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初等中等教育における教育の情報化に関する検討会(第1回)議事概要

1.日時   平成17年1月6日(木曜日) 10時〜12時15分
     
2.場所   経済産業省 別館 825号会議室
     
3.議題   教育の情報化をめぐる現状について

4. 配布資料
資料1   初等中等教育における教育の情報化に関する検討会について(初等中等教育局長決定)
資料2   本検討会における検討内容
資料3   学校教育の情報化の今後の姿について
資料4   「情報教育」の内容の充実について
資料5   今後のスケジュール(予定)
参考資料1   情報教育の実践と学校の情報化―新「情報教育に関する手引き」―
(平成14年6月文部科学省)
参考資料2   e-Japan重点計画−2004(抜粋)(平成16年6月15日IT戦略本部)
参考資料3-1   「e-Japan構想」における「教育の情報化」の実現に向けて
参考資料3-2   ポスト2005年に向けた「教育の情報化」の課題と提言
参考資料4-1   義務教育特別委員会の設置について(平成16年12月17日中央教育審議会総会)
参考資料4-2   義務教育の在り方に関する検討の論点(中央教育審議会会長試案)
参考資料5   平成16年度教育情報共有化促進モデル事業成果発表会(平成17年1月22日開催)

5. 出席者
委員)
清水座長、赤堀副座長、大久保委員、岡本委員、小澤委員、鬼頭委員、清原委員、久野委員、小泉委員、坂元委員、田村委員、野間委員、平野委員、堀田委員、毛利委員、吉野委員、若井田委員、渡邉委員
文部科学省)
銭谷初等中等教育局長、樋口初等中等教育担当大臣官房審議官、森本生涯学習局参事官、中川初等中等教育局参事官、その他

6. 議事概要
 冒頭、銭谷局長より以下の趣旨で挨拶。
(銭谷局長) 急速な情報化の進展に対応した情報教育の実施、教育の情報化が必要となっている。本検討会では、e-Japan重点計画の達成状況とその後を見通した学校教育の情報化の今後の姿及び情報教育の内容の充実について検討願いたい。

 清水座長及び赤堀副座長を選任。座長及び副座長から、以下の趣旨で挨拶。
(座長) 情報社会で必要な情報活用能力が変わってきている。
 能力の低下の問題もあり、インターネットを活用した分かる授業が必要。イギリスでも、インターネットを使った指導による効果は示されている。
(副座長) 教育現場とのギャップが問題。本検討会では、教育現場とのブリッジとしての機能を重視したい。逆に、教育現場にとらわれすぎず、時代に即応した道を探ることも検討会の役目と認識。
 学力低下の問題は、学会等でも関心が高まっている。

 各委員より挨拶。

 事務局より、議題ごとに資料に基づき事務局が説明。
 以後、各議題について各委員より以下の趣旨の発言があった。

(1) 学校教育の情報化の今後の姿について ―2006年度以降の学校教育の情報化について―

 e-Japan戦略2における課題整理にも参加し、また、IT戦略本部の評価専門調査会の委員を務めている。教育の情報化について、国際比較を行うため定量的な指標を用いた比較が行われているが、より大切なことは、利用者の視点からの定性的な部分の評価(どのような教育が行われ、どのような効果を挙げているか。)である。
 医療と教育については、IT化が遅れているという政府のスタンスが示されているが、「遅れている」ということをラベリングすることにはもう少し慎重になるべき。
 子どもたちが触れているIT化が進んだ環境と、学校の環境とのギャップが少ない方がよい。国、自治体共に考えるべき。

 定性的な視点での評価は大切。数字が高くなっても、実態が伴わないのでは問題。東京で遅れが生じている理由を詰めると、制度、カルチャーなどに原因があり、そうした問題をつめていくことも重要。IT環境を整備したところで使われないという実態もあり、そこが問題。
 大切なことは、情報教育についてabout,through,withの3つを考えること。何を教えるのか、IT活用によりどのような利点が得られるかを整理する必要あり。情報教育の中身、目標について、どういう意義があるのかを整理していく必要がある。

