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第14回政策評価に関する有識者会議議事録

2005年9月2日議事録

1.日時 平成17年9月2日(金曜日)15時〜17時

2.場所 国際フォーラム G610会議室

3.議題
(1) 「文部科学省実績評価書−平成16年度実績−」及び「文部科学省事業評価書−平成18年度新規・拡充事業等−」について
(2) 政策評価制度の見直し等の動向について

4.配付資料
資料1−1   文部科学省実績評価書−平成16年度実績−
資料1−2   文部科学省事業評価書−平成18年度新規・拡充事業等−
資料1−3   「全体についての討論」に関する藤垣委員からのコメント
資料1−4   有識者会議後における委員からのコメント
資料1−5   委員からのコメントへの対応状況
資料2   政策評価制度の見直し等の動向について

5.出席者
(委員)   古賀座長、浅井(経)委員、天野委員、天笠委員、大窪委員、川邊委員、高祖委員、杉山委員、舘委員、田中委員、中西委員、端委員、平澤委員、星野委員、室伏委員、弓削委員、ゼッターランド委員、横山委員

(事務局)   近藤文部科学審議官、玉井官房長、樋口政策評価審議官、合田大臣官房会計課長、藤嶋大臣官房政策課長、岡谷評価室長、川口評価室室長補佐、南大臣官房国際課課長補佐、岡文教施設部施設企画課長、西田生涯学習政策局政策課課長補佐、中村初等中等教育局財務課課長補佐、奈良高等教育局高等教育企画課国立大学法人評価委員会室長、阿蘇科学技術・学術政策局政策課課長補佐、村田研究振興局振興企画課長、渡辺研究開発局開発企画課長、岡本スポーツ・青少年局企画・体育課長、関文化庁政策課長、岡村科学技術・学術政策局計画官付評価推進室長

6.会議の概要  
(1) 「文部科学省実績評価書−平成16年度実績−」及び「文部科学省事業評価書−平成18年度新規・拡充事業等−」について 

  【古賀座長】
   最初の議事に入りたい。前回の有識者会議で評価全体の議論についてあまりできなかったので、総論についてまずやりたい。
 その取りかかりとして、今年度、文部科学省の政策評価研修を星野委員が中心になってやられたということで、そこでの取り組みについて、サマリーをご披露いただきたい。

  ○文部科学省の政策評価研修について星野委員から説明が行われた。

  【古賀座長】
   星野委員から説明していただいた研修について、あるいは評価全体のあり方について、いろいろご意見があると思うので、まずそれを伺いたい。

  【天笠委員】
   研修についての発表に関連するかと思うが、今の説明だと、上位の目標があって、そしてそれを下位に砕いていくということについてのやり方、手法ということについて研修されていたが、評価というのは、傾向として細分化していくという習性を持っているのではないかと思っている。だから逆に、個々の細かなところを集約し、全体としてその傾向というのを把握していく手法が発想的にもかなりおくれているという気がするが、この点についてどう考えられているのか。

  【星野委員】
   実績評価というのは、政策目標、施策目標など、上から落としていくという演繹的なやり方だが、もう一方で事業評価というのは、現実の具体的な活動や事実だから、事業がどの政策・施策に結びついているかどうかを見る帰納法的なやり方なので、それをカバーしているということで、そこにまた矛盾点がある。信頼される学校の実現のためにやるべきことと、現実に文部科学省がモデル事業で一生懸命やっていることが、実はかみ合っていないことが多いわけで、だから矛盾点を明らかにしていって、あるべき姿のほうに近づけていくほうが、これからの時代にはふさわしい。私はそれをビルド・アンド・スクラップと言っている。スクラップ・アンド・ビルドじゃなくてビルド・アンド・スクラップということなので、まずビルドしようということである。

  【浅井(経)委員】
   これだけの膨大な量の資料ですから目標、効率性、指標のところを中心に拝見させていただいた。
 3つについて申し上げたいが、目標については、できるだけ数値目標をきちんと挙げていただければと思っている。数値目標が設定されているもの、例えば目指せスペシャリストとか、専門校の日本版デュアルシステムとか、これらは指標もきちんと上がっている。だから、できるだけ数値目標というものを検討していただきたいということが1つである。
 それから、効率性については、これからは費用対効果が問われると思う。効果をいきなりアウトカムで測定するのは難しいから、まずはアウトプットで費用対効果を出して、まだきちんと検証されていないが、アウトプットとアウトカムのところに何らかの関数とか係数を入れれば、アウトカムがシミュレートできるのではないかいう研究も出始めているので、まずは費用対効果についてはアウトプットのところでやっていただいたらと思う。
 それから、アウトカムについては、データを分野別に並べて、そのデータと施策や指標との関係を明らかにするという作業が必要だと思う。

