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学校評価の推進に関する調査研究協力者会議(第3回)議事要旨

1. 日時
  平成18年9月26日(火曜日)13時〜15時30分

2. 場所
  三田共用会議所 3階 大会議室

3. 出席委員
  天笠委員、小松委員、青木委員、今村委員、木岡委員、川名委員、久保田委員、竹原委員、長尾委員、中西委員、檜山委員、松尾委員、山口委員、吉村委員

4. 事務局
  銭谷初等中等教育局長、布村大臣官房審議官、伯井教育水準向上PTリーダー、岸本学校評価室長他

 
今回初めて出席する委員の紹介が行われた。

 
(1) 木岡委員から学校組織マネジメントについての説明があった後、フリーディスカッションが行われた。その概要は以下のとおり。
(○は委員からの質問、●は発表者からの回答)

 
委員  発表にあった小学校では、自己評価に対して継続的な支援が結果として必要であったという結論が出たが、その間、教育委員会はどのような役割を果たしてきたのか。

発表者  県教育センターには学校教育支援室が置かれ、情報を求めて各学校を回っている。しかし、指導主事も自分も含め、小学校の動きがおかしくなってきたことに気付けたのは、この1年である。

委員  学校の自己評価と外部評価とのギャップが出てくると思うが、学校ではどのように処理しているのか。

発表者  発表にあった小学校での外部評価は、地域の人たちによるものが中心であり、極めて協力的に学校を見てきた。したがって外部評価を通じて内部のぎくしゃくした動きを読み取るのが無理だったと思う。
 ギャップという点では、品川区の例の方が参考になると思われる。品川区では、外部評価者が突きつけた課題や問題を校長自身が受け止められず、マネジメント能力の差異によって結果が生かされたり、逆に徒労感を募らせたりするものになったりという実態があった。
 校長の能力が学校評価の有効性を左右しており、校長の姿勢を通じて、校長に対する不信感を持ち出したところもあれば、一生懸命やっている学校の動きに同調して、外部評価者が内部の視点で学校を見るようになったケースもある。

委員  外部評価と自己評価をいかに連動させるかということが一番の課題である。外部評価も毎年繰り返していくと、淡々とこなすだけで、改善に結びつかなくなる。授業や教育の質というものに、地域の方とかPTAの関係者だけの外部評価だけでは限界がある。そこで第三者評価に向けて方策を練っているところである。

委員  ギャップというのはいろいろな使い方がある。自己満足の授業が、学識経験者等、高い見地から客観的に指摘されると、反発だけでなく,次は指摘されないような授業をやってみようという改善につなげられる。生かし方によっては、管理職にとって助かる。

委員  専門的アドバイスは必要だということだが、文部科学省で行っている第三者評価の試行事業はそれになじまないのか。

発表者  試行でなされている第三者評価と、今後展望されようとしている第三者評価は一緒に論じてはいけない。
 専門的な視点を、全国において、品川区と同じレベルで確保するのは不可能である。品川区は58校全てに研究者やそれに準じた方を配置できた。全ての学校にそれだけの研究者を確保するのは不可能と考えるが、例えば中学校で、高等学校教員や小学校教員が評価するという仕組みを取り入れれば、専門的な視点は確保できるだろう。

委員  学校評価を、学校の日常の中に浸透させていく基盤づくりの過程を重視すべきだということと、学校組織のマネジメントを展開していくときのプロジェクトチームの役割との関連を教えていただきたい。

発表者  コミュニケーションの崩壊が、今の学校がマイナス思考に陥っている大きなポイント。本音で語り合う場をどのように設定したらいいのかをプロジェクトとしてまとめ上げる仕組みの開発が重要である。今までの校務分掌を中心で動く学校から、プロジェクトをそこから切り離して自由に動ける仕組みに変えることで、試行的に手を打っていくことは実現可能である。

(2) 竹原委員から、「学校の情報発信から地域の情報共有へ」「アメリカの学校と地域を結ぶ学校ハンドブック」について説明があった後、フリーディスカッションが行われた。その概要は以下のとおり。
(○は委員からの質問、●は発表者からの回答)

