◆ |
「教職員人事の在り方等について」の説明・質疑応答
|
|
人事権を市町村に移譲する場合の給与負担の移譲についてと、学級編制について学校現場の裁量によって柔軟な運用が可能になる制度の検討についてのこの点についてのご意見を出して頂きたい。また、教員の広域人事、管理職の登用について事務局から資料の提出があるので参照頂きたい。藤田委員から資料の提出があるので、ご説明頂きたい。
|
|
「日本の教育を考える10人委員会」は、昨年発足し、同年5月には、義務教育の在り方について、特に財政面を中心に提言をまとめ公表してきた。今回は、教育面を含めた義務教育の在り方について検討をし、2回目の提言をまとめた。義務教育の在り方については、本部会での審議の骨格と基本的には同じ。本日は主として、全国市区町村の教育長と市区町村長を対象に実施したアンケート結果を報告したい。
|
|
本アンケート調査の回収率は教育長の方は有効回答が1,125で46.9パーセント、市区町村長は975で、40.6パーセントである。この種の調査方法での回収率では非常に高いといえる。回収率は政令指定都市と特別区がやや低めであるが、大きな偏りはないといえる。
|
|
義務教育について国が最小限のことをしなければならないのものは何かを質問した。回答としては、公立学校として国民の費用負担なく教育の機会を提供すること国民に対して均等に教育を行うことといったことが極めて重要であるといった回答がでている。ほぼ8割である。
|
|
国庫負担が一般財源化の賛否を質問した。一般財源化に反対するが90パーセントであった。
|
|
国庫負担で地域格差の拡大が懸念されているが、81パーセント近くが地域格差があってはならないと回答している。
|
|
学級編制について質問した。「学級編制基準は都道府県が定め市区町村の要望により特例を認めるようにするべきである、基本的には市区町村が弾力的に実施することができるようにすべき」という回答が76.2パーセントで最も多くなっている。「市区町村が直接基準を設けるべき」が5.7パーセントである。8割以上が市区町村での弾力的運用できるようにと望んでいると言っていい。
|
|
学校予算について質問した。学校(校長)の裁量権を拡大すべきとの教育長からの回答が76.6パーセントを占めた。
|
|
教職員の人事権について市町村に移譲することについて、賛成・条件つき賛成が39パーセント、反対が38.6パーセントであった。大規模な政令指定都市や特別区には賛成が、小規模な市町村にいけばいくほど反対意見が多くなった。
|
|
人事権を市町村に移譲した場合の給与負担については、市区町村長のアンケート調査結果では、都道府県負担が824、割合で86.6パーセントを占めた。基本的には多くの市町村長は給与負担は従前どおり都道府県負担や国庫負担すべきと考えている。
|
|
学級編制基準について理想の規模を質問した。35人が232で20.9パーセント、30人が624で56.2パーセント、25人がよいというのが111で10パーセントで圧倒的多数の教育長が現状より小規模が理想と考えていることが分かった。
|
|
教育長へのアンケート結果。教育予算が充足しているか、不足しているかを質問した。回答の内685人、61.0パーセントが不足している、291人、25.9パーセントがかなり不足していると回答した結果となった。
|
|
市区町村長への質問。市町村に人事権とともに給与負担を移譲した場合にどのような方向がより確実に財源確保ができるかということで選択肢を設けて質問した。市区町村長の784名が割合で82.5パーセントが国庫負担金が最も望ましいと答えた。
|
|
教育長と市区町村長へのアンケートでは人事権を含め、地方の裁量権は拡大して欲しい、財源は国庫負担金や都道府県負担で安定的に確保すべきとの結果が現れた。換言するならば、人事権と財源を切り離し、義務教育の全国的な水準を保ちながら地方の裁量・創意工夫を活かすべきとの結論が導きだされる。今回のアンケート結果を踏まえた義務教育の改善充実を進めるべきというのが提言の趣旨である。回収率は郵送法による調査としては非常に高く、信頼性がある。
|
|
また、今回の回収率は郵送法では非常に高い(教育長:47パーセント、市区町村長:41パーセント)。これは関心率と重要性を反映している。「10人委員会」は、文部科学省や地方6団体のように、権限や利害に絡まない団体なので、今回の調査結果は、対象者の代表性を的確に反映しているもの。民意を反映するのならば、今回の調査結果を十分に踏まえて欲しい。
|
|
中核市が人事権の移譲を求める理由には、中核市には教職員の研修義務がある、研修で育てた教職員が周辺部にでるのは不合理だという話があるのは承知している。改めてお願いしたいのは、中核市と周辺部の人事交流を閉ざさないことを確保して欲しい。周辺部に教員が異動するといっても、中核市の周辺の町村に異動するわけで、周辺の教育力が高まれば中核市の教育力も高まる。周辺部での勤務が1つの研修となって、中核市に戻ってくるときに教員は一回り大きくなって返ってくる。中核市もその周辺の両方にとっていいことである。その意味でも、中核市に人事権を与える際には、交流の道を閉ざさないで欲しい。条件を付けた上で人事権を与えないと問題があると強く思っている。