  【室伏委員】
   先日来、この膨大な資料を拝見して、大変な作業をよくやられたなと感心した。やはり自己評価を厳密に行なうことは、組織にとってはつらいことなので、皆さんの意識変革が大変だったと思う。その中で、星野先生からお話があったような研修を経て、自分たちの事業に対する目的を明確化して、国民の目線で行われる事業ということに焦点を絞った評価をされたと感じた。
 私も大学の自己評価で苦労したおぼえがあるが、これだけの内容の自己評価をするということは、大きな省庁では大変だっただろうなと思う。また、こういった評価をすることで、自分たちの意識を変革し、なおかつ自らの事業について客観的に評価することによって、事業の価値もわかるだけでなく、他省庁等に対しての資料としても役立つので、研修をさらに深めて、頑張っていただきたいと思う。

  【平澤委員】
   幾つか残っている問題点、課題を挙げたいと思う。
 1つは、星野先生たちが取り組まれたのは、政策体系という、言ってみれば政策評価法ができたときにバーチャルにつくった体系があって、それをいかに文部科学行政の実態に合わせるものに変えていくかという作業を実習を通しておやりになったということだろうと思う。これはまだ部分であって、全体を見直すためには、省の中の計画とか戦略とか、そういうものからバーチャルにつくった政策目標そのものを見直す作業を始めないと、実態に合ったものには多分ならないだろう。
 それから、そういうバーチャルにつくった政策体系にのっとって評価委員会を我々はやってきたが、その中で、予算概算要求するときの中身とこの体系とが一致していないとか、それから、そもそも行政組織、文科省の内部組織とこの体系とが一致していないとかというような問題もあって、それらを整合性をとるものにするのは、やっぱり大変な作業だろうと思っている。
 もう一つは、財政当局のコストの側の内部構造と、評価によって得られる評価内容とが論理的に整合しない構造になっているが、これを見直さないと、最後、財政当局と合わせるときに、えいやで議論せざるを得ないということになってしまう。
 さらに、必要性とか有効性とかといったような評価項目の枠組みが、政策評価法の中では言われている。それで、その枠組みは、幾つかの省を見比べてみると、標準的ガイドラインを金科玉条とするような形でつくっているというところと、それから文科省のように、標準的ガイドラインそのものの中に論理的な内部矛盾を含んでいるから、それをもう一度再構成していくというところに分かれるだろう。私は後者の立場がより論理性があって、それから扱いやすいものになると思っており、この見直しも、やはりここ数年かけてやったことは評価したいと思う。
 ただし、見直された、実績とそれから事業、特に事業のほうの枠組みについては細かくあるが、まだ各項目の定義の中で、概念的な意味での定義が、ちょっとそれを埋めていこうとするときにわかりにくい。あるいは、他の項目とどのような独立性があるのかということに関してわかりにくい。これはよく言われる、互いに独立であり、全項目を合わせると全体になるというMECEな関係で論理構造化されないといけないわけである。その点で、まだ未整備の部分があるのではないかと思っている。

  【古賀座長】
   大変有益なご指摘であり、それから今後の政策評価にも関係することで、政策評価制度の見直しの中でも、先ほどの財務あるいは予算とのリンクの問題が出てくると思うし、概算予算のところは、事業評価では若干数値を出していくということが最近は出ていると思うが、後に省のほうから、コメントがあればお願いしたい。

  【高祖委員】
   先ほどの星野委員の説明の中で、全体として、アウトカム指標、成果指標をどんどん押さえていくという方向に動いていることは、非常に大事なことだと思っている。その関連で、資料に出ている指標となっている目標を見ると、どうしても数量的なものを追う形にならざるを得ない。しかし、数量を追うにしても、質の確保というか、質をどう深めていくのかという指標のとり方に、だんだん強調点を移していく必要があるのではないか。
 そして、量的なものを通して、質を見ようとする場合に、例えば3−1−6のCOEなどの場合には、間に中間報告を入れており、実際の計画がほんとうに進んでいるかどうかをチェックするポイントがある。だとすれば、それに類するようなものを、それぞれの施策の中に入れ込む工夫もできるんじゃないか。このように、できるだけ質の確保というものを視野に入れた方向に強調点を移してほしい。