 
委員  ガイドブックづくりで学校の問題が整理されるが、毎年となるとあまり改定箇所もなくルーチン化していく。かかわる人はかかわる、かかわらない人はかかわらないということを、どう突破していけるとお考えか。

発表者  自分の生活や子供の教育に役立つという実感がなければ、たくさん情報を流しても読まれない。このハンドブックは役立つ情報をわかりやすく出しているが、担当者は毎年交代し、任されているのでその人のカラーが出ている。切実なもの、シンプルで分かりやすいものでなければ生かされない。

委員  事務職員の中で、学校ガイドに取り組んでいこうとする動きがかなり出ている。しかし、費用や個人情報等の問題もある。多くの人に見てもらうために、小中間連携の中での組織体制ができつつあり、小学校、中学校、地域の公民館等の社会教育の情報を一つにまとめたカレンダーづくりも進んでいる。どれだけ効果があるかは、まだ始まったばかりであるが、情報の共有化が学校評価でも重要なポイントになると思う。

委員  教育委員会の中に学校評価の部局が別にできて、並行して学校評価が行われているのではないか。ブルーブックは情報共有という意味で非常に大きな役割を果たしているが、それが学校評価とどう関わっているかが興味深い。

委員  「共通の情報の共有化」というキーワードと、もう一方で、どういう情報を共有化するのかという「情報の質」が重要なのではないか。学校では、どのような取組を行うかという情報は出てくるが、それによって児童・生徒がどうなったかという情報には乏しい。情報の質という面で、どのような工夫があるのかお聞きしたい。

発表者  いわゆるスローガンではなく、帰宅時間など子どもの生活や学習に関する具体的な情報を共有したいというのが保護者の気持ちである。また年間予算をこう工夫して使いました、とかごみ削減に努力してこのように減りましたという結果もていねいに出すことが必要になると考える。

(3) 事務局より、学校評価システムの構築(平成19年度概算要求資料)について説明があった後、フリーディスカッションが行われた。その概要は以下のとおり。
(○は委員による発言、●は事務局からの回答)

 
委員  「第三者評価機関」とあるが、これは第三者評価を一つの機構のようなもので行うことを想定しているのか。

事務局  第三者評価を行う上で、どのような形態をとるか、それに加えて、どのような機関がふさわしいのか、ということを検討する必要がある。

委員  調査委託研究に新たに加えられた学校改善支援のあり方は、国際動向も含めて調査するという予定なのか。

事務局  重要なことであるので、諸外国の例について調査した上で、国内においても先進例がないか調査したい。

委員  学校改善支援の方法に関して海外調査を行う場合、第三者評価手法の研究の中で諸外国の動向を調査する場合とオーバーラップするが、その腑分けはどうお考えか。

事務局  第三者評価の手法の研究に関しては、実際の評価手法をどのように行うか中心に行いたい。さらに、学校改善支援の方法に関する研究では、評価結果を踏まえてどのように改善支援をしていくのかについて研究を行う。なお、第三者評価機関の在り方に関する研究で、どういう機関が第三者評価を行うのにふさわしいかを研究したい。

委員  理念と内容と方法と主体、これらは分離不能であり、研究テーマの分け方としては、イメージしにくい。

事務局  互いに関係が非常に深いものである。今後財政当局とも話をしていく中で考え方を整理していきたい。

(4) 事務局より、学校評価の定義と今後の在り方について説明があった後、フリーディスカッションが行われた。その概要は以下のとおり。
(○は委員による発言、●は事務局からの回答)

 
委員  自己評価と外部評価を並べて言うのは、概念がねじれている。自己評価というと、自己はだれなのかという問題が残る。外部の概念を整理するのであれば、当事者、あるいは受益者といった言葉がより妥当なのかと思う。

