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政策評価に関する有識者会議(第15回)議事録

2006年3月16日議事録

1. 日時
  平成18年3月16日(木曜日)10時〜12時

2. 場所
  如水会館 富士の間

3. 議題
 
(1) 政策評価を巡る最近の状況について
(2) 「文部科学省政策評価基本計画(平成17年度〜19年度)の改定」及び「平成18年度文部科学省政策評価実施計画の策定等について
(3) 国際競技力向上施策の効果に関する評価について

4. 配付資料
 
資料1   文部科学省政策評価基本計画(17〜19年度)の改定案の概要等
資料2-1 文部科学省政策評価基本計画(平成17〜19年度)(改定案)
資料2-2 諮問第5号「科学技術に関する基本施策について」に対する答申の主な内容
資料2-3 政策目標4〜6の基本目標、達成目標(暫定版)について
資料3 平成18年度文部科学省政策評価実施計画
資料4-1 文部科学省規制に関する評価書-平成17年度-(案)
資料4-2 「文部科学省規制に関する評価書-平成16年度-」に関する政策評価に関する有識者会議からの意見について
資料5 政策評価の結果の政策への反映状況-平成17年度-(案)
資料6-1 国際競技力の効果に関する評価(案)の概要
資料6-2 国際競技力施策の効果に関する評価(案)
参考資料1-1 政策評価に関する基本方針の改定について
(平成17年12月16日閣議決定)
参考資料1-2 政策評価の実施に関するガイドライン
(平成17年12月16日政策評価各府省連絡会議了承)

5. 出席者
 
(委員) 古賀座長、浅井(経)委員、浅井(彰)委員、大窪委員、川邊委員、高祖委員、杉山委員、舘委員、田吉委員、中西委員、端委員、藤垣委員、星野委員、室伏委員、弓削委員、ゼッターランド委員、横山委員
(事務局) 干場総括審議官、樋口政策評価審議官、合田大臣官房会計課長、藤嶋大臣官房政策課長、岡谷評価室長、田中評価室室長補佐、義本文部科学広報官、渡辺大臣官房国際課長、岡文教施設部施設企画課長、中西生涯学習政策局生涯学習推進課課長補佐、大金初等中等教育局初等中等教育企画課課長補佐、清木高等教育局高等教育企画課長、吉川科学技術・学術政策局政策課長、村田研究振興局振興企画課長、渡辺研究開発局開発企画課長、小見スポーツ・青少年局競技スポーツ課長、坂元スポーツ・青少年局競技スポーツ課企画官、石野スポーツ・青少年局企画・体育課長、石崎文化庁政策課課長補佐、内丸科学技術・学術政策局計画官付計画官、後藤科学技術・学術政策局計画官付評価推進室長

6. 会議の概要
 

【古賀座長】 文部科学省第15回の政策評価に関する有識者会議でございます。通算で15回、今年度3回目ということになります。
 年度末、何かとお忙しいところをお集まりいただきまして、ほんとうにありがとうございます。23名の委員の方の18名ご出席の予定でございます。
 前回の有識者会議から事務局の異動がございましたけれども、後ほどまいられますので、そのときご紹介申し上げたいと思います。

 (1)政策評価を巡る最近の状況について及び(2)文部科学省政策評価基本計画(平成17〜19年度)の改定及び平成18年度文部科学省政策評価実施計画の策定等について事務局から、資料1から資料5に基づき説明が行われ、続いて質疑・意見交換が行われた。

【古賀座長】 ありがとうございました。
 資料1の表紙にある6項目を一気にご説明いただきました。資料もたくさんございますが、お気づきのように色で分かれておりますので、その辺のところもごらんいただきたいと思います。
 文部科学省の今度の改定案をベースにして、18年度の実施計画の概要が出ていますが、この辺が中核でございます。最初の4つ、政策評価の最近の状況あるいは文部科学省への指摘事項、それから基本計画の改定案、政策評価実施計画、まずその辺までのところを中心にご議論をいただきたいと思います。
 できるだけたくさんの方にご意見をいただきたいと思いますので、できるだけご意見は簡潔にお願いしたいと思います。ご発言のある方は手を挙げていただくか、前回から名札をこういうふうに立てていただくということもやっておりますので、必要があれば立てていただきたいと思います。
 それでは、早速ですが、浅井委員。

【浅井(彰)委員】 浅井でございます。たくさんの項目が挙がっているんですけれども、要点を得て話をしたいと思いますけれども、評価の評価といいますか、評価がどういうふうに各省庁で行われているかということに関してのサマリーがございまして、例えば資料1の4ページに目標値の設定があるかどうかというようなことで書いてありますし、それから、その他の観点からも比較表があったと思うんですけれども、文科省が、この間、評価が大分進んだという自己評価であろうかと思いますし、また、これは総務省の評価でもあるわけですね。これは確かにこの会議が始まったときから考えると、大変に評価が進歩したのではないかなというふうに思っております。
 ただ、まだいろんな意味で、やり残している観点とか視点というのがあるのではないかなと思っておりまして、そういった観点からちょっと発言をさせていただきたいと思います。
 4ページのことでちょっと申し上げますと、農水省や国土交通省の場合に、目標の指標化が非常に進んでいるということでありますが……。
 土木工事等の場合には、確かに外形的目標の設定は容易なんでしょうけれども、そういったことの内容が質的に国民生活にどういうふうに資しているかということからほんとうは見ていかないといけないわけで、そういった視点の重要性というのは非常に大事なのではないかと思われます。それをぜひとも考えていかないといけない。評価を質的に考えていかないといけないということが1つございます。目標の設定が数量化されているかということも大事でありますが、それだけではないだろう。質的なことが大事だということと、施策目標が低いと達成率はどうしても高くなるわけで、だから、要点を言いますと、比較的ルーチン的といいますか、マンデインな目標ほど設定しやすいし、評価が高くなりがちだというところを、自分で気をつけていかなければいけないのではないかなと考えております。
 もう一つ、評価は体系的になっているかということで、文科省の場合、大変体系的になっているという評価があるんですが、確かに体系的になっているように思います。ただし、例えば大学評価といったようなところを見てみますと、機関評価ということが中心になっていまして、機関については大変厳しい評価があるんですが、じゃ、各分野で、バイオで、ソフトでどういう水準に日本の科学技術があるかといったようなことになりますと、なかなか全体が見えていないというようなところがあるのではないかと思われるんです。
 だから、もっと大学全体としてこういう分野に学育や研究の努力を傾注していかなきゃならないというようなトレンドセッティングといいますか、そういった観点からの評価はどうしても欠けてしまうんですね。何か評価が体系化されて、細分化されて、細かいところに入っているのではないか。評価のやり方とか評価を担当する機関も、自分のところは設定された目標に対してしか評価をしない、こういうところが多少ありまして、先ほど申し上げましたような目標の設定と、それに従った評価だけやっていると、それで結果はどうなのかというところがおろそかにならないか。やはり全体の効果ということからしっかりオーバーオールな、木を見て森を見ないようなことじゃないような評価というのを絶えず考え直していかなきゃならない。
 だから、機関評価と分野評価というようなものをクロスにして、あるときは機関評価をやるけれども、ある期間が過ぎたら、今度は分野評価でやってみるとか、そういうことをやらないとほんとうに全体が見られないのではないかというふうに、評価というもののあり方をいろんなふうに考えていかなければならないのではないかと思っております。
 もう一つだけ申し上げさせてください。これで終わります。
 18年度も文科省の政策目標の評価の実施計画の内容は、科学技術中心になっております。17年から19年度の改定案の概要を見ましても、科学技術が中心になっております。これは私なんかも、自分自身、学技術に従事しておりますし、投資するつもりですし、大事なありがたい目標設定ではないかと思うんですけれども、文科省の施策の中には、教育というもう一つの大事な側面がございます。科学技術も、理科離れなんていうことを言われますけれども、当然初等、中等教育も大事です。それから、倫理の力とか、そういったことがソフトパワーとなって、大変強い要素を形成しているのではないかと思います。科学技術を推進していくにも人間性ということが大事になるんですね。
 そういったことを見ますと、ちょっとこの科学技術だけに評価の重点が寄り過ぎているのではないか。きょうの議題の一つに競技力ということがございますけれども、これも一つですが、ぜひとも教育の側面、これをもうちょっと取り上げていただきたい、そういったところに評価の目を入れていかないといけないのではないかと思います。
 以上です。

【古賀座長】 ありがとうございました。評価のあり方について3点、大変重要なご指摘です。科学技術に偏り過ぎているのは、座長から言うのはどうかと思うんですけれども、変わったところですね。今度第3次計画ができたので、科学技術については目標設定を若干変えたこと。8ページの赤字印のところを変えたという意味で、それ以外の何十項目ありますが、それらは今まで以上にやるということ、そういうことでいいですね。

【岡谷評価室長】 そうです。

【古賀座長】 今の評価のほうの問題の3つについて、大変本質的な質の問題、それから少しバーを高くというようなこともございました。体系的というような問題もありました。何か省のほうからコメントがあればお願いします。