  【古賀座長】
   まさにこれはアウトプットだけではなくて、アウトカムに近い、そういう質の評価をするべきだというご意見だと思う。

  【横山委員】
   文科省は、文部省と科学技術庁が一緒になったこともあって、分野がものすごい。前もって渡された資料を、私が専門にしている科学技術を中心にいつも見ているが、それでも理解できないものがいっぱいある。多分、文科省の担当の方にとっても、これは現場に聞かないとわからないということがあると思う。だから、こういう場とか、あるいは文科省の中で政策評価するところで、ほんとうに実情を踏まえた評価ができるのかというのが、いつも心配になる。だから担当の方も、本当にこの政策の目玉が何で、どんな問題点を抱えているのとか、現場に行って聞いてみてやっていかないと、どこかで誤るような気もする。
 特に科学技術分野というのは非常に中身的にも評価も難しいので、どうやってブレークダウンして政策評価にたえるものにする、あるいは一般の人にも理解してもらうという発想がもっと必要ではないかと思う。
 それと、星野さんの研修のところを見ていると、課長はほとんど出ていない、審議官も局長ももちろん出ていない。やっぱり重要な政策評価ということに対して、課長補佐の方とか係長の方が、上司が出てこないというような不満を垂れるのは多分当然だと思うので、これはやっぱり大臣なり事務次官の号令で、幹部が率先して出るんだというふうにやっていく必要があるのではないかと思う。

  【古賀座長】
   私も企業の立場でやっていて、改革の手法を入れるとか、事務処理の改革をするときに、それは社長以下、まず役員、事業部長が全部サマリーを聞いて、みんなそれを理解した上で下のほうをやるということをやっていた。今回の場合は両方でやっていると思うが、ぜひ課長クラスが参画していただくようなエグゼクティブサマリーもやるといいんじゃないかと思うので、検討していただきたい。

  【弓削委員】
   評価の指標について、定量的なものも重要だけれど、質的なところをどう計るかというのも、本当に重要なところだと思う。今回のいろいろな資料でも、ワークショップの数とか、参加団体など、非常にいい定量的な指標が出ていると思うが、やっぱり内容の面で、それだけでいいのかという課題を私も感じた。
 それから2番目のコメントとして、最近のいろいろな活動の中では、単独である組織、またあるユニットが事業をするというより、連携事業が非常に多くなっていると思う。そうすると、評価するときに、連携の部分をどういうふうに評価するのかが重要になってくる。国連開発計画(UNDP)では、いろいろな途上国で開発事業を進めていくときに、必ず単独ではなく、最低3か4、またはもっと多くの組織が協力してやる。よってアウトカムや目標達成への進捗状況がどうかということや、何が進捗の主要因であるのかにプラスして、私たちの組織自身の貢献が何であり、そしてアウトカム達成を可能にする他の組織とのパートナーシップは戦略的に築かれてきたかというような、パートナーシップの質や効果が、ますます重要になっていくと思っている。
 それから3番目に、ミクロとマクロの間の連携をどう強めていって、一つ一つの個別事業であるプロジェクトレベルと、その上のマクロレベルのアウトカムの評価をどうつなげるか。例えば、途上国の開発であれば、その国の国家開発目標の達成に対するUNDPの活動の付加価値と、その国の開発が効果的に持続するために必要な環境づくりに、UNDPがどのように貢献したかという2つの面がある。つまり、実際の事業の部分と環境作りの部分を評価するということだ。事業自身とそれを可能にし、それを促進させるための全体の環境がどうであるかということも考える必要がある。
 それから、最後の点がフィードバックに関してだが、評価のフィードバックをどのように行うのがより効果的なのか。評価の結果を、どの当事者にどういう形でフィードバックして、さらにフィードバックしたものが、その結果どういう改善につながったのか、どういう変化につながったのかということも引き続き重要な課題だと思うので、4つ目のコメントとしてあげさせていただいた。

  【星野委員】
   この議論をするときに、必ずアウトプット、アウトカムという言葉が出てくるが、実はアウトプット、アウトカムというのは事業評価の範囲である。今日の資料に、市町村ぐるみ事業という一つの事例があるが、実は国の事業はこのようなものが多い。
 つまり、対象市町村を選んで、市町村のボランティア推進事業に対してさまざまな費用を補助するというのが結構多くて、この場合のアウトプット、アウトカムというのは、補助した事業だとか、その結果の事業の参加者などがアウトプットであって、実際のアウトカムは、ここにあるような目的ということになる。何のためにこれをやっているかというと、文部科学省の事業としての目的は、自分たちがかかわるボランティア推進事業を継続してもらい、それから、市町村がかかわるボランティア推進事業の目的が達成され、参加者が広がっていくということである。そうすると、成果指標は、例えば補助を終了した後、2年以上、事業を継続している市町村がどれぐらいあったかどうか、つまり継続されるというのが意図された状態でやっているということになる。つまり事業を担当する側の目的の設定によって、成果指標、つまりアウトカムというのは変わってくるので、目的の定義がないまま指標の議論をしても、どういうふうになるかわからない。よって今回のワークショップでは、その辺をかなり踏み込んで、事業評価の場合については明確に、目的と手段を明確に分け、指標の議論したが、やはりそのほうが的確な議論ができるということを痛感した。

