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資料1-2

「『情報教育』の内容の充実について」委員の意見等の整理

【留意事項】
 以下の資料は、現時点において会議等で出された委員の意見等を項目ごとに分類したものであり、文部科学省としての考え方をまとめたものではない。今後、変更もありうる。



0.検討の前提について

  教育の中でITを活用しようという発想は自然だが、従来の教育制度、仕組み等になじまない部分も多い。このため、「強制的」に教育の情報化の必要性(必然性)を普及させるのではなく、従来の教育制度、仕組み等を十分に考慮した上で、(社会の中で)「自律的」に教育の情報化の必要性(必然性)を醸成させることが重要。
  人間力や人間性の育成と情報化とが対極にあるという考えがあるのであれば、それは誤りである。


1.一般社会と教育場面との情報化とのギャップについて

  子どもが置かれている一般社会のIT環境と、学校のIT環境とのギャップが少ない方がよい。
  一般社会のITは「楽しいもの」であるが、学校におけるITは「特別なもの」。まだ、生徒には魅力に欠け、教員には面倒なものとなっているという状況がある。
←○ 必ずしも魅力に欠けるものとなっている訳ではない。
  携帯端末の普及について気になる。子どもの生活実態に合った教育が必要。
  一般社会でこれだけIT化が進んでいるのに、教育現場の先生が何も感じないのは疑問。
  情報化は、将来の日本のために必要だからという理念を強く示すべきである。民間が情報化しているから学校も情報化が必要という程度では不十分。


2.教育の情報化の評価について

(1)教育の情報化の評価の仕方

  定量的評価のみならず、定性的な評価(ITを活用したどのような教育が行われ、どのような効果を挙げているか。)が大切。
  IT環境がどのように使われているかについて、量的な利用度だけでなく、質的な利用度を測る基準が必要。
  今までのIT化は、インフラ整備から入っているが、実際に地域格差が出ている現状を見ると、今後は、それだけ強調しすぎると、単なる数字合わせになってしまわないかと危惧している。
  数字(定量的評価)には敢えてこだわりたい。

(2)教育の情報化の評価そのものについて

  一部の数値だけとりあげて、我が国は「教育」分野において「情報化が遅れている」というラベリングをすることには慎重になるべき。
  現在の基準のみで我が国の教育の情報化を測るのは危険。
例えば、現在の教育の情報化に関する実態調査は、調査方法を見直すべきではないか。(検討内容は、別紙1参照)
  コンテンツに魅せられてITを活用する教員と、ツールとしてソフトに魅力を感じてITを使う教員の2系統に分かれる。授業内容あるいは授業形態に応じたIT活用の評価観点があるはず。この観点では、ITの積極的な利用に至っていない。
  韓国と比べれば、やはり「遅れていない」とはいい難い。


3.教育の情報化の課題とその対策

(1)IT環境関係

  IT環境としてPCと校内LANのみでよいかは疑問。多様な設備がある。
 従来のような、コンピュータとインターネットという視点ではなく、情報端末と情報網という視点で議論すべき。ユビキタスネットワークでは携帯以上の利便性を持つ端末が登場する。
 ネットワークを利用した学習では、個人が単位であるべきで、教員個々人はもとより、生徒個々人が情報端末を持たない限り、一定の目標値が見えてこない。一人一人がいつでも使いたいときに使える環境にあるべき。
生徒も教員も、一人一台の情報端末整備が必要。
一人一台の学習利用パソコンの貸与の準備。(携帯クラスの安価な教育用端末の開発・整備等)
教育の情報化のための教室設備のモデルの提示。(黒板に直接提示できるプロジェクタ等)
教育用ネットワークのブロードバンド化の促進。(全ての教室に実質的なブロードバンド回線を整備 等)
「いつでも」「どこでも」手軽に使えるIT環境を検討すべき。
 
(ハード) ・動画等のコンテンツを見ることができるよう高速回線を充実
・PCに限らず、電子ボードや実物投影機等の機器を充実
(→ これらにより、手軽なIT活用が進み、より効果的な活用手法、指導手法等が生まれると認識。)
(ソフト) ・ITナビのような活用事例を示すことが必要
・必要時に必要な部分のみ示すことが可能なコンテンツの充実
教師が手軽に活用できる携帯端末等のWeb情報管理システム等を構築し、教師の情報ツールとして利用していくことでさらに新たな携帯端末活用の方向性が見えてくる。
教員は簡単なものでなければ使われない。教員がITを活用するようになるのは、教室に電子ボードが入ってから。(簡単であれば、)子どもに使わせるようにもなる。
コンテンツの存在を知らないのが問題。「そこさえ見れば」というものがあるとよい。

  (自治体として)予算の制約がある。教育委員会としてのビジョン、理念があれば、教育の情報化に関する予算確保について、財政当局も納得させられると考えている。
  地方交付税措置による教育の情報化が地域格差を生み出した。今後、例えば、情報教育振興法のようなものができないか。
→○ 理振法のような監査規定を設け、IT機器の使われ方を確認できればよい。
  予算面での優遇措置が必要。それには、教育委員会の理解と協力が必要不可欠。
  会社でも、プロジェクタを用いた説明は有効。教育現場で使わないのは疑問。改めて、子どもの力をつけるためにPCを入れていると言えるようにすべき。

(2)教員のIT指導力関係

  IT環境を整備したところで、使われない実態がある。 
 ◎   意義を理解してITを活用し、分かる授業を行う教員と、無理やりITを活用し、分かる授業を行っていない教員とがいると思う。 
 ◎   教員の意識が低い。教員は、ITにより教育がいかに変わるかを知らない。
   
