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初等中等教育における教育の情報化に関する検討会(第2回)議事概要

1.日時   平成17年2月9日(水曜日) 16時〜18時10分

2.場所   文部科学省10F1,F2号会議室

3.議題  
(1) ITを活用した指導による学力の向上等について
(2) 学校教育の情報化の今後の姿について
(3) その他

4. 配布資料
資料1 ITを活用した学力向上プロジェクト―三鷹市第三小学校における実践の評価―
【坂元委員発表資料】
資料2 ITを活用した教育効果の向上について【清水座長発表資料】
資料3 「e-Japan構想2」ポスト2005に向けた「教育の情報化」の課題と提言【鈴木講師発表資料】
資料4 「学校教育の情報化の今後の姿について」委員の意見等の整理(分類)
資料5 「『情報教育』の内容の充実について」委員の意見等の整理(分類)
資料6 次回の予定
資料7 初等中等教育における教育の情報化に関する検討会(第1回)議事概要
参考資料1-1 「e-Japan構想」における「教育の情報化」の実現に向けて(第1回 参考資料3-1)
参考資料1-2 ポスト2005年に向けた「教育の情報化」の課題と提言(第1回 参考資料3-2)
参考資料2 学校教育の情報化の今後の姿について(第1回 資料3)

5. 出席者
(委員)
清水座長、赤堀副座長、大久保委員、岡本委員、小澤委員、久野委員、小泉委員、坂元委員、田村委員、永野委員、野間委員、平野委員、堀田委員、吉野委員、若井田委員、渡邉委員
(有識者)
玉川大学学術研究所 鈴木光講師
(文部科学省)
森本生涯学習政策局参事官、中川初等中等教育局参事官、その他

6. 議事概要

 第1回欠席の永野委員より挨拶。以後、議事次第に従い、議事が進行。

(1) ITを活用した指導による学力の向上等について
1  坂元委員が、資料1について発表。以後、以下の質疑応答があった。
 本調査では、児童生徒のITを活用した学習の多少に応じた学力向上を調査しているが、ITを活用しない学習をした児童生徒とITを活用した学習をした児童生徒との比較はあるのか。
 その比較はないが、教師の主観的な評価では児童生徒のやる気の喚起に効果があるとの結果が出ている。ITを活用する方が高い学習効果が得られる可能性はある。
 「学力」という文言を用いているが、「子どもが本当に必要な学力」が根づいたといえるのか。「学力」についての4つの観点があるが、伝統的な分野は別として、それ以外の分野については評価したのか。
 テスト結果として効果があったことを示したもの。分野という視点では評価していない。
 子どもの学力の「向上」に加え、「定着」したかどうかは調査したか。
 「定着」までは評価していない。ただ、今までは、このような評価もなかった。
 CAIが盛んなころ、様々な教材をつくり、その効果について調査が行われ、一定の成果は出ている。問題は、コストに見合った効果が得られるかどうか。整った設備でそれなりの教員が指導をした結果と、そうでない環境下で行われた指導の結果とでは違うはず。
 ポケット2のインターフェース部分での他のコンテンツとの相違如何。また、調査した児童生徒の人数如何。
 児童生徒数は、小学4,5年の計6クラスで200人程度。コンテンツの特徴は、インターネットと繋がり、学習履歴が把握できる点、教員が教材を作ると自動的にサーバーに組み込まれるといった点等が特徴と認識。
 かつて、CAIが盛んな頃に行った調査では、ドリル&プラクティスで指導効果が得られたというもの。
2  清水座長が、資料2について発表。以後、以下の質疑応答があった。
 それぞれの学習内容に応じたコンテンツが作られているが、この事実を現場の教員は知っているのか。
 それについては訊いていない。
 英国の調査について説明があったが、P3右上の点数は変化量か。CAIの頃の研究とは違うのか。
 ITを使った子どもとそうでない子どもとの2群にわけ、伸びを比較した結果、ITを使った子どもの方が伸びが大きかった程度を示したもの。CAIの頃の研究とは違う。
 PISA等の国際調査結果は、下位の児童生徒の底上げを図った国が高順位に入ったものであり、上位の児童生徒に対する指導では変わっていないかもしれない。これについて如何に考えるか。
 米国は、ブッシュ政権下で落ちこぼれ対策を図り、国際調査での順位を上げた。一方で、英国はそうではなく、一定の水準に達した児童生徒が何割かという形で評価している。結果、上位、下位よりも、中位の児童生徒を引き上げる形になった。それよりも、重視すべきは、比較基準にICTを使ったか否かが含まれていること。
 制度、仕組みを考えるべき。(学校により)平均点が上がったら次年度予算を多くもらえる等の仕組みがあればよいと考える。
 今後、幅広く検討するとよいと考える。
 表4については、教師が「効果有り」と考えている観点が「関心、意欲、態度」ということを意味すると解されるが、教師がそう考えた理由は何か。
 教師が、効果があると思うものについて実践したものであり、理由についてはこれからの研究事項。
 P3の「校長のマネージメント」の部分に興味がある。日本では、予算、人員に殆ど裁量がない中で、どうマネージメント力を発揮するかが問われているが、ここでいう「マネージメント能力の高い校長」とは何か。
 校長の裁量の幅は日本より英国の方が広いが、「マネージメント能力の高い校長」か否かの判断基準の具体的項目については教えてもらっていない。