  【田中委員】
   文科省の政策評価のあり方として、今後どうしていくべきかという点について、述べさせていただきたい。後ほど事務局のほうから説明があるのかと思うが、今、政策評価制度全体の見直しが進んでおり、今後それを受けて、文科省としても省の評価制度のあり方を改革していく必要性が出てくると思う。
 その際にどういう方向性をとるかということで、私は評価の主要な目的は、アカウンタビリティーを果たすというような目的と、もう一つが、政策なり、あるいは資源配分の改善を目指していくという大きな2つがあると思う。どちらも重要だが、特に経済財政諮問会議などで予算と評価とのリンクということを非常に言っているので、それを考えると、これまで以上に評価結果を使って、予算とリンクする方向に行く可能性が高いと思う。だから、これまではどちらかというとアカウンタビリティーを重視してきた評価だったかと思うが、今後は評価結果の活用ということを見越した評価にだんだん変えていかなくちゃいけないだろう。
 その際に何が必要なのかということだが、それは星野委員がやられたような、政策体系を非常に緻密に整合化していくという作業、あるいは平澤委員のおっしゃったような、予算と評価との体系の整合であるとかが必要になってくる。そのあたりは必要な作業だが、実際問題として、かなり労力、コスト、時間等がかかり大変である。だから、考え方として、一つの制度で2つのアカウンタビリティーとそれから活用という目標を果たせるのか、あるいは別の評価制度、あるいは評価制度の運用に柔軟性やめり張りをつけていくのかといったあたりを、今後議論していく必要があると思う。

  【古賀座長】
   それでは、大変時間もたったので、実績評価書と事業評価書について議論を進めていきたい。
 事前に事務局に、この2つの評価書についての各委員のコメントに、細かく1対1で対応していただいており、それについて整理した資料も用意してもらっている。事務局から資料の説明を簡略にお願いしたい。

  ○文部科学省実績評価書及び文部科学省事業評価書について事務局より説明が行われた。

  【古賀座長】
   今、事務局から説明があったが、この資料は、実績評価書、事業評価書ともに、8月26日に文部科学省の政策評価会で決定されている。よって今回は次に反映すべきこと、あるいは今回のデータの把握の方法や、将来に向けた、先ほどの議論の少し個別的なものも含めて、今後の施策や事業の取り組みの際に改善していく事項等を中心に助言いただきたいと思う。まず、政策目標1,2,3の関係から伺いたい。

  【舘委員】
   実績評価の25ページに、生涯教育を通じた学習機会の拡大ということで学生数の指標が出ているが、学生数のデータに関しては、とにかく年齢データが必要なのではないかと思う。学校基本調査には求められていないが、大学院だけは年齢統計をとるようになったが、短期高等教育でも必要なので、年齢統計をとり、それから社会人概念をまた検討し直すということが必要に思う。
 また、73ページの大学のほうの指標で、厳格な成績評価とGPAというのはイコールのようになってきているが、イコールではないと思う。それから、やっているかどうかという数という段階を多分超えてきているということも確かで、ほかの例でいうと、任期制ということで、任期制を何パーセントとっているかという件数だが、任期制の定義が非常に難しい。
 教員の任期制についても、最近ようやくテニュアの議論が出てきて、単純な任期制じゃない話になってきている。そうすると、テニュアを任期制と言うのか言わないのか。テニュアになれば任期はないが、テニュアをとるまでの任期制ということになると、ちょっとこの言葉一つで、教員の質を上げるということにつながらないことも出てくる。そういう意味で、ほんとうにこれから定義が必要になってくる。
 それからもう一つは、これは今後の計画にも含まれるが、いわゆるグッド・プラクティス型の競争的な資金のものが増えてきており、同じように並んでいるが、実質上は質が変わってきていて、一番最初の特色GPは、やっている実績がいいのに出してきたわけだが、最近のものは、これからやることに対して出すということで、評価手法も大分変わってくるんじゃないかと思う。そういう意味で、競争資金の目的と評価のやり方というのを、少し体系立てて検討しておいたほうがいいのではないか。
 それから最後に、COEで初めて中間評価がされたけれども、指標というのは最後のところでわかりやすいんだが、指標を使って、どこか中間のところとか、別の組織で評価された評価の段階みたいなのを我々が見るという作業も必要ではないか。というのは、例えば任期制という数だけ見ても、もう少し緻密に見ないと、いい悪いは言えないということになる。

