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学校評価の推進に関する調査研究協力者会議(第2回)議事要旨

1. 日時
  平成18年8月25日(火曜日)14時〜17時

2. 場所
  東京商工会議所 特別会議室A

3. 出席委員
  天笠委員、小松委員、青木委員、今村委員、金子委員、川名委員、久保田委員、竹原委員、千々布委員、長尾委員、中西委員、檜山委員、松尾委員、山口委員

4. 事務局
  銭谷初等中等教育局長、伯井教育水準向上PTリーダー、田中主任視学官、岸本学校評価室長 他

 
前回欠席した委員の紹介が行われた。
第1回協力者会議の議事概要についての確認が行われた。

5. 概要
 
(1) 山口委員から三重県における学校評価の取組についての説明があった後、フリーディスカッションが行われた。その概要は以下のとおり。
  (○は委員からの質問、●は発表者からの回答)

 
委員  学校の経営品質の考え方は、三重県内ではそれなりの成果が上がっているが、他県では広まっていない。これに対して三重県ではどのように考えるか。

発表者  都道府県、政令指定都市からの訪問や問い合わせ数は、平成16年度から18自治体ある。ただ、岩手県や福井県でも取り組まれているようだが、難しいという県もある。三重県では質を向上させる際のプロセスを大事にしていきたいと考えている。

委員  学校評価を行ったことで、何が具体的に変わったかを示すことが大事。教員が学校評価を行うことで具体的なメリットを感じられるようにすることが重要。
 また、三重県は企業がやるような評価を取り入れているというが、企業と比べて,公立学校は組織として自分たちで構成員を選べないという大きな制約がある。その点に関してはどうお考えか。

発表者  三重県では、研究指定校のようなかたちではなく、成功事例を集めて発表会を行うというかたちで学校評価の有効性について広めていきたい。
 人事異動に関しては組織を選べないということがあるが、三重県の県立学校へ行けばどこでも学校経営品質をやるという意識を持ってもらうようにする。

委員  児童生徒の位置付けは、学校経営論の中では多義的である。ときに構成員であり、ときに商品であり、ときに顧客となるが、三重県ではなぜ顧客として位置付けたのか。
 また、市町村との関係を考えた場合、三重県で行っている市町村への普及努力というのは他県でも適用可能なのか。さらに、市町村の教育委員会規則に学校評価、自己評価などが位置付けられているか。

発表者  経営品質賞では顧客本位という言葉を使っているが、三重県の場合はこれを学習者等と置き換えている。児童生徒の位置付けに関しては商品という呼び方も含めて議論した点であるが、今はあまり難しく考えずに、学校が改善していけばいいということで現在の結論を得た。
 市町村との関係でいえば、教育委員会規則に学校経営の改革方針や評価表に関する事項を載せていこうというところもある。県としては、8つの観点と学校プロフィールだけは残してもらい、それ以外の観点についてはアレンジしてもらって構わないと伝えている。また三重県の場合、教育長が県内の首長や教育長と議論を重ねており、その信頼関係もあって良い関係を築けている。

(2) 長尾委員から広島県における学校評価の取組についての説明があった後、フリーディスカッションが行われた。その概要は以下のとおり。

 
委員  最近、指導主事の力量が少しずつ落ちてきているとの指摘がある。広島県ではそれに対して、指導主事候補生を1年間の長期研修生として集中的に訓練をした上で、指導主事の任務にあたらせると聞いている。今、発表いただいた学校評価の研修の内容を指導主事候補生のものに含めたならば、より良くなるのではないか。

委員  この学校評価に関する研修プログラムの開発に関しては、県のセンターと大学の間のどのような協力関係の中から生み出されてきたのか。

発表者  この研修プログラムの開発にあたっては、私(広島大学)が県立教育センターに協力するとともに、日本評価学会にも全面的にご協力いただいた。具体的には、日本評価学会が仲介となって、カナダ評価学会が行っている自治体の評価を対象にした4日間講座を参考にしてカリキュラム作りを行った。県立教育センターでも専門家が複数おり、チームを組んで2年ほど研究しており、今が4年目である。

委員  短期経営目標及び、中期経営目標に関して、説明された内容以外に感じていることがあれば伺いたい。

発表者  短期経営目標では、できるだけわかりやすい数値化した目標が書かれている。大事なのはその目標達成のための方策であり、先生方には、それぞれの項目について月々の振り返りで議論していただいている。

委員  広島では12個の項目が設けられているが、その評価はどのように行っているのか。

発表者  お配りした学校評価の総括表は、学校を表現するものであり、それに評価結果全てを載せるものではない。それぞれの項目の裏には、先生方がそれぞれ持っている年間の指導計画等があるが、学校評価では、全校的な課題(全校挙げて1年から6年まで一緒に取り組むもの)に絞って評価を行っている。

