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資料5
2004年12月10日
学校内外の人材を国際理解教育に生かすための体制づくりについて
吉谷 武志(九州大学)
※時間が10分と限られていますので、また、先回までに学校における国際理解教育に関する提案(佐藤先生、宇土先生)がなされていますので、要点のみを最初に記します。
ここ数年、福岡市とその周辺(地方の中核都市)の異文化理解教育、国際理解教育に携わった(支援した)経験から常に気になっていることは、あえて簡単にいうと以下のような点に集約できるようです。
学校にしろ、社会教育にしろ、その組織内外の人材を活用する際、その成否を左右するのは、「生かされる人材」側よりもその人材を活用しようとしている学校(主催者)や教師の側の異文化理解度、活用方法・条件の方である。
→
教師の異文化理解(現職研修・養成教育)、情報収集力、コーディネート力、学校内の実施体制・協働化、開かれた学校・学校経営(VS.個別努力型の学校文化)、など
外部の機関(例えばJICA(ジャイカ)や国際交流協会、NGOなど)がその蓄積と資源、人材を派遣または助成してくれた場合でも、学外者が学校教育や個別学校の事情を知っているとは限らない。
しかし、同時に、その機関に任せられるところ・使える素材等については、大いに利用すべきである。
→
情報の収集、学校・学級の情報提供(差し支えない範囲で)、打ち合わせのための物的、時間的条件の整備。
学校内の児童生徒、その保護者を活用する場合には、(喜んで)応じてもらえる場合が多い。しかしながら、直接、しかも継続的に触れ合う人(異文化接触)であるだけに、周りの子どもたちに「異文化性(異なっていること)」が過度に強調される場合がある。例えば国際理解教育の「3F」(衣服、食物、祭り)の問題。
→
同級生・友人としての一体感の醸成(学級経営)、継続的な指導の実施(脱イベント化)、学校内での位置づけの明確化(たとえば、学校、PTAでの位置)オリエンタリズムの克服。
異文化理解、国際理解が総合的学習の一部分であると考えられたり、教科の中でふれられる程度である場合には、見た目や方法の借用になりがちである。例えば、体験的参加型学習(開発教育)自体がイベント化する、校務分掌などでは「国際理解部会」は人権教育、同和教育、その他様々なものと抱き合わせになっている場合が多い、など。
→
異文化理解教育、国際理解教育の担当者の位置づけの明確化、コーディネーターの配置など。
など
1.前提として
・
国際理解教育は、学校生活全体、教科・領域(横断的)、総合的学習の時間のどの場面においても実施可能である。 ※佐藤 郡衛『国際理解教育』明石書店2001年
・
学校内外の人材を活用するということは、国際理解教育を多(他)文化との出会い、共存の場(異文化接触)とすることである。
※
他国(外国籍者)との出会いと他者(多文化)との出会いという両側面
※
前提としての人(多様な文化的背景をもつ)との出会いという側面
・
「学校内外の人材」とひとくくりにすることには慎重であるべき。
帰国児童・生徒、外国人児童生徒(留学生も)は「学校内の人材」であるが、教育を保障されるべき主体でもあること。
「学校外の人材」の場合も、子どもの親や当該校の関係者、地域住民(多文化住民)である場合には、交流の日常化(接触)といううことに配慮する必要。
「遠く(外部)からの訪問者」の場合、上記のような問題はないが、一回性によりイベントになりやすい。
・
人材の活用には、学校(あるいは交流の場)からの「距離」「関係」を考慮する必要がある。
2.出会い・共存としての国際理解教育−人材の活用−
人材の活用に伴う教育上の効果・課題(表裏の問題)
・
具体性、可視性、差異と共通性の実感(実体験)、継続性
・
自己・自文化の認識と相対化
・
外国籍者・多文化そのもの(人)の多様性の認識、など
可視化・実体験による偏見、葛藤、忌避の可能性
他者(他文化)の卑小化・自文化の過大な評価
例えば、3F(衣・食・祭)の文化項目主義・イベント化(非継続性)
学校内外の人材の広がり
・
帰国・外国人児童生徒、留学生(本人、家族、親族など)
・
校区・地域人材(日本人、外国人、国際結婚、など)
・
地域の団体、機関、NGO、NPOなど
活用のための条件
・
情報の入手手段の整備、ネットワーク化など
・
学校内外人材導入のための条件整備(財源、時間−入念な打ち合わせ−、空間など)
・
学校内の協働体制(機動的な役割分担)
・
学校外(親、地域)の協力体制の確立
・
学校側(教職員)と人材双方の異文化理解の促進
・
教師自身のコーディネート力、学校の協働体制、組織の開放性の確保(学校文化の変革を)
3.具体的な事例から
地方都市としての福岡・北九州の事例−様々な地域の資源の活用−
JICA(ジャイカ)(JOCA・社団法人青年海外協力協会)、国連ハビタット(UN-HABITAT)、オイスカ(OISCA)、様々なNGO、NPO、国際交流団体、国際交流センター(県・市)、大学様々なボランティア団体、など。
1)
「教室から世界をのぞこうプログラム」JICA(ジャイカ)(JOCA)
青年海外協力隊OB、OGと留学生による外国文化紹介
2)
外国人研修生との交流−オイスカ(OISCA)と近隣小学校の例−
総合的学習の時間を通じての交流(毎年実施)
3)
九州留学生(留学生会館)の学校訪問、地域(公民館)行事への参加−見学と交流−
4)
JICA(ジャイカ)(北九州)による教員の国際理解教育・開発教育に関する研修、情報提供等
外国人研修生との交流、図書・資料・情報提供など
5)
福岡市立香椎浜小学校(PTA)による交流事業
フレンズ会(PTAの部会)の組織化と交流条件の整備(掲示、文書の翻訳や学校行事への参加等、)
夜間の日本語教室(ボランティア)への教室開放、ボランティアの援助・協力
6)
国際交流協会の事業の活用
交流団体への助成、通訳派遣、情報提供等
(事前打ち合わせの質により成果が左右される。)
7)
福岡市「日本語教室設置校連絡協議会」
外国人児童生徒、中国帰国児童生徒の受け入れの協議と情報交換、マニュアル、教材・素材集の収集整理、発信。
なお、地方都市としての福岡市、北九州市は様々な資源がそれなりに集中しており、九州全体での活用も可能ではないか(地域・ブロックによる支援)。また、たとえば文部科学省の日本語教室担当教員の研修や国際理解教育の研修を東京のみでするのではなく、講師を地方に派遣するなどすることにより、研修参加可能者はかなり増えると思われる(この点は以前にも指摘しました)。
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