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全高長第34号
平成17年7月7日
教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議
座長 高倉 翔 様
全国高等学校長協会
会長 甲田 充彦

学級編制の在り方等への意見

 世に「学力低下」論が盛んである。97パーセントの義務教育修了者が進学してくる高等学校では、興味・関心・意欲・学力の広がりが大きく、各学校は自校生徒の「確かな学力」確保のため、様々な工夫を進め実践している。
 少人数学級での指導効果については言をまたないが、高等学校の場合、特記したい下記2点について意見を述べる。財政面での効率性にとらわれすぎることなく、21世紀の日本を担う人材育成の観点から、この問題を審議していただきたい。



 現指導要領の指導内容削減に関連するもの
 いわゆる「指導内容3割カット」が、義務教育段階での学力差を発生させていることは否めない。その子ども達を受け入れ、育成する高等学校としては、国立大学側が求める「5教科7科目」対応のため、従前より低い学力で入学してきた子ども達に、多教科目設定、複数レベルの授業設定が必要となる。大学のアドミッションポリシイに沿っている場合、「発展的内容」を含む入試科目(レベル)設定が当然予想されるからである。
 多くの高等学校では学力差や興味・関心の幅が大きく、少人数クラスの実現やTTの拡大がなければ、学力等の溝を埋められず、生徒の個の尊重は不可能と言える。

 学校という集団学習システム活用に関連するもの
 国内的・国際的各種学力調査結果からも、日本の子ども達には、明らかに学習意欲低下が見て取れる。高校生の多くは、義務教育終了にもかかわらず学習習慣・生活習慣も未形成であり、学ぶ技法についても自信がない。失敗や挫折を回避し、挑戦しようとしない。

 後期中等教育は、発達段階から見て「(小)集団指導」が機能する最後の機会であると考えている。これらの高校生に、学校での教育活動に積極的に参加させ、自らのキャリア形成に向かわせるためには、本人の意欲と自己実現への努力が欠かせない。
 それには個別学習・少人数学習等による学習支援、諸集団活動を通じての人間力育成に向けた指導助言と、学校と社会をつなぐ専門性を備えた教員の支援が必要となる。

 前提条件となるのは、きめ細かい指導を確保する<ゆとりある教員配置>等である。
まず、「指導充実のための学級定員減」、「マネジメント機能強化のため、小中学校と比較すると規模の大きい高校での教頭複数配置拡大」、加えて「個別指導対応のための教員の持ち時数引き下げ」などは、最優先課題であると考える。


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