  【奈良高等教育局高等教育企画課国立大学法人評価委員会室長】
   今ご指摘があったとおり、FDなりGPA、教育研究の活性化のためのさまざまな支援事業などいろいろあるが、今後は単なる数だけでなく、その内容、そして具体的な成果まで、しっかり押さえていくことが求められていることは、言うまでもない。
 一方、大学評価全般に関していうと、今、認証評価制度ということで、すべての大学が一定期間内に評価を受ける制度も導入されて、徐々に結果が公表されている。また、国立大学については、法人化して1年半たつが、毎年の評価、あるいは今後6年間の中期目標期間の評価の中で、教育研究の質の向上がどのぐらい図られているのか評価を行っていくということもある。このようなさまざまな評価の仕組みの中で、政策評価として具体的にどのような指標でもって、どのような評価を行ったらいいのか、さらに検討を深めたいと思っている。COEの評価においては、今回、中間評価を参考指標に取り入れた。GPでは、事業の効果を把握する際にアンケートを活用することなども今後検討していきたい。

  【西田生涯学習政策局政策課課長補佐】
   一番最初に指摘していただいた、25ページの大学での社会人の受け入れの関係だが、指標として挙げている社会人特別選抜の導入大学数は増えているが、その下の参考指標の大学における社会人特別選抜枠における入学者数は減っている。こういった状況もあり、大学で受け入れられる社会人数を把握するための指標、達成度合いの判断基準を明らかにすることを検討すべきとの所見が付されており、今後検討していきたい。

  【古賀座長】
   それでは、政策目標1、2、3の教育関係でほかに。

  【星野委員】
   事業評価書282ページの継続事業「私立学校施設高度化推進利子助成事業」についてだが、その中で気になったのは、得られた効果に、「本事業で平成9年から平成16年までの私立学校に対する利子助成の交付額は63億6,300万円となっており、私立学校の学校施設の高度化・近代化推進、教育研究条件の充実向上に大きく貢献している。また、17年度においても11億8,900万(対前年比6億円増)を予算措置しており」という説明があるが、これは評価になっていない。また、今後の課題のところで、「本事業は、18年度末までに行われる改築工事を補助の対象とすることとしており」と書いているが、「国が利子助成を行う本制度の必要性について検討する必要がある」とも書いているというのは、要は、もともと18年度までの事業だから、18年度、もうさらに11億続けてやらないといけないけども、国の関与ということの評価をした結果、本制度の国が利子助成を行う必要性はもうないという結論なのかどうか、そこがぼんやりとしているので、はっきりとさせておいたほうが事後評価の場合にはいいのではないか。

  【高等教育局私学助成課】
   19年度以降については、来年度に検討しなければならないが、当課としては継続の方向で考えている。

  【高祖委員】
   私は高等教育に関連するところ、政策目標の3の全体について申し上げたい。
 ここでは、新しい拡充・新規の事業にしても、またこれまで実施してきた事業についても、基本的な考え方としては、国公私立大学を通じた競争的環境づくりと、競争原理に基づく資源配分ということがうたわれている。だが、今回報道されている国立大学法人各大学の決算状況等を見ていると、これが本当に対等で、適正な競争基盤になっているのかという疑問を禁じ得ず、ここには、ある種の構造的な問題があるんじゃないかという気がする。実際、そこには国立大学間の格差もあるだろうし、国立と私立の間の格差もあるだろう。そういう、いわば構造的と言ってもいいような格差を、具体的な政策という観点からどうとらえ、是正していくのかということは、やはり避けて通れない問題だという気がしている。
 そして、競争的環境によって大学教育が活性化し、いろいろないい成果が出てきていることは多くの方が評価するとおりだと思うが、しかし、このような競争になじまない分野があるということも、やはり押さえておく必要がある。例えば、私立の中の建学の精神に基づく教育の分野であるとか、短期大学の中で、それほど強くないところについては、競争に出たくても出られないというような状況もありうる。そういうところをどう強めていくのか、活性化していくのかという政策も、同時に何か要るのではないかいうのが2点目である。
 次に3点目だが、認証評価制度による質の保証に関しても問題があると思う。認証評価制度のところを見ると、評価の指数として認証評価の機関の数であるとか、評価を受けた大学の数で出てくる。しかし、そこでの評価の質は実際確認しているのか。例えば、評価が適切に行われる人員をどれぐらい本当は養成しているのか調べてみるとかという、きめ細かさが必要になっていると思うのだが。

