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平成17年6月20日

全国公立学校教頭会
会長 北村 良夫

教職員配置等の在り方に関する意見について

 標記の件について、全国公立学校教頭会3万2千余名会員の総意として、下記により意見表明させていただきます。意見表明の場を与えていただいたことに、心より感謝申し上げます。

 教職員配置の在り方について
 学校は「鍋蓋構造のフラットな組織」と言われます。その欠点として、情報伝達がスムーズに行かない、組織内部で個人が孤立して仕事をすることが多くなる等様々な欠点が挙げられます。今日求められている自主的・自律的な学校運営には「組織的な運営」が必要不可欠であり、そのための教職員配置の在り方について意見を述べます。

(1)  学校の組織的運営のために教頭職の独立を義務教育標準法上で保障する
 学校には「心置の教職員」と「任意設置の教職員」があります。教頭は、学校教育法28条1項で、原則として置かなければならないが特別の事情のあるときは置かないことのできる職員とされています。また、同条3項で必要に応じ授業をつかさどることになっています。ここで「特別の事情」、「必要に応じ」とは小規模の学校において十分な教職員配置ができない場合を意味します。小さな職員集団では、アットホームな雰囲気の中、「役割分担」の範囲で、適切に物事が遂行されるのに対し、一定数以上の集団では、その目的を円滑に達成するためには組織的運営が不可欠です。
 ここで、小規模校を想定したこれら法令上の配慮が問題となります。すなわち、教職員定数を算定する義務教育標準法において、教頭は「教諭等」と分類され、標準学級数程度の学校においても授業を担当する教頭の存在を許すことになります。
 教頭法制定の趣旨に立ち返り、義務教育標準法において、教頭の定数を独立してカウントすることが、学校運営を組織的かつ円滑に行うことにつながると考えます。

(2)  学校教育法施行規則において主任を中間管理職として位置づける
 平成10年の中教審答申「今後の地方教育行政の在り方」の中で、学校の自主性・自律性確立のために、学校運営組織の見直しを行うことの必要性が指摘され、具体的には職員会議と主任制の在り方の見直しが提言されました。
 職員会議については平成12年の学校教育法施行規則の一部改正により法制化が実現しましたが、主任制については未だ手付かずの状態です。
 東京都独自の取り組みとして主幹制度がスタートしていますが、かつて、四六答申が中間管理職としての主任の制度化を提言していたことからも、国として主任制の在り方を見直し、学校が組織として機能する形を整えることが必要と考えます。

(3)  学校にとって真に必要な職員の配置をおこなう(費用対効果の検証)
 例として「スクールカウンセラー」を挙げます。平成13年度開始のスクールカウンセラー活用補助事業(17年度予算額約42億円)により、ほとんどの中学校に配置されたところですが、スクールカウンセラーは高度に専門性のある職ということで時給5千円以上の報酬を得ています。したがって、通常、その勤務は、最多でも週1回の6時間程度であり、十分な活動を期待することはできません。それでも一人のカウンセラーが3校をかけもちすれば、週3日の勤務で月40万円の収入となります。本事業のため、これまで毎日の勤務をしていた「相談員」等を廃止する県も出ており、費用対効果という観点から極めて疑問があります。

 学級備制及び学習集団の在り方について
(1)  義務教育標準法の1学級の児童生徒数を減じるとともに、「乗ずる数」の見直しを行い、各都道府県ごとの置くべき教職員の総数を増加する
 平成13年の義務教育標準法の改正(特に必要な場合都道府県教委は40人を下回る特例的な基準を定めることができる)、平成15年の初中局長通知(都道府県レベルでの弾力化に加え市町村レベルでの弾力化を認める)等により、独自の予算措置により少人数編制を行う自治体が現れ、その効果が検証されつつあると考えます。したがって、学級定員を減ずることが望ましいとする流れは十分承知しています。
 しかしながら、一部の県では配当基準を変更し、浮いた教員を少人数学級加配分として配当するという、予算措置を伴わない方法を用いたり、教員数の増加が学級数の増加分に見合わないなど、教員にかなりの負担を強いているケースもあります。教職員数にある程度の余裕があってこそ、児童生徒のための様々な取り組みが可能となることを理解していただきたいと考えます。
 習熟度別授業の展開などにより、「学習集団としての学級」と「生活集団としての学級」を一律に等しく考えることができなくなっている今日、40人の標準定数を単純に35人、30人とすることが望ましいとは考えません。しかしながら、新たな教職員定数改善計画により少人数指導等に対する加配措置という形をとるのではなく、標準法上の1学級の児童生徒数を減じるとともに、「乗ずる数」の見直しを行い、都道府県ごとに置くべき教職員の総数(教職員定数)を増加させることが必要と考えます。

(2)  教員一人当たりの児童生徒数の削減を主眼とし、取り組みについては地方自治体及び学校の裁量を拡大する
 現在、小中学校とも、低学年に少人数学級編制を実施しているところが多数ありますが、低学年においてより効果的ということも検証されているとは言いがたいことから、地方自治体及び学校の裁量を拡大し、様々な取り組みを可能にすることを望みます。これはまた、総額裁量制の趣旨にかなうものであり、あくまでも教員一人当たりの児童生徒数の削減を主体とする目的で義務教育標準法の改正を行うことを望みます。

(3)  授業のみに日を向けず、児童生徒とトータルで問われる職員の配置を行う
 義務教育標準法17条により、定数には短時間勤務者が換算される形になっていますが、義務教育段階の学校には、授業だけを受け持つ教員は必要ないと考えます。授業のみに目を向け、非常勤講師や臨時的任用者に頼った改善はいずれ破綻すると考えます。そのような少人数指導に縛りをかける措置を講ずる必要を感じます。


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