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学校施設整備指針策定に関する調査研究協力者会議(第41回)議事録

1. 日時
平成17年6月8日(水曜日)15時〜17時

2. 場所
学術総合センター1階 101、102特別会議室

3. 出席者
(協力者)
飯塚哲、上野淳、小川博久、加藤幸次、北浦かほる、佐古順彦、高際伊都子、丹沢広行、辻村哲夫、成田幸夫、林トシ子、屋敷和佳、八代勉、山上隆男(敬称略)
(事務局)
大島文教施設企画部長、舌津技術参事官、岡施設企画課長、山さき企画調整官、山下文教施設環境対策専門官、都外川指導第一係長 他

4. 資料
資料1   学校施設整備指針策定に関する調査研究について
資料2 学校施設整備指針策定に関する調査研究協力者会議(第40回)議事録(案)
資料3 「教室等の室内環境の在り方について」これまでの主な意見
資料4 教室の健全な環境の確保等に関する調査研究 報告書(第1次 概要版)
資料5 天井高さ3.0メートルの最低基準の取り扱いについて
資料6 教室等の室内環境の在り方について 報告書の構成(案)
資料7 教室等の室内環境の在り方について 今後の検討スケジュール(案)

5. 会議概要
1  開会
2  議事
  (1) 教室等の室内環境の在り方について
(2) その他
3  閉会

6. 議事
(1) 教室等の室内環境の在り方について
<「教室等の良好な環境の在り方について」これまでの主な意見>
 事務局より、資料3に沿って説明。

<教室等の健全な環境の確保等に関する調査研究 報告書(第1次 概要版)>
 上野委員より、資料4に沿って説明。最後に、以下の点を発言。

 教室の雰囲気や環境は、天井高さだけでなく、1学級の人数、学齢や、教室環境の工夫などによりかなり異なる。天井高さについては、空気汚染の緩和、視覚的・身体的・心理的な環境の確保の観点から、建築基準法に定めているように、どうしても3.0メートルなければならない合理的・科学的理由は今のところ見出せないということが私の率直な感想である。

 以下、自由討議

 昨年7月に、国立教育政策研究所において「教室の健全な環境の確保等に関する調査研究」を立ち上げ、研究会と、その下に設置したWGを数多く開催し、調査については、本協力者会議の委員からも助言を頂きながら実施した。現在、調査分析中の調査もあるが、幅広い調査ができたと思う。

 昔から、小学校1年生から高等学校まで、教室は同じ大きさ、人数であることについてどうするかが課題なのではないか。学習活動の多様化に伴い、工夫して整備されている教室はあるが、子どもの発達段階について配慮する必要はあるのだろうか。また、椅子や机の大きさは昔から同じものなのだろうか。

 昭和25年に作成された「鉄筋コンクリート造校舎の設計標準」において、学校施設を大量に建設しなければならないという時代背景の下、教室の大きさは、明治以来の大きさである奥行き4間かける間口5間を踏襲し、7メートルかける9メートルとされていた。

 1学級あたりの児童生徒数は、学級編成基準について昭和33年当時の各都道府県の平均は60人であったが、国において50人と明定され、現在は40人まで引き下げられている。また、JIS規格において、教室の机、椅子の寸法について定められており、子どもの体格の変化等に応じて過去何度か改正されてきた。平成11年には、教科書のサイズの変更やパソコンの活用等に伴い、机面の寸法が拡大された。

 教室の面積について、報告書では、「昭和25年の「鉄筋コンクリート造校舎の標準設計」の教室(63平方メートル)と同様な大きさのものも多く見られる」と書かれているが、教室の国庫補助基準面積は63平方メートルではない。このことについて説明していただきたい。

 小・中学校の教室の大きさは、国庫補助基準面積では74平方メートルとされているが、これは学校の補助基準面積を積算する際の一要素であり、教室の大きさを一律に決めているわけではない。

 教室について、天井高以外には、どのような基準、留意事項等があるのか。

 例えば、「学校環境衛生の基準」において教室環境の基準が定められているが、教室の寸法に関する記述はない。

 建築基準法には数値の基準が書かれているが、学校施設整備指針には数値の基準は書いていない。

 研究会において、現在の教室について、環境面、児童生徒の心理や快適感、生活スペースの場として、広さ8メートルかける8メートル(一般的な大きさ)、高さ3メートルの教室をどう評価すべきかについて検討するために、可能な限り客観的なデータを収集・分析した。個人的感想としては、クラス人数が40人いっぱいの教室と、24、25人や30人の場合とでは随分雰囲気が違うと思う。また、同じ30人教室でも、小学生と中学生・高校生を比べると、学齢があがるにつれ、明らかにマイナスの評価になっている。