【岡谷評価室長】 大変建設的かつ示唆に富んだコメントをありがとうございます。確かに、特に最初のポイントでございますが、指標をどうとるのかという話で、数値化すればいいという問題ではないと。そのとおりだと思います。実はこれは私たちも総務省とさんざんやりとりしまして、数値化することでほんとうにいいのかと。実は我々、今回ちょっと去年より下がっているんです。それはなぜかというと、アウトカム評価を今回はできるだけ前広に取り込もうというのを、去年のプロセスを皆さん覚えていらっしゃると思いますが、アウトカム評価をもう少し多くしようということをしました。アウトカム評価を盛り込んでいくと、数値評価という形でなかなかできないものが出てきているのが現状なのかなと。むしろ以前はアウトプット評価で、例えば何をどれだけやったかとか、そういう直頂的なアウトプットの指標を立てているのが多かったのですが、そこからもう少し国民的視点に立ったアウトカムを私たちが目標に立て得た瞬間に、この指標の数値化というのは少し落ちたというのが現状でございます。
 だから、以前、どなたか委員の方から必ずしもアウトカムだけに固執する必要はないというご意見もあったと思います。だから、アウトカムの部分とアウトプットの部分と両方をどれぐらいのあんばいで、それは物によって違うと思うのですが、それを立てて、そのときの指標をどういうふうにしていくのかというのは、これから我々も検討していかなければならない課題かなと思っている次第でございます。

【古賀座長】 視点の重要性が出たと思いますので、また参考にさせていただきたいと思います。どうぞ。

【室伏委員】 室伏でございます。文部科学省がこの自己評価を体系的に、また里程標をつくって進めてこられたことは、私は高く評価しております。文科省のような成果の見えにくい省庁が、自分たちの成果を数値目標なり、具体的なワーディングに基づいて評価してこられたということは、評価できることであると考えています。もちろん今浅井委員がおっしゃったように改善すべき点はいろいろあると思いますけれども、文科省が国家をつくる根底ともなる「人を育てる」という立場から、教育、文化、科学技術の分野で責任を持って仕事に取り組んでいるという姿勢を見せてくださっているのは、とてもよいことだろうと思います。資料で拝見する限りでは、他省庁と比較して、文部科学省の自己評価がかなり進んでいるということですので、他省庁と連携をとりつつ影響を及ぼしていただいて、日本の行政にかかわる方々の自己評価のモデルになるような、そういったシステムをつくっていただきたい。さらにこれが単発的なものではなくて、継続的に日本の行政を、(行政改革ということばを私はあまり好きではないのですが)、改革していく上でのモデルシステムになるようにして頂きたいと思います。
 こういった努力が、あまり外の世界にわからないということがありますね。先ほど広報についてのご説明があり、9ページに広報活動を促進するということが述べられておりますけれども、これは私、とても大事なことだろうと思っています。
 日本では、公の立場にあるものが広報活動をする事は恥ずかしいというようなところがありまして、「秘すれば花」といった気風があるのですが、公の機関が国民に対する説明責任を果たす上でも、国民の理解を得て後押しをしてもらうという意味でも、ぜひ広報活動を活発に行っていただきたい。そして、文部科学省の施策がいかに国民のために役立つものになるか、国民の教育、文化、科学技術の底上げのためにいかに頑張っていらっしゃるかということを示していただきたいと思っております。

【古賀座長】 ありがとうございました。モデルになれという激励と、今の広報活動、9ページにあるように事業評価表に入れるということがありますが、それ以外に何かコメントはありますか。広報活動を少し頑張れと。

【義本文部科学広報官】 広報官をしております義本と申します。先生からご指摘をいただきありがとうございました。広報の重要性は、私の記憶では、昨年のこの有識者会合でもご指摘いただきまして、私どもとしましては、20年の1月に霞が関のほうに戻りますけれども、それまでの期間を広報あるいはコミュニケーションの力を強化する期間としまして、組織あるいは職員の広報力あるいはコミュニケーション力を強化するという取り組みを今省を挙げて取り組んでいるところでございます。
 その中のポイントとしては、やはり戦略性を持つということ。つまり、政策の立案、実施の過程において広報が必要な要素だというふうな位置づけをしまして、政策の実効性を高めるというふうな観点からも広報の計画をしっかり立案段階からつくり、それを国民にちゃんと理解していただき、その実効性を高めていこうというふうな取り組みを、今これからでございますけれども、進めていきたいと思っているところでございます。
 今後ともご指導をよろしくお願いいたします。

【古賀座長】 ありがとうございました。広報については、いろいろまた皆さんからもご意見があると思います。だれにメッセージを出すかとか、いろいろあると思いますが、横山先生、どうぞ。

【横山委員】 2点質問を含めた意見を述べたいと思います。
 1点目は、今の広報のことで、私も基本的には結構だと思います。ひとりよがりにならないように、特に科学技術の場合は非常に難しいわけで、その辺を国民にどう説明するかというようなことで重要なポイントだと思います。
 しかし、一方で、こういう欄が設けられると、例えばマスコミ受けのいいものとか、センセーショナルなものがいいというようなことになりかねなくて、例えばほんとうに基礎的で広報計画なんかはまだ出せない、結果もやってみないとわからないというようなものもあると思いますので、その辺の歯どめをどう考えているのかということをお尋ねしたいと思います。
 2点目は、資料1の8ページの政策目標6に、「科学技術の及ぼす倫理的・法的・社会的課題への取組や」云々という、ELSIの問題ですね。岡谷室長からも説明がありましたが、これについて総合科学技術会議の答申にも出ているし、これも私はこのとおりでいいのだと思うんですが、一方でELSIの問題は生命科学とか医学研究から発した言葉で、それがだんだん広く使われるようになったということで、総合科学技術会議の答申にも出てきたと思います。
 しかし、例えば原子力とか宇宙を考えたときに、一番最初に倫理的・法的という問題が出てくるのが適当なのかなと。総合科学技術会議が出しているからそれをそのままというのは、よく理解できるんですけれども、文科省が抱える問題全体をやると、このELSIというのをそのまま使うということでいいのかなと。多分その辺も議論なさった上でこういう表現に落ちついたと思うのですが、その辺のところを少し説明していただければと思います。

【義本文部科学広報官】 広報のほうをまずお答えさせていただきたいと思います。
 最初申し上げましたように、これはいわゆる宣伝をする、あるいはテレビとか新聞を使いまして、露出度を高めるというふうなことを目的とするのとは違いまして、施策の大きい、小さいはございますけれども、先ほど座長がおっしゃいましたように、だれに対してどういうメッセージを発していくのか、その場合、どのチャンネルを使っていくのかということについて、個々の政策についてそれぞれ点検し、考えていく。それによって、その過程を通じまして、いろんなご意見ですとか、考え方をまたフィードバックして政策に反映していくというふうなプロセスを回していく一つの手段と考えておりまして、そういう取り組みをしたいと思います。
 ただ、ご指摘いただきましたように、それぞれの分野においてやり方も違いますし、その辺は十分計画の立案段階から吟味して考えていきたいと思っております。

【内丸科学技術・学術政策局計画官付計画官】 ただいまのELSIに関してでございますけれども、現在審議されております基本計画の中では、今、横山委員ご指摘のように倫理的・法的・社会的課題への責任ある取り組みという大きなくくりの中で、例えばですけれども、さまざまな科学技術に関するリスクの管理ですとか、安全性の評価、試験法の考案というような問題も込みで記述がございまして、そういう流れから今回こういう構成にしたんですけれども、先生のご指摘のとおり、今、いわゆるELSIといった場合の一般的に通っている通念と若干違うところもございますので、それほど表現はおかしくないと思っております。
 ただ、中身については、今後達成目標のほうの議論を少しやらせていただきますけれども、その中でそういう誤解がないようにはっきりとそこを書く工夫をさせていただきたいと思っております。

【弓削委員】 弓削でございます。ほかの組織との連携について2点ポイントを挙げさせていただきます。
 最近、いろいろな事業は、文科省だけでなく、文科省がほかの省庁や組織と協力して進めていくということも多いと思います。広報活動でも、国際協力に関してのいろいろな事業を行っていらっしゃって成果を得られていることと思います。ODA、政府開発援助に関しては、国民の理解と参画を高めるというのは政府の重要な項目となっていますので、ODAを行っているほかの組織、外務省やJICA(ジャイカ)なども教育分野で活動を行っていると思うのですが、そういうODA、国際協力を推進している他の機関と連携した形で広報活動を行うことで相乗効果が得られるのではないかという気がするんですが、そこら辺はどういうふうにお考えなのかを教えていただければというのが第1点です。
 第2点目は、これも連携に関してなんですが、連携事業として、例えば一つの例で、青年海外協力隊への現職教員の参加があります。これは、施策目標9−1に含まれていますが、教員の方たちが、青年海外協力隊になると、派遣するJICA(ジャイカ)の事業として途上国に赴任して、そこで実際に活動を、大体は2年間行ってくるということになるわけです。そうしますと、文科省では現職教員の参加人数が増えているというような面での評価は行われているわけですが、実際の活動の成果、活動のインパクトという意味では、その人が青年海外協力隊として2年行って、そこでどういう成果を上げられたのか、国際協力・開発援助としてどういうインパクトがあったのか、そしてそれが、どういうふうに関連機関にフィードバックされているのかということも重要だと思います。もしかしたらこれはJICA(ジャイカ)のほうでいらっしゃるのかもしれません。でも、それが関連省庁である、この場合、文科省にどの程度フィードバックされて、その結果、こういう人材であれば、成功の可能性が高いとか、成功例、失敗例と、その要素というようなことを、教員のこれから参加なさる方たちを対象としてフィードバックされているのかどうか。そこら辺の連携について教えていただければと思います。

