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政策評価に関する有識者会議(第17回)議事録

2006年8月29日

1. 日時
  平成18年8月29日(火曜日)15時〜17時

2. 場所
  東京国際フォーラム ガラス棟G602

3. 議題
 
(1) 「文部科学省実績評価書―平成17年度―」及び「文部科学省事業評価書―平成19年度新規・拡充事業等―」について
(2) 今後の文部科学省における政策評価制度の在り方について

4. 配付資料
 
資料1-1   文部科学省実績評価書―平成17年度実績―(概要)及び文部科学省事業評価書―平成19年度新規・拡充事業等―(概要)について
資料1-2 文部科学省実績評価書―平成17年度実績―
資料1-3 文部科学省事業評価書―平成19年度新規・拡充事業等―
資料1-4 委員からのコメントへの対応状況
資料2 今後の文部科学省における政策評価制度の在り方について(論点メモ)

5. 出席者
 
(委員) 古賀座長、浅井(経)委員、浅井(彰)委員、天野委員、川邊委員、高祖委員、舘委員、田中委員、田吉委員、中西委員、端委員、平澤委員、美山委員、ゼッターランド委員、横山委員
(事務局) 金森総括審議官、藤田政策評価審議官、田中大臣官房政策課長、木村大臣官房政策課評価室長、松渕大臣官房政策課評価室室長補佐、満尾大臣官房国際課海外協力官、森文教施設企画部施設企画課文教施設環境対策専門官、西田生涯学習政策局政策課課長補佐、大金初等中等教育局初等中等教育企画課課長補佐、小松高等教育局高等教育企画課長、戸渡科学技術・学術政策局政策課長、川上研究振興局振興企画課長、渡辺研究開発局開発企画課長、北風スポーツ・青少年局企画・体育課体育官、竹下文化庁政策課長

(1) 「文部科学省実績評価書―平成17年度実績―」及び「文部科学省事業評価書―平成19年度新規・拡充事業等―」について

 文部科学省実績評価書及び文部科学省事業評価書について、事務局より説明が行われた。

6. 会議の概要
 

【美山委員】
 施策目標8−1−1の「優れた文化芸術への支援を継続し芸術創造活動を活性化させる」に関わる「メディア芸術振興総合プログラム」については、新規事業ということと、既に文化庁においてメディア芸術祭が行われていることから関心も高いと思う。確かに、こうしたプログラムができることは好ましい。ただし、得ようとする効果については、若干、明確にしたほうがいいところがある。例えば、クリエイターの育成、メディア芸術鑑賞人口の増加を促進すること、これらは当然のことだが、「クリエイターが、国際的な有力なメディア芸術関連の賞(カンヌ映画祭、SIGGRAPH等)の入賞者を100人以上とする」については課題があると思う。確かに、大変結構な目標だが、とりようによっては、非常に容易に達成されるとも言えるし、その反面、なかなか難しいとも言える。つまり、国際的に有力なメディア芸術関連の賞に合わせて高く設定するのか、それとも低く設定するのかについては、もう少し明確にしたほうがいいかと思う。具体的には、例えばドイツやオーストリアで行われるアルス・エレクトロニカ等が具体的に挙げられるだろう。また、「若手クリエイターの数を300人以上とする」というのも、数え方によって自由にとらえられてしまうので、これもカウントの仕方を具体的にしたほうが、今後の評価のためにいいのではないか。
 また、こうした振興策の一方で、フィルムセンターの問題であるとか、フィルムアーカイブの問題といった文化芸術の足元とも言える部分についてもしっかり考える必要がある。さらに、評価の高い山形国際ドキュメンタリー映画祭そのものの存続自体が危うくなっている例に象徴されるように、国内のメディア芸術祭だけでなく、既に行われているものの基盤整備もこれに関連して必要かと思われる。

【竹下文化庁政策課長】
 文化庁メディア芸術祭については、確かに、世界的な知名度という点ではまだまだかもしれないが、例えばインターネット上のメディア芸術プラザのアクセス数や来館者数もかなり増えてきている。そうした中で、前回の指摘を踏まえて、数値目標を入れているが、レベルについては、これから少し、ブレークダウンをしながら検討する必要があると思う。
 それから、国内の基盤整備を図ることも課題であり、そうしたところも踏まえて、さらに、より着実な目標が提示できるように今後検討していきたい。

【美山委員】
 シーグラフにしても、アルス・エレクトロニカにしても、世界中の人が参加しているという状況があり、日本のアーティストもたくさん参加しているが、メディア芸術祭もそのように進んでいくことを期待している。

【古賀座長】
 事業評価の中で、広報計画が入ったのは新しい試み。確か、皆さんから、もっと広報をやれということがあったので、事業計画の一つひとつに広報計画が事細かに書いてあるが、その辺についても、またコメントをいただきたいと思う。

【ゼッターランド委員】
 ナショナルトレーニングセンターの話だが、これまで、数値をあげて、五輪で金メダルを獲得する目標をかかげてきたが、その中で、メダル獲得数の目標値を定めるわりには、拠点の充実がこれまで進んでこなかったので、このナショナルトレーニングセンターのことがやっと事業評価の中で入ってきたことは、良かったと思っている。これだけ、オリンピックに力を入れているわりには、拠点となるところを設けていなかったという先進国は非常に珍しい。こうした拠点をきちんと設けることは、選手たち、あるいは競技力向上に携わっている人たちの意識が高めるが、また同時に、そこに行けば、日本のスポーツについての過去から現在までの歴史がわかり、オリンピック選手は遠いものではなくて、すごく身近にあるということを実感してもらえるような、施設にしてもらいたい。また、同じつくるのであれば、隔離されたものではなく、たくさんの人に親しんでもらえるような施設づくりに励んでいただきたい。

【北風スポーツ・青少年局企画・体育課体育官】
 より多くの人に開かれた施設活用に向けて、指摘を踏まえて検討していきたい。

【古賀座長】
 これは、新規事業になっているが、総枠については、どこかに出ていたか。

【北風スポーツ・青少年局企画・体育課体育官】
 実際にナショナルトレーニングセンターの本体については、北区に建設がまさに進んでいるところだが、それ以外の競技についての指定といったものは、今年度末から始めようということになっていて、実際に予算を使うのは来年度からになる。

【田中委員】
 「総合型地域スポーツクラブ育成推進事業」について。専門ではないので、あくまで一市民として2点ばかり、コメントしたい。
 1点目は、評価票でいうと、8の「得られた効果」についてだが、ここはきちんと書いてもらいたいのだが、若干あっさりし過ぎていると思う。その上の7を見ると、各市町村に少なくとも一つは育成するということで、現在まで783市町村のうち2,155ということで、市町村数は上回っているが、多分、地域格差はあると思う。だから、事業の推進が遅れている理由であるとか、地域性であるとか、そのあたりを書いてもらうと、逆に拡充していかなれればならない必要性がはっきりするのではないか。
 もう1点は、この事業については、達成目標7―1―1にあるように、「国民の誰もが生涯にわたりスポーツに親しむことができる場を広げる取組を推進する」目的でもって進められているが、実際には、一般の人間がふらっと参加できるようなイメージではない。だから、事業のあり方を少し考えていただきたいとは思っている。ちなみに、ここでは、指標としてクラブ数をとっているが、それに加えて、例えばスポーツクラブへの参加者数、メンバー数、あるいは、スポーツクラブが主催するいろいろなイベントへの参加者とか、一般の人がどれぐらい参加しているかという指標を入れると、達成目標との関係が明確になると思う。