 教室やオープンスペース周辺の設計は、非常に多様な試みがあって良いと思う。天井高さについて3メートルが最低基準とされていることが、場合によっては設計における工夫を押さえ込んでいないだろうか。

 保育所については、室に応じて1人当たりの面積の最低基準が決まっているが、学校建築には、1人あたりの面積という発想はなかったのか。

 戦後の国庫補助基準面積は、児童生徒1人当たりの面積を基に、学級数も考慮して算出されていたが、昭和39年に、小・中学校における教育はすべて学級を単位として運営されていることなどから、学級数に応じる基準に切り替えられた。

 空間の大きさと人間の活動は関連していると思う。どのような線引きで学校の大きさを設定するのが良いのだろうか。

 幼児教育においては、空間、物、人をリンクさせて検討することが必要であり、空間にコーナーを設計している。小学校以上の建築においても、このような視点による検討が必要ではないか。

 教師の教育活動に対応する教室の在り方についても検討する必要があるのではないか。

 小、中、高等学校の教室の大きさの基準は異なるのか。

 現在の教室の面積について、国庫補助の積算上の面積である国庫補助基準面積は、小中学校は同じであるが、高等学校は少し大きい。また、普通教室ではないが、昭和59年度に、小中学校の国庫補助基準面積について、主として学習方法の多様化に対応するための多目的スペースが確保できるように改定している。学校設置者は、多目的スペースを居室と一体的・連続的に配置・構成することにより、教室の形態を多様に設定できる。なお、高等学校の国庫補助基準面積については、小中学校と学習形態が異なるため、このような改定をしていない。

 へき地の学校では、1学級の人数が40人に満たない場合があり、例えば、50平方メートルや30平方メートルなど、かなり小さな教室が作られている。複式授業に対応する小さな教室や、2つの教室をつなげ、真ん中の扉と取り払った特別な教室も作られている。昔の小規模校は、従来型のものを縮小したものが多かったが、最近の小規模校では、このような教室が見られるなど、設計上、工夫された事例がでてきた。

 40人いない教室の場合でも、天井高さは3.0メートル以上ないと法令違反なのか。

 50平方メートル未満の教室の天井高さについては、建築基準法上、2.1メートル以上あればよい。

 ある幼稚園において、幼児が少ないために部屋を小さくしたところ、先生の存在が大きいため、子どもの遊びが活発にならなかった。幼児については、遊びを考慮すると、人数に応じて部屋を自動的に小さくすることはできないと思う。このことは、他の場合でも当てはまるのではないか。

 少人数授業のための教室もあって良いが、高等学校では、毎年生徒数が変わったり、選択授業において生徒が選択する授業数も変わるため、最大40人入る教室がある程度必要である。

 広さ感、快適感、みやすさは、照度も関係すると思うが、今回の調査において、机上の照度はそろえたか。

 各設営室の机上の照度は測定しており、CO2(二酸化炭素)濃度、室温等については調査期間中、継続して実測したが、実験結果に影響を与えるような差異はなかった。

 天井高さを含めて気積が小さくなると、一般的には教室内の音の明瞭度は増す。また、日本建築学会の報告書において、天井高さが低くなると、教室内の音の明瞭度が向上する方向に作用するという結果が報告されている。

 報告書における児童生徒の意識の調査結果において、狭い、窮屈、圧迫感については、色々な要素によって変わるものだと思う。

 照度、空気質等の課題については、技術的にクリアされるのだと思う。また、それらの最低限の基準については、各学校においてもクリアする努力がなされていると思う。

 教室等の室内環境の在り方については、天井高さだけでなく、学習・生活空間の広さ、高さ、色彩、家具等を質的にどう高めるかが課題であり、IT関連の整備等も課題である。また、普通教室はランチルームとして扱われることも考えると、最低限の機能は必要である。

 この5年程度で、多くの学校において耐震補強と併せて質的整備を図るための改修が実施されるところであり、それらの学校は行政に要望を出す段階である。このような状況であるため、教室の施設整備を高めることについて、国としての方向性を早急に学校現場まで届けて欲しい。そうしないと、教室環境は貧困なままとなってしまう。