  【玉井官房長】
   ご指摘いただいたことは、やはり国公私を通じて、それぞれの基盤的なところをしっかりと確保しながら、競争的な環境を整えていくということが基本にあろうかと思っている。どちらかというと、競争的資金のほうが一気に伸びつつあったが、この一、二年の間、まずは基盤的経費を確保した上で競争的資金をいかに拡充していくのかということが非常に重要だということで、このことは総合科学技術会議や中教審でもまさに議論されているところである。
 では、その関係をどのように考えていくのかというのは、なかなか難しいところだが、中教審の答申の中でも、それぞれの基盤的経費と競争的資金、それから例えば奨学金のような個人に対する支援、さらにはいかに多くの民間資金を大学等に呼び込んでいくのか、こういったさまざまな資金を全体としてどのように組み合わせていくのか、特に高等教育への投資という意味ではどのようにしていくのかが、これからのさらなる議論だろうと思っている。問題意識は持っている。
 それから1点、国立大学を法人化して16年度の決算が今ちょうど出てきたところだが、その中で剰余金というものが数字の上では1,100億あったために、これを一部の新聞がとらえて、これはいかにも本当は黒字でもうかっているのではないかというご指摘があったけれども、正確に言うと、ほとんどのものは国立大学から国立大学法人に移行するに当たって過渡的に出た数字である。すなわち、国立大学時代に持っていた資産等を、法人化するに当たって会計処理上、収益として計上する。これはテクニカルな問題だが、そういったものがほとんどで、差し引きすると、大学のそれぞれの自主的な努力によるプラスというのは50億程度であったということだけは、ひとつご理解を賜りたい。

  【天野委員】
   先ほど舘委員や高祖委員が指摘された点とも関係するが、事業評価書の、資料1−2の2ページの政策目標3のところに、高等教育関係のプログラムがずらっと並んでおり、非常にプログラム関係が多くなっている。プログラム関係の予算が増えることの意味というのはいろいろあると思うが、これは新しいタイプの補助金なのか、それとも先進的なプログラムを開発するための予算なのかということが、だんだんあいまいになってきているのではないか。
 特に基盤的な経費の部分を削って競争的な経費を増やしていく場合に、開発された先端的なプログラムは各大学全体にフィードバックされなければいけないが、その努力がその中に組み込まれているのかどうかが非常にわかりにくい仕組みになっている。もしフィードバックがなければ、これは単なる補助金にすぎないわけだから、きちんとフォーラムを開いたりするような努力を予算措置の中に組み込んでおくと同時に、4年とか5年でプログラムが終わった後、一体どうするのか。先の見通しのはっきりしたプログラム予算をつけないと、これは場当たり的でその場しのぎになってしまうのではないか。そういうのがあまりにも多くなってきているので、一体どういう意図でこういうものを次々増やしていくのか、文科省の政策理念が問われる問題の一つではないかと思う。

  【奈良高等教育局高等教育企画課国立大学法人評価委員会室長】
   それぞれの施策について、それぞれの意図をもって、展開しているところだが、1つは、国立大学あるいは私立大学それぞれがきちっとした役割を果たしていくための基盤を整備していくということ、それからもう一方で、いろいろな競争的な環境を整備して、そして国公私立を通じて大学の教育研究の活性化を図っていく、そして質の向上を図っていくというのが基本であろうと思っている。個々の具体的なプログラムについては、研究から基盤的な人材養成的なものまでいろいろあるが、基本的にはすぐれた取組を支援するものであり、学内的にそれをきちんとフィードバックしていく仕組み、あるいはそれを全国の大学にグッド・プラクティスということで普及させていく仕組みについて、それぞれの制度の趣旨に沿って、より効果が上がるように、工夫していきたいと思っている。

  【天笠委員】
   資料1−1の実績評価書を見ていて、46ページのところ以下、政策目標2−1、2−2、2−3と続くが、比較的目に入ってくるのが、概ね順調云々とか、想定どおりに達成とか、そういう形が出ており、このトーンというのは、次の54ページの政策目標2−2についてもやはり同じようなことで、想定どおり達成云々というようなことが続いている。
 しかし学校の現場からこの状況をとらえてみたときに、学校の現場はかなり、これは私の印象だが、組織的に疲れが出ているとか、機能が十分発揮できないとか、そういう状況に個々置かれているように思う。だから、政策的に概ね順調であるのが、それぞれの学校現場に行ったときには、学校現場が必ずしも機能を達成されていないような、そういう状況だとしたならば、やっぱり政策目標に何か欠けているところがあるのではないか。要するに現場の実態の成果のとらえ方や把握の仕方自身が、迫り切れていないのなら、政策は概ね順調だったと判断してることはもしかすると大変落とし穴に入る可能性があるのではないか。
 それから、個々の細かな政策がそれぞれ脈絡なく、各学校におろされていくと、それだけで学校が疲れていくこともあるわけで、このあたりのところはどういうふうに精選されたり、整理されたり、政策的に判断されて取捨選択されているのか。このあたりの評価というのがまだ抜け落ちているのではないか。現場の立場からすると、目まぐるしく変わる政策の変化になかなかついていけないという学校側の声などをどう位置づけながらとらえていくのか、このあたりを、政策評価を進めていく上でも、課題としてしっかりと押さえていかないといけないと思う。