【北風スポーツ・青少年局企画・体育課体育官】
 まさに、地域によって随分、温度差のある取り組みであり、現在、1,800ほどの市町村があると言われているが、その中で、実際にクラブがあるところとないところでは、濃淡がはっきりとしている。そうしたものを指標化する場合に、どのような方法が適当なのかということについては、直ちには答えられないが、今後、検討をさせていただきたい。
 また、こうしたクラブ数だけでなく、活用状況という質の面でも充実させていかなければならないという指摘はある。この点についても検討していきたいと思うが、全市町村で、まずは、こうしたクラブを設置することに重点を置いて取組を進めるとともに、指標については検討させてもらいたい。

【田吉委員】
 総合型地域スポーツクラブに関わることだが、スポーツを取り巻く現状の課題の中に、学校、企業を中心としたスポーツ活動の限界がうたわれている。この総合型地域スポーツクラブが話題にのぼったときには、中学校の現状として、部活動の顧問に先生を何とかお願いするとか、地域の人を頼んで部活動を続けていたような非常に困難な状況があった。だからこそ、この提案がされたときに、総合型地域スポーツクラブに学校の施設等を貸し出すことにより、いい方向に進むのではないかという希望を持っていたが、その後、部活動との関係については、全然うたわれなくなったことが疑問として残っている。中学校の4月の校長の仕事の一つは、部活動の顧問を決めることと言っていいぐらい、大変な状況にあるが、その点について教えてもらいたい。

【北風スポーツ・青少年局企画・体育課体育官】
 学校の部活動との関係については、それほど目に見えた形で改善されているといったことは聞いていない。この点についての問題認識というのは、共通のものがあると思う。総合型地域スポーツクラブの理念からすれば、学校との連携についても、今後、大いに図っていくべきであるが、その具体的なあり方については、調査・研究などを通して、実現可能な連携のあり方を引き続き検討させてもらいたい。

【古賀座長】
 最近、学校が統合されたり、施設が空いてきたりしている。そうした施設の活用については、もちろん地域というか、市町村で進めると思われるが、そういうのも少しは増えてきているのか。

【北風スポーツ・青少年局企画・体育課体育官】
 状況については十分に把握していないが、地域で活用できるような施設が増えてきていると思われる。施設の管理といったような側面もあるので、総合的に検討させていただきたい。

【ゼッターランド委員】
 先日、大変山奥深いところに指導に行った時、子どもの数が減り、3つの中学校が2年以内に1つに統合されることにともない、空いた施設をどのように使うかということについて検討していることを聞いた。今、少子化が懸念される中、そのようなケースは全国的に多いと思う。そうすると、地域における生涯スポーツを考えた時に、年配、お年寄りの方がどれだけその地域にいるのかというような調査もあわせて進めたほうがいいと思う。施設の使い方も、若い人たちだけが集まるようでは難しいのではないか。健康に注目し、既存の施設が活用されるよう市町村に奨励するということも必要になってくるのではないか。

【高祖委員】
 政策目標7、8、9を中心にして少し広めに発言したい。
 今回の19年度事業評価書を見て、年々、文部科学省の政策が目配りが行き届くようになったと感じる。例えば、日本にいる外国人への支援事業が、今回、小学校の段階から初めて入ったが、関連する事業としては、「『生活者としての外国人』のための日本語教育事業」、「優秀な外国人研究者の日本定着の促進プログラム」があり、小学校、中学校の段階では、「JSLカリキュラムの実践支援事業」、「外国人児童生徒就学促進プラン」がある。日本における外国人に対する施策は大事で、そういう意味では、目配りというか、心配りが行き届いたものであると私は敬意を表したい。その中で、教員養成についても書かれているが、子どもに対する教師と大人に対する教師では、やはり教え方も違うことから、もう少し教師の養成というか、育成というか、そのあたりを強調してもらいたい。
 それから、「『生活者としての外国人』のための日本語教育事業」については、下請けの下請け、またその下請けで仕事をしている外国人は多い。地域で講座を開いても、講座に参加できないケースが少なからずある。そうすると、そうした実態とどのように繋いでいくのかという視点も場合によっては必要だと思う。
 それから、これも全体にかかわることだが、それぞれの政策について図がついている。その図を見ると、こちらが感心するほどよくできている図もあれば、もう少し工夫があってもいいのではないかという図もある。その中で、「留学生交流の推進」だとか、「優秀な外国人研究者の日本定着プログラム」については、グラフをつけたり、数字を出してまとめている。そのように、指標になるものを図の中に書き込むというのは、とても大事なことではないか。すぐにはできないかもしれないが、図の中に、指標を示したり、年々このように展開しているといった内容をグラフで示すとか、そのような工夫があると、説得力が増すと思う。

【古賀座長】
 非常によくやっている面と、もう一つというところの面について、大事なご指摘をいただいたと思う。
 続いて、政策目標4、5、6の「科学技術の戦略的重点化」、「科学技術システム改革の推進」、「社会・国民に支持される科学技術の推進」等の事業について移りたいと思う。

【平澤委員】
 私も科学技術関係をざっと見て、中心的な課題をうまくフォローするとともに、必要な課題を新たにうまく拾い上げているという印象を持っている。例えば、「世界を対象としたニーズ対応型地域研究推進事業」、「異分野融合研究プログラム」、「安全・安心科学技術プロジェクト」、「科学技術関係人材のキャリアパス多様化促進事業」、「評価人材高度化推進事業」などは高く評価できる。
 一つだけ、内容的に問題があると思われるのが、「先端研究施設共用型イノベーション創出プログラム」。我々、科学技術に関係した政策研究をやっている者全体から見て、総合科学技術会議が設定しているイノベーション創出プログラムの枠組みは、非常に狭いものであり、かなり古い概念に固執しているのではないかと思える。ヨーロッパのイノベーション政策を知る者にとっては、その中のごく一部を、これがイノベーション政策だというふうにして取り上げているという意味で、非常にフラストレーションがたまっている。「先端研究施設共用型イノベーション創出プログラム」は、その一つの典型ということになるかと思うが、イノベーションを確たる技術を開発して、その技術を経済とか社会的な効果に結びつけていくという、こういうシーズプッシュ型のモデルだけでとらえている。したがって、「先端研究施設共用型イノベーション創出プログラム」で何をやるかというと、結局、従来と同じように、技術開発を一生懸命やろうとすることに終始してしまう。一番新しいイノベーションの概念というのは、そうしたシーズ型、生産を支えるさまざまな要素、その中の一つは技術でもあるわけだが、それとニーズとを結びつける、新しい結合をつくるということであって、その結合をつくるためには、ニーズをちゃんと把握しないといけない。先ほどの「世界を対象としたニーズ対応型地域研究推進事業」といった試みを新たに導入したというのは、そういう意味で評価できるが、そのようにしてニーズを明確にし、そしてシーズと結びつける仕組みを考え、展開していくような本来のスキームを取り入れてもらいたい。