 報告書に書かれている教育内容・方法等の多様化、学級編成の変化・弾力化、教室空間構成の多様化、規制緩和等を踏まえ、今後の教室環境をどう整備するか、その考え方を指針等により示せたらと思っている。天井高さの在り方は、その中の1つとして入ってくるということだと思う。

 教室の環境の質は、天井高さだけで決まるものではなく、児童生徒の学齢や教室の広さにも影響する。また、内装について、柔らかい木質系の教室と、モルタルにペンキを塗っているだけの音が響く教室とでは全く違うし、丹念に色彩計画をしている教室と白く塗っているだけの教室では雰囲気が全く異なるなど、教室の室内環境は天井高さだけで決まらない。

 空間の大きさのうち、広さについては、こうしなければならないという基準が何もないなか、天井高さだけが、学校のみ建築基準法で決められているという点に違和感を覚えている。教室の室内環境について、多角的な視点から議論していただきたい。

<天井高さ3.0メートルの最低基準の取り扱いについて>
 事務局より、資料5に沿って説明。

 報告書のP26図3−5「天井が高い・低い」の結果を見ると、「どちらでもない」という尺度の「中間値」は、子どもが慣れ親しんだ教室を基準にした印象を示していると考えられる。従って、設営室で、2週間後に子どもたちが示した「中間値への回帰」の反応のデータは、「順応」という点について、理解可能な結果であると思う。

 小学生と中学生とでは、「順応」の結果に差があり、小学生は順応の効果がみられるが、中学生では変化がみられず、設営室への移行時と同様の「消極的な」印象にとどまっている。天井高さ3.0メートルの最低基準について、学齢段階を考慮せずにひとまとめにして議論するのは問題があるのではないか

 報告書において示されたデータは適切で、子どもの発達に応じた、実情を示していると思う。

 実測調査において、天井高さに対する行動等について男子と女子の違いにより有意な差はあったか。私立学校は、共学でなく、男子校や女子校も多い。

 児童生徒の高さ方向に対する直接的な行為については、特に小学校段階において、男子、女子共に積極的に行われていたので、差はなかったと思う。また、身長差により、天井高さに対する意識が異なるかについて検定を実施したところ、身長よりも学齢段階などの要因の方が強く効いており、身長は直接的には効いていないという結果であった。

 私の所属する聾学校には幼稚部から高等部まであり、普段の子ども達の生活を見ていると、利用する空間は、幼稚部と高等部とでは明らかに差がある。年齢や成長段階に応じた、高さを含めた空間について検討するのがよいと思う。なお、教員については、幼稚部も高等部も同じであるが、最低限の天井高さは確保する必要があると思う。

 天井高さ3.0メートルの高さを変えなければならない理由は、経済的、効率的な理由だと思う。天井高さについて、逆にこれ以上高くすると危ないという高さはあるのだろうか。経済性に対する答えは、天井高さ3.0メートルの最低基準の撤廃・見直しで良いかも知れないが、コストを抑えている建築が多い中、せめて学校だけは、広々とした空間を持って欲しいと思う。

 学校は地域コミュニティの重要な活動拠点でもある。このような観点では、小学校は、体育館の天井高さが低い点や、全体的に狭い点がマイナスである。普通教室は比較的開放されていないと思うが、地域コミュニティの財産であると考えると、子どもに合わせた寸法にするのは問題ではないか。

 教室の天井高さや階高を抑えたら、どの程度建設費に影響するか、別途検討することとしている。

 学校は、天井高さの最低基準が3.0メートルとされていることから、一般建築物に比べ、数段高い階高を持っている。このことは、学校を学校以外の施設に転用する際に有利に働くことから、学校は良質な社会的資本であると言え、階高の確保は重要であるという意見が研究会の委員から出されている。

 建築基準法は、国民の生命、健康及び財産の保護を図るための最低限の基準を定めている。天井高さの最低基準3.0メートルは、建築基準法の精神に合致するかどうか、議論が必要であると思う。

 学校施設が障害学習活動に寄与することは、これからの日本の教育施設の大きな課題である。但し、一般論として、社会教育施設などの学習室の天井高さとして3メートルある場合はむしろ少なく、8メートルかける8メートルの室であれば、2.7メートル、2.6メートル程度が一般的であり、また、非常に広いオフィスでも、2.7メートル、2.8メートル程度が一般的である。このため、学校は、天井高さ3.0メートルであることから、かなり高い水準の建築ストックであると言える。