【古賀座長】 2点ご指摘がありました。きょうは広報の出番が多いので、広報のほうをまず、それから連携、特に国際関係。

【渡辺大臣官房国際課長】 国際課長の渡辺でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 弓削先生のほうから今ご指摘があったんですけれども、ご案内のとおりODA戦略については、今度政府全体としての枠組み、いわゆる戦略策定について総理主導、官邸主導ということで、大きな流れが一つございます。したがいまして、そういった中で文部科学省としてどのように発言力を強化するかという点におきましても、特に留学生政策が大層でございますが、当然こういった政府の新たな枠組みの中でどのように連携をとっていくか、あるいは情報発信にしても、その存在をアピールしていくかということは重要な課題になっておりまして、弓削先生ご指摘の点については、既にJICA(ジャイカ)との間では、あるいはJVICとの間では、幾つかのプロジェクトの中で共同事業をしておりますけれども、広報面についてはなお一層努力する必要があるだろうと。
 もう一つ、JOCV、青年海外協力隊のご指摘がございましたが、たまたま先日、政府・与党の会議の小委員会の中でもこの問題が出まして、協力隊員のさまざまな経験であるとか、あるいはそこで得た情報を積極的に国内的にアピールしていく必要があるだろうと。
 一応その答弁といいましょうか、答える主体としてはJICA(ジャイカ)のほうで、JOCVに対する広報活動の充実ということはございましたけれども、現在、教員の現職参加ということを推進しておりまして、学校現場に隊員活動を経験した現職の先生が帰っていくという中で、国内におきますいろいろな国際理解教育、開発教育について、当然これはフィードバックする場面が増えていくということでございます。省内には、既にメディアとして「文部科学時報」とか、さまざまな広報手段を持っておりますけれども、積極的にそういった経験をPRしていくということは、今後の方向性として極めて妥当な線だと思っておりますので、さらに充実を図っていきたいと考えております。
 以上です。

【義本文部科学広報官】 先ほど国際課長が申し上げました視点に加えまして、いろんな媒体を持っておりますけれども、「文部科学時報」にしても、文部広報にしても、やっぱり国内向けでございます。やっぱり海外の発信というのはこれから重要になってまいります。ホームページの英語版もございますけれども、まだ正直申し上げまして貧弱な状況でございます。なかなかすぐにというわけにはいかないわけでございますけれども、そういう海外へどういうふうに情報発信をしていくかという視点でホームページの作成とかいうことも国際課と連携しながら今後の課題として取り組んでいきたいと思っております。
 以上です。

【星野委員】 4つほどあります。その中の一つに広報の話があるんですが、先に広報から申し上げますと、古賀座長とか浅井委員とか、民間企業の広報というのは、当然一方通行ではなくて双方向なんですね。ですから、わかってもらうというだけではなくて、実際にどのような意見があるかどうかというのをちゃんと押さえる必要があるというのがありまして、まあパブリックコメントみたいな手法というだけじゃなくて、具体的に言うと、特に来年度からやっていただきたいのは、新規事業とか拡充事業の中に広報の視点を入れるということなんですが、やっぱり単にわかりやすく伝えるというだけではなくて、どういう意見があるのかというのが必要だと思うんですね。せっかく今資料を用意していただいているので、この事業評価書の18年度新規拡充事業で、後にも話題になると思うのですが、231ページをパッと開いていただくと、今この中に広報の視点を入れるとなると、どういうことなのかということなんですね。1つは、231ページのところで、ナショナルトレーニングセンターの整備、総理の指示による早期整備ということで、得られた効果、順調に整備が進捗しているというんですね。やっぱり少なくとも具体的に関係者の意見というのを入れるべきですね。その意見というのはプラスの意見もあるし、マイナスの意見もあるということで、一般世論も含めて。
 ですから、そういう定性的な意見とか、特にある程度でき上がっているものについては実際に使っている人の意見とか関係者の意見と、それから一般の国民の意見、これはパブリックコメントなり、場合によっては世論調査みたいなものをやって、今回、オリンピックはあまりいい結果じゃなかったのですが、そんな中で、またこうやってお金を増やしてトレーニングセンターをつくるべきなのかどうかという議論、当然いろんな議論があると思うんです。そういうのをすくい上げた上で、そこでまた正しく伝えるという、ぜひ双方向の広報・広聴をしていただきたいのが1点です。ですから、今のは質問じゃなくて意見です。
 あと3つほどありまして、きょうは特に実績評価、事業評価についての、来年度以降どうするかということで、要は、政策評価のガイドラインが改定されてきて、当然文部科学省として、平成18年度以降の実績評価、事業評価、総合評価のやり方の改定ということになると思うんですね。そのための審議だというふうに理解しているのですが、1点目は、最初に浅井委員もおっしゃったように、前と比べてよくなっているし、それから他省庁と比較しても非常によくなっているというのは非常にいいと思うんですね。
 ですから、前後比較と相対比較ではいいんだけれども、でも、国民が納得できる基準に対する絶対評価となると、まだまだ政策評価の実際の実効力というのは十分とは言えないと思うんです。
 ですから、ぜひ他省庁との横並びということはもう卒業していただいて、あるべき理想像に向かってどう政策評価を使っていくかということで、特に、そのうちの1点目は、やはり予算への反映ということで、資料1の13ページ、一番最後のページですね、これがやっぱり一番気になるんですが、13ページの中で事後評価の結果を予算要求に反映した件数、それから事前評価の結果を予算要求に反映した件数ということで、これを見ると、まだまだ予算への反映というのは十分じゃない。というのは、これは多少時間差があるので、やっぱり実績評価の結果を受けて、それを新規事業の事前評価や継続事業の廃止・休止とか、改善に生かしていただきたいなと。この数字を見る限りは、事前評価の結果を予算要求に反映した件数のところは、経済産業省が100件のうち59件改善・見直ししているので、客観的に見ると、経済産業省のほうがかなり改善・見直しをやっているのではないかとも受けとめられます。まあ中身を見ないとわかりませんが。
 その意味で、この13ページの表を踏まえながら、どう18年度、政策評価を実施していくかということをぜひやっていただきたいということがあります。
 あと、残りの2点は、どちらも実績評価についてということで、1つは科学技術、今回、科学技術についての施策目標が改定されたので、当然この実績評価の18年度に向けて改定がなされると思うんです。その辺、どうするのか、これは質問です。政策体系の施策目標が変わったと。単に言葉が変わっただけではなくて、目的や意図する状態が変わるというふうに理解していますので、じゃ、具体的に今後どういうふうにするのか。要するに、成果指標とか目的とか、その辺の改定はいつやるのか質問したい。
 もう一つの質問は、先ほどご指摘もあったんですけれども、他省庁との関係の中で、やっぱり気になる施策が幾つかあるんですね。特に家庭教育とか、男女共同参画社会とか、それから子育て支援ですね。今少子化対応ということで、その辺の評価をどうしていくのかですね。科学技術は学校教育の特定の領域だけれども、明らかに施策目標が他省庁の課題とダブっているもの、これは昨年6月に政策評価の研修を受けていただいたときの議論の中でも、中身を議論してみたら、子育て支援とか少子化対策みたいなところの家庭教育であったりしましたので、この辺のところをどうするかを質問しておきたいと思います。
 以上です。

【古賀座長】 大変重要なご指摘と質問があったのですが、特に評価の点、質問がありましたのでお答えいただけますか。

【内丸科学技術・学術政策局計画官付計画官】 今、お手元の資料で資料2−3というのが入ってございます。これは一番上に「政策目標4〜6の基本目標、達成目標(暫定版)」というふうに書いてございます。これは暫定版と書いてありますのは、現時点において、実はまだ総合科学技術会議のほうの議論が完全に終わってない状況でありまして、各分野ごとの、何を特に重点化していくかを含めまして、その議論が年度内には大体終わって新たな形になりますので、それを見ながら、この部分をしっかり詰めていこうということで暫定版になっておりますが、イメージとしましてはこのようなもので考えさせていただきたいと思ってございます。