  【川邊委員】
   今度の18年度の新規事業の中に学力調査についてだが、指標として、国語と算数・数学という2教科をとりあげているが、調査内容は広い概念に立った学力というのは結構だが、調査する評価だけに限っていっていると、一部のはかられる教科にのみ傾斜するということや、知徳体の調和という問題もあるので、実績評価のあり方、達成の評価のあり方としてはどうか。また、天笠委員が言われたような観点も含めて検討する必要があるのではないか。これは18年度にやるのだから、その検討をされる場合に、ぜひ参考にしていただきたい。

  【初等中等教育局】
   今、天笠委員からいただいたご指摘については、政策評価に限らず、文部科学省の初等中等教育全般、大きくわたっての現場の実態をよく把握しているのかという、広い観点からの指摘をいただいたものだと考えている。文部科学省も今、初等中等教育改革を進めているところだが、その際、現場の実態、現場のほんとうの状況というものをよく考えながら進めていくことに気をつけている。今指摘いただいた政策評価については、我々が考えた想定に比べてどうだったかという観点から評価しているところだが、その想定が現場の実態、また現場の意識とずれないように、今後とも引き続き気をつけていきたいと思っている。政策評価、個々の観点のみならず、行政を今後進めていく上で、現場をよく見て、現場とともに改革を進めていければと思っている。

  【大窪委員】
   今後の学力調査ということに関してであるが、今、子供たちの学力調査は、OECDのデータがもとになっているが、日本としてやはりしっかりと子供たちの学力の現状がどうなっているかということがはかれるような学力調査にしていただきたい。要するに過去の子供たちと比べて、何点とった、上がったではなくて、新しい教育改革の中でどれだけ子供たちがそれにそった学力として身についたのかどうかがはかれるような、そういう学力調査にしていただきたい。
 それと、自己点検、外部評価を受けている学校の割合が高くなっているが、何のための自己評価が必要で、外部評価が必要かということが学校に理解されてやったということと、ただ外部評価をやりました、自己評価・点検をやりましたでは、全然意味が違う。本当に地域に理解が得られるような自己評価だったり外部評価をするということが必要であって、ただ単に九十何パーセント達成しましたから、目的の自己評価、外部評価されていますでは意味がない。すべてにおいて、それぞれの数字が何の目的のために落とされているかということを、プラン側が意図したことが、受けている現場で理解されて、それが実施されているかということをしっかりと評価しないと、ただ単に数値が上がったから、概ね順調に達成されているということだけでは心配である。

  【初等中等教育局】
   学力調査については、ご指摘のとおり、平成19年度から小学校、中学校の最終学年で国語・算数、国語・数学ということで2教科、現在のところ、考えたいと思っている。これについては、かなり大きな規模でもあり、国際学力調査で非常に課題がある読解力であるとか、数学の中学における、あまりよくないような状況というところも見えているので、大きな規模の部分とあわせ持って、少し限定的にまずやっていくと考えているが、19年度以降の実施状況を見て、今後さらに評価の部分については考えてまいりたい。
 さらに評価という観点でいうと、今、中教審のほうでも、指導要領の見直しをはじめ、いろいろご議論いただいており、学習評価は、学力調査は一つの目安にはなるが、授業の中での先生による生徒の評価とか、生徒自身による自己評価、さらにはさまざまな教科、音楽、図工、美術、運動能力、体力、道徳とか、そういった面もあり、このあたりはどういう形ではかっていくのかということも含めて、我々としても今後研究していきたいと考えている。

  【田中委員】
   学力調査だが、学校現場で教員の方が使うというようなイメージが非常に強いが、やはり大学なり、あるいは研究機関が使えるようなインフラとしての調査にぜひしていただきたい。その上では、事業評価の44ページにある指標、学力調査に協力・参加した関係者の満足度というような指標ではなくて、学力調査結果を使った科学的な評価がどれだけ行われたかということがやはり成果指標になるのではないか。

  【横山委員】
   事業評価書を見ていて、まず拡充というのがちょっとよくわからない。何で拡充なのかなというのがあったのと同時に、政策目標2の番号の25番、「公立小中学校施設の耐震化等」と、それから政策目標3の番号36の「国立大学等の施設整備の推進」だが、これは前から、非常に地味で予算もかかるけれども、早急にやらなきゃいけないと言われてきたものだと思う。これをほかの拡充の事業と同じように並べてやっていくのでは、やっぱりまだまだ全部を成し遂げるのには時間がかかってしまう。こういうどうしてもやらなければならないものは別枠とか、あるいは評価の仕方も変えていかなければならないのではないか。