委員  学校の評価を企業に言い換えると、コーポレートガバナンスの問題だと理解する。大学は大企業に当たり、厳密な第三者評価の仕組みが必要になる。小・中学校は中小企業としてとらえると、顧客は保護者、あるいは児童生徒となり、金融機関に当たるところは市町村、あるいは教育委員会というところになる。自分は、自己評価、学校関係者評価、あるいは地域の評価、専門的な第三者評価という三つの位置付けをしたらいいと思っている。

委員  第三者評価は残余概念で、自己評価と学校関係者による評価以外全てが、このカテゴリーに入れられてしまう可能性があるのではないか。
 公的機関に所属する職員が第三者評価の主体になっていいのかという問題もあり、主体を想定するには多少の注意書きが必要になってくると思う。特に、教育委員会を主体として入れることには少し議論が必要ではないか。評価の手続きなどで、メタ評価的な役割を担うというのがいいのではないかと考える。

委員  広島県では、自己評価、外部評価、第三者評価という言葉を使っている。学校の意思とは無関係に、学校以外の主体により実施する評価を第三者評価として外部評価とは区別している。第三者評価については、定義の問題でなく全体の仕組みをどうつくるかという方が問題である。

委員  メディアとして、外部評価に第三者評価という言葉が入ってくると、説明が必要になるので、分かりやすい呼び名を整理するのが適切であると思う。

委員  教職員から見た場合に、保護者や地域の方は学校関係者である。自己評価という言葉を残していくならば、学校関係者による評価というのは非常に分かりやすい言葉であると受け止めている。

委員  品川区では、外部評価結果を学校のホームページに掲載するということで、当初より公表を前提に進めてきた。すると、外部評価者自身が抑制的な評価を行う。ただ公表すればいいということでやると、外部評価結果が自己評価結果を支えるような結果となり、期待している効果を上げないという危惧がある。

委員  「公表にふさわしいものとするため」とあるが、それでは評価のための評価になることが危惧される。
 公表にふさわしいものとするために学校評価をやっているのではなく、学校改善につなげるために公表していくのが一番いいのではないか。公表をすることによって、学校は外部の声を受けながら、改善につなげていく。

委員  そもそも公表は義務化すべきかということ。学校としてやるならば、それも義務化するのか学校に委ねるのか。また、公表の仕方についても、ホームページへの掲載が必須なのか。公表の仕方といった場合には、多用な方法があるはずだが、皆、ホームページへの掲載を考えている。

委員  公表をするにあたっては、外部評価委員の方にもよるが、評価委員が学校を理解すればするほど、結果を公表することによる影響を考慮することが考えられる。
 一方、評価結果を公表することは、自ら具体的な改善策を考えるというインセンティブを学校に与えるという効果がある。
 また、学校としては、外部評価の結果に基づいて何をどのように考えたのか、それをどう伝えたらよいか、公表の仕方を考えることが重要である。

委員  広島では学校評価の実施と公表を義務化して4年目に入るが、結局、外部評価結果の公表を義務化することの意味、目的が問題になる。外部評価は、自己評価結果の信頼性と透明性の担保にその目的があると思われる。そのうち、透明性の担保にはつながるが、信頼に値するかどうかということは、外部評価者の質でかなり決まってしまう。広島県の場合は、特に教員の研修を通して評価プロセスの充実を図ったが、それは義務化よりインパクトは大きかった。

委員  学校全部をよくするということでなく、具体的にこういう部分をよくする、この地域ではこれを目指すということに絞った学校評価だと、アクションが出てくる。
 もう一つ、児童・生徒の評価の位置付けはどうなるのか。

事務局  例えば,児童・生徒による授業評価も自己評価の一環として含められるのではないか。また、ある程度年齢が上がってくれば、現在は保護者を対象としている学校関係者評価に含めることも可能ではないか。

委員  公表の目的を考えると、一つには、学校自らが評価・改善した結果をアピールするためであると考えられる。すなわち、自分たちの努力があらわれるような公表の仕方が適切である。一方、情報を見る側からすると、項目が共通していないと、他の学校との比較ができない。改善の努力が現れることと、他との比較ができるということが、公表に関する2つの要点ではないか。