1) 自発的な活用の促進
IT活用によりどのような利点が得られるか(如何に生徒の学力をアップさせる指導ができるか等)を整理する必要がある。教員に、IT活用のインセンティブ,「お得感」を持たせるべき。
→○ ITを活用した教員に手当てを与えられないか。
若手教員をターゲットとし、「お得感」を感じさせるような方法でIT活用実践を進めてもらうことが肝要。
目に見える形での目標を設定すべき。インフラ整備、コンテンツ充実等に力を注いでも、教員はそれらを活用しているイメージを持てていない。
→○ コンテンツに魅せられてITを活用する教員と、ツールとしてソフトに魅力を感じてITを使う教員の2系統に分かれる。【再掲】
校内研修等を充実させ、(教員に)IT活用のメリットを感じさせる。
講習会等において、授業で実際に使われることを教えることにより、教員が学ぶ動機付けをする。
はじめから難しいITを活用するのではなく、簡単なものから入ればよい。
2) 指導力の習得の義務付け
教員のIT指導力を高めるために教員が身に付けるべき能力の明確化。(初任者レベル,中堅レベル,管理職レベル)
教員を目指す学生に対して、全ての教科におけるIT活用の基礎基本を学ばせることを制度化すべき。それも、情報スキルだけではなく、授業や生徒指導において、ITがどのように活用されるべきかを身に付けさせるべき。実践が伴わなければ授業へのIT活用は実現しない。
研修の在り方を考える必要がある。
→○ 実践結果を報告させるところまで研修で求める形をとるべき。
日本全体でプログラミングをできる人を増やし、その中でITを使える教員が増えればよい。
教員の免許更新制度が重要。
教員の資質能力の向上を図っていく中で(養成・採用・研修等)、IT指導力を養成していくことが必要である。

  校内LANの整備とIT指導力との相関はある程度高いとは思うが、校内LANの整備率の高いところが必ずIT指導力が高いとも限らない。如何に「(ITを)うまく使えるようにするか」のモデルを示すことが大切。このあたりは、教育委レベルの強い指導や、市町村も動かすものがあるかもしれない。
  学校ごとに、先生が不得意分野をカバーすることが必要。「この分野はこの先生」というように、学校ごとにスキルが確保されるようにすべき。(別紙2参照)
  生徒からみて、プロジェクタ等を使った授業はこれくらい受けなければならない等の制約を設ければよい。


(3) その他

  教育の情報化促進の支援のための組織面での整備。
(支援者派遣予算の一元化等)
 

教育の情報化推進のための研究開発機関の設立。

  国の整備したコンテンツを簡単に配信するための仕組みづくり。
(教育用著作権のクリア等)
  学校と家庭,地域とが連携して教育活動を展開していくための手段として情報化を推進することが大切。
  大切なことは、保護者などにITを活用した教育の意義を知らせること。そこからIT活用の必要性が普及する。
家庭におけるIT環境の実態把握すべき。多くの保護者が学校においてもITの恩恵を受けるべきと考えているはずであり、保護者に学校の情報化のニーズがあるならば、学校は必然的に情報化せざるを得なくなると考える。学校の情報化を家庭に説明する義務を持たせる仕組みも必要。
  子どもたちに「使いたい」という気持ちにさせることが大切。
←○ 子どもにはITを使う使わないについての特段の意識はない。
工夫をした授業と感じられるから楽しいと感じている。
  現場に近いレベルで取り組むべきことは、「何故、隣の学校でやっているのに、うちの学校でやらないのか」という感覚を広げること。
  英国のように、プロのコンサルタントを雇う仕組みが重要。
  岐阜県において、整備した高速イントラネットや、開発,収集した教育用コンテンツ等の資産を有効に活用するための方策を検討している。
(検討内容は、別紙3参照)
  伝統的な学力についてIT活用効果を測ることもあるが、新しい、こういう能力がITで育つということ、それを社会も求めていることを、報告の中で示すべき。
  効果の見えにくい「情報活用能力」の育成と、各教科等におけるITの活用とを混同しないことが重要。
  なぜ、情報化を進めるのかを前面に出すべき。「魅力ある授業、分かる授業の実現のための新しい方法論としてITがあること」「ITがそのための必須のスキルであること」を強調されたい。
  教育の効果として「関心・意欲・態度」の向上だけのために情報化を図るということになならない。「学校をこう変えて欲しい」というアピールを国民の方からしてもらえるようにすべき。
  1ITが教員にとって使いやすくなる工夫が必要であり、2いい授業をしようと努力している教員が報われるような制度をつくることが必要。
  誰に何を伝えるかを明確にすべき。新しい学力観や、新しい学習ではこうなる、地域とこう繋がる、ということなどを入れるべき。
  18年度以降は、17年度までに目標が達成されたことを前提に、IT活用指導力を前面に出してやっていくべき。遅れについては配慮しつつも、それをメインに置くべきではない。
  IT活用の効果は、分かる部分を積み重ねるとしても制約がある。学校現場に踏み込むにしても、難しい。効果の評価の重要性を共感してもらえるようにすべき


4.教育の情報化の主体について

  教育の情報化は、国、自治体共に考えるべき。
  ボトムアップで進める情報化に限界が見え始めた今、トップダウン的に情報化を進める時期にある。
  トップダウンの施策のみならず、教育センター等が行うボトムアップの施策を考えることも必要。
  教育委員会として、情報教育のビジョン、理念が欠けている。
  自治体の長の責任もあると考える。どの程度情報化に意識を持ってもらえているかが大切。一般の政策が多数ある中で、教育の情報化を考える必要がある。
  ITの価値を理解してもらうことが大切。これは現場の仕事。


5.とりまとめ手法について

 ◎   教育の情報化について、何を国に求めるか、優先順位をつけるべき。
対象を絞り、それを如何に推進すべきかを整理すべき。


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