【川上研究振興局振興企画課長】
 「先端研究施設共用型のイノベーション創出プログラム」だけでイノベーションが行われるとは考えていない。むしろ、イノベーションというのは、非常に大きな枠組みであり、例えば、ニーズを拾うために、大学と産業界をつなぐコーディネーターをつくるとか、いろいろな総合的な取り組みの中で、イノベーションは進んでいくと思う。そうした意味で、「先端研究施設共用型のイノベーション創出プログラム」で提案していることは、大学研究機関にある最新型の研究機器が、えてして大学の中だけの研究に使われていてクローズしていることが多いが、私どものSpring8とかを産業界の人たちが使いやすいように支援をする仕組みをつくったり、大学、研究機関に限られているものを産業界へ広げていこうとういものである。ニーズ志向については、政策目標4のかなり多くのところで広げてやっているが、いろいろな取り組みの中で、イノベーションを進めていきたい。

【浅井(彰)委員】
 施設共用型イノベーションについては、私は大型研究施設の共用の補助金のプログラムに参加していて、Spring8、それから海洋センターの大型コンピューター、地球シミュレータ、ほかにも、大学の大型の施設もなるべく共用して使っていこうという企画に協力しているが、これは方向としてはいいことだと思っている。その時に、大きな施設を国の責任でしっかりつくり、共用を図っていくというのは非常に大事なことだが、一方で、使う方が、熱心に使いに来るような施設でなければ意味がないというような、ユーザープレッシャーというか、そうしたところを大事に考えていかないと、施設が持ち腐れになってしまう。何でもかんでも国がお金を出すから使えというのは、非常によくない。ここにぜひ工夫を加えていただきたいと思っている。これは要するに、半分だけでも自分がお金を持ってくるという仕掛けにだんだん移行していく必要があるので、政策の中で工夫していく必要があるのではないか。大きな施設をしっかり守って、メンテして、改良していくためには運営交付金的なものが必要だが、一方では、ユーザーが並んで来るような工夫が必要なので、その2つをどうのようにバランスを図っていくのか。しかも、前者から後者へ予算をどうシフトさせていくか。これをぜひ工夫して、形にしていただきたい。
 それから、ほかのテーマに関しては、制度的な予算のつけ方、つまり、こういうイノベーションをやるのに提案をしなさい、どんなテーマでもいいですよという仕掛けからのテーマと、それから、エネルギーだ、メディカルだというような、テーマ的なテーマの設定というか、政策の設定がある。その全体のバランスを縦横、ちゃんとくし目を通して、バランスが全体にとれていることを確認していただきたい。全体を見ると、エネルギー関係などは、少し手薄なような気がする。メディカルやナノは非常に充実しているし、それから、安全、防災なんかも、テーマの大きさから考えれば、十分だと思う。もしかしたら、核融合にいってしまったのかもしれないが、エネルギーは非常にたくさんの問題がある。だから、イノベーションのところで、エネルギーの配分をちゃんと考えたり、いろいろと手を打っていかないといけない。実はこの前、融合のテーマで振興調整費を配分したが、エネルギーの応募が1件しかなくて、非常に困った。これはやはり、そういうところにもしっかり配分していきたいわけで、そうしたときの募集の仕方に工夫をし、エネルギーもちゃんと手を挙げろということでやっていけば、ちゃんと手が挙がると思う。そうしたところにも、きめ細かい配慮がまだまだ必要で、いろいろといいテーマが上がってはいるが、全体を見てみると、ある部分にフォーカスしてしまったなと感じる。そうしたところのバランスを考えていかないといけないので、これから具体的なテーマ募集に入る前に、そうした工夫をしっかり目配りしてもらいたい。
 それから、「グローバルCOEプログラム」があるが、これは、前の「21世紀COEプログラム」の延長だと思うが、これは、比較的奨学金的に使われている。「グローバルCOEプログラム」は、21世紀COEと同じような趣旨なのか、つまり、研究よりか教育によった、いわば奨学金的な使い方なのかどうか、もう少し説明が要るのではないかと思っている。

【小松高等教育局高等教育企画課長】
 「グローバルCOEプログラム」は、21世紀COEが5年ほどたち、それらの経験を踏まえて、新しい段階へ移行しようとするという意味では、後継事業というふうに考えている。そして、その系譜のいいところを引き継ごうということで、5年間の一応の事業評価を行い、その部分をどういうふうに伸ばしていくかという予算でもある。そうした意味では、後継かつ発展的なものとしてとらえていただきたい。その際の使い方として、奨学金的な扱われ方が多いのではないのか、工夫が必要ではないかという指摘だが、使い方については、基本的には、各事業の計画書を見て、外部有識者の会議で決めていく。実際、博士課程からポスドクを中心として、人材の育成と自由な研究の拠点をつくっていこう、つまり教育と研究の融合したところの拠点をつくっていこうということになると、お金の流れを見ると、初期が、施設・設備等のハードの面に多く、2年度目、3年度目からは、今度はそれを使ったソフトにつく。そうすると、学生が実際に使うところへもかなり自由に流れていく。追いかけてみると、このような流れになっている。何パーセントまではこちらに使えとかいうことを国のほうで言うのはちょっとどうかとは思うが、中間評価、事後評価というふうに、2、3年ごとに段階的に評価を行うので、その中で、それが別のものに肩がわりみたいなことになっていないかというチェックをしながらよりよい使われ方について知恵を絞っていきたい。

【古賀座長】
 「21世紀COEプログラム」は、大学あるいは研究所にとってはかなり大きなインセンティブになったと、評価されている。

【小松高等教育局高等教育企画課長】
 「21世紀COEプログラム」が始まってから、過去と比べた時、精査されている論文とか、あるいは、レフェリー(査読委員)つきの雑誌に掲載される論文とか、そうしたものの数は有意に増えていいて、成果は上がっていると思うが、今度、後継事業に移ったときに、同じやり方でいいのかどうかについては、さらに発展させるためにも、工夫を加えることが必要だと思う。

【川上研究振興局振興企画課長】
 国が大型の研究開発施設をちゃんと計画的につくらなければいけないというのはまさにそうであり、第3期科学技術基本計画のもとでは、国家基幹技術関係に関するものとして、「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」、「X線自由電子レーザー装置の利用開発」があるが、そうした意味でも、文部科学省として強力に推進をしていきたいと考えている。
 まず一つは、こういう新しい革新的な装置というのは、放っておいては、使い道についてのニーズが広がらないというとことがあり、ものを開発すると同時に、それの使い方に当たる部分について、例えば、スーパーコンピュータについては、ソフトウェアの部分の開発も並行して行うということで、今回は特にその辺は厚めにやっている。
 それから、Spring8の経験で、産業界の方々に使ってもらう際に、エントリー段階で、少し私どもがお手伝いしなければいけないことがあった。おかげで、Spring8については、5〜10パーセントぐらいの産業利用が既に25パーセントまで高まっている。先ほど指摘のあった「先端研究施設共用型イノベーション創出プログラム」は、そのSpring8の実績を他のものにも広げようというものだが、エントリーは国がやるけれども、一端、使い道がだんだんわかってくれば、あとは産業界独自で使っていただくということが基本である。そういう意味では、産業界には間口を広げたいが、だからといって、産業界を丸抱えにしてやってはいけないと思っているので、その辺を踏まえながら進めさていきたい。