【星野委員】 これはいつ決まるんですか。どこで決まるんですか。

【内丸科学技術・学術政策局計画官付計画官】 国の中の総合科学技術会議という組織がございますが、そちらのほうで、今のところの予定では、3月中には決まるということで、今議論が大詰めになっているところでございます。それを踏まえて、速やかにこの部分についても文科省としての確立したものをつくりたいと考えております。

【星野委員】 そうすると、実績評価書のほうの18年度実績から変わるということですね。きょういただいたのは16年度実績ですね。17年度ももう終わっているわけですから、18年度実績評価書の中身が新しい科学技術の施策目標になるという理解でよろしいですね。

【内丸科学技術・学術政策局計画官付計画官】 そういうことでございます。

【古賀座長】 あともう一つ、他省庁との連携の問題。

【岡谷評価室長】 幾つかいただきまして、他省庁との話でございますね。これは政府全体の中で他省庁と連携しているような施策というのがございます。これにつきましては、総務省のほうで横串の評価をするということになっております。政策群というのがございまして、成果重視事業というのがございまして、それに特定されているようなもの、例えばニート対策だとかいうものは、当然厚生労働省にかかわるものだとかありますので、そういうものは横串で評価していくということになっております。
 ただ、我々として、我々の部分、すなわち我々が政策目標で立てている基本目標、達成目標の範囲内で評価するというものと、当然国全体としてそれがどういう効果を上げるかということ、これは別でございます。
 例えば、ニート対策一つ例にとってみても、我々が直接に若者の就業率を上げるというところまで、当然のことながら厚生労働省のものがいろいろございますわけですから、そういうものを指標に立てて我々の事業の評価、あるいは達成目標を評価していくということはできないわけでありますので、我々の基本計画、達成目標という範囲の中で、それに関連しているところの政策評価を我々の中で、文部科学省の評価でやっていくと。他方、国全体で考えるときには、いろんな角度から、他省庁との連携も当然踏まえながら、どれだけ国として実績を上げていくのかということを総務省が評価していく、こういう仕組みになっているとご理解いただけば結構かと思います。

【古賀座長】 よろしいでしょうか。あとは、あるべき姿も、現状に甘んじるなということですので、よろしいでしょうか。

【星野委員】 むしろ今どういう課題認識があるのかというところをお聞きしたい。

【古賀座長】 予算要求が反映されてないじゃないかということです。

【岡谷評価室長】 予算要求が反映されてないのではないかというお話でございますが、これは概算要求ベースでございます。ご存じのとおり概算要求は、昨年もそうでしたが、20パーセント概算要求できるという、要求幅、シーリングが非常に大きいので、そこの中にいろんな形で入り込んでいくということだと思うんですね。ただ、物事の改善とか何とかいうことに関しましては、例えば実施段階でのいろんな改善だとか、そういうものも入っております。
 ただ、最終的に予算にどう反映されたかという話は、今この全体の資料の中に入っていますが、その中を見ていただくと、当然のことながら、政策評価の結果を踏まえた上で、いろんな形の査定がなされているということは実情としてはございます。
 ですから、一言で申し上げますと、我々、これで反映状況を見て、できるだけ反映していくという話をしようとしているんですが、やはり予算制度との関係というのがネックにありまして、政策評価と予算、決算との連携をどうしていくのかという根源的な問題を解決していかないと難しいところもあるのではないかなという気はしております。それが率直なところ、私の認識でございます。

【古賀座長】 あと、広報の問題、双方向性の問題がありましたけれども、そういうご指摘があったということでよろしいですか。

【義本文部科学広報官】 何度も恐縮です。簡単にします。
 先生のご指摘いただいたところは、広報計画を作成する段階で、いかに国民に、あるいは関係者の意見を集約するかということも一つの課題認識として考えていきたいと思っております。
 以上です。

【舘委員】 発言する上で厚い冊子の事業評価書の7ページに今までの政策目標があると思いますので、それと、資料1の8ページで、科学技術政策の基本計画が新しく出たので、それに対する対応のページ、8ページですね。それから、それの説明資料として、資料2−2で、基本政策の答申の主な内容、その3点の資料を使って発言させていただきます。
 まず、分厚い資料の評価書にある政策目標、今までの政策目標のところで、今のご提案は、ほかのところは変えないで、今後実施されるというふうにとりましたので、そのつもりで発言しますが、7ページのこの政策目標の点に関して、私の一応専門として来ております大学とか高等教育の分野ですと、政策目標の3が中心になります。ここについて、前回か前々回か、他の政策目標に比べて、必ずしも比べなくてもいいかもしれませんけれども、少し具体性が低いのではないかという指摘をした覚えがございます。
 例えば、下の科学技術の戦略、重点化、これは重点ですから、具体的になっているのは当然かもしれませんけれども、ライフサイエンスとか、そんな具体的なものと比べますと、大学などにおける教育研究、これもコングロマリットですけれども、それの質の向上、それから教育研究の基盤整備、それから学生支援と私学の振興とありますけれども、なかなかそれ以上の分類をするのは難しいということはあるとは思いますけれども、少し政策自体が広い範囲を含んでいるという発言をしたことがございます。
 その前提がありまして、今回の科学技術政策の基本計画の変更、新計画の内容を見ますと、資料2−2でありますように、私の認識では、真ん中下の左側にあります人材の育成、確保、活躍の促進ということで、かなり具体的に人材育成のところを強く打ち出したのが今度の科学技術計画の特色だと認識しております。
 そこでも、赤いところでわかりますように、若手、女性、外国人、それから、大学の人材育成機能の強化というようなことが見えます。
 それで、私としては、これだけのことが書かれているので、その政策目標の3の高等教育のところに何かの反映があるのかなと思っておりましたが、そこには直接ご提案がなくて、科学技術という頭がついた部分の政策目標4、5、6についてかなり変更が出てきたわけです。
 そういう意味で、施策目標の大学のところが、例えば質の向上とかいうことになっていますけれども、今度の提案だとか、そういうのが、そこの基盤整備に反映する話なのか、科学技術だけですからそれでいいのか、ご提案だと、政策目標の6にあった大学等における研究成果の社会への還元という、大学という言葉が上がっていたのも、今度の新しい提案では、活躍の促進ということで大学という言葉が見えなくなっています。そういう意味では、大学についての施策目標がさらに具体性を欠いているわけですね。
 それから、もともと科学技術の面での研究成果の還元だけではなくて、社会への還元という目標は大学自体にあるわけですね。そういう意味では、先ほど浅井先生がご発言された評価の問題とか、そういうのが評価は当然質の向上だということになれば入ってくるのかもしれませんけれども、いずれにしても、大学についての施策目標のところがもう少し分析的なほうがいいのではないかと、趣旨はそういうことです。

【清木高等教育局高等教育企画課長】 高等教育局企画課長の清木でございます。
 ただいまのご質問につきまして、確かに科学技術の中で、例えば基礎研究の推進、あるいは人材育成という面では、大学の果たす役割は大変大きいわけでございます。
 ただ、一方では、大学における人材育成も、あるいは研究も高等教育政策の一環でやっているという面がございますので、科学技術にかかわる改定があったのが、直ちにいわば高等教育の柱立ての改定にいきなりつながるということではないのではないかと考えております。
 舘先生からお話がありました点で、例えば人材育成の関係で、大学院教育の充実というようなことにかかわりましては、高等教育におけます教育研究の質の向上というところに該当するでありましょうし、また、研究基盤の整備という観点では、教育研究基盤の整備というところに該当し、具体的な個々の政策という観点では、今回のこの科学技術にかかわる改定というのがまた反映してくるのではないかというふうに考えております。
 科学技術に関連しましては、そういう考えでございますが、別途、高等教育の政策目標の立て方につきましては、またご指摘も踏まえた検討も必要ではなかろうかと考えております。
 以上でございます。

【浅井(彰)委員】 私は先ほど発言したときに、最後のポイント、科学技術が結構ハイライトされているんだけれども、そのほかはどうなんだというお話をしましたら、科学技術以外ももちろんちゃんと政策評価の全体を進めるんだよと、古賀座長のご説明がありましたけれども、私のポイントは、今の舘先生のところにレゾネートするところがありまして、どういう意味かというと、科学技術のところは総合科学技術会議が旗を振りますから非常にハイライトを浴びているわけですね。だけど、それだけじゃないんですよと。もっと大事なアイテムがたくさんあるのが文科省の政策評価であって、それはもちろん内閣が指摘するからそこに重点化して評価をしよう、さらに評価の強化をしようということがあるかとは思いますが、それ以外のポイントで、例えば教育、今高等教育もありましたけれども、初等、中等なんかも含めて、それは比較的ルーチン的で大変な部分なんです。だけど、そこにちゃんとしたハイライトを当てていかないと、文科省全体の評価の主要な活動にならないのではないか。17年度から19年度、18年度、それを見てみると、科学技術が非常にハイライトを浴びている。それはいいんだけれども、やはり微分係数としてそこがハイライトを浴びているんだったら、もっとほかのところもハイライトを浴びるところがあるはずですよと

