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日高教号外
平成17年7月5日

教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議
座長 高倉 翔 様

日本高等学校教職員組合(日高教)
中央執行委員長 早川 良夫

教職員定数改善、学級編成基準に関する意見


1.   私たち高等学校・障害児教育諸学校教職員を巡る状況
   
(1) 児童・生徒を取り巻く環境の変化
 
 インターネット、携帯電話などの普及により、児童生徒は有害情報にさらされている。それに伴い児童生徒が地域を越えて関わる犯罪が増加している。

 社会の変化(核家族化、少子高齢化、離婚の増加、都市化)に伴い、家庭、地域の教育力の低下傾向が指摘されている。

 いじめ、不登校に加え、最近では、引きこもり、薬物乱用、凶悪犯罪、性の逸脱行為が増えている。

 近年、所得の二極化がすすみ、家庭環境の格差が学力格差を生じさせていると指摘されている。また、フリーター、ニートが社会問題化している。

 障害児教育においては、障害の重度・重複化、多様化が進むなか、特別支援教育への転換期を迎え、共生共学の意義が広がりを見せている。

(2) 教師を巡る状況
 
 5日制の導入に伴い学力向上のために、学習時間の確保、生徒の学力格差への対応(習熟度別学習、読書指導など)、「総合的な学習の時間」、教育環境のIT化、進路指導、児童生徒指導、カウンセリングなど様々な教育指導面で多様化、多忙化している。

 進学校などでの土曜日の「学校開放・補習」、部活動の平日時間外、土日の部活動指導等で、教職員はかなり負担を感じている。

 開かれた学校づくりを推進するため、評議員制度、学校評価、教員評価など新たな制度が相次いで導入されたため、多忙化が進んでいる。

 教員資質の向上の観点から、研修の重要性は認識するところであるが、それに伴い初任者研修、10年経験者研修など学校を離れた研修機会が増加し、児童生徒と接する時間が少なくなってきている。

   このような多忙化が年々顕著になっていくなかで、教師の資質向上が問われている。教師が生徒と向かい合って教育効果を上げるには、時代の変化に伴った研修や教材研究・開発等に係わる時間を十分に確保する必要がある。

2.   教職員定数と学級編成基準の改善について
 現状を認識した上で、児童生徒一人ひとりのニーズにあったきめ細やかな指導に当たるには、現状の定数はさらに改善されるべきである。特に、学校の実情に応じ生徒指導の困難性や進路指導の充実、研修の充実、事務処理の負担軽減を考慮し、それに見合う教員数とすべきである。教員の資質向上が求められ、現在、中教審において免許更新制の導入、専門職大学院の創設が検討されているが、教員の自主的な研修を取りやすくするためにも増員は必要である。

   
 児童生徒の定員は学校の実情に合わせた柔軟な対応をすべきである。特に高校では、普通高校、専門高校、定時制通信制などスタイルも様々であり、ニーズも違うので実態に合ったものとされたい。きめ細やかな指導のためには1クラス30人程度(定時制20人)が理想的ではないか。

 児童・生徒の家庭環境などの変化から、健康指導、「食育」、カウンセリングの充実を図る上で、養護教諭、栄養教諭、スクールカウンセラーを拡充されたい。

 現業職員については、学校教育を進める上で多様な職務をされており、仕事を通じ生徒活動の支援をしている。定数法に位置づけるべきである。

 事務職員については、生徒と接しながら学校の施設管理、経費の出納等を行い学校運営に携わっている。今後、情報公開や地域社会との連携をする上で窓口としての仕事は多くなることが予想されるので定数の拡充を望む。

 学校の安全対策、情報機器の管理が喫緊の課題であり、そういった面で専門職員配置をするための予算措置が必要である。

 特別支援教育への転換により、盲聾養護学校の理学療法士等専門職員の確保および特別支援コーディネーターの配置を望む。

 これら定員を確保するためには十分な予算措置が必要であり、義務教育費国庫負担制度は堅持されなければならない。また、これまで様々な教育課題に対応する優秀な教員を確保するため、人材確保法が果たしてきた役割は極めて大きい。財政論により、これらの制度の廃止を求める意見もあるが、これらの制度が維持できなければ教育の水準は守れないと考える。


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