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全教委連発80回
平成17年6月30日

教職員配置等の在り方に関する調査協力会議
座長 高倉 翔 様

全国都道府県教育長協議会
会長 中村 正彦

教育員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議に対する意見書の提出について


 平成17年6月9日付けで依頼のありました標記の件について、別添のとおり提出いたします。

   教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議に対する意見



教育員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議に対する意見

全国都道府県教育長協議会

1. はじめに

   教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議座長から、教育団体ヒアリングの一環として、全国都道府県教育長協議会に対して、意見表明の機会をいただいたが、現在、当協議会においては、次期教職員定数改善計画の策定を要望すべく、独自に教職員配置の在り方や学級編制及び学習集団の在り方等について調査研究を進めており、現時点で意見を述べるのは困難な状況である。
 しかしながら、以下に教育委員会や学校が直面している教職員配置等に対する課題等を述べることで、調査研究協力者会議における議論を深めていただき、真に地方の視点に立った次期定数改善計画策定につながるよう強く希望する。
 なお、先に述べた調査研究については、8月末を目途に全国調査を集約することとしているが、とりわけ緊急を要する項目については、繰り上げて7月中旬を目途に集計することとしており、結果等については、まとまり次第、調査研究協力者会議等に対して逐次ご報告申し上げたい。

2. 学級編制及び学習集団の在り方について

   学級編制基準の引き下げについては、47都道府県中小学校38県、中学校21県で実施されているなど、全国的に取組みが進みつつある。(平成16年8月都道府県教育長協議会第4部会調査より)
 その背景には、例えば小学校生活最初の時期においては、生活集団と学習集団を一致させ、よりきめ細かな指導を行うことにより、基本的な生活習慣、人間関係や社会生活のルールとあわせて、学習習慣の定着を培うというねらいがある。
 しかしながら、学級人数が極端に少なくなると、集団生活への適応が不十分になるとの指摘もあり、学級編制の引き下げにあたっては、さらに議論を深める必要がある。
 なお、小学校高学年においては、学力の向上、生活指導などの充実を図るために、教員の配置率の改善による教科担任制や副担任制などの導入を検討することが求められる。

 
【参考】 学級編制基準の引き下げ状況(平成16年8月都道府県教育長協議会第4部会調査)
  学級編制基準の引き下げ状況のグラフ

3. 教職員配置の在り方について

 
(1) 少人数指導及び習熟度別指導のための教職員配置

   習熟度別指導などの少人数指導は、個々の児童生徒の学習課題が明確となり、きめ細かな指導や評価を通して学習意欲の向上が図られた、或いは、様々な学習形態に対する指導方法や効果測定等を意識した授業の組み立ての工夫が行われるようになった等、個に応じたきめ細かな指導を進めていく上で、有効な指導方法として各学校に定着してきている。しかしながら、未だに少人数での指導を行うにあたり十分な教員が配置されていない学校や、特定の学年しか実施がなされていない現状もあることから、一層の拡充・発展が求められる。

(2) 現場の諸課題に対応する教職員配置の在り方について

 
1  教頭
 学校内外における教育課題の増大や教員評価の導入など、教頭の職責がますます重要となる中、きめ細かな校内意見調整などのコーディネートを担う校務の要となる新たな職の設置や、教頭の複数配置の充実が課題となっている。

2  養護教諭(心身のケア)
 集団指導に馴染まない児童生徒や、障害など心身への配慮を要する児童生徒、心の悩みを抱える児童生徒が増加傾向にある中、児童生徒の心身の健康に関する課題が深刻な学校については、現在の配置基準では対応が難しくなっている。

3  栄養教諭(食に関する指導)
 食生活を取り巻く社会環境が大きく変化し、その多様化が進む中、朝食をとらない子どもや急増する肥満やアレルギー体質の子どもなど、食生活の乱れに起因する健康問題が顕著になっている。
 このような中、子どもが生涯にわたって健康に生活していけるよう、栄養や食事のとり方などについて正しい知識に基づいて自ら判断し、食をコントロールしていく自己管理能力や望ましい食習慣を身につけさせるべく栄養教諭制度が今年度から本格的に施行された。
 今後、栄養教諭が食に関する指導について専門性を発揮し、学内のコーディネート的な役割を担うためには、国が教育課程における明確な役割を示すとともに、現在の配置基準を見直すことが求められている。

4  特別支援教育コーディネーター
 小・中学校の通常の学級に在籍するLD(学習障害)・ADHD(注意欠陥多動性障害)、高機能自閉症等発達障害を含む全ての障害のある児童生徒への教育支援体制の整備のため、特別支援教育コーディネーターを置くことが求められており、また、特殊教育諸学校についても同様に教職員定数に考慮されていないことから、早期の制度創設が必要と考える。
 あわせて、高等学校に対しても、特別支援教育が可能となる制度整備が求められる。

5  司書教諭(読書活動の推進)
 子どもの「読書離れ」が指摘される中、「子どもの読書活動の推進に関する法律」が施行されるなど、読書活動による、感性、表現力、創造力等の育成が課題となっている。このような中、学校図書館の充実や、学校教育における言語力の涵養が求められている。
 司書教諭は、学校図書館資料の選択・収集・提供や子どもの読書活動に対する指導等を行うなど、読書活動推進の中心的な役割を担うものとして設置が定められているが、十分に機能するためには、教職員定数化など配置の充実が求められる。

6  生活指導上の課題に対応する教職員配置
 問題行動や不登校問題など、きめ細かな指導が必要とされる児童生徒の課題解決のために、家庭、地域、関係機関との連携を図りつつ、学校の教育機能を総合的にコーディネートする教員の配置など、生徒指導上の課題に対応する教職員配置の充実が求められる。

 
【参考】 教職員定数(抜粋)
 
○教頭の複数配置  小学校27学級以上、中学校24学級以上
 高等学校(複数学科設置 681人以上、それ以外 921人以上)
○養護教諭定数  3学級以上の学校数かける
 複数配置 小学校851人以上、中・高等学校801人以上
栄養教諭及び学校栄養職員定数
学校給食単独調理校 550人以上の学校数かける1 550人未満の学校数かけるわる
自立活動担当教員(特殊教育諸学校)
養護学校(肢体不自由) 7たす7学級以上3学級増すごとに1加算
指導方法の工夫改善加配

(3) 特殊教育諸学校における教職員配置の在り方について

 医療的ケアの必要な児童生徒の増加に伴い、看護師の配置が喫緊の課題となっており、現在の配置基準では対応が難しくなっている。
 また、障害の重度・多様化が進む中、PT(理学療法士)・OT(作業療法士)・ST(言語聴覚士)等の多様な専門職種に対する必要性が高まっている。
 高等部においては、特に雇用環境が厳しい中、進路指導や教育相談を担当する教員の充実が求められる。
 また、特殊教育諸学校に求められる地域の特別支援教育のセンター的機能を有効に発揮するためには、高い専門性と連絡調整に係る能力を有する教員が不可欠であり、その養成と配置は大きな課題である。

(4) 高等学校における教職員配置の在り方について

 学科や教科の特性に応じた指導を一層充実するため、習熟度別指導及び少人数指導に係る定数の拡充が求められる。

(5) これからの教職員配置の在り方について

 平成16年度からの総額裁量制の導入により、国庫負担対象となる教職員数及びその配置について都道府県の自由度が拡大したが、加配定数については、配置目的が限定されている。
 そのため、地方の実情に応じた教職員の配置ができるよう、地方の自由度を高める方向で加配制度の見直しを行うことが求められる。


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