|
|
中核市の考え方で、人事権を中核市に移譲する点では統一意見になっていると思うが、給与負担については中核市の中でも意見が異なる。この点をつめる必要がある。中核市以外の人事については、小さな町村から大きな都市まで一律に人事権を移譲するのは、人事権を行使する上で困難がある。資料2の2ページを見て欲しい。福島県の例だが、採用でも異動でも、広域人事を行わないと教職員が確保できない、一旦都市部に入った教員は動かない等の弊害を解消するために、教職生活の間に2管内・3地区を必ず経験しなさいという条件を示さないと人事が停滞する。このような条件付けを行わないと人事が動かなくなる。大都市への人事権移譲と小規模市町村への人事権移譲は分けて考えるべき。
|
|
藤田委員のアンケート調査で学級編制を県が行うか、市町村が行うかという点について。都道府県が基準を定め市町村の要望によりこれを認めるようにするという回答が圧倒的意見であることを踏まえた上でお願い。
|
|
少人数学級と学級編制基準をどうするかということで、協力者会議の報告をした。学級編制基準の権限は市町村や学校に下ろすべきとの方向がある。ただ、学級編制決定基準を市町村の権限としたとしても、特区で認められている市町村で教員を採用することを全国化され、独自に学級編制をすることができるという可能性が高まることもあるが、市町村で実際にできることは、財政的面からも限られている。
|
|
したがって県の少人数指導加配を市町村がどの程度自由に活用できるかにかかっている。ただ、ご承知のように加配をどのように活用するかを決定する権限は給与を負担している県がもっているので、県がその権限をどう使うかの方針が重要となる。
|
|
藤田委員のアンケートにあるとおり、市町村が学級編制基準を決定できるようにして欲しいということはあるが、基本的にはその責任というのは給与負担を行っている都道府県がどうするかということを踏まえながら、都道府県の基準を超える独自の市町村の学級編制基準をやりたい場合には最大限可能にするような制度設計を文部科学省には考えて欲しい。
|
|
実際には市町村へ権限を移譲していく方向とそれを可能にしていくような給与負担、人事権は、今の制度では乖離している。運用次第では市町村への権限委譲をしても実態が変わらない場合も出てくるのでその辺の制度デザインを文部科学省にしっかり対応して欲しい。
|
|
これによると、財源と人事権は離して考えるべきと解釈した。この点は賛成。ただし、義務教育の根幹を維持して、義務教育の質的向上を図るには、優れた教職員の確保が不可欠であり、とりわけ教職員の人件費は全額国庫負担として全国格差が生じないようにすべきと考える。
|
|
合併の結果中核市になる市町村が多い。合併は行財政が逼迫しているから行うのが現状。人事権を移譲する場合も、全部を移譲するのではなく、1つのラインを決めるべき。中核市と周辺市町村との連携、すなわち広域人事を周辺市町村は重視している。合併の結果、中核市になると教職員の囲い込みが行われることが懸念される。周辺市町村の声にもしっかりと耳を傾けるべき。
|
|
2つの観点がある。1つは、現場に近いところに人事権を移すと現場が活性化する。ただ、人事が固定化していくのは問題。東京都はどう考えるのか。現在は人事権は都が一括で持っている。都と区の関係はどうするのか、大規模な市との関係はどうするのか。中核市が人事権を求める背景には、研修権を持つようになり、金をかけて研修をした優秀な教員が流れることの懸念があった。
|
|
もう一つは、人事権を持つ複数のグループが県内でてきて、各グループで利害関係がでてきたら困る。とりわけ待遇で格差が生まれると人事の固定化は必至。同一労働、同一賃金・同一待遇を確保しない限りスムーズな人事異動は難しい。
|
|
中核市に人事権を移譲する点については良いと思う。現場に近いところに人事権を移譲するのも望まれているところ。広域人事を確保することが重要。資料2を見ると、福島県や香川県の例があるが、これまでも広域人事に関してはさまざまな工夫がなされてきた。人材育成の面からも偏りが生じないようにする規定を具体的に検討する必要がある。
|
|
小川委員の意見に原則賛成。アンケート結果は、「市区町村が基準を設けて実施すべき」と言うのは5.7パーセントと少なく、むしろ「都道府県が基準を設定して市区町村の様々な要望を実現できる特例を認めるべき」というのが76.2パーセントと大多数を占めている。これらの結果をみて、財政事情や行政の現状を反映しながら、現実に教育を運営する上で直面している課題をどう改善するかという点で、適切な意見が反映されていると思う。人事交流も重要だと思うが、人事権移譲の条件として人事交流を付すことは必要だと思う。
|
|
学級編制について政令指定都市・特別区では、「市区町村が基準を設けて実施すべき」という回答が比較的高く、それ以外の市町村とではまったく別の回答結果となっている。この点を考慮に入れて制度設計すべき。 |