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初等中等教育における教育の情報化に関する検討会(第3回) 議事概要

1.日時   平成17年3月16日(水曜日)15時〜17時

2.場所   経済産業省別館827号会議室

3.議題  
(1) 学校教育の情報化の今後の姿について
(2) 「情報教育」の内容の充実について
(3) その他

4. 配布資料
資料1-1 初等中等教育における学校教育の情報化の今後の姿について(論点整理)(第1案)
資料1-2 「学校教育の情報化の今後の姿について」委員の意見等の整理
資料2 「『情報教育』の内容の充実について」委員の意見等の整理
資料3 次回の予定
資料4 初等中等教育における教育の情報化に関する検討会(第2回)議事概要
参考資料1  IT政策パッケージ2005 −世界最先端のIT国家の実現に向けて− (抜粋)
参考資料2  中央教育審議会 義務教育改革に関する検討体制について
(中央教育審議会 義務教育特別部会(第1回)(平成17年2月28日開催)資料4より)

5. 出席者
(委員)
清水座長、赤堀副座長、大久保委員、岡本委員、小澤委員、久野委員、小泉委員、坂元委員、三宮委員、田村委員、永野委員、野間委員、平野委員、堀田委員、毛利委員、吉野委員
(文部科学省)
樋口初等中等教育担当大臣官房審議官、森本生涯学習政策局参事官、中川初等中等教育局参事官、その他