【高祖委員】 手短にします。
 1つは、文部科学省が、ここの会議での話を聞いていますと、非常に建設的な意見がどんどん出てきて、国民全体のことをよく考えながら、日本の政策を推し進めているという印象を受けます。ところが、実際のマスコミで取り扱われる文部科学省のイメージというのは、抵抗勢力であるとか、規制の牙城であるとか、そういうふうなものが強いという印象を私は持っています。私だけではないと思います。
 それに関係することで、1つは、先ほど科学技術の政策目標の6に、社会や国民に支持される科学技術の推進とあり、そこの最初のところに倫理・法律・社会というのが出ましたね。もちろんこの表現等は考え直したらいいと思うんですが、特にこういうところは、やっぱり時代のニーズでもあるし、これからの人類の課題でもあるんだということで、パシッと第一に置く。表現は変えていいのですが、これはやはり最初のところに置いておく必要があるのではないかということが1点目。
 2点目は、今申し上げた文部科学省のイメージというのは、実は広報と密接につながっていると思います。先ほど広報官がおっしゃいましたように、自分たちが考えている今回の広報というのは、PRだとか宣伝だとかいうのではない。双方のコミュニケーションを通して進めていく。つまり、相手のニーズを掘り起こしながら、それにどうこたえていくかという点を重視する。それが先ほど星野先生のおっしゃった双方向だと思うんですが、そこのところをよく押さえた広報をやっていく。
 その場合に、文部科学省は抵抗勢力、そういう面もあるかもしれないけれども、そうじゃなくて、こちらに取り組んでいるんだという、トップマネジメントの一環としての広報、そういう意味の広報を考えないといけない。ただ単にこういうことをやっていますよ、いいことを知っていますよというだけで終わるのでは広報にならないと思います。
 ですから、これはトップマネジメントにつながっていきます。大事な視点だと思いますので、ぜひこの辺はきわめていただきたいと思います。

【古賀座長】 大変重要なご指摘だと思いますが、省のほうは特にいいですか、審議官。広報はトップマネジメントだということとイメージが大分違うぞということです。

【浅井(経)委員】 抵抗勢力ではなくて、人間をつくっていただく文科省にお願いしたいのですけれども、今、政府は競争力を養って、活力ある社会をつくるという方向に進んでおり、それはそれでいいと思います。文科省はやはり基本的な教育を扱っております。格差が拡大していますので、それをどこまで許容するのかという線をぜひご検討いただいて、そのチェックを評価の中でしていただきたいと思っております。
 例えば、義務教育に関しては、競争する前の段階で競争できるだけの能力を身につける必要があり、それを用意することは公平性の確保の上で重要で、そのような公平性が確保されているかどうかはチェックする必要があると思います。その意味で、今までの達成目標などで取り上げられた、全国の学校の何パーセントまでを目標とするかといった、そういう目標を設定しそれをチェックすることは意味があるのではないかと思います。
 それから、生涯学習は私は専門で、そちらのほうで申し上げますけれども、生涯学習の方はお金が取れないので、どうしようもないのですが、今、社会教育費の効果分析を個人的にやっておりまして、まだ十分説得できる結果は出てませんが、少なくとも今までは、地域格差の是正に意味があったという結果が出てきております。これから、競争させるだけで、地域に任せ、10年後に地域に大きな格差が生じたときに、国としてそれをどうするのかということがあると思います。どこまでを許容するのかという、そのあたりの線をぜひご検討いただきたいと思います。

【中西委員】 手短にまいります。
 評価全体のことについて気がついたことを言わせていただきますと、客観性の確保ということで数値化を多く取り入れられたことは非常にいいと思うのですが、例えばここに72.6パーセントと示されていると、それが本当に低い値なのかどうかについては非常に疑問だと思います。もっと中身を議論してほしい、つまり中身の議論が、数値目標にすり変わって受け取られる面があると思います。本当の目標というのは単なる数値とは異なると思います。ですから、数値だけがひとり歩きしますと、現場では非常に困る事態が生じると思われます。例えばノーベル賞を幾つもらうとか、金メダルを幾つもらうという数値目標だけがひとり歩きしてしまわないかと気になります。本当に一生懸命していて、その結果として外部から表彰されメダルがとれるわけです。つまり結果としての数値と目標とが一緒になってしまうと、実際の現場では一生懸命力を出し切ればいいのに、メダルが取れなかったことに対してだけに評価が出がちで、現場では非常に混乱すると思います。
 ですから、数値目標をつくるということは、客観性があるように思えますが、本当にねらっているところの目標をきちっと伝えるようにお願いできたらと思っております。

【古賀座長】 ありがとうございました。両委員から評価の本質的な問題をいただいたと思います。
 それでは、まだまだご発言いただきたいことがあると思いますが、最後に一言だけお願いします。後半に大事なものが一つあるので。

【大窪委員】 簡単にお願いしたいことがあるんですけれども、例えば公立学校に学校評議員を6割設置する。設置が6割超えたから想定以上に達成という評価が出ているんですけれども、要するに、学校評議員でも何でも、その目的は何のために設置したかということが大事であって、それを設置することだけが目的ではないと思うんです。
 ですから、いろんな数字の中にある最低限の条件とか、そういうものがクリアされて、それが数字として出るならいいのですけれども、やったやっただけで当てにならない数字を評価のもとにするというのは、ちょっと心配だなというところがあります。

【古賀座長】 ありがとうございました。
 それでは、まだまだご意見があると思うんですけれども、あと最後に残しました規制と、政策への反映も既にご議論いただいていると思いますので、ここで第1議題のほうは終わらせていただきまして、第2議題のほうに入りたいと思います。

 (3)「国際競技力向上施策の効果に関する評価(案)」について、事務局から資料6に基づき説明が行われ、続いて質疑・意見交換が行われた。

【古賀座長】 ありがとうございました。
 それでは、これにいろいろとご意見をいただく前に、最後のページに載っておりますけれども、このスポーツ研究会の委員をなされている方が2人こちらにおられます。ゼッターランド委員と杉山委員でございますが、それぞれ一言ずつお願いしたいと思います。
 最初にゼッターランド委員、お願いします。

【ゼッターランド委員】 杉山先生、お先に失礼いたします。
 今回、かなりたくさんのお時間を割いていただいて、トリノが終了した後ということもありますので、タイムリーかなとは思うのですが、このようにお時間を取っていただいて、スポーツとしてはうれしく思うのですけれども、先日、スポーツの総合評価のほうでこういったロジックモデルをどういうふうに作成していくかということで、いろいろお話が出たんですけれども、そのこともあわせて、これだけたくさんの資料を私もいただいて見ているんですが、それとあわせて、トリノの結果を見たときに、国はこういう形でやろうとしているという中で、これは選手あるいは競技団体のサポート体制ということだと思うんですが、唯一優勝した荒川選手の口からサポート体制について、国ということが何一つ出てこなかったというのがちょっと残念かなというふうに思います。
 代表の選手を送り出していく上で、国がどういうサポート体制をとっていくかというのは、なかなか現場に伝わっていない。全くしていないということではなくて、現場に非常に伝わりづらいというところもあると思いますし、それぞれの競技団体、それが個人だったり、あるいは団体競技だったりということの、その違いによってサポートの度合い、あるいは得られる現場の満足度というのも随分変わってくると思うんですね。
 ですから、本来、こういった形でロジックモデルというのが、全体の強化として出てきているとは思うんですけれども、私の個人的な意見でもあるんですけれども、個人競技と団体競技、そして冬季種目、夏季種目、この大きく4つに分けた中で微妙なロジックモデルの必要とされる項目の変化というのも出てくるのではないかと思うんですね。作業としては非常に時間のかかるものだと思うんですけれども、スポーツの性質ということを考えますと、一緒くたに一つのロジックモデルの中で全部が分析できるとは限らないというふうに思うんですね。情報分析ということを考えれば、こういった平成22年度までにメダル獲得率3.5パーセントを実現すると。それでは、そのときにものすごく日本の選手団はいい選手がたくさんそろっているのにもかかわらず、ほかの国もものすごくいい選手がたくさんいると。ものすごい高いレベルの中で競技をすることになりますと、必ずしもそれがメダルに当てはまるとは限らない。じゃ、競技力が全然向上しなかったかといったら、必ずしもそうではないという、非常に難しい相反する結果といいますか、評価、全く別の2つのものが出てくるというところで、以前にもお話ししたと思うんですけれども、その結果、何か一つだけを見たときに、やってきたことがすべてむだになってしまったという極論にならないように、慎重にこういったロジックモデルを利用して、しっかりとした分析ができるようにしていっていただければいいかなというふうに思います。
 今回の荒川選手の、ずっとどういう形でサポートしてもらってきたか。まあ一貫指導というのもあったと思うんですけれども、家族だったり、地元、あるいは企業のサポートというのはよくマスコミにも取り上げられるんですけれども、じゃ、国が何もしていないかというと、そうではない。じゃ、国がしていることというのは何なのかということが、先ほど広報活動ということで少しお話も出たと思うんですけれども、選手のほうも「国の税金を使って行っているんだから、メダルぐらい取ってこいよ」というふうに言われることもありますので、ちゃんとどういうところで、どういう形で皆さんのお金を使わせていただいているのか。それがどういう効果をどこで発揮しているのかということを一つ伝えていただくのも必要なのではないかなというふうに思っております。
 企業等ができない、国ならではのサポートというのは必ずあるはずで、それが必ずしもお金かといったら、それだけではないというふうに思っておりますので、そういう方向でのサポートと、こういったロジックモデルがそちらの方向にサポートを導き出してくれるということを期待したいなというふうに思います。
 長くなりました。失礼いたしました。

