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学校評価の推進に関する調査研究協力者会議(第4回)議事要旨

1. 日時
  平成18年10月30日(月曜日)13時30分〜15時30分

2. 場所
  東京商工会議所 4階 特別会議室S

3. 出席委員
  天笠委員、小松委員、青木委員、今村委員、木岡委員、竹原委員、千々布委員、長尾委員、中西委員、檜山委員、本部委員、松尾委員、山口委員、吉村委員

4. 意見発表者
  西井国立大学法人評価委員会室長、目白大学人間社会学部増田教授、三菱総合研究所吉村研究員、三菱総合研究所篠原研究員

5. 事務局
  布村大臣官房審議官、伯井教育水準向上PTリーダー、田中主任視学官、岸本学校評価室長 他

 
(1) 文部科学省 高等教育局 高等教育企画課 西井知紀 国立大学法人評価委員会室長より、大学評価についての説明があった後、フリーディスカッションが行われた。その概要は以下のとおり。
(○は委員からの質問、●は発表者からの回答)

 
委員  大学評価を行うことで得られた知見を義務教育段階の学校評価にとのような形でスライドできると考えるか。あるいはできないと考えるか。

発表者  大学評価制度の発足から間もないが、既に様々な課題が指摘されており、学校評価の参考となるかもしれない。
 第一に、本来、大学評価では、評価結果が社会の中で認知されることで大学の自己改善に資することが望まれるが、実際には悪い評価結果のみがマスコミに取り上げることにとどまるなど、本来の目的が学校の自己改善に資するためのものであることがまだ社会に理解されていない。
 また、評価を受ける大学内でも、特定部局の評価担当者への負担の集中や、形骸化した評価がなされることがあるなど、の問題もある。
 なお、大学評価は研究者によるピアレビューであるため、適切に評価を行える知見を持った人材をいかに大学の中で育てていくかが課題である。

委員  大学評価全体を行う上での費用はどれくらいになるか。また、それぞれの負担関係はどうなっているか。

発表者  費用に関する具体的な数字は把握していない。
 認証評価の場合、評価機関に対して各大学が評価手数料を支払うことになっている。これは大学の規模にもよるが、大体数百万円程度の額が大学から評価機関に支払われ、これをもとに評価機関は、評価委員への謝金や評価委員会開催に係る経費、訪問調査に係る経費等を支出する。

委員  評価する人材の確保については学内の問題であるとのことだが、大学の研究者は、教育内容や研究内容の評価はともかくとして、組織運営についての適切な評価者であるとは限らない。アメリカの場合は、大学院レベルで評価の方法論について体系的に教えている。日本ではそのような動きは見られないが、評価に関する専門家の養成についてはどのように考えているか。

発表者  専門家の養成については非常に重要な課題であるが、文部科学省の施策として取り組んでいるものではなく、各大学の取組に任せている。一方、参考になるかはわからないが、文部科学省が設置する国立大学法人評価委員会では、毎事業年度および中期目標期間(6年)ごとに業務実績の評価を行うことになっている。教育研究については、大学評価・学位授与機構において専門的な評価を行うが、業務・経営面の評価は我々事務局が行っており、適切な評価に向けて苦慮しており、高い専門性を持つ評価者の養成が大事な問題であることを痛感している。

委員  自己点検・評価について、評価項目の収斂傾向はあるのか。また、結果の公表については、自己点検評価の実施率より低めの数字となっているが、この差が生まれる要因についてはどう考えるか。

発表者  各大学の自己評価の内容については把握していない。

(2) 目白大学人間社会学部教育学科 増田まゆみ 教授より、保育所における評価についての説明があった後、フリーディスカッションが行われた。その概要は以下のとおり。
(○は委員からの質問、●は発表者からの回答)

 
委員  全国にある保育所の数及び、第三者評価を受けている保育所の割合についてお聞きしたい。100パーセントではないと思うので、その場合、どのような機関が第三者評価を受けているのか、また、その機関の第三者評価の受け止め方についてお聞きしたい。

発表者  全国の認可保育所は約2万千余箇所で、人数的には、公立より私立の方が若干多い。全国的な受審率に関しては把握していないが、まだわずかではある。ただし、東京都などは第三者評価の受審に際して補助金を出すなど積極的に取り組み、受審率が高まっている。
 受審した園は質の向上等に向け非常に積極的に取り組む園が多く、第三者評価の受審を契機に園全体の保育の見直しができたという肯定的な意見が多い。、
 一方で、評価について「わずか1日で何が見られるのか」という否定的な意見もある。これについては、3人の調査員で論じ合い検討することと、評価機関が組織として決定していくことによって的確な評価に近いものが実施できていると認識している。

委員  公表の在り方についてはA、B、Cの3段階で出すことに疑問を持たれていたとの説明だったが、その点についてより詳細にご説明いただきたい。また、A、B、Cの割合は実際どうなのかについて伺いたい。

発表者  評価がABCの3段階で示されることは、非常にわかりやすいことである。しかし、保育所保育指針に準ずるというガイドラインはあるものの、A、B、Cの判断は難しく、誰もが納得するような完璧な状況にはなっていない。したがって、ABCによる評価をそのまま公表することが、質の向上に向けてという本来の目的に沿ったものとなっているか否かは、検討の余地が有る。個人的には、園の特徴を示した上で課題も示し、できるだけ詳細に評価し、自己評価・自己変容に繋がるように6段階等の評価を行うが、そのすべてを公表はしない、という方法が有効だと思う。
 なお、現在は前向きに取り組む保育園が第三者評価を受審しているので、A評価がかなり多い。一方で、長時間に及ぶ保育・小学校との連携等に関する評価項目については、B評価がまだまだ多い。