6. 議事概要

 今回初めて出席した三宮委員より挨拶。以後、議事次第に従い、議事が進行。

(1)  学校教育の情報化の今後の姿について
事務局より、資料1-1,1-2及び参考資料1について説明。以後、以下の意見があった。
 先生が教育の現場でITを使って教えることにインセンティブを与えることが大切。ITを活用した教員に手当てを与える等ができないか。
 資料1-2の1の2つめの二重丸に「生徒には魅力に欠け、」とあるが、子どもはITを魅力のないものと捉えてはいないと思う。また、資料1-1の研修の記述に関し、研修をしたら授業で実践させ、必要に応じ授業計画作成をサポートし、結果を報告をさせ、評価をすることをもって修了とする研修制度にすればよい。情報教育振興法には賛成。理振法には監査の規定があったが、このような規定により(整備した機器が)の使われ方を確認できればよい。
 資料1-1の2(2)ITを活用した教育の効果に関し、IT活用については、「コンテンツ」に魅せられてITを使う教員と、ツールとしてソフトに魅力を感じてITを使う教員の2系統に分かれる。効果を測る上で、全ての教科を同じ観点で測るのは難しい。授業内容あるいは授業形態に応じてIT活用の評価観点があるはず。この観点では、ITの積極的な利用に至っていない。このことを先生に認識してもらうことが重要。
 P4(2)について、教育の効果をはっきりさせて欲しい。
 P8に「子どもたちに『ITを使いたい』という意識を持たせる」とあったが、子どもにはITを使う使わないに特段の意識はない。ITを活用した授業が工夫した授業だと感じられるから楽しいと感じる。
 ITが教育に入るのは当然と考えていたが、情報化を進めている人は少数派のようだ。多数派はIT化を「悪いこと」と感じており、それで予算が付きにくくなっている。私は、情報化を強制的にやってもらいたいと思っていたが、別の手法も考えなければならない。
 P3に「情報化が『遅れている』という評価を下すことについても、慎重になるべき」とあるが、韓国の情報化の現状を考えれば、やはり「遅れていない」とはいい難い。
 P7に「教育の方法及び技術(情報機器及び教材の活用を含む)」とあるが、当時、ここを「教育工学」にして欲しい旨申し入れ、ダメだった経緯がある。その結果、大学では、従来の教育方法学的なものが教えられることとなった。こういうことが多々あると思う。
 P4(2)の「効果」については、従来の伝統的な学力についてIT活用効果を測ることもあるが、新しい、こういう能力がITで育つということ、それを社会も求めていることを、報告の中で示すべき。教員は、大学での養成、採用試験、研修、免許更新という過程で育成。この中にIT活用を制度として入れるべき。
 情報化に関する世間の印象は「金がかかる」。このため、情報化の「効果」を聞きたくなるのは当然。 ITのスキルと情報活用能力とが混同されており、スキルだから学校でやらなくても家でできると言われる。情報活用能力がなければ21世紀は生きられないのに、見えやすい(従来の)学力に対し、情報活用能力の意味が見えにくく、評価、測定も難しい。(シンガポール等では(従来の)学力を引き合いに出してIT化を図っているが、)まず、世間での「情報教育」の見えにくさを払拭すべき。そのために(スキルだけでなく)「情報モラル」の充実が必要。
 効果の見えにくい「情報活用能力」の育成と、各教科等におけるITの活用とを混同しないことも重要。
 「なぜ、情報化を進めるのか」を前面に出すべき。例えば、P41の「情報化に望む姿勢」で、「魅力ある授業、わかる授業の実現のための新しい方法論としてITがあること」「ITがそのための必須のスキルであること」を強調されたい。
 P2の1.(1)の学校の記述で「盲・ろう・養護学校等」が入ったり入らなかったりしている。引用部分の前の記述等で、盲・ろう・養護学校等を含むすべての学校が対象であることを示して欲しい。
 (教員養成に関する記述から)制度を動かす時に心を動かすところまでやらないと、実態は伴わない。(具体的には、)情報化は、将来の日本のために必要だから、という理念を強く言うべきなのに、(資料1-1では)民間が情報化しているから学校も情報化が必要という程度にしか解されない。また、P4(2)の「教育の効果」に関する記述についても、「関心・意欲・態度」の向上だけのために情報化を図るというように読めてしまう。国民の方から「学校をこう変えて欲しい」というアピールをしてもらえるような記述とするべき。内容については、1ITと利用者との関係でITの方から人に近づけるという視点、すなわち、ITが教員に使いやすくなる工夫が必要、2いい授業をしようと努力している教員が報われるような制度をつくることが必要、を追加すべき。もう少し踏み込んで書かないと単なる提言だけで終わってしまう。
 本校では、総合学習の時間で、年間35時間「情報」を実施。これは校長のトップダウンで実現した。子どもに「情報」を学習しているという意識が出て、プレゼンが好きになる等の変化が出ている。担任の先生もそれを見て、プロジェクタ、コンテンツ等を使い、使ってよかったと思うようになってきている。
 元吉原小学校では、年間70時間とのこと。状況を聴きたい。
 世間は(論点整理を)どう見るかを考えるべき。世間の関心は子どもがいい子に育つかどうか。これに応えるなら、「大学入試に『情報』を入れる」「(IT化しなければ)20年後の日本はダメになる」等を入れれば世間受けはよい。「誰」に「何」を伝えるのかを明確にすべき。新しい学力観や、新しい学習ではこうなる、地域とこう繋がる、ということなどを入れるべき。
 情報化の遅れは、IT環境整備と共に底上げをできればよいと考える。17年度までに目標達成を実現しようと頑張っているところもあり、(論点整理では)18年度以降は、17年度までに目標が達成されたことを前提に、IT活用指導力を前面に出してやっていくべき。遅れには配慮しつつも、それをメインに置くべきではない。
 ITの効果の評価はわかる部分を積み重ねるにしても制約がある。学校現場に踏み込むにしても、難しい。効果の評価の重要性を共感してもらえるようにすべき。
 論点整理(第1案)について、メールにより事務局から意見を聴取する。「べきである」「望ましい」「という意見もあった」といった表現にも留意しつつ、どの部分をどう修正すべき、といった形で意見を出していただきたい。
 