【中西委員】
 科研費のことについて少し伺いたい。科研費は基礎的な研究を支えていることから高く評価されている。特に総合科学技術会議でも高い評価がされており重点施策としてしっかり進めていただきたい。科研費は非常に大切なので、文科省の審議会をはじめ、採択率を倍ぐらいにしてもいいのではないかという議論があちこちで聞かれる。先日の日本学術会議でも、科研費は大切であり、学問の多様性を図るためにも、もっと充実させるべきだという意見が出ているので、是非、より多くの研究者を支援する方向で進めてもらいたい。文部科学省の施策は、すべての学問を支えていると思う。だから、もっと学問の多様性を図るため、科研費の重要性を示すべきなのではないか。
 それから、文部科学省はすべての学問を支えているという観点から見てみると、一次産業に対する配慮、つまり一次産業にかかわる学問についてはあまり考えてきていない面があと思われる。国の基本は何と言ってもエネルギーと食料なので、一次産業に向けての学問をしっかりと支える視点が必要なのではないかと思う。今回、「食品成分の分析・定量事業」がみられるが、これは少しは食料に関係してはいるものの、本質ではないと思われる。一次産業である農業の研究開発は全て農水省に任せるということではなく、学問的な側面については文部科学省もしっかりとらえて進めていってほしい。
 それから、もう一つ別のことだが、文部科学省の事業は、他の省庁とまたがっていることが多いように思える。例えば防災、食品成分分析などが挙げられる。そこで評価書の中で、評価をする対象の中に、ほかの省庁とどのくらい重なっており、文科省としてはどこの部分を支えているのかという記述も必要となるのではないかと思う。外国との関係も同様であり、例えばITER(イーター)では、フランスをはじめ他の参加国との関係の中で動くプロジェクトなので、文部科学省はこの分野をこのように進めるという説明の図があってもいいと思う。

【浅井(彰)委員】
 私も、エネルギーとだけ言ったが、食料なんかについてのテーマが欠けているという指摘をしたかった。縦横とちゃんと組み合わせて考えた場合に、食料が抜けている、エネルギーが抜けている、ちゃんとそうした見方もしてもらいたいということをお願いしたが、そこに対しては回答がなかった。いろんな部局が関係すると思うが、誰か代表して答えてもらいたい。

【川上研究振興局振興企画課長】
 科研費は大切な競争的資金であるということで、もちろんできる限りの配慮をしていきたいと考えている。第2期科学技術基本計画期間中には、競争的資金を倍増するという計画があった。第3期でも引き続き拡充していくということになっているので、その辺を踏まえてやっていきたいと思う。
 それから、第2期科学技術基本計画のときに、間接経費の導入が政策的に打ち上げられて、現在まで、大きな課題として取り組んでいる。まだ3分の1ほどではあるが、これも重要な課題であると考えており、特に19年度については、重点として、基盤研究のB、Cを中心とするような、地方の国立大学、私立大や多くの研究機関に対して間接経費の充実を図っていくことを考えている。確かに、これまで、一部の大学に間接経費が偏在していたが、広く間接経費も使ってもらいたいと思っている。間接経費が措置されることにより、競争的資金としての科研費の意味合いに加えて、基盤的な学術図書を含めて、基盤的な研究環境の整備も進め、研究機関の活力を高めることが、非常に広い学問の振興にもつながるものと思っている。
 それから、食料関係だが、農水省もあることから、分野的にはあまりハイライトできていない。浅井先生からの指摘のように、制度的なものと分野的なものうち制度的なものについては、例えば科研費で農業関係、農学関係の研究が重要なテーマとして行われているが、分野的なものとしてはあまりハイライトされてない。ライフサイエンスの世界については、健康医学、薬学と食品環境、これは2つ重要な領域だと認識をしているが、例えば「ターゲットタンパク研究プログラム」についても、タンパク3000プロジェクトというのは、どちらかというと、人間が中心であり、医学、薬学関係にフォーカスをしていたという面があったが、今回は、食品、環境の産業応用というアプローチから進めていきたい。

【戸渡科学技術・学術政策局政策課長】
 「安心・安全科学技術プロジェクト」、「食品成分の分析・定量事業」についても、指摘があったが、例えば、「安心・安全科学技術プロジェクト」だといろいろな関係省庁があり、公的機関のみならず、民間事業者におけるニーズといったものを含めて、より広く、また効果的に安心・安全の維持・確保に貢献するという意味で、そうした部分は文部科学省が担っていく必要があるということで、整理をしている。また、食品成分分析といった部分も、栄養調査等については、厚生労働省行政によるものであるという考えもあるが、一方、食料需給表策定という面での農林水産行政、さらには、栄養学、あるいは医学等の教育学術面においても、広く活用される基礎的なデータであるような幅広い部分を支えていく部分においては、文部科学省でやっていく。文部科学省と関係省庁の役割分担も踏まえながら、私どもも要求等を整理しているところだが、より広い部分については、また総合科学技術会議のほうで、いろいろな分野間のバランス等を含めて、議論をしてもらうということになっている。

【古賀座長】
 最近、省庁間の共同プロジェクトみたいなもの、あるいは連携、シナジーみたいなものについては、非常に奨励されている。

【渡辺研究開発局開発企画課長】
 今のことに関連して、例えば、地震防災関係でいうと、地域地震情報センターデータ処理システムの更新というのがあるが、地震に関しては、文部科学省に地震調査研究推進本部という、全政府をまとめる組織があり、日常の観測は気象庁、国土地理院、あるいは、経済産業省の昔の地質調査所がやっていたりしているが、それを文部科学省でまとめて、調査研究をやっている。これは一つの個別の例であるが、関係省庁の研究をまとめて、調整しながらやっているということで紹介させていただきたい。
 それから、先ほど中西先生から国際関係ということで一言あったが、「核融合エネルギーの実用化に向けたITER(イーター)計画等の推進」の図があるが、これはまさに国際協力であり、左側がITER(イーター)本体であり、インドが加わり、今、7つの局になっている。この図によると、日本の分担割合が9.1パーセントとなっているが、実際には、日本としては分担割合以上に参画するという形になっている。幅広いアプローチというのは、ITER(イーター)本体以外に付随する研究施設で、これは日本でつくるということになっているということを紹介させていただきたい。

【端委員】
 こうしたビッグプロジェクトの話が続く中で、ちょっと話題が変わって申しわけないが、戦略的重点化という中であえて発言させていただきたい。今回の新規事業の中で、「サービスイノベーション人材育成推進プログラム」に非常に大きな関心を持っていている。今年の3月に第3期の科学技術基本計画の中で、サービス分野の問題が取り上げられたが、これは10年以上前から、OECDなどで、日本のサービスイノベーションが非常に低いということが指摘されていた。あえてここで戦略的と言っているのは、ここで言うサービス分野というのをどのように考えるかということだが、実は、公共の文化施設等の問題についても、サービスということが非常に大きな課題になっていて、私も某県立博物館の運営に携わっているが、サービス精神がないので苦労している。美術館、博物館をはじめ、国や地域の文化施設等についても、サービスということをどのように考えていくかについては、観光分野のみならず、日本において非常に大きな課題ではないか。今回の施策としては、新しい大学の教育システムということで取り上げられているが、今後の日本の社会を考えると、人文社会科学及び自然科学が協働して、サービスイノベーションにかなり大きな比重をかけて取り組んでいかなければいけない。これは、サービス機関の評価の問題とか、いろいろな問題に全部かかわってくるので、今後のあり方として、サービスイノベーションにぜひ注意を喚起したいと思い、このテーマをあえて取り上げた。
 ところで、「サービスイノベーション人材育成推進プログラム」で取り上げていただいている施策の中で、サービス分野をどの程度の範囲で考えておられるのかということを質問としたい。