(3) 小松委員から「学校評価システムの開発とその課題」についての説明があった後、フリーディスカッションが行われた。その概要は以下のとおり。

 
委員  学校評価は、管理ツールとして活用するとしたら、教員評価と関連させることになろう。学校評価だけでは、中途半端になる。その場合、例えば県教委が学校の評価を行うとしたら、その学校の教員が課題を抱えているとしたら、その課題は、教員配置を行った県教委自身の責任でもある。コミュニティスクールはそれに対して、学校が主体的に人材を集められるような仕組みにすることを実現するべく、提案した。
 アメリカやイギリスでは学校が経営主体として存在しており、その結果、結果責任が問われている。日本ではそのような状況にはないので、学校評価は管理ツールというより、むしろ、コミュニケーションツールとしてしっかり認識していくことが重要である。

発表者  学校が自身で人事権を持ち、自らマネージメントできるかたちをつくるには、人事やお金の管理をしてくれるサポートスタッフの存在が必須である。
 評価結果を踏まえた学校に対するペナルティーに関しては、メリハリのある予算配分というようなかたちで行っても良いと思うが、義務教育と高等学校については分けて考えた方が良いであろう。

(4) 事務局より「学校の第三者評価に関する実践研究」に関する説明があった後、フリーディスカッションが行われた。その概要は以下のとおり。
  (○は委員による発言、●は事務局からの回答)

 
委員  5段階評価ということで、評価結果が真ん中の「3」に集中するのではないかという懸念があるが、事務局として、4段階にしなかった理由はあるのか。
 また、評価をする場合において、チームの中で合議がなされるのか。

事務局  5段階に設定した理由としては、日本では5段階評価が定着しているということと、わかりやすい指標の立て方としていこうということで設定をした。
 評定のつけ方に関しては、少なくとも3名が評価を行うこととなり、最終的に評定が分かれた場合は、リーダーの責任のもとで評定をつけてもらう。その際に、コメント欄において意見があったことを書いていただこうと考えている。

委員  評価を行う際に、評価者の間で、ばらつきが出てくるという現象が有り得る。研究授業を行う際にも、若手の教師間にはぶれが出ても、ベテランになればなるほどぶれが少なくなるということがある。
 今回の試行を通じて、力量が高い者同士においても評価結果に差があるというような項目は、評価項目として不適切であるという考え方も出てくると思われる。

委員  一つ一つの学校の状況は全く違うものであり、評価を行う際には相対的な評価だけではなく、一つ一つの学校が抱えている状況をしっかりと見ていただきたい。学校が改善したいと思う、頑張ろうという意欲につながるような第三者評価をしていただきたい。

委員  項目間のウエートづけについて事務局の考えを伺いたい。学校側は焦点を絞って評価を行ってきたのに対して、全ての項目の平均点を出していく仕組みにすると、学校側が集中して行っている部分が見えなくなってしまう。

事務局  各大項目ごとの集約方法は、簡単な計算式ではなかなかでてこない。定量的な指標がある一方で、学校の取組状況を見ることが主眼であり、今回の試行事業では、学校としてきちんと努力しているか、あるいは効果を上げていると言えるのかといった観点から評定をつけていただきたいと考えている。

委員  学校の管理、組織運営という部分で、例えば耐震化や老朽化等の対策に関しては学校裁量の範囲を越えており、教育委員会の支援の在り方が問われている部分である。そのような点に関して、誰からヒアリングするのかということを整理して評価を行っていただきたい。

事務局  本年度については、学校の自己評価結果をもとに、その学校はどういった点を課題ととらえているか、あるいはどういう条件に置かれているかを把握した上で調査を行っていきたい。
 施設設備の状況に関しては、項目の中に「設置者と連携し」という文言を入れており、我々もどこに責任があるのかを十分に考えて実施することが必要と考えている。

委員  評価者が複数行くと違いが出るとの懸念があるが、私の経験では、意外に評価結果に差は見られない。
 飽くまで学校のマネジメントの評価であることから、実態把握からスタートし、それに対して最大の効果を上げるためにはどのような努力をしているかを見る。そうすると、評価者の評価結果はあまり変わらないものとなる。具体的な経営計画や経営診断、あるいは自己評価の状況等に関する評価を行うことになるので、効果的なアドバイスができるのではないかと考える。
 また、学校のことを知らない人が訪問することのメリットもある。学校を知っていると、学校内の問題点を考慮してしまい、かえって率直な評価ができない場合がある。

(5) 事務局より「自己評価の実施と結果公表の義務化等」に関する説明があり、次回引き続き議論を行うことされた。また、委員より以下の発言があった。

 
委員  第三者による学校評価のシステム作りに関しては長期的スパンで検討していただきたい。最終的に、文部科学省としてどのような評価システムを作ろうとしているのかが重要である。イギリスでは第三者評価に、年間約400億円の予算が必要だということだ。日本ではそのような規模の予算をどこから捻出するかも含めて、明確なビジョンに基づいた検討が必要。定量的な学力調査と、定性的・専門的な第三者評価を含む学校評価について長期的に実施してもらいたい。

 
次回の開催予定日時について9月26日(火曜日)13時〜15時30分であり、議題として(1)委員からのプレゼンテーション(2)学校評価に関連する平成19年度概算要求(3)自己評価の実施と結果公表の義務化等、の3点について予定していることが事務局より説明された。

(初等中等教育局学校評価室(教育水準向上プロジェクトチーム))


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