委員  現在、公表の義務化に向けて取り組みを進めているが、学校を代表する教諭でプロジェクトチームをつくり、学校評価ガイドラインを参考に共通的なアンケート項目を押さえている。公表は説明会、学校だより、会合で行い、ホームページ掲載は検討中である。

委員  ガイドラインにある学校の自己評価は、学校がまずは重点目標を定めて、その重点目標に沿って取組状況や達成状況を評価している。したがって、教育委員会で共通の項目を設けるということは別の流れである。
 また、外部評価に関しても、自己評価結果の妥当性を評価するのではなく、保護者・地域住民に対するアンケートをもって外部評価とする捉え方もある。
 これらの定義をあいまいにしたままでは生産的ではない。自己評価を基本として、それをどう絡めていくかというシステムのイメージが前提にならないと話がかみあっていかないのではないか。

委員  真摯に学校を評価すると、教員の加配や施設の購入など、翌年にむけての改善に関する様々な案が出てくるが、これは教育委員会の役割に直結する。
 都道府県で第三者評価システムをつくる場合、その事務は教育委員会が行う。その意味でも、学校評価をシステムで組んでいくとき、教育委員会がその導入、定着においてどのような役割を果たすのかを考えるのは非常に大事である。

委員  学校の自己評価の結果に基づいて、人事面や予算面など、教育委員会によって行われた支援の妥当性についても見ていかなければならないと思う。また、具体的な改善策がどう反映されているかということについては、かなり教育委員会の指導が必要になる。

委員  都道府県教育委員会としては、評価者と支援と一体になる可能性がある。そのため、全体の評価システムをどうするかということと、教育行政そのものが評価を受けなければならないという二点が気になるところである。

委員  市町村教育委員会としては、学校が行う自己評価を大いに尊重したい。また、ヒアリングの中で、様々な課題に対し、できる限り支援をしていきたい。さらに、学校評価を通して、学校が開かれ、よくなるということを地域の方に訴えたい。

委員  日本の現在の公教育システムにおいて、教育のアウトカムの話をすると、第三者評価機関がない以上、現行のシステムを活用していかなければならない。この状況においては、第三者評価のモデルづくりは、国がその役割を担うべきであろう。
 第三者評価に関しても、現状では、設置者が第三者評価委員会をつくらねばならないという状況であり、新しいシステムへの移行が課題である。
 学校評価の定義に関しては、今回の学校関係者評価という定義はよくできていると思うが、今後は、保護者・地域住民がどう管理運営に関わっていくかという点で整理する必要がある。学校選択が制度化している地域とそうでない地域とでは事情も違う。
 また、高等学校に関しては、選択を行う中学生にとってできるだけ正確な情報を、学校評価や自己評価を通じて提供していく義務があるように思える。
 さらに、多くの学校を抱えた教育委員会では、基本的な教育施策が学校に浸透していない可能性がある。設置者としては、各学校から自己評価をしっかりと上げていただき、それをチェックする必要がある。

委員  私学の場合、他都道府県からも生徒が通ってきているため、公立学校とは地域の感覚がだいぶ違う。
 また、学校評価を学校の日常にコミットメントさせるのであれば、学校長のリーダーシップしかない。更に、私学の設置者は法人であるため、比較すること自体無理であり、標準化を図ることは難しい。

委員  私学の場合、学校として最低限の基準を満たしていることを評価する、いわば認証評価的な意味合いが必要で、それ以上は、補助金の割合に応じて説明責任があると感じている。日本では学校が法律上の規定を満たしていることが常識的とされているが、まずは法令上の条件を満たしているかを確認する機能が、評価の基本ではないか。
委員  東京都でも私立中高は300以上ある。知事部局で全部掌握することはできない。私学も公教育の一部として、唯我独尊でやるわけにはいかないが、何を私学も対象とするのか、はっきりしたものがなければ困る。

(5) 事務局より、今後の開催予定について説明があった後、閉会。

(初等中等教育局学校評価室(教育水準向上プロジェクトチーム))


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