【小松高等教育局高等教育企画課長】
 その範囲については、例えば観光とか、今の公共サービスとかと、分野をこの時点で限定してしまうということは避けたいと考えている。日本独特のことかもしれないが、人文社会系と自然系という分け方をして、そこから対人の、やや抽象度の高いさまざまなサービスというのは、なかなか考えられないというのが従来のあり方であった。産業構造の転換や経済成長ということを考えると、実際に出てくる姿は観光とか、ある程度形になったものとして提案してもらう必要があるとは思う。考え方としては、人文社会と自然との垣根をとって、それこそ科学技術分野、スポーツあるいは芸術とか、そういった分野も含めて、幅広く受けていくという受け皿をまずつくろうと考えている。その中から、各大学で具体的に、どのように発展させていけばいいかという原型をまずつくる段階ではないか。

【天野委員】
 科研費の額が、19年度は大幅に増えるというのは非常にいいことだと思うが、科研費の額が増えるにつれて、科研費の研究費全体に占める位置が質的にだんだん変わってきているのではないかと思う。他省庁の科研費もあるし、間接経費も一部だが3割つくようになり、応募件数が急増している。国立大学の中には、すべての教員に応募を義務づけているところも出てきている。審査体制については、かつては2,000人の審査員がいたが、今は6,000人近くになっているという話がここに書かれているが、今のような審査体制で、科研費の額だけがどんどん増えていったら、やがてパンクするのではないか。研究費の審査のために研究する暇がない人たちが出てくる。こういう事態にならないように、科研費の問題は、額が増えることを喜ぶだけではなくて、審査体制を一体どうするのか。それから、科研費の総額の中での配分をどうするのか。例えば間接経費は3割と言っているが、どのぐらいが望ましいのか。あるいは、さまざまな種別があるが、種別間の、例えば若手の研究者中心のものもあるし、個人中心のものもあるし、かなり大きなプロジェクトに対するものもある。この辺の配分比をどうするのか。さまざまなことについて検討が必要な時期が来ているのではないかと思う。政策は、単に額だけではなくて、配分をどうするかという問題があるので、そのことをひとつ検討してもらいたいことが1点。
 それから、もう1点は、教育について。高等教育の個性化を進めるために、さまざまな競争的な配分予算が、新規事業を含めてついているというのはいいことではあるが、この予算の配分方法を見ると、特定のテーマに絞ったものと、それから、GPのように割合幅の広いものとがある。一体このバランスはどうなっているのだろうかということも一つあるが、もう少し大きな問題として、競争的な資金の配分の応募の単位が大体、個別大学になっている。教育の改革を考える場合に、いろいろな特色のあるプログラムもいい。また、個別大学レベルで改革が始まらなければ改革は進まないが、今起こっているのは、例えば学部段階の教育で、専門教育も、共通教養教育も混乱した状態にある。共通教養教育といいながら、共通教養教育の共通部分って何だという議論をどこかでやらないといけない。これは個別大学ではできない。それから、専門教育についても、例えば経済学の教育というのは、どういうカリキュラムが標準的に望ましいのか。情報教育の場合にはどうなのか。このことについて、全然検討がないままに、各大学が個別に特色のあるプログラムを出しているというやり方は、最初のうちはいいが、そろそろおしまいにしないといけないのではないか。補助金についても、さまざまな競争的資金も、例えば学会のように、そういうことを専門家が集まって検討してくれるようなところに出すことも考えないといけない。いつまでも、個別大学がやったGPをPRすれば、他の大学は変わるのではないかというのは、あまりにも楽観的すぎであり、もう少し大学間で共通のものをつくり出す努力をしないと、お金が無駄になるような気がする。そういう段階に来ているのではないかと思うので、この点をぜひご検討いただきたい。

【川上研究振興局振興企画課長】
 まず科研費については、第3期科学技術基本計画で、いわゆる基礎研究が研究者の自由な発想に基づくものと、それから、政策目的に向かうものという2つのものに分けて記述がされていた。これは初めてのことであり、これを披瀝していくと、競争的資金も第2期科学技術基本計画の期間に伸びて、それぞれの役割分担を考えていかなければいけない。これからは、科研費の立ち位置が変わってきているということを踏まえて、どのように科研費を運営していったらいいのかについては、予算要求と並行して検討していきたい。

【小松高等教育局高等教育企画課長】
 GP、その他の国公私を通じた公募型の事業等についての全体にわたる話であったが、今の話は一つの課題であり、従来の高等教育政策の予算的表現というのは、国立とか私立とかというふうに、設置者別の機関にある種の単価をかけて基礎を支えるという、ある意味で機械的な配分と、それから、奨学金とか科研費のように、個人に対してやっていくというもののバランスをめぐってどうするかということであった。そこに、「21世紀COEプログラム」等を皮切りとして、プログラム補助的なものが入ってきて、既に数年がたったが、もう少し全体像を見たほうがいいのではないかというところに差しかかっていると思う。
 来年度の政策目標としては、新規事業等もいろいろ立て、少し増やしているが、第3のプログラム補助的なものが出てきた場合に、これはまだ歴史が非常に浅いということもあるので、大学がかなり自由にいろいろ選んで標榜しながら打っていくような工夫が必要だと思う。その一方で、その辺の検証をすべき時期に来ているのではないかということは事実であり、例えば、「特色ある優れた大学教育の一層の展開」だが、この手のものとしては、学部教育の部分では最初に出てきたもので、4年たつ。4年たてば、4年制大学ではワンサイクルするので、今の政策目標に合っているかどうかというのを検証すべき時期に来ていると思うので、並行して進めたいと思う。その上で、標準的なカリキュラム像については、中央教育審議会とか、そうしたところに諮っていくということもあり得るのではないか。

【横山委員】
 科学技術の方に戻って申しわけないが、事業評価のあり方に関して、まず1点伺いたい。事業評価は、原局から上がってきたものについて、評価指数なりでどんどん議論をして、突き返すものは突き返すとか、そういう過程を経て、いい事業評価になるのではないかと思う。その過程もできれば明らかにしていただきたい。そうした意味では、資料1−1の「事業評価を通じて成果目標や指標の設定等を明確化したもの等の例」だと理解してよいか。上がってきたものについて議論した結果、44件が成果目標や指標の設定等を明確化したものであるのか。
 それに関連して、事前に我々に配られた資料で、「高速増殖炉のサイクル技術実用化促進」事業という、100億円の概算要求を目指したものが、新しい資料では消えている。私はこの事業をかなり関心を持っていたが、概算要求を行わないこととした事業の中に入るのか。100億円もの概算要求、しかも、これは原子力界の要望があって上がってきたものだと思うが、それが突然消えてなくなったというのが、何の説明もないというのは、ちょっと理解に苦しむが教えてもらいたい。
 それから、2点目は、議論になっている科研費の問題で、私も中西委員が指摘したように、これは非常に重要なもので、今後進めていっていただきたいと思う。一方で、前回も指摘したが、不正受給の問題が起こっている時に、この事業評価を見ても、今回の問題は一切触れられていない。もう、不正受給は許しませんよというメッセージをこういうところで送らないと、限界があるような気がするが、前回の回答では、まだ文科省の対処方針が決まってないからということだったが、今回もそのように考えていいのか。