 学校建築は、建築物の中でも貧しいものが多いと思う。学校は、子ども達にとっては豊かな空間であって欲しい。天井高さ3.0メートルの最低基準は、50平方メートル以上の教室についての規制であり、今後、少子化に伴い50平方メートル以下の教室がたくさん作られるのなら、この規制にかからないが、大きい空間に対しては大きい天井高さが空間の豊かさを支えるのだと思う。報告書のP13図2−6の(小6)を見ると、天井高さに対する意識としては「どちらでもない」が比較的多いが、実際に天井が高い教室については「天井が高い」という回答が多く、子どもの空間感覚は正確であると私は感じた。

 学校の教室環境について、身辺に置いておく道具類が室内にあるのは環境を悪くすると思う。海外の学校などを見ると、道具類はロッカーに全てしまわれ、机の周辺に散乱していない例があり、整って使いやすい教室環境だと思った。日本においても、教室の中にそのとき使用しようとするもの以外は、ロッカールームのようなものにしまうことができれば、教室環境がすっきりして使いやすいものになるのではないかという感想を持った。

 天井高さ3.0メートルの最低基準を維持する場合、今後の学校の発展を阻害する要因にならないか懸念している。私の学校は高層ビルの中にあるのだが、3メートルの天井高さが2.7メートルで良いのであれば、もう1層追加して床面積を増やすことができた。床面積と天井高さのどちらを優先するか、難しい問題であるが、私の学校の生徒は、床面積を優先するという意見だと思う。

 ロッカーについては、教材が大きくなったのに合わせ、少し大きい机を使用するのであれば、教室の外に設置する方が良い。ただ、ロッカーは、生徒が上手に使用してくれるとは限らないと思う。海外ではホームルームが無いため、ロッカーが机代わりとなり、きちんと使用してくれるが、日本では机の中に入れられるようにした方が整理整頓されると思うので、一長一短があると思う。

 格子の見かけ天井が設置されている場合の天井高さは、どこを測っているのか。

 例えば、報告書に掲載したW小学校は私が設計した学校なのだが、天井までの高さを3.0メートルとしており、格子の見かけ天井までの高さを2.7メートル、2.4メートルにしている。学齢段階によって子どもたちの教室空間に対する印象が違うはずであるという認識の下、私は、小学校を設計するときは、必ず低・中・高のゾーンを設定し、天井高さだけでなく窓台の高さ等も変える工夫をしている。

 天井の形状にもいろいろある。例えば、格子の見かけ天井のある学校とない学校、ドーム型の天井の学校とそうでない学校とでは、児童生徒の印象には大きな差があるのではないか。また、教室の天井高さが低くてオープンスペースが高い場合、児童生徒は教室において圧迫感を感じるだろうし、逆にオープンスペースの天井高さが低くて教室が高い場合、教室において開放感を感じるかもしれない。さらに、天井の梁がむき出しの教室と、それがでていない学校では、印象に差があるだろう。報告書のデータは説得力があるが、その結果は多くの要因に作用されると思うため、どれだけこれを根拠にして議論ができるだろうか。解釈が難しいと思う。

 現場の教師にとっては、天井は低い方が授業を行いやすい。私は以前、教室数が足りなくて1年間天井の高いホールで授業をしたことがあるが、非常に疲れた経験がある。

 昔の大学の図書館の天井は高く、私にとっては一人で入ると非常に落ち着く空間である。学校の中に、図書館などだけ天井を高くする考え方は有り得るのか。

 設計者の工夫により、多様な空間が有り得る。あるスペースは低く抑え、あるスペースを高くするとすごくのびのびするが、のんべんだらりと高くしてものびのび感がしない。このような点を、設計者が工夫して空間を設計している。のんべんだらりと天井が高い空間は、一つの考え方であり、別な考え方もある。また、天井高さが低い方が授業をしやすい教師もいれば、また別な意見もあろう。様々な意見があると思う。このような中で、私は、国民の生命、健康及び財産の保護を図るための最低限の基準として天井の高さについて建築基準法で定める合理的根拠はあるだろうか申し上げている。

 アメリカなどでは、教材をたくさん用意し、それを使って学習できる空間がある。言葉による学習だけでなく道具を使って学習を行うためには、日本の学校においても、道具などを収納できるスペースがあった方が良いと思う。