【杉山委員】 杉山です。ありがとうございます。
 ゼッターランドさんと文部科学省の説明に重ならない部分をお話をしたいと思います。
 このロジックモデルをつくり上げる、項目を整理するということに対して非常に時間がかかりました、プロジェクトチームとしては。ようやくここまで来まして、このような結果といいましょうか、皆様方に資料を提出するというところにこぎつけました。実は一番右側の3.5パーセントという数字につきましては、前々回ですか、ゼッターランドさんからメダルの獲得率というものをこうやって数値であらわして、それに向かって、それを超せばいいということだけで、スポーツというものがきちんと整備されたということにはならないのではないかというご指摘もありまして、私もそう思いますが、もう6年も7年も前に、この3.5パーセントという数字を出したときにも、そのグループの中では非常に大きな議論になりました。結果的に、何か一つの目標を出すというようなことで、この数字が出てまいりまして、アテネのオリンピックのときには、900あるぐらいのメダルの中から37取って、もうそのときは3.9パーセントだったからバンザイということになったわけですが、そういったようなものではなかろうとほんとうは思うわけですね。
 しかし、何かそういったような数字を掲げておかないと、なかなか前に動かないという部分もありまして、これが厳然とこの表の右側にあって、これに行ったり来たりするということだろうと思います。
 ゼッターランドさんも指摘されましたように、冬と夏のスポーツでは全く条件が違います。また、団体スポーツと個人スポーツでも条件が違う。さらに、その中では女子のスポーツと男子のスポーツもまた違う。世界的な競技人口のことからすれば、今の女子の個人のスポーツというのは、非常に競技者、愛好者が少ないわけですから、ちょっと練習すればトップに出ていくというようなこともできる、誤解を恐れずに申し上げれば、そういうこともあろうということになります。
 なかなかそのあたりでは評価というのは難しいわけですが、少なくともその3.5パーセントというものを、数字はともかくとして、そういうものの目標に向かっていく中で、このスポーツ振興基本計画のちょうど中間年では、一貫指導システムということに関しましては、ある程度の成果は上げられたのではないか。先ほどのご説明に有効性は十分認識されているが不十分だというのは、これは日本のスポーツの生い立ちに関係があります。
 これまでは高校あるいは大学、その下の中学と学年別にものを切ってまいりましたが、それぞれが完結をするようにインターハイを目指し、インターミドルを目指し、あるいはインターカレッジを目指すということで、一つ一つ輪切りだったわけですが、そういうものではないということで一貫指導、1人の有能な選手というものに対してカルテをつくって育てていくというのが一貫指導でございますが、それについては有効であったのではないかという結果が出ています。
 ただ、これはシンクロナイズドスイミングという学校体育ではないところのスポーツを取り上げておりますので、高校や中学にはシンクロナイズドスイミング部というのはなかなかないわけですね。まちのクラブ、あるいは情熱的な先生がプールに通っていらして、優秀な選手を集める。だから、一貫指導体制ができたということもあります。
 しかしながら、このやり方、サッカーが打ち出したエイジグループ、中学生とか高校生ということではなく、16歳以下であるとか、18歳以下であるとか、20歳以下であるというエイジグループというものに対してこの一貫指導というものが、今回スポーツ振興基本計画が打ち出した中で今後一番大きな柱になることは間違いない。有効性が評価されて、現実的にどうなるかということが残り5年間、さらにその5年間の半分、まあ北京のオリンピックが終わった前後あたりの非常に大きなテーマになるんだろうというふうに思います。
 そういう意味では、今回この場でお話しするとすれば、国際競技力という頂点強化、チャンピオンスポーツの部分につきましては、いい方向に走り出しているということを申し上げられるというふうに思います。
 以上です。

【古賀座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、これは総合評価の一つの大事なテーマですが、今後もこういう総合評価を別なテーマで行うこともあると思いますので、皆さん方からもご意見をいただきたいと思います。

【端委員】 大変明快な説明でよくわかるので、特に一貫指導ということに関しましては、これはスポーツ好きの方はおわかりのとおり、この冬の高校サッカーでも同じように、地域の子供のクラブ活動の指導と、高等学校の先生のサッカー指導というのが連携をとることによって滋賀県の草津高校が全国制覇をするというような、一貫指導というのを応用問題として取り上げると、非常に大きな効果があるというふうに拝見をいたします。
 それを考えますと、実は一貫指導というのは非常に重要なポイントで、指導者層というものが豊かでないと、こういう問題はやっぱり、もちろん国の中で少数の人たちを育てていくということだけならいいですけれども、日本国全体で底上げ、今のように地域の子供たちのクラブ活動まで含めた一貫指導という視線で見ると、いかにも日本はそういう意味の指導者が非常に乏しいという印象を常々受けるわけです。
 私はスポーツの専門ではありませんので、どちらかというと生涯学習の問題及び地域文化、地域教育力ということの分野で地域の博物館や美術館あるいは社会教育施設がどう機能しているかということを考えるのでありますけれども、実はそこでも指導者不足が非常に著しい。地域教育力ということを考えるときに、どういうふうに地域の施設をプロデュースするのかということに関する指導者が非常に少ない。地域文化プロデューサーというのは、まあ文化大学校等で計画された時代もありますけれども、いかにも日本の今までのシステムの中で、国絡みだけでなしにできることということを考えると、地域に根差したそういうプロデューサーというか、そういう指導者層が、中間的なプロデューサー層が非常に手薄だというのが、私が今回のこういう報告を聞いても、社会教育の分野でもそういうふうな強い印象を持っておりますので、そういう意味では今回のこの報告の中での一貫指導ということの意味を、そういうふうな地域も含めた中間的な指導者層を育成するということの重要性を改めて確認するということじゃないか、そういう意義があるんじゃないかというふうに受け取りました。
 それで、私の分野から一つだけ注文なんですけれども、これは前回も同じことを申し上げたんですが、生涯学習とかの分野になりますと、どうしても評価が文部科学省が挙げられた事業がどのように推移したかという評価になってしまうんですね。そのことを効果が実際にどういうふうにあったか、家庭教育というのがどういうふうになったか、これは大変難しい問題なんですけれども、例えばこういう生涯学習の分野でも、NPOの数が増えていったとか、連携した数が増えていった、子供の教室が増えていった、こういうことは数が増えたことはわかるんだけれども、それによってどういうふうに生涯学習の……、そういう意味では私はもう少しこういう分野でも、さっきのロジックモデルまではいかないにしても、何か地域文化というものの向上を推定できるような、推しはかることができるような、ある種のモデル的な作業もこれからは必要になるのではないかというふうに思っています。
 実は、学生がこの春に修士論文で書いたある地域の文化施設を評価している。これは上のほうが人数が多いとか少ないとかです。よその人が利用しているか、地域の人が利用しているか。そういうことをやってみると、21施設のうちで、ほとんど地域の人が利用していない。地域の人が利用しているのはわずかに4つぐらいであるというようなことが、ある方法を使うと出てくるので、そういういろんな方法を使いながら、地域の文化力を測定し、向上させるモデルを今後研究していったらどうかなというふうにご提案申し上げます。