(2)  「情報教育」の内容の充実について
事務局より、資料2及び参考資料2について説明。以後、以下の意見があった。
 P3に「初等教育では心の教育を柱立てとし、中等教育ではハードウェアを含めた柱立てとする。」とあるが意味が解せない。小学校では情報活用を中心に経験を積ませる一方で心の教育として情報モラル扱い、中学校では、高校との接続を念頭に置いて基本的な内容を扱う、というように変更して欲しい。
 情報教育の体系化が重要。体系化により、教員や保護者を安心させて欲しい。情報教育を一時のブームと勘違いされないよう、学習指導要領に体系付けて盛り込んで欲しい。「2005年に世界先端のIT国家になるイコール世界最高水準の教育を受けられる」ということを、情報教育と上手く結びつけて欲しい。
 (IT活用についても、)研修終了後、「各教員で工夫して…」といわれても工夫しようがない。日本の文化や制度に応じたIT活用法を確立したら良い。安心できるモデルケースを作って欲しい。
 3年生以上に年70時間、総合学習の時間で「情報」を扱っている。内容は、「情報活用能力を育成する」ことに重点を置いている。3分類は、現場の教員が授業をイメージしやすいように、5つに再分類している。また、授業は教員2人体制で実施することで、一般の教員が、情報を選び、まとめ、伝えるために何が必要で、これは一般の教科でも教えることであることに気づき始めた。教員は体系立てた目標があると安心する。教科の目標と情報活用能力の育成を関連付けられたものが示せるとよい。
 3分類については、よく整理したと思うが、情報工学の視点からは、特に高校で、「情報教育」を情報科学、情報技術について内容をもったものにして欲しい。産業界でも教科「情報」の内容に危機感をもっている。教科「情報」の中身を洗練すべきで、「How to use」の能力を高めても効果は見えない。目標、内容について小中高の学校種、高校では普通教科「情報」と専門教科「情報」に分け、相互にどのようにリンクさせるかについて、整理が不十分。
 情報モラルには2つの内容がある。1つは、ネチケットや著作権など、情報技術を使って「悪さをしない」道徳観、倫理にかかわる情報倫理教育に相当するもの。もう1つは、ネット詐欺など、「情報技術の悪用から被害を受けない」という情報安全教育に相当するもの。情報モラル教育には、この2つが混在しているが、緊急性があり、より低年齢から必要なのは、むしろ情報安全教育。現行では、情報倫理教育に情報安全教育が隠れてしまうため、情報安全教育を明示し、軽視されないようにすべき。
 P3の3-2-1に、盲・聾・養護学校に関し、指導上の留意点として、「盲・聾・養護学校においては、上記の各留意点に加え、障害による機能及び社会参加の不利を補完する機器及びテクノロジーの知識、技術の普及を図る必要がある。」という項目を入れて欲しい。
 次の学習指導要領改訂では、たとえば国語科に「プレゼンテーション」、社会科に「情報通信ネットワークを使った調べ学習」、道徳に「電子メディアを介したコミュニケーションの留意」を入れる等、各教科等に情報活用能力に関する内容が入ればよい。しかし、改訂までは、(手引き等で)現行の学習指導要領の範囲で情報教育を体系化し、次の学習指導要領の改訂でそれを盛り込む形とすべき。
 情報技術を使って悪いことをしている者には、悪意でやる人もいれば、善意でありながら結果としてそうなっている人もいる。かつては、ある程度ふるいにかかった情報が流通していたが、今は、簡単に情報発信ができることから、ふるいにかからない情報が流通しており、情報の信用性への配慮が必要。情報の発信者側の責任も大切だが、受け手側の情報判断も必要となる。このような情報判断教育が必要。
 情報教育のとらえ方が多様で分かりにくい。体系化以前の話と考える。学ぶ意欲、生きる気力もない子どももいるが、このような子どもも携帯電話を使い、楽しいと思っている。彼らに学習を近づける手段としてITを使えないか。子どもたちのためにということを常に頭に置いて考えて欲しい。
 「情報活用能力」の3分類を理念で終わらせないにしても、内容が分かりにくい。そのために具体化するにしても、小から中、中から高、高から大の関係が分からない。また、小では全教員が関わるが、中、高と上に行くに従い、情報教育を担当する教員が限定され、他教科の先生にとっては他人事のようになる。情報工学の側面も含め、小、中、高でそれぞれで最低達成すべき能力観の明示が必要。
 「学力」のうち「情報活用能力」そのものが問われていないことが問題。「情報社会における力」が示されれば、家庭もそれを目指し、5教科の成績のみで学力を判断することが改められる。教科の壁を超えるためにも目標明示が必要。
 今後の「『情報教育』の内容の充実」の進め方については、事務局等と協力の上、検討することとする。
(以上)

(初等中等教育局参事官付)

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