【木村評価室長】
 事業評価のあり方について、回答申し上げたいと思う、この件については、評価室だけではなくて、会計課とか、あるいは総務課といったところと連携しながら、担当課とも事業評価についてヒアリングをし、必要なものについては指標の設定を明確化するということもやってきたし、内容について例えば事業の目指すところ、効果とか、そういった部分が不明確であるというものについては、いろいろ指摘する中で、場合によっては概算要求をしないことになったものあり、その結果として、事業の方向性自体も見直したケースもある。
 高速増殖炉については、当初、補助金等も入っていたので入れていたが、こちらについては結局、運営費交付金で対応するという形になった。その結果、独法の運営交付金のみでやっているものについては、文部科学省の政策として左右できない面があるので、独法の運営交付金のみでやるものについては省かせていただいた。そうした整理で、今回この事業評価書からは落ちているが、事業自体をやらないというわけではない。非常に重要なことなので、適切な対応をしてもらうという形になっている。

【川上研究振興局振興企画課長】
 科研費を含めて、競争的資金の不正の問題は、深刻な問題として受けとめている。現在の対応については、後で科学技術・学術政策局より報告する。科研費そのものとしては、15年度以来、いろいろな措置をとってきている。これに加えて、今、科学技術学術政策局が中心にやっていることも取り入れて、不正の防止に取り組むつもりである。

【戸渡科学技術・学術政策局政策課長】
 最初の全体の新しい19年度の政策目標の部分だが、資料1−3の18ページをご覧いただきたい。「平成19年度の文部科学省の使命と政策目標」で「科学の発展と絶えざるイノベーションの創出」の部分の5−2−3の「研究費配分における無駄の徹底排除及び研究費の不正使用等への対処により研究費を有効活用し、研究開発の効果的・効率的推進を図る」ということで、新たに目標として入っている。したがって、各競争的資金については、どのような状況であったかということを評価していくことになるのではないか。

【舘委員】
 高等教育の関係の競争的資金についての発言が既にいろいろあったが、具体的に指摘したいと思う。まず、「21世紀COEプログラム」だが、競争的資金は、やり方をうまくやらないと弊害も大きいということになると思う。そうした観点から、少し気がついたことだけ申し上げたい。「グローバルCOEプログラム」、ポスト「21世紀COEプログラム」とあるが、明らかに「21世紀COEプログラム」が前提になっていて、どれだけ新しいのかというと、大学と連携した取り組みにもお金を出す等いくつかの点をあげることができるが、それほど新しくないと思う。そうした意味でいえば、またもう1回似たタイプのものが繰り返されるということになると思う。既に「21世紀COEプログラム」が高い評価を受けていたということだとは思うが、ただ、有効性を見ると、第一に論文発表数となっている。COEという言葉から我々が期待する研究教育の世界的な拠点というイメージからいうと、これは質的な転換のために投じられていると思う。これが奨学金的な要素があるのでないかということを浅井委員が言われたが、ポスドクの人たちの雇用に使われるとか、それがいけないというわけではないが、そうすると、その人材をその分野に固定していくことにもなってくる。研究者というのは同時に大学の先生とか教育者にならなければならないわけで、そうしたことを考えると、もう少しよく考えたほうがいいのでないか。
 それから、教育面で最初だというGP、これもよく見ると、既に選定された取り組みへの継続支援ということで、この点をどうするのかということだが、審査に携わっている立場からいくと、同じタイプのものが二度出てきたときに、それをどう考えるのか。ここでは、継続支援となっているから、継続を認めるということだと、それをはっきり出してもらわないと、現場は混乱するかもしれない。
 それから、もう一つ。「大学院教育実質化推進プログラム」が新規で入っているが、これは既に2年間、「『魅力ある大学院教育』イニシアティブ」の中で、大学院教育を支援してきた経緯があるが、これらの関係について教えてもらいたい。
 最後に、天野先生が言われたように、分野ごとに大学を超えて考えなければならない。これは学会という問題もあるが、もう一つ文科省が政策として打ち出してきているのが認証評価。認証評価は総合的にやるということになっていて、分野の状態がわからないのにできるのかという問題があると私は潜在的に思っている。そうした意味で、分野ごとに、共通性のあるカリキュラムとか、そうしたことを考えるのは、同時に評価の部面で重要なことになってくる。評価政策との関係で、新規のほうには全然入っていないようようだが、認証評価制度をどのように再編していくのか、どう考えていくかということ。私は再編しなければいけないと思っているから、再編と言ってしまうが、その問題と関係づける必要があるのではないか。

【小松高等教育局高等教育企画課長】
 まず、「21世紀COEプログラム」の後継事業の発展事業の位置づけと申し上げた「グローバルCOEプログラム」については、後継事業として共通性があることは事実だと思う。そして、その中で、「21世紀COEプログラム」については、もちろんさまざまな意見があるが、全体としては非常に高い評価があり、その性格を基本的には引き継いで行われていくという形になっている。それから、もう一つ、若手に研究奨励的なお金がいくことについては、お金の流れを追いかけると、ハードとの関連で、その時期によってそのようになっていることはそのとおりで、それが現場においてどのように活性化をするかということについては、工夫を要する。それらは、評価も通じて見ていく必要があるが、一方で、現場で需要に応じてできるだけ自由に使ってもらうということが「21世紀COEプログラム」の特色となっていないので、そのバランスを考えながら、指摘を踏まえて対応していく必要があると考える。
 それから、有効性については、研究論文の数ではないだろうという話があったが、確かにそのとおりだと思う。ただ、目に見える指標化として、できるだけ数値にしてはかるというと、例えば、実績評価書の施策目標3−1の「大学などにおける教育研究の質の向上」では、各大学の中で、学部横断的に学長、先生なりのリーダーシップを持って拠点形成を進めることについて、その手段として随分活用したことが書いてある。そうした意味では、大学改革の一環として本来構想されたものであるが、原点に戻りながら進めていくことの大切さは、新規事業を検討するうえでも必要だと思う。
 最後に、「魅力ある大学院イニシアティブ」と今回の「大学院教育実質化推進プログラム」との関係だが、「魅力ある大学院イニシアティブ」については、中教審での答申等を踏まえた一種の試行的プログラムであり、その後継事業としてとらえていただきたい。

【浅井(経)委員】
 3点、生涯学習について申し上げたいと思う。まず、「再チャレンジのための学習支援システムの構築」事業の有効性のところで、これから具体的にどのような指標をつくっていくかということになるかと思うが、この事業の中には、社会参加活動なども含まれている。再就職だけで評価をすると、よい結果が出てこないのではないかと思う。就職というのは、学習機会の提供だけでは解決がつかない問題があるから、社会参加活動も取り上げて、もう少し幅広く評価したほうがよいのではないのかというのが1点。
 2点目だが、「放課後子ども教室推進事業―放課後子どもプランの創設―」、「『学びあい、支えあい』地域活性化推進事業」、「団塊世代等社会参加促進のための調査研究」については、地域の教育力を向上させるということが施策の目標であるので、そこにどのように関わるのかということをアンケート等でははっきりさせる必要があると思う。そのときに、交流とか、つながりとか、ふれ合いとかいう言葉がこの評価書の中に出てきているが、現在では、人間同士のつき合い方やつながり方が変化し、ネットワーク型に変わってきていると思うので、そのあたりをとらえないと、効果がとらえられないのではないか。ネットワーク型の場合、ゆるやかなつながりなので、参加する者それぞれに何らかのメリットが求められるということが2点目。
 それから、3点目は抽象的なことだが、昨日までは生涯学習領域は陽の当たらない場所に置かれていた。今、政権が変わろうとする中で、急にいろいろと注目されるようになってきている。このように、政治でころころ変わっていく可能性があるので、地域の教育力を向上させるというときに、その根っこにあるものは何かということをとらえて、その連続性をきちんと追っていかないと、政権によって変わるということになってしまうのではないかと思う。その時に、従来型のふれ合い的なものだけではなくて、市民性の育成等にもっと切り込むことはできないか。地域の教育力の定義とも関わることになろうが、そのあたりに切り込めないかと思っている。社会教育費の効果分析を行ったところ、ボランティア活動率やリサイクル率が高まるとか、犯罪が少ないとかの効果がわずかながらみられた。生涯学習推進が、何らかの市民性の育成にかかわっているのではないかというところが見えてきているので、そのあたりをうまくとらえていく必要があるのではないかと思う。