【古賀座長】 ありがとうございました。
 指導者層の重要性と地域文化についてもいろんなモデルが必要だという話だったですが、特に省のほうはよろしいですか。

【藤垣委員】 まずこのロジックチャート及び今日の資料をつくるに当たって、多分膨大な作業量があったと思いますので、関連の皆様に敬意を表します。
 ちょっとこの方法論について述べさせていただきたいと思います。英国にPRESTという研究所がありまして、ポリシー・リサーチ・イン・エンジニアリング・サイエンス・アンド・テクノロジーという研究所があります。そこでは、政策評価のためのプロの養成のコースがございまして、10年ぐらい前からこういうロジックチャートをバーッとつくって政策評価をするということをやっている。日本においてもようやくこういうロジックチャートを使っての政策評価が始まったのかと思って非常に感慨深く聞いておりました。
 それで、これを使っての今後について2つ意見があるのですが、まず第1に、ロジックチャートをつくった後に、資料6−1の2ページにございますようなロジックチャートをもとにして、ある種の数量分析ができます。ただ、社会科学の方法論としましては、数量分析をしましたら、それプラス現場へのヒアリングというのが大事なわけで、例えば、これをほんとうの競技者に見せて、こういう結果が出ましたけれども、どうお思いになりますかということを聞く。そうすると、「まあ合宿と一口で言ってもね、実はこうこうこう」とか、「国際経験と一口で言っても実はこうこうこう」、そういうことが出てくるかと思いますので、政策評価学が社会科学の一分野として、方法論的に精度を上げるためにも数量分析をしたままではなくて、ぜひこれを現場に持っていって、現場からの結果を聞いていただいて、この数値がひとり歩きしないで、それこそ双方向的に利用されるような方向を考えていただけたらと思います。それが1つ目です。
 2つ目ですけれども、きょうは国際競技力向上施策についてのケーススタディ、つまりロジックチャートだったわけですけれども、これが将来的に、例えば第1部の議論でございました科学技術とか、あるいは初等、高等教育とかに応用されていくのであるか、その可能性があるのであるか、あるいはもしそういうふうな形でロジックチャートをつくられることとなった場合、第1部の議論で浅井委員がおっしゃられたような国の基礎をつくるルーチン的だけれども非常に大事な仕事みたいなものが、こういうロジックチャートにどういうふうに生かされていくのかみたいな議論が、まあ省内でなされているのかどうかについて、ちょっとお伺いしたいと思います。

【岡谷評価室長】 2点ございました。そのうちの1点目、まさに現場のヒアリングが必要だという話は、この会議の一番最後の会議で、杉山先生、ゼッターランド先生、また河野先生、いろんな方がいらっしゃる中でそれが必要だという話になりまして、競技団体のほうに出ていって、これについてコミュニケーションしていこうじゃないかという話にまさになっています。だから、そういうことをプロセスとして今後やっていかなきゃいけないと私たちは認識しています。
 それから2番目、ルーチン業務はいろいろありますが、こういう形でやったのは今回初めてなんですね。これは言ってみれば、文部科学省の職員にとっても一種のショックでありまして、ロジックトゥリーをつくるという、ほとんどこんなことをやったことがないんですね、簡単なものは、私たちは実績評価、事業評価の中に入れていますが、これをもっと外部要因まで入れて、アウトプット、アウトカムを含めて、体系的にここまでつくってみるという作業は、今回がある意味で初めてだったと思います。
 ですから、これからまさにこういうことをやってみることがどういう効果をもたらすかということを省内的に広めていくというのは、評価室、それから官房の仕事だと思いますし、また、次の総合評価をやるに当たって、こういう手法を伝達していって、自分たちの持っている今のロジックトゥリーが正しいかどうか、それから数量分析、あるいは指標の開発というものに役立たせるかどうかということをやっていこうと思っております。
 くしくも、来年度予算で、指標の調査というので特別な予算を私たちのほうでも用意しておりますので、それとあわせながらこういうことの普及をやっていこうかなと思っている次第でございます。

【古賀座長】 今回スポーツをやったけれども、次の課題というのはありますか。

【岡谷評価室長】 実施計画の中にちらっと書いてあるんですが、産学連携の話をやる予定でおります。そのときにこういう手法が取り入れられるかどうかというのも、今後検討していくつもりであります。

【古賀座長】 さっき委員のほうからあったイギリスでは既にこういうことをやっているというのがあれば、いろいろまた研究もしていいのではないですか。

【岡谷評価室長】 イギリスのPRESTですね。私たちもPRESTの担当者とかを聞かせていただければ、飛んでいって、どんなことをやっているか勉強したいと思いますので、よろしくご協力ください。

【星野委員】 総合評価ということで、2年かけて今こういう形で出たというのは、非常に有意義ではないかと思っています。これもやはり以前と比べるとよくなったというのと、他省庁と比べると、非常に進んでいるということが言えると思うのですが、ただ、本来の絶対評価というのは、やはり明確に今まで文科省がやってきた事業の貢献度をきちんと評価するということですから、そういう意味では、一歩それに向かっているんだけれども、結果、その平成13年から16年度にどのくらいの事業をやって、どのくらいの税金を使って、その結果がどうだったのかとなると、そういう意味ではまだ課題があるのではないかという感じがしました。
 もっともオリンピックということなので、非常に内容的には国民の関心があるテーマなので、非常にタイムリーだったと私は思っています。ロジックモデルと言っていますけれども、要は目的から手段に導く考え方なんですね。これが本来の政策評価の基本だというふうに理解しているんですが、実はロジックチャートというのは別の言い方で、イエス・ノーと振り分けていくというのがロジックチャートで、本来これはロジックチャートじゃなくて、要するに基本目標を達成するためにどんなことをやるべきなのかということですから、これこそが実は実績評価で言う基本目標と達成目標のまさにロジックなんですね。
 ですので、ぜひ今回のこの総合評価をやった中で、少なくとも施策目標7−2、国際競技力の向上の基本目標と達成目標との関係が変わってくるんじゃないかと思うんです。振り返ってみると、達成目標の中の7−2−1、今202ページの実績評価表を見ているのですが、7−2−1の一貫指導システムの構築というところが一番基本目標に対して貢献度が高いという結論ですね。ですので、総合評価というのは、ある意味では実績評価とか事業評価と関連づけするものなので、今回ぜひこの総合評価結果を踏まえながら、単に結論を導くだけではなくて、実績評価に反映していただきたいなということで、おそらく達成目標は変わってくると思います。
 さらに、施策目標が達成できなかった一つの原因として、文部科学省の達成目標が十分できたのかというだけではなくて、今回のように白い色、つまり、例えば競技人口が増えるとか選手の選考、有利なルールとかいうのがありますので、そういう意味では、十分できなかった原因というのが、この全体の表の中のどこにあったのかという振り返りが、まさに自己評価ですよね。
 ですから、それはまさに基本目標自体がオリンピック競技大会においてということで、かなりオリンピックというシンボリックな行事の中での成果測定を言っているので、オリンピックが終わったときに必ずこの表を使って種目ごとに、うまくいった種目とうまくいかなかった種目、どこが足りなかったのかというのを原因究明して、きちんと報告するようにしていく。これはある意味では文部科学省だけではなくて、オリンピックに関係した方たちの全体評価というか、そういうことが求められると思うんです。
 ですので、最初の広報とも関係しますけれども、例えば荒川選手が文部科学大臣とあいさつしたときに、まあ、後で別な話題になりましたけれども、そうじゃなく、そういうときに、この表を使って振り返りをして、この中で意外とどこが実際にうまくいったのか、貢献したのか、これについてはあまり貢献してなかったのかという、そういうのを終わったときに事後評価するということではないか。
 私が申し上げたのは、ですから実績評価への反映ということと、それから、やはり国が補助している先の事業も、オリンピックというのも一つの事業ですから、やっぱり事業評価の中に入れて、終わったときに事後評価をするとなれば、もっと国民の関心に十分に伝わるし、それから、単にメダルの数だけではなくて、国際競技力の向上のためにはこういうプラスがあるよということも加えれば、非常に正しい理解が進むのではないかということなので、この結果をこれから実績評価と事業評価に生かしてほしいということで提案申し上げたので、抵抗勢力の意見ではなくて、ぜひ前向きに受けとめていただいて、実行に移していただきたい、そんなふうな感じがしました。
 以上です。

【小見スポーツ・青少年局競技スポーツ課長】 競技スポーツ課長の小見でございます。どうもご指摘をありがとうございました。
 このロジックモデル、報告書の中にもありますけれども、ある施策がその目的を達成するに至るまでの論理的な因果関係を明示したという定義づけをされているわけですけれども、この研究会のご助言もいただきながら非常に時間をかけて、初めての試みでございますので、ほんとうであれば、いろいろな要素を細かく見ていくと、かなり複雑なチャートになってしまいがちなんですけれども、そこをできるだけ単純化したということで、逆にまたそれが不十分な面も、委員のご指摘にもありましたように出てきている面もあるかもしれません。
 これからの評価につきましても、このせっかくまとめましたロジックモデル、これを念頭に置きながら、いろいろな評価に当たっても、あるいはいろいろな要因の分析に当たっても、アウトカム1とか、かなりいろいろ知恵を絞ってつくったものでございますので、十分これを活用させていただきたいというふうに考えております。