 幼稚園の場合、ロッカーを壁に設置すると、子どもは壁を使って遊ぶので、遊びが成立しない。設計の際に、このようなことを考慮する必要があると思っている。遊びだけでなく、総合的な学習の時間についても、同じことが言えないだろうか。

 現在出されている意見をまとめると、1つは、基本的に施設一般のルールにのっとって、あとは学習に責任を持つ方が責任をもって、工夫を凝らしながら空間を設定するという考え方と、もう1つは、財政的な側面から、安易に低い天井高さの空間ができてしまうのを防ぐため、基準を残して、せめて学校だけは広々とした空間であって欲しいという考え方だと思う。選択肢は、現行の3.0メートルの最低基準の継続か、撤廃・見直しかである。撤廃・見直しの場合は、ただ撤廃するのではなく、このような観点で天井高さについて考えるべきであるといった指針を示すかということになるだろう。

 今日の議論を踏まえると、現行の3.0メートルの最低基準を守るのは難しいし、守る必要も無いと感じた。私は、撤廃して、その代わりにガイドラインを策定するのが良いと思う。天井高さについて、報告書のデータを参考にしながら、なんらかの幅で示すか、ケースで示すやり方などがあると思う。海外における教室の天井高さに関する基準も参考になるのではないか。

 先ほど、天井の高い大学の図書館について紹介された。これは、建築基準法の基準に基づいて設定したというより、大学が独自に考えて設計したものであろう。

 設計者等の工夫により、多様な空間があって良いということはよく分かるし、どの学校においてもそのように設計されるのが理想的だと思うが、基準が撤廃された際、おかしな設計をされた学校ができることを懸念している。私も、最低基準を撤廃して、その代わりにガイドラインを策定する方向で良いと思う。

 現行の最低基準の継続の場合と、撤廃・見直しの場合について、本協力者会議では、それぞれ問題点をあげることに留めるのはどうだろうか。

 そのようなやり方もあると思うが、その場合、この研究会としてどう考えたかがはっきりしないと思う。こういう問題もあるが、本協力者会議としては、こういう考え方をとったという示し方もあるだろう。今後議論をして、意見を収斂させていきたい。

 基準を撤廃して、教室の天井高さの最低基準が2.1メートルになれば、2.1メートルの天井高さの普通教室が良好な環境として認められると解釈されかねない。もし、2.4メートルの天井高さについて、子どもたち等に対して非常に良くない結果があるのであれば、最低基準として2.7メートルを示すことに意味があると思うが、2.4メートルの天井高さに対する子どもたちの反応は様々であり、そこまで踏み込めないのであれば、ガイドラインを示すのが良いと思う。

 最低基準を撤廃することは良いと思う。これにより、実際に良い設計の学校ができることを期待する。但し、撤廃することによって、学校全体の環境が悪化しないかどうかが心配である。そのことをどのように防ぐか、その考え方が大事だと思う。

 学校は良質な社会資本として、階高が確保されていると、建物の用途変更等、様々に応用できる。天井高さが低くなることにより、階高が抑えられると、良質な社会資本を形成しようという世の中の方向に逆行することになる。

 空間が貴重な資源であることは、各員の意見が一致していると思う。良い教室空間が書く学校において設定されるよう、教室空間について説得力のある理念を提示する必要があると思う。

 本日、議論はだいたい出尽くしたと思う。天井高さの設定について、学校の設置者等にゆだねるか、それとも法令でしっかり設定しておくかという議論だと思う。教室環境を守ることは大前提であり、それをどういうルールで守るかが論点であろう。私としては、大きく2つくらいの案を事務局に作成していただいて議論した上で、本協力者会議として、こういう経緯、議論がなされたが、このように考えたという1つの方向性を示したいと思う。

 次回会議においては、教師、施設管理者の意識等の調査結果についても報告して欲しい。

<教室等の室内環境の在り方について 報告書の構成(案)>
 全体を3章構成とし、「1.背景」には、現在検討している背景について、「2.教室等の室内環境の在り方に係る多面的な検証」には、研究会の報告書を紹介するとともに、これまでの議論を基に、天井高さ3.0メートルの最低基準の取り扱いについての見解について、「3.教室の良好な環境の確保方策」には、教室の良好な環境を確保するため、その方向性や考え方について記述することとされた。

(2) 今後の進め方について
 また、本年9月に中間報告として報告書の構成(案)の「1.〜2.」について取りまとめ、本年12月に最終報告として「1.〜3.」について取りまとめることとされた。

(文教施設企画部施設企画課)


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