 IT化の遅れの実態を数字として自治体に示した場合、自治体は、一昔前であれば、地域格差を示されるだけで積極的に整備しようと動いたであろうが、今はそれだけでは予算が取れない。これはこんなに効果があり、こう使えますという部分がないと認められない。
 情報化により学力がアップすることをPRすることが大切。つまり、IT化が遅れている自治体が、その遅れを無視できない程の効果があることをアピールすることが大切。この検討会でも、使いたいという気持ちにさせるような提言が必要。
 子どもたちが変わっていく姿を自分も見ている。「使いたい」という気持ちにさせることが大切。

 校内LANの整備とIT指導力の相関はある程度高いとは思うが、校内LAN整備率の高いところが必ずしもIT指導力が高いとは限らない。沖縄は、校内LAN整備率は(9位ではあるが)数字的にはさほど高くないにもかかわらず、IT指導力は全国1位。新潟も小,中が高いのは市町村レベルでの動きがあるため。一方、高知は校内LAN整備率は中位だが、IT指導力は下位になっている。如何に「うまく使えるようにするか」のモデルを示すことが大切。このあたりは、教育委レベルの強い指導や、市町村も動かすものがあるのかもしれない。

 今までのIT化は、インフラ整備から入っている。実際に身のまわりにIT環境が整備されていないとイメージが沸かないため、IT環境のインフラ整備があるレベルまでは必要と認識しており、これは間違いではなかったと思うが、実際に地域格差が出ている現状を見ると、今後は、それだけいうと、数字合わせになってしまわないかと危惧している。
 子どもを取り巻くIT環境と学校のIT環境とのギャップが問題。携帯の普及については気になる。子どもの生活実態に合った教育が必要。
 今後は、教員に、IT化により何がもたらされるかという認識を持たせることが大切。
 トップダウンの施策のみならず、教育センター等が行うボトムアップの施策を考えることも必要。

 (校内LAN整備率等の)数字には敢えてこだわりたい。自治体が、数字を見ても動かないという話を聞いて愕然としている。一般社会でIT化が進んでいるのに、教育現場の先生が何も感じないのは疑問。人間力や人間性の育成と情報化とが対極にあるという考えがあるのであれば、それは誤りだろう。

 ただいまの意見に賛同。ただ、IT指導力については、本当に数字どおりに先生がITを使って指導できるとは思っていない。意義を理解してITを用い、分かる授業を実際に行う教員と、無理やりITを活用しているに過ぎず、分かる授業を実践していない教員とがいると思う。
 大切なことは、保護者などにITを活用した教育の意義を知らせること。そこから、IT活用の必要性が普及すると認識。
 IT環境として、PCと校内LANのみでよいのかは疑問。デジカメなど、IT活用に資する設備は多様なものがある。

 他にも意見があると思うが、後ほど事務局から連絡するので、後日、「2006年以降の姿」も含めてメールで意見提出をお願いしたい。

(2) 「情報教育」の内容の充実について

 2つのことを徹底すべき。
 1つは、情報モラル、情報化の影の部分への対応を拡充、徹底すること。これは、子どもが小さい頃から行うことが大切。「実践力」よりも先に「参画する態度」を学習させる位でよい。身の危険への認識や、人に迷惑をかけないことについては、どんなに急いでいても道を渡るときに左右確認するのと同様に、自然と身に付けられているべきもの。
 もう1つは、PC等中心のリテラシー教育のみならず、マスメディアのメッセージを鵜呑みにしないで冷静に対応する力を身に付けさせること。
 マスメディアにおける情報作成者のように、映像などを用いてメッセージを巧みに作成し、伝達できる能力についての学習も必要。
 これらを入れた情報教育とすべき。

 (学校教育の情報化についての話となるが)教員のIT活用能力が低い。学校ごとに、先生が不得意分野をカバーすることが必要。「この分野はこの先生」というように、学校ごとにスキルが確保されるようにすべき。
 また、情報教育についても、一人は体系的に指導できる先生がいるようにするべき。手引きも、それにより活用が進むと考える。