委員  1点目として、3段階の評価だとB評価が非常に多いと考えられるがどうなのか、伺いたい。
 2点目として、評価をするにあたっては評価調査者3人が最も適切であるとの話があったが、それは専門性を考えて、多様な分野からの3人を含むイメージなのか、その辺りはあまり考慮されていないのか、お伺いしたい。
 3点目は、公表される内容に関して、ABCの3段階による評価と、文章による評価の双方があるというお話だったが、保育所自身の改善案のようなものは公表されてくるのか。

発表者  3人ということは、最低限3人という意味である。費用としては、40万円位から70万円等様々であり、評価機関にとってはかなり厳しい金額であるが、その限られた財源の中でも3人は評価者として必要であると考えている。
 本来ならば、保育の専門家、福祉の中での経営の専門家等、異なる専門を持った方が一緒に行くことが求められるが、現段階では厳しい状況である。しかし、今後はそれらの条件を備えた質の高い評価機関・評価者が生まれてくるようにしなければならない。

委員  2万2,000の保育所の中で、全国保育士養成協議会の第三者評価を受審している保育園が約1パーセントであるということだが、受審の障害となっているものは何か。
 また、保育園のような社会福祉施設では、小学校や中学校と違って安全配慮義務が求められているが、実際に232園を評価されて、ここが変わったという事例があれば教えてほしい。

発表者  第三者評価が進まない理由としては、他者による保育園内の細部に渡っての評価が、まだ保育界にはなじんでいないということが挙げられる。具体的には、なぜこんなにがんばっているのに評価されなければならないのかという思いを持っている施設が多いのではないかと考える。
 また、保育所は多く、それに伴い職員の人数が非常に多いので、第三者評価についての認識が浸透するのに時間がかかることが挙げられる。さらに、評価を受けるからにはオールAがほしいというような心理も見受けられる。
 園内の変化としては、それぞれの園にある保育理念や保育目標と、保育実践との関係が、評価を通じて見えてきた、また職員の連携が強化されたということが挙げられる。

委員  1点目として、第三者評価の根拠となる自己評価は、義務的にされているのか。
 2点目として、保護者の利用サービスということでアンケート調査はやっているとのことだが、保護者からの聞き取り調査は行っているのか。
 3点目として、評価の依頼先は園長なのか理事長なのか。

発表者  保育所の自己評価は、義務教育における自己評価とは違い、第三者評価の前提となるものであり、第三者評価機関は、評価の項目を園に事前に送付し、自己評価を行ってもらう。その結果を事前に評価調査者に送付される。
 今のところ利用者への聞き取り調査は行っていないが、評価機関によっては、直接聞くという手法をとってるところもある。利用者アンケートにより、利用者の実態がどのようなものであるかということが明確になり、園も利用者の受け止め方に大きな関心をもっている。
 なお、受審の依頼については、基本的には理事長の決裁だと思うが、1法人1施設というような小規模の園の場合、園長と理事長が同一という場合もある。

(3) 三菱総合研究所 吉村研究員 および 篠崎研究員より、諸外国における学校評価制度について説明があった後、フリーディスカッションが行われた。その概要は以下のとおり。
(○は委員による発言、●は発表者からの回答)

 
委員  ニュージーランドにおける第三者評価について、教育委員会の廃止と、学校経営に関する事項の決定権を有する学校理事会の設置について説明があったが、特徴的なことは何か。

発表者  歴史的な経緯は文献調査で得た知識に限られてしまうが、1989年の教育法、あるいは教育指針の策定にともない、教育委員会の廃止とともに、学校理事会が各学校に設置された。同時に、Education Review Officeが第三者評価を行うこととなった。このように、1989年に、多くの改革が一気に行われた。

委員  それぞれの国について、評価結果に基づいた改善・支援策はどのようになっているのか。

発表者  ニュージーランドでは、教育機関評価局による第三者評価の結果を、支援機関も参考にする。それ以外にも、支援機関による独自の評価も行っており、それに基づき学校に対して提言を行っている。

委員  イギリスでは、監査結果を受けて学校教育計画の見直しが行われている。また、各学校が大きな裁量権を持っていることもあり、課題に対応するための教員研修や、外部人材の導入等が学校理事会及び校長の戦略的な計画のもと実行されている。それらの改善を支援する組織として、地方教育当局や地域監査機関がある。
 オランダでは、全国学校協会などのアンブレラ組織が学校改善の一環から独自に外部評価を行い、その結果、課題が見つかった場合には、適切な支援を行うこともある。支援をする組織は多様であり、オランダでは、多様な支援機関が、多様な支援サービスを提供していることが確認された。
 フランスでは、大学区による学校監査が中止されてしまったが、監査の結果をどう改善に結びつけるかについての戦略的な計画ができていなかったことが、その大きな要因であると聞いている。

委員   Ofstedの職員の多さに驚いている。しかし、イギリスの教育予算は日本よりは高いものの、突出して高いものではないと記憶している。何か別の予算をOfstedに充てているのか。

発表者  その背景に関しては正確に把握しているところではないが、2005年から制度の大きな改定をせざるを得なかった要因の一つとしては、議会から学校監査にかかる予算の削減を求められたことにあると承知している。

委員  イギリスの人口は日本の半分であり、日本でも指導主事を集めたらこれ以上の数字にはなる。また、中央に全員が集まっているのではなく、地方支部に所属する職員もいるので全体ではこれだけの人数になるということである。

(4) 竹原委員より、東山田中学校コミュニティカレンダーの紹介があった。

(5) 事務局より、今後の開催予定について説明があった。

(初等中等教育局学校評価室(教育水準向上プロジェクトチーム))


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