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第2章 キャリア教育の推進のための方策

5  インターンシップ等体験活動の一層の推進
提言11(国・教育委員会・学校・地域や企業)
  インターンシップ等の推進のための協議会等の設置
 中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会審議経過報告(平成18年2月)には、「小学校・中学校・高等学校を通じて、奉仕体験、長期宿泊体験、自然体験、文化芸術体験、職場体験、就業体験(インターンシップ、デュアルシステム)などの体験活動を計画的・体系的に推進することが必要である。特に、ニートの問題が指摘される中、キャリア教育の推進が求められている。…」とある。普通科においても、学ぶこと、働くこと、生きることの尊さを実感させ、勤労観、職業観を醸成するためにインターンシップ等の体験活動を推進することが期待されている。
 インターンシップ等の推進には、受入れ企業、関係団体、関係機関等地域社会の理解、協力が不可欠である。そのため、各都道府県教育委員会等は、学校関係者、企業関係者、関係団体、関係機関等が一堂に会する協議会等を設けることにより、様々な課題を協議し、相互の理解の向上や協力関係の強化を図り、インターンシップ等を通じたキャリア教育の推進を目指すことが望まれる。

提言12(国・教育委員会・学校・地域や企業)
  インターンシップ等多様な体験の機会の充実
 大学進学後の中途退学については、様々な要因が考えられるが、十分に学ぶ意義を理解せずに、目的もなく大学に進学したことで、実際の学業や生活に不適応を起こしたことによることも要因の一つに考えられる。このように、大学進学後どのようなことを学びたいのか、卒業してどのようなことがしたいのか、どのような職業に就きたいのかといったことに対して、明確な目的を持たずに、先送りしてしまうことが、結果として大学卒業後に進学も就職もしない者が多くなることにつながっていると考えられる。
 これは大学のみならず、高等学校と大学等との接続の在り方にかかわる課題として、高等学校においても検討すべきことである。高等学校段階においても、目前の入れる大学を選択することを目的化するのではなく、その先にある大学等の卒業後において、社会的自立、職業的自立ができるよう、主体的に進路を決定する能力・態度を育成するキャリア教育を進めることが重要である。特に大学等への進学者が多い普通科においては、喫緊の課題であり、インターンシップ等を実施することは、生徒に自己の将来について考えさせるとともに、社会や職業に対する認識を深め、学ぶことの重要性を考えさせる上で極めて有効である。
 しかしながら、平成17年度の全日制普通科におけるインターンシップの実施率は50パーセントを超えたものの、3年間を通して1回でも体験した3年生は約12パーセントに過ぎない。このことは主に就職希望者に限定してインターンシップを行っていることを想定させるものである。
 しかし、進学希望であっても「大学等の向こうにある社会」を生徒に意識させ、高等学校卒業後又は大学等卒業後に希望する職業について、インターンシップ等により体験させ、自己の将来について考えてみることが重要である。特に普通科では、一概には言えないが教科として職業に関する教育がほとんどなされないこともあり、特定の職業の能力向上を目的とするのではなく、将来の進路選択の幅を広げる観点から、インターンシップ等多種多様の体験の機会を与えることにより、職業観や勤労観、更には進路を主体的に選択する能力を育成することが重要である。
 そのため、インターンシップについては、受入れ先として、例えば、就職を希望する企業や大学等の研究機関、行政機関、医療機関等の開拓に努めたりすることが必要である。
 また、短期間で職業についてのイメージを形成することができる「ジョブシャドウィング」(注)のような幅広い体験の機会を積極的に活用することも重要である。
 さらに、例えば、国内外での修学旅行の機会を活用したインターンシップを行うなど、生徒の幅広い視野の育成に資する活動を取り入れていくことも考えられる。
(注) ジョブシャドウィング:生徒等が、働いている人に影のようについてまわり仕事の様子を観察すること。

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