 小、中、高において情報教育の指針は示されたが、指導要領からはいかようにも指導できるような形になっている。現状では、情報機器操作に関する生徒のスキル、能力、認識にもばらつきがあるが、2,3年後は、高校に入ってくる生徒のスキルも一定の水準が確保されるようになろう。その段階でどうするか、学校としても迷うはず。高校の教科情報では、情報A,B,Cがあるが、情報Aの必要性が減っていくことが考えられる。小,中,高の間の連携が欠けていることが問題。
 もう1点。大学も初等中等教育段階での情報教育の内容に大きな関心を寄せている。こどもの発達段階において何を目指し、どこをクリアすべきかを明確にする必要がある。資料の別紙3の図があるが、小,中,高のレベル分けが必要。参画する態度は小中高全体を通して指導すべきであり、科学的な理解については、一定の基礎学力が前提となろう。それぞれ、発達段階に応じて示さないと、教育現場が困る。
 情報教育の3本柱の区分には、余りこだわっていない。

 小学校では、「この学年でこんな力が必要」ということが分からないのが問題。また、情報を扱う専門の教科がなく、各教科の中に情報教育が入ってきているため、情報教育の位置付けが難しい。小,中,高の各段階で、何を指導したらよいかを示すべき。

 教員がITを活用するようになるのは、教室に電子ボードが入ってから。自分の経験から言うと、教室に電子ボードが常設されるというのが一番早道だった。子どもに使わせるようにもなる。かつて、教室にプロジェクターが入るという話があったが、教員は簡単なものでなければ使われない。このように(情報活用能力の育成は)IT環境の整備とも絡む話であり、このような実態も考える必要あがある。
 情報モラルについては、教員の意識が低いのではなく、教員が情報モラルが必要となる事態を体験していないことが問題。かといって、実際体験してもらう訳にもいかない。研修プログラムの充実が必要。

 (問題点として)3つあると認識しており、1つ目が、教育委員会として、情報教育のビジョン、理念が欠けていること、2つ目が、教員の意識が低いこと、3つ目が、予算の制約を考えている。教員は、ITにより教育がいかに変わるかを知らない。研修の在り方を考える必要がある。予算の制約については、耐震基準が上がり、その都度補強に予算が必要となる現状がある。しかし、教育委員会としてのビジョン、理念があれば、教育の情報化に関する予算確保について、財政当局も納得させられると考えている。

 「情報教育の内容が不明瞭」というが、内容の明確化はデメリットも含んでいる。体系化、明確化が進めば、教員は、それのみを行えばよいと考えるようになり、教育現場での発展的な教育が阻害されることもあることを念頭に置くべき。
 情報モラルについては、教員が体験していないものを指導するというところに無理があることを念頭に置くべき。
 携帯の普及のように、子どもをとりまくIT環境は急速に進んでいる。携帯等、全てのIT機器を包括した形で情報教育を進めるべき。

 小,中,高の各学校段階での指導内容の重複は避けていきたい。情報教育の体系化という話があったが、学習内容が重複することは、生徒たちからすれば(授業が)新鮮みのない、つまらない内容になってしまう。
 (IT環境整備については)インフラ整備の「高速回線接続」の「高速」のレベルが不明瞭。整備されたIT環境では回線速度が遅く、自分たちが作ったコンテンツも見られない現状がある。これらは、教育委員会レベルではなく、全国レベルで考えて欲しいこと。

 (IT環境整備については)自治体の長の責任もあると考える。どの程度情報化に意識を持ってもらえているかが大切。一般の政策が多数ある中での教育の情報化を考える必要がある。
 情報モラル教育については、社会の現象を追ってやっても効果がない。不適切なサイトに対応した情報モラル教育などと言っても、子どもは家に帰れば不適切なサイトにアクセスしてしまう。社会全体から見て教育を考えるべき。有害サイトの取り締まりなどを放置して学校教育で、というのは無理がある。
 「手引き」については、よく書かれている。まずは、これを実践している現場の先生に渡し、その現場の意見を聴取すべき。

(以上)


(初等中等教育局参事官付)

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