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はじめに

 国立大学法人、大学共同利用機関法人、独立行政法人国立高等専門学校機構(以下、「国立大学等」という。)は、科学技術創造立国の着実な実現に向けた、独創的・先端的な学術研究の推進、創造性豊かな人材養成を行う等の使命を担っている。
 その教育研究を支える重要な基盤である施設は、21世紀にふさわしい社会資本として国立大学等がその使命を遂行するために必要となる、現代の教育研究ニーズを満たす機能を備えることが重要である。
 国立大学等の施設については、その多くが建築後四半世紀以上経過し、老朽化や機能劣化が進行するとともに、大学改革の進展による大学院等の拡充や学術研究の進展による研究設備の増加等に伴う狭隘化が生じ、1990年代以降、教育研究環境の悪化が社会問題化した。
 このような背景のもと、平成13年3月に閣議決定された第2期科学技術基本計画において、「国は、施設の老朽化・狭隘化の改善を最重要の課題と位置付け、(中略)5年間に緊急に整備すべき施設を盛り込んだ施設整備計画を策定し、計画的に実施する。」こととされ、これを受けて文部科学省では「国立大学等施設緊急整備5か年計画」(以下、「現行5か年計画」という。)を策定し、当計画に基づき施設整備を実施してきた。
 現行5か年計画の終了年度となる平成17年度では、1優先目標であった大学院施設の狭隘解消、卓越した研究拠点の整備、大学附属病院施設の整備については目標を概ね達成し、教育研究に一定の効果が現れている。また、同時に指摘された2システム改革に関しては、ほとんどの国立大学等が共同利用スペースの確保を始めとする施設の有効活用に関する多様な取組に着手するとともに、国費による施設整備だけでなく寄附受け入れや地方公共団体・企業との連携による整備など新たな整備手法による整備への積極的な取組が見られるようになってきた。
 しかしながら、1重点的整備対象の一つである老朽改善整備は5割程度の達成に留まり、その後の経年及び機能劣化による老朽改善需要が加わること、2現行5か年計画策定後に発生した新たな教育研究ニーズへの対応が必要であること等が施設整備に関する今後の大きな課題となっている。
 特に、老朽施設については、機能の劣化や陳腐化による機能上の問題と合わせ、そのほとんどが旧耐震基準によるものであり、近年大地震が頻発していることなども踏まえると、緊急な対応が必要である。
 一方、第3期科学技術基本計画(平成18年3月28日閣議決定)においては、「科学技術活動の基盤となる施設・設備の整備・充実にあたっても、国の内外を問わず優秀な人材を惹きつけ、世界一流の人材を育てることを目指す。」とされている。科学技術創造立国実現の観点から、上記施設の改善にあたっては、国立大学等施設に求められるニーズを踏まえ、世界一流の優れた人材と研究成果を生み出すために、高度化した教育研究環境への再生を図る必要がある。
 以上を踏まえ、平成17年度は現行5か年計画の最終年度であることから、本協力者会議では、現行5か年計画に基づく施設の整備状況を検証するとともに、国立大学等施設を取り巻く状況、長期的な整備目標、そして平成18年度からの次期5か年間に緊急に対応が必要な整備課題について、各界の有識者のご意見を踏まえ検討し、この度、報告することとした。


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