(2) 学校教育の情報化の今後の姿について
1  鈴木講師が、資料3について発表。以後、以下の質疑応答があった。
 研修で短時間に身につくものと、長期間で身につくものがある。日本のPCのプログラミングのできる人の数は少なく、プログラミングのできる人数を増やすためには、(長期間かけて)体験をさせることが必要。全ての生徒がプログラミングを体験できればよい。日本全体としてプログラミングをできる人を増やし、その中でITを使える教員が増えればよい。
 現職教員を対象とした研修でのIT指導力向上には限界もある。研修内容にプログラミングも大切であるが、すぐ授業に役立つ研修が重要と考える。今まで教科における研修が殆ど行われていないが、授業に役立つ教科の研修を増やす必要がある。リテラシーの研修のみでは活用されないと考える。
 発表内容は、教育の情報化に向けた方策について「体系化」したものだが、その中で何を国に求めるか、優先順位をつけるべき。(私は、)今文部科学省がやろうとしている教員の免許更新制度が重要と考えている。大学で習ったことのみで後生生徒を教え続けるのは不適切。また、英国では「情報」をうまく扱っている学校は、プロのコンサルタントを雇っているが、日本でも、これを雇える仕組みが重要と考える。加えて、先生に対する(IT活用の)インセンティブもつけるべき。
 教員の免許更新制度については同感。また、現場での教員の意識が高まる制度があればと思う。
 ITを活用した教育効果に対する疑心が原因。校種、男女等、どういう層を養成するか、ターゲットを示すべき。
2  事務局より、資料4に基づき説明。以後、以下の意見があった。
 鈴木先生の発表内容は、全くもって「尤も」だが、現場を見て何が足りないかを考えると、それは、ITを活用した授業を行った感想としての「よかった」という先生、生徒の感覚。PCを使った教育を嫌がる先生や、週に1回しかメールを開かない先生もいる。結局、ITを使った教育の何が「お得」かが分からないことが問題。教育の情報化に向けたあらゆることを言っても全ては実行できないので、ステップを踏むべき。現場に近いレベルで取り組むべきことは、「何故、隣の学校がやっているのに、うちでやらないのか。」という感覚が広がること。総花的な整理であるべきではなく、対象を絞り、それを如何に進めていくかを整理すべき。
 学校は、ITに関する研究授業が終わると、その後は何もしないという場合が多い。コンテンツの存在を知らないのも問題。教科書の単元に準拠したコンテンツのあるものもあり、「そこさえ見れば」というものがあるとよいと考える。
 小学校には40代,50代の女性の先生が多いが、教職経験が豊かでいい授業をするにも関わらずIT活用から遠ざかっている。このような先生方が、実物投影機を使ってうまく教材を児童に提示できると、児童の喜ぶ顔を見て使うようになり、さらに欲が出て「こうしたい」「ああしたい」といって自分で工夫するようになる。このレベルになって、次に、コンテンツ利用の段階に入る。
 はじめから難しいITを活用するのは不適。簡単なものから入るべき。
 50分の授業全てでITが必要ではないので、使いたいときにストレスなく使えるものを教育現場に示せることが大切。難しいコンテンツはなくても、手軽に誰でも使えるものがあればよいと思う。
 パッと見で分かるというのは、会社の中の説明でも同じ。プロジェクタを用いたプレゼンであれば、聞く側が寝ることもなくなる。それを、何故教育現場で使わないのかが本当に疑問。授業時間が減らされる一方で教えることが増えれば、ITの活用は必須と考える。改めて、子どもの力をつけるためにPCを入れているのだ、と言えるようにすべき。ITは伝統的な指導内容であれ、新しい指導内容であれ、どちらでも役に立つものと考える。
 校長として教育の情報化を進めつつ、打てど響かない状況も多々あったが、その中で、デジタル教科書により教員の目の色が変わったことがあった。聾学校では、教科書の分解、拡大等の作業による教員の負担が極めて大きいが、デジタル教科書はその教員の負担を大幅に軽減した。これにより、先生がメリットを実感した。IT環境整備や教員のIT指導力向上に向けた強制力の話もあるが、IT化の価値を理解してもらうことが大切。これは現場の仕事。
 生徒の方から見て、プロジェクタ等を使った授業はこのくらい、といった制約を設け、強制的に体験させればよい。学校において、それを誰かができればよいと思っている。
(以上)

(初等中等教育局参事官付)

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