。

 PDCAサイクルで評価を行う場合、網羅型では難しく、問題を特化した形でその解決を図るという方向であるべき。現行のガイドラインでは、項目が網羅的に記述してあり矛盾もあるが、問題点を把握するためには、とりあえず全ての項目について評価をしてみないとわからない。したがって、出発点としては全てを網羅的に評価し、課題が見えてきた段階で問題解決型にしていくということが考えられる。
 また、公開に関しては、各学校がそれぞれの課題について情報公開されても、見る側としては判断がつかないため、最低限度の共通情報を公開し、その中で各学校が課題ととらえている点を強調できるという形が理想だと思う。

 PDCAサイクルの視点に立てば、今年度は網羅的に行った評価を、来年度は課題を抽出して評価を行いたい。また、8月の期間を利用して、評価結果の内容を分析し、2学期から3学期にかけて、それぞれの課題に取り組んでいきたい。
 「重点化を図る」という内容は非常に取り組みやすい。教職員も、一つの課題解決に向けてのエネルギーが出てくる。
 法令への規定については、私の自治体ではまだ少し無理なように感じるが、是非やっていきたいと考える。

 外部アンケートと外部評価、学校関係者評価が、現場ではまだまだ混同されている。重点化を行うためには、まずはリサーチを行うべき。その際、課題の把握のため、網羅的なアンケートを行い、その結果を踏まえて課題の重点化を行なうことが重要である。そこで初めてPDCAのサイクルの下、重点化した目標を設定し、取組に対する評価ができる。
 このようにアンケートについては、外部評価と明確に区別する必要がある。

 学校評価の考え方や具体的な進め方については、学校の中で十分に習熟されていない。即ち、網羅的な事項のチェックという学校評価の方法がパターン化されて入ってきているため、PDCAサイクルに基づいた学校評価が主流になりきれていない。
 仮に重点化がまだ不十分であるとすれば、それを法令化という形で各学校に求めることは、状況を変えるにあたって適切な手法なのか。

 学校は、全てを重要と考えるために重点化しにくいという体質をもっている。今後は、各学校で何を重点的に考えるかという発想の転換が必要。

 最低限の評価情報を整えるということは、自己評価に期待されているところ。網羅的でなくとも一定の範囲の幅で評価情報を集めて整理することは必要。どのような評価情報を整えるべきかは、調査研究の課題となる。
 法令に規定する場合、重点化を図らない場合は法令違反になるということであれば、それは行き過ぎのように感じる。

 校長が自分の経営方針に基づいて行なった評価は、責任を持って、設置者や保護者・地域住民に示す(報告する)ということは当然であるという意識を持ってもらうことが重要。また、学校評価に関する研修の機会や、学校評価に関する普及啓発が重要。

3  外部評価の在り方について

 外部アンケートについては、資料にある整理の通り、評価のための情報収集活動と考えるが、評価活動であるという点には疑問も残るので、自己評価との対応関係もあって、外部評価では委員会等を構成することは必要と考える。
 また、地域によっては外部評価者の人材確保が難しい場合もあることを想定した制度設計が必要である。また、委員会の構成を多様化することは重要であると考える。ただし、学校評議員の本来の政策目的は、やや違うものであるため、例示が学校評議員でいいか、という点については、検討の余地があるかもしれない。

 自己評価の実施だけでは不十分で、自己評価した結果は何らかの形で検証されなければいけない。また、設置者は自己評価に関して何も評価をしないのか、整理が必要である。また、アンケート結果と自己評価結果がどう違うかを検証する必要がある。

 委員会組織をもつことは重要である。自己評価の検証を、各委員それぞれに行ってもらうよりは、きちんとした委員会を設け、そこで十分に検討した結果を学校にお伝えいただく方が、より精度の高いものになっていくと思う。
 学校評議員の機能が、外部評価委員会の機能と完全に一致するかどうかについては、学校評議員の構成も含めて考えていく必要がある。

 学校評価を進めるにあたって、学校の内部組織として学校評価委員会のような組織を設けるということは、比較的多くの学校で行なわれているのか。

 学校評価を、校長先生などの一部の管理職だけでなく、主任クラスとともに考えていくため、そのような組織を設けるところは多くなってきている。

 保護者代表や地域住民を内部組織に加えて、学校評価の取組を進めている学校もあると思われるがどうか。

 学校の質を高めるという視点に立って話すと、学校には現在、校長のリーダーシップのもとに、教職員を中心とした評価委員会というものは大多数あると認識している。外部評価委員会については、私の町では、学校評議員の数は各学校5名であるため、広報誌等で公募し、委員の構成等に配慮しながら、設置している。

 校内評価委員の中に外部の人が入るということが、外部に委員会をつくるよりも弱いこととなるのか。学校評議員や学校運営協議会、PTA等、組織が乱立しているので、保護者や地域住民には理解しにくい。その点で、保護者や地域住民などの外部の人間が校内委員会に入るのも、開かれた学校づくりに向けての一つの解決策になるのではないか。