【星野委員】 ちょっと補足をいいですか。私、気になるのは、アウトカムの1とか2じゃなくて、これは達成目標なんですよ。7−2−1、7−2−2なんですよ。ですから、実績評価で言っている達成目標の7−2−1、7−2−2、7−2−3というのと、このアウトカムの成果の2、並びに1がちゃんと整合性がとれていないといけない。少なくとも国がかかわっているものについてはね。国がかかわってないものについては、色を白にしておいて、それは逆に言うと、選手個人の問題であったり、団体のいわゆる問題、つまり公助じゃなくて、共助とか自助の世界ですね。
 それを、ですから、オリンピックが終わったときに事後評価をするべきなんです、種目ごとに。おそらく種目ごとに多少これは、左に行けば行くほどいろんなバリエーションがあると思うので、それはだからすべての競技団体に、オリンピックの目標に向けてのロジックモデルというんじゃなくて、もっとわかりやすく道しるべですね。目標達成に向けての手段体系と言ったほうがいいんですよ。変にロジックと言うと、またわけわからなくなるので、やっぱりわかりやすく伝える工夫も必要ですよね。ぜひそういう意味では、これを使うようにしていただきたいんです。実績評価とオリンピックという事後評価と、それから広報ということでね。
 ですから、変に大臣と選手とのあいさつで、何か言った、言わないとかいう変な記事になるよりは、こういうのをそこの場で使うという、ぜひその場に居合わせる部局長が理解してないといけないということだと思うんですね。
 以上でございます。

【古賀座長】 大変なエネルギーをかけてつくったものですから、いろいろ活用するということと、また次のメソドロジー、方法論として使っていただきたいと思います。

【室伏委員】 こういった事業は、国の威信というような視点ではなくて、子供たちに夢を与えて、子供たちが日本の将来に対して希望を持って、自分の道を進めるという、そういう視点から進めていただきたいと思います。
 スポーツの国際競技力の向上ということは、もちろん大事なことですけれども、多様な資質や能力を持った子どもたちがたくさんおりますので、スポーツだけではなくて、科学的な分野ですとか、あるいは語学や、その他文化的な分野でも子どもたちの資質を伸ばすような施策をもっともっと進めていただきたい。
 もちろん、今現在、国際コンテストなどの支援を始められていることや、語学教育や、さまざまなサイエンスを支援する試みもなさっていることは十分承知しておりますけれども、そういった分野でも、子供たちが目を輝かせて、スターがそこから生まれてくるというような環境づくりをぜひ進めていただきたいというふうに思います。
 今、日本人が非常に元気がないのは、子供たちが夢を持って生活できるような環境にないのだろうというふうに思うのですね。日本は特に、何も資源を持たない国ですから、人が夢を持ち、そして自分たちの才能を生かせる、そういう国であるという環境づくりをすることが何よりも重要だと思います。ぜひこういった評価をほかの領域にも広げていただいて、荒川選手が大臣に会って、それが大きなニュースになったように、数学オリンピックとか物理オリンピックとかでメダルを取ってきた子どもたちが、総理大臣や文部科学大臣に会ったり、それが大きく報道されるというような状況に持っていっていただきたいと思っています。

【古賀座長】 先ほど、産学連携を次にはやると言っていましたけれども、やっぱり教育とか、そういう分野もあると思います。

【浅井(経)委員】 スポーツに関する今回の評価につきましては、こちらに参加させていただきまして一番感激したことです。評価の会議は荷が重いんですけれども、これを拝見させていただいて、今までの気持ちがすっきりしまして、こういうものを今後も進めていただきたいと思います。
 あえて申し上げれば、まだ外部的には出せないところがあるかもしれませんけれども、おそらくこれについては費用対効果が求められるだろうと思います。それが1点です。
 それから、今文科省は東京駅にいらっしゃいますので申し上げますが、霞が関の世界は「オストアンデル」だと仲間うちで言っているのですが、何かなくなったと思ったら、国民が知らないうちに何かができていると。何かをおつくりになるときには、今回のスポーツの効果分析のような効果や貢献度とかのデータをお出しになっていただければ、国民は納得すると思うんです。知らないうちに物ができて、すごく不思議に思うことがたくさんありますので、ぜひその辺、よろしくお願いいたします。

【川邊委員】 前のほうへちょっと戻らせていただいて大変恐縮でありますが、資料1の10ページの青い網かけのところに「政策評価に関する有識者会議委員からの指摘を踏まえ、本年度は『規制の緩和』については、費用分析(リスク分析)を中心として便益分析を省略することとし、評価の合理化を図る」と、あります。そして、次の11ページの規制に関する評価結果の概要として、「教頭の資格要件緩和」があげられています。規制改革、民間開放推進会議等でいろいろ文科省に対する規制緩和策、民間開放ということで、校長の民間登用に引き続いて、教頭の民間登用が取りあげられたわけでありますが、それをリスク評価を中心とするということから、不適格者が登用されるリスクは極めて低く、また行政コストの増は想定されないという評価だけになっているわけであります。民間からの教頭職を登用するという規制緩和の目的は、経営感覚を持った学校の管理者を導入したいということでありますが、そのことの効果がどうなのか。学校はほんとうに子どもたちにとってすばらしい学校ができるように、そういう方向に動いていくのかどうか。学校教育については、やっぱり子どもの将来にかかわることだけに、きちんとしたそういう質の評価というものをどう加えていくのか。非常に数値目標化しにくいが、リスク評価だけにとどめるのは如何なものか。今後、この評価の結果の概要の費用分析(リスク分析)にとどめるということになるのか。質的な面の効果をはかるのかどうか、伺いたいと思います。

【大金初等中等教育局初等中等教育課課長補佐】 初等中等教育局でございます。今お話がございました教頭の資格要件の緩和の関係でございますけれども、これは昨年の10月の中教審答申の中で、今お話がありましたように管理職として民間企業で培った経営感覚を生かすことが期待できるようにということで、校長と同様に民間人を登用できるようにということで行っているものでございます。
 これはこういう形で評価していただいていますけれども、省令事項でございまして、ことしの3月、これから改正するものでございます。今おっしゃっていただいたような効果ということについて、どういった形になるのか長期的に見ていかないといけない課題だと思いますけれども、ご指摘いただいた点については念頭に置きながら、今後もいろいろな対策を考えていきたいと思っております。

【田吉委員】 1つだけお願いいたします。
 今、ここでは、文科省としての政策評価がなされています。また、例えば具体的に小学校の英語教育について、総務省の管轄にある特区という形でも実際にはたくさんの地域、例えば、英語教育として55の区域で、あるいは小中連携の中で16の地区で行われると聞いています。特区では小学校の英語教育が先進的に進んでいます。一方、文科省でも小学校英語サポート事業が進められています。実際にいろいろな学校で英語教育が行われています。できるだけ格差が生じないように特区で行われているものが、そうでないところの小学校教育を進めるという観点で、それぞれの評価を生かせるといいと考えています。特区の評価と文科省の評価がどういうすり合わせになっているのかお聞きしたい。

【大金初等中等教育局初等中等教育企画課課長補佐】 内閣府の特区の関係につきましては、特区の体系の枠組みの中で毎年度評価が行われているところでございます。また、小学校の英語教育の関係につきましては、中教審のほうの専門部会等でもいろんな観点から議論が進められているところでございます。そういったところの中では、当然全体の動きを見ながら検討が行われていることになろうかと思っております。

【古賀座長】 時間が過ぎました。長時間にわたりまして、第1部と第2部とそれぞれ貴重なご意見をいただきましてありがとうございました。これにつきましては、それぞれ評価書等に反映していただくということ。それから、第1部のところで特にご議論が出ました他省と比べれば確かにいい。前年度に比べればいいが、もうちょっと高いレベルをねらうべきと言うことは大切です。絶対的な文部省全体の評価とか、国民から見た視点とかも大切です。大変な努力はものすごく買うけれども、これに満足せず、18年度はさらに本質的なところに迫っていただきたいということを再度私からもお願いしたい。ご報告いたしませんでしたけれども、10月12日に全省の集まりがございまして、私も代表で出させていただきました。13省集まりましたけれども、何しろ2時間の中で、それぞれの座長さんが各省の現状を説明し、13掛ける5分のはずだったんですけれども、13掛ける7分ぐらいでした。伊藤忠の丹羽座長のもとでやりました。各省の意見、やっていること、問題点というものもこれらから把握されていくと思います。確かに文部科学省は、委員の数も23名と一番、識者の数も多く、識見も多いと感じました。ただ、絶対評価を含め、本質的な問題についてはまだまだこれからやらなければいけないと思います。18年度もよろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
 省のほうから、審議官、最後一言お願いいたします。

【樋口政策評価審議官】 本日、有益なご意見をいただきました。私どもも17年度から19年度にかけてのこの基本計画の改定案並びに18年度の政策強化の実施計画案、これにつきましては、3月の末までに私ども省内の会議を開かせていただきまして、最終的に決めさせていただきたいと思っておりますが、本日のご意見も十分承って、評価の質の向上ということで頑張ってまいりたいと思っております。
 また、国際競技力向上の効果に関する評価についても、先ほどご紹介申し上げましたとおり、今後も産学官連携等をまず一つのターゲットに置いて、こういったものを普及拡大していこうということで、このことを一つの私ども評価の改善に生かしていく意味で、この取り組みを進めてまいりたいと思っておりますので、きょういただいた意見は、十分私どもの作業の中に生かしていくべき努力をさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。

【古賀座長】 それでは、どうもありがとうございました。これで散会といたします。

−了−


(大臣官房政策課評価室)

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