【川邊委員】
 今、子供が被害者になったり加害者になったり、特に家族を殺傷するというような事件が増えている。尊属殺人というのは、刑法上はなくなったが、由々しきことで、そういう意味では、家庭だとか、子供の生活のリズムといったところに視点を当てた政策が出ているということは、時宜に合ったものだと思う。その中で、「子どもの生活リズム向上プロジェクト」、「子どものこころの成長に関する基盤整備事業」は、脳科学を中心にした最先端の知見を教育に応用しながら、生活のリズムを整えることが大事だということが取り上げられている。もう一つ、今、脳科学と体力向上に関係については、「子どもの体力向上国民運動の推進」の施策と関連するが、日常の生活では使わない筋肉を使って運動することが、子供の集中力だとか、あるいは抑制力だとかに役立つという。しかも、前頭前野の部分が非常に活発に働き、その結果、社会的な規範意識や人間関係の調整力などの成長についても効果があるというデータものもある。心の問題、情動の問題は、脳科学の成果を応用するとうたっているが、身体活動についても、そういう脳科学の成果・知見を応用して、子供の心をどのように育てていくかということについても施策として取り上げ展開できないものかという思いを持っているが、その点はいかがか。
 それから、全国学力調査。これは大変いい設定になっている。全国の学力の状況をとらえるだけでなく、まだまだ未成熟な教育評価というものに対して、科学的なメスを入れ、その内容の方法を充実していくということ、調査結果を活用して指導や教育プログラムの改善を図るためのシステム化まで施策の内容に位置づけられたということは、大変すばらしいことだと思う。そういう趣旨のことを一番重点的に広報活動の計画の柱にしていただきたい。そうしないと、新聞紙上や地方教育段階に来ると、学力調査の結果を順位をつけて発表するのかどうか、競争のプラス面やマイナス面などが話題の中心ということにどうしてもなってしまう。意欲、関心、態度だとか、そうしたものも含めた学力観であるわけだから、学力調査の目標を国民に正しく広報することは大事だと思う。
 それから、「新学習指導要領の周知」、特に「小学校英語条件整備推進プラン」については、小学校の英語教育は、学習指導要領では、まだ決定してないのではないかと思うが…。かなりの額をもって英語教育を小学校高学年でやる、こういう位置づけをして、19年度やっていくということになれば、新学習指導要領の重点が英語だということになって、早期教育をむやみに奨励するという悪循環にならないだろうか。新教育課程、学習指導に関わる予算計上ということになれば、そのほかにはないのかどうかとか、こうしたバランスの問題がある。
 それから、「特別支援教育体制推進事業」については、19年度からいよいよ学校教育法の一部改正に基づいてスタートするわけであり、各学校では、軽度の発達障害に対応するきめ細やかなシステムをということで、校内委員会をつくったり、コーディネーターを指名したり、個別の支援計画をどうするかということを進めている。特別支援教育を本当にきめ細やかに進めていくに当たっては、発達障害に対するきちんとした専門的な教育を受けた教職員の配置を考えておく必要があるのではないか。特に「骨太の方針」で、公務員の定数削減、しかも純減ということが言われているが、新しい課題に対応するということでは、第8次の教職員配置改善計画にプラスアルファするぐらいの意欲で努力してもらいたい。

【古賀座長】
 現場からの非常に具体的なお話もあり、熱意のこもった話だったが、文部科学省のほうとしても、受けとめ、参考にしてもらいたいと思う。

【高祖委員】
 これからのことに関係するかと思うが、先ほど他の省庁との連携の話があったが、文部科学省の局ごとの連携がもっと要るのではないかという印象を持っている。いくつかの事例をあげると、初等中等局から「教員養成課程の質的水準向上推進事業」、高等教育局から「資質の高い教員養成推進プログラム」、具体的な政策そのものは違うかもしれないが、目指しているものは、教員の質を高めるとか、養成力を高めるとか共通している部分もあるかと思う。そういういい政策のプログラムがありながら、お互いの連携を書き込んでいないのは何か理由があるのかなと逆に勘繰ったりする。つまり、縦割り行政の弊害が出ているのではないか。それ以外にも、「理数学生応援プロジェクト」があるが、説明によると、生涯教育政策局にも関わるし、高等教育局にも関わる、それから、初等中等教育局にも関わる。ところが、そういう記述がなされていない。それから、「大学による地域文化振興支援事業」については、これは文化庁が中心になっているが、そこでは、芸術系の大学ではあるが大学にも関係している。そうしたことを書き込んでいくほうがいいのではないか。文部科学省がお互いに連携を図りながら取り組めば、政策としても力がつくし、説明する力も強くなると思う。「国際協力イニシアティブ」なんかについてもそう。必要性のところに、大学の個性化、活性化の推進に役立つと書きながら、高等教育とのつながりが達成目標とか到達目標に出てこない。この辺がとても残念な気がする。
 それから、もう1点。「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム」で、今回新しく、意欲ある学生への支援体制のことが出ている。今回、図を見ると、事前に配られた図と変わっている。これは将来に向けての提案ということで聞いてもらいたいが、今回書かれているこの図は、いわばこれまで考えられてきた学生支援という概念。つまり、大学でいうと、学生部が担当していた奨学金の問題とか課外活動とかカウンセリングとかという問題にとどまっている。しかし、この説明のところに書いてあるように、今、中央教育審議会の中では、学習支援も含めた学生支援を考えている。例えば、これだけ多様性のある人たちが大学に入ってきた場合の導入教育をどうするのか、初年次教育をどうするのかという方向での議論が行われている。今回はこれでいいかと思うが、政策を展開するときに、研究そのものが広がっていくようなことも視野に含めた計画を立ててもらいたい。

【古賀座長】
 大変重要なご指摘だと思うが、またこれについては、個別にでも回答なりコメントしてもらいたい。
 それでは、第2議題のほうの今後の文部科学省における政策評価制度のあり方について、ごく短時間ではあるが、ご議論をいただきたいと思う。

(2) 今後の文部科学省における政策評価制度の在り方について
今後の文部科学省における政策評価制度の在り方について、事務局より説明が行われた。

【古賀座長】
 ここ5年間、文部科学省の政策評価については進化してきたという評価はあるが、活用の方法、効果的な評価のあり方、アカウンタビリティーの問題等、短時間ではあるが、ご意見をいただきながら、今後どのようにしていくかについても、若干のご意見をいただきたいと思う。