4  その他

 国は義務教育の質の保証のために学校評価システムを構築し、一方で学校は、自己評価および外部評価を実施し、結果を教育委員会に提出する。すると、教育委員会は常に受身であるのかという疑問が生じる。また、学校が学校評価についての校内研修を行なう場合、最初に指導を仰ぐのは指導主事である。しかし現状としては、教育委員会の指導主事に、必ずしもその指導力がない状況にある。そこで、まずは教育委員会の指導主事、管理主事に学校評価に関する研修を行なって、学校評価を引っ張ってもらう体制をつくることが重要である。
 問題がある場合は第三者評価が行われることもあるが、まずは、学校評価システムにおける教育委員会の役割を見直し、研修の支援や、教材や人材の派遣を位置づけていくのが有効。

 学校評価の研修の機会を位置づけることが重要。
 教育委員会は受身にならないように、町としての教育方針等を立て、校長もそれを受けて経営方針をつくっている。
 今後も、様々な校内研修の密度を上げていきたい。

 教育委員会のあり方については、資料2の7.1にある「学校評価の結果が、きちんと改善につながる内容や体制であること」とあるが、「きちんと」という部分を、例えば学校及び教育委員会による改善等、もう少し明確に書ければと思う。
 学校を支援する立場である教育委員会をもう少し前面に出すことは賛成である。
 また、第三者評価の在り方について、「1全国的に波及させることが望ましい優れた取組を広く紹介し、2課題の多い学校については、人事権者や設置者による改善支援を促す、などの役割を果たすことが期待される」とあるが、その主体をどう設定するかという点に関しては意見が分かれるところである。
 義務化に関して、公表率が低いことが背景であったが、公表率を高める方策としては、義務化以外に、学校評価の文化の浸透があり、少し時間経過を待つということもあり得ると思う。もう一つ、既存の他制度とのリンクを考えるということが浸透に役立つと考えられる。
 義務化ということになれば、公表が必要な項目などは、ガイドラインの中で、「法令上、作成等が義務付けられている資料」程度の簡便なものの方が、取り組みやすい。

 保護者・児童生徒が教員を評価することと、それが教員の人事評価に結びつくことには、少し距離があると考えられる。人事評価は、それだけではないと思う。

 学校評価の目的は、学校のマネジメント、組織全体の評価であり、人事評価では、チームの一員としてチームにどのように貢献したかを評価する必要があるため、両者は切り離した方が良いと考える。

 学校評価は、対外的にコミュニケーションを進めるためのものだが、教員評価は学校の内部の話。しかも、管理職と教職員個々の関係が非常に大切であるため、同等に扱ってはならないと思う。
 教員評価の中には、学校評価の枠の中に入る活動と、教員本人にのみ関連する部分の2つがある。

 学校の自己評価の実施と公表の義務化に関しては、今後、学校の設置が自由化されていくと、学校が公教育機関として成立するための認証評価的なものが必要となってくる。
 しかし、何のために結果を公表するかという点では、「誰が」「誰に対して」「何を」公表するかということを整理する必要がある。「誰が」という点では、設置者である教育委員会レベルの話でもあり、学校レベルの話でもある。「誰に対して」という点では、公的な機関であるから国民全般に対してということと、直接利害関係者である保護者や、少し広げて地域に対してという2点が考えられる。
 「何を」提供していくかという点については、既に教育委員会への提出や学校要覧で公表している情報については、共通して提出して良いもの。学校の自由度が拡大して行く中では、例えば同じ市町村でも学校ごとに授業日数が違うといった場合、その理由については、設置者に説明責任があるのではないか。
 重点化の件は、重点化を進めると、極端に他の分野に手を付けない状況が生まれるので、まずは網羅的な評価をやらざるをえないと思う。それを1回、2回と繰り返す中で、PDCAサイクルにのるときに始めて重点化していくのではないかと思う。
 設置者である教育委員会との関係については、日本の場合はどうしても都道府県教育委員会と市町村教育委員会との役割分担の整理を行う必要がある。
 アンケートに関しては、外部アンケートという整理のしかたが定着すれば良いと思う。外部評価については、PTAさえも組織されていない学校があるなかで、外部評価委員会を組織するのはなかなか難しいと思うが、それを目指すべきだと思う。
 教員評価との関連では、保護者の最大の関心事は、学校全体の評価よりも、個々の教員の評価であることに留意すべきと思う。教員評価は、保護者の最大の関心事かつ、教員の最大の心配事であるが、その折り合いをどうつけていくか。学校評価の議論と教員評価の議論を切り離すことに問題ないが、保護者の関心は教員個々の評価にあることに留意すべきであると思う。
 また、校内での学校評価に関する研修を一日も早く整備・充実する必要がある。特に設置者である市町村教委がどう関わるかが課題であると思う。

 教育委員会の役割については、学校評価全体に関わってくる。とりわけ義務教育段階では、市町村教育委員会の役割が大きな鍵を握る。この位置づけについて整理された考え方をまとめておくことが大切だと思う。

(2) 事務局より、今後の開催予定について説明があった。

(初等中等教育局学校評価室(教育水準向上プロジェクトチーム))


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