【田中委員】
 2点申し上げたいと思う。
 まず1点目は、これまで5年間の文科省における評価制度のあり方、運用の仕方の実態について、庁内できちんと調査をし、データなり、きちんとした分析をしていただきたい。それを見た上で議論していくべきだと思う。また、自治体の評価制度についても関わったりしているが、今、どこでも目指しているのが、予算と組織と定数管理、これらを評価とあわせてマネジメントとしてやっていく、そうした総合的なマネジメントをどこも目指しているが、実は既存の評価制度がなかなかうまくいかないという実態がだんだん明らかになっている。それが示すところは、従来型の個別の施策なり事業を単位としたような評価制度でマクロのマネジメントというのは、うまく運営していくことができないということではないかと思うので、これから目指す方向としては、個々の政策を改良・改善していくための評価のあり方、それから、庁内で行政資源をうまく配分していくためのマクロ的な評価のあり方、これはおそらく単一の制度では対応が不可能だと思うので、両方重要だと思う。そのどちらをも目指していくことになるかと思うが、それぞれをどのように制度設計をしていくべきなのかというあたりをぜひ皆さんに議論してもらいたい。

【平澤委員】
 先回の会議の中で、フォーマットはかなり進化したと申した。事業評価については、事前評価に相当するフォーマットに当たると思うが、これも随分と改善されたと思う。問題は、中身にどのような情報を盛り込むかという、中身に関係した話になるが、それに関しては、省内である種のスキルアップを図るメカニズムをつくる必要があるのではないかと思っている。例えばイギリスの例で言えば、こういう新規課題に関してだと、担当部局でつくった計画が妥当であるかどうかということを分野ごとにチェックする、こういう組織過程を最適にしていく、そういうシステムを導入している。これは単に研修をするというよりも、もう一段進めて、組織の活力を妥当な行動形態にしつらえていくという意味があるかと思う。そういうことを一気にやったらどうかという意味ではなくて、徐々にだが、中身を改善する取り組みをできるところからやってもらいたい。

【横山委員】
 論点メモの「国民に対する説明責任の徹底」の中で、「評価内容についてのわかりやすい情報発信について」とあるが、私も非常にこれが大事だと思う。資料1−1にまとめられていることが、今回の実績評価書の特徴ということだが、これは参考資料だから一般には公開されないと思うが、これをオープンにしてもいいのではないか。具体的には、例えば実績評価では、「政策評価担当部局の所見」という欄があるが、なかなかおもしろいアイデアだと思う。事業評価についても、「変更された点」という欄でも設けて、原局から上がってきたものが議論を経て、このように是正されて、改善されたというのがわかれば、まさに評価内容についてのわかりやすい情報発信につながっていくのではないかと思う。
 それから、広報計画については、これもアイデアはいいと思うが、ざっと読んでみて、みんな広報計画で苦労してつくっている割にはなるほどと思えるのは、残念ながら非常に少なかったと思う。アイデアを生かすような改善の余地があるような気がする。

【浅井(彰)委員】
 評価というのは、やっても、そのことが現場に反映されないならばどうしようもないが、一番大事なのは、現場と評価する立場が同じ価値観を共有することではないかと思う。それをどうするかについては大変難しいが、評価結果をなるべくわかりやすく開示することも大事であるが、もう一つは、実行側に指標を持ってもらうということをコンスタントにアピールしなければならないというか、どのように評価しているのかということを絶えず問いかけていくということが大事だと思う。そうした活動も通じて、評価のフィードバックを行い、評価の指標をたくさんつくるのではなく、そして、それを押しつけるのではなく、自己評価を大事にしながら、実行側の評価の指標と我々が議論している評価の指標が一致していくようにしていかないといけない。これは非常に難しいことだが、評価の実行体の中に評価のメカニズムがないと絶対によくならない。
 もう一つは、評価は政策へのフィードバックであり、PDCAのサイクルの非常に重要な部分だと思うが、これをもう少し、実行側と評価側でどのように分けるかという話が、今、木村室長からあったが、実際には、いろいろ階層があると思う。課題のレベル、制度のレベル、政策目標のレベル。そのレベルレベルに応じてどのような評価が実際になされていて、この有識者会議がそこでどのような位置づけにあるのかをチャートに書くと、非常に明らかになると思う。科学技術に関しては、総合科学技術会議があるし、階層別に、制度別にいろんな評価や何かの組織がある。エスカレーションと言うが、課題レベルで議論した評価の結果が、そのまた1つ上の制度のレベル、また政策目標のレベル、こういうふうに上がっていかないといけない。このことを担保する仕掛けをぜひ検討してもらいたい。

【天野委員】
 私は、国立大学の中で経営協議会のメンバーになっている大学があるし、この間、法人評価の委員会の委員も務めさせていただいたが、国立大学法人は何のために評価をし、実績報告書を出しているのかというと、文科省が出せと言うからつくっている。だから、経営協議会でも、つくった資料をそのまま出してくるが、経営協議会というのはどのような役割を果たすのかよくわからない。問題は、こういう報告書を誰のために、何のためにつくっているのかということだと思う。学内構成員に対してであれば、あれでは何にもわからない。何がよくなって、我が大学はどこにいっているのか、見えない。その意味から、もっと別のものをつくらなければいけないだろう。文部科学省がつくっている評価書についても、これは一体、誰のために、何のためにつくっているのだろうかと思う。やはり大きな目的は、政府に報告しなければいけないからだと思う。国民のためにやっているのかというと、そうではない。つまり、省のため、局のため、課のためにやっている。我々の立場もそれによってどこに位置づいているのか、非常にあいまいであるということが、議論しながらだんだんわかってきた。誰のために、何のためにやっているのか。大切なことは文部行政をよくすることだから、この報告書は本当に役に立つのだろうかということも、どこかで議論してもらいたい。これはあくまでも政府に出すためのものになっているわけで、国民のためのものでもなければ、省内のPDCAのサイクルの中にうまく組み込めるものになっているわけでもないと思う。国立大学法人を見ているとそう思うので、多分、文部科学省も似たようなことがあると思う。

【古賀座長】
 評価について、省内のプロセスみたいなものも有識者会議が知り、そうしたことも考えていく。それから、独立行政法人や大学法人については、文部科学省あるいは評価委員会が評価するわけだが、文部科学省自身の評価を、もう少し役に立つように、あるいは誰のために評価し、何のために評価書をつくるのか考えるべきだという本質的な指摘もあった。
 今後の進め方として、この委員の中から評価の専門家、あるいはそれ以外の方を加えても、この人数だと、細かいことを議論できないので、ワーキンググループでもつくって、これを機会にやっていただければと思う。また、皆さんからも評価室のほうにご意見をいただきたい。

【木村大臣官房政策課評価室長】
 本日、意見をいろいろいただいたので、来年度に向け、政策評価の実施計画などに反映させていただきたい。先ほど座長から指摘があったように、全員が集まるのはなかなか難しいことから、評価の専門の方々を中心として集まってもらったり、意見を個別にいただいたりという形で、今後の評価のあり方を検討していきたい。

【古賀座長】
 長時間、熱心なご意見をありがとうございました。途中で、失礼な発言もあったと思うが、お許しいただきたい
 それでは、きょうの意見を踏まえて、今後の文部科学省の政策評価がより有意義になるように検討してもらいたい。時間になったので、これで終了したいと思う。評価を超えた問題もあったが、いろいろな面でご活用いただきたいと思う。委員の先生方の熱意に感謝したい。

−了−

(大臣官房政策課評価室)

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