  【岡谷評価室長】
   拡充の定義だが、これは全体として、新しい目的あるいは新しい成果、あるいは目指すところの質が変わっていく、そういうものが拡充と言われていて、必ずしも予算が拡充したとか、そういう趣旨ではないということである。新規の事業で立てなくても、今まであったものを変革していく、こういうものを拡充と呼んでいる。

  【古賀座長】
   次に科学技術関係、政策目標4、5、6のところでご意見を。

  【室伏委員】
   事業評価書20ページと21ページの「科学技術に関する国民意識の醸成」というところに関してだが、私たちは以前から、国民全体の科学リテラシーを高めることが極めて重要であろうと考え、そのためにいろいろな活動を続けてきている。日本が科学技術立国を標榜するのなら、国民全体の科学リテラシー、科学的素養がある一定のレベルまで高められる必要があると思うし、そうでなければ、いろいろな科学のあり方や科学のこれからの進展について、国民全体の理解を得ることもできないと思うので、ぜひ国民の科学リテラシーを高めるための施策をもう少し盛り込んでいただきたいと思う。もちろん6−3−1、3−2、3−3で述べていることは、これで十分だと言われればそうかもしれないが、特に全体的な、国民が成人に達したときに持つべきというか、持っていてほしいリテラシーというものについて、どこかで一言述べていただけると良いのではないか。

  【阿蘇科学技術・学術政策局政策課課長補佐】
   今、ご指摘いただいたように、昨今、国民の理科離れ、科学技術離れというものが言われており、我々としても大きな課題として受けとめている。これまで、例えば日本科学未来館の実施であるとか、それからサイエンスチャンネルを通じた広報活動などを続けてきたところであるが、確かにおっしゃるとおりなので、今後とも、どのような形で進めていけばいいのかということも我々は考えながら、施策として実現して、国民に理科あるいは科学技術について理解が深まるように努めていきたい。

  【中西委員】
   実績評価書で概ね順調と書かれているが、順調でなかった点、ここはできなかったということもきちんと書いていただけると、もう少しわかりやすくなると思う。それから、せっかく全体図をつけているので、図の中で、全体のプロジェクト中、16年度はどこに当たりどこまで進んだのかということを示すと、もっと全体像が良く理解でき、かつどのくらい順調かということがわかりやすい。
 それから、実績評価書206ページの拡充では、流動性や若い人の育成ということがよく書かれており、非常に良い施策だと思っている。ただ、なぜ流動化が進まないかというと、大学などと企業の間の垣根が高く、若い人が自由に大学から企業に行って、また企業から戻ってきにくいなど、仕組みがまだ十分整っていないことが障壁になっていると思う。自分が使用していた機器や器材を会社に持っていくということもしにくいし、キャリアパスの一つとして同等と捕らえる風潮も育っていない。ポストドクは一時的な職だという考え方が多いが、ポストドクとして働いた間も、働く環境面、例えば社会保障も次の会社に行った時にはきちっと引き継がれるなど、その人のしている研究を中心に捉え、自分はここで研究して、次はここでして、だけどキャリアは全部繋がるというような、継続性のことも考えていただければと思う。

  【岡谷評価室長】
   政策評価のところの最初のところだが、今回、達成度合いの判断基準というものを設けており、どうしてこれが概ね順調で、どこが足りないのかというのがわかるように書かせてもらっている。達成度合いア、イ、ウ、エの根拠も書いているので、それを見ていただければわかると思う。
 それから、絵のフローチャートみたいなものをつけており、これを見ると、それぞれの施策目標でどこがおくれているから、全体としてどういうふうに判断したのか、見てわかるようにと用意している。
 それから、科学技術の話だが、事業評価書の一番初のページに(注)というところにも書かせていただいたとおり、実は事業評価は内局の分しかやっていない。独立行政法人の運営費交付金の事業は、事務事業に要する費用をどんぶりで渡し切り経費で渡してしまうので、あらかじめ文部科学省のほうで測定することができない。よって投入量が幾らになるのか、測定できないということで、あえて独法の事業については評価していない。ただし、実績評価するときには結果が出るので、それは評価する。事業評価と実績評価の違いというのはそこがあるので、先ほどのリテラシーの問題は、実は科学技術振興事業団のほうでいろんな予算要求をしているところである。同様に、中西先生のご意見にあった、若手の者についてもJSTのほうでいろいろと処置しているところである。

  【古賀座長】
   それでは、科学技術について他に。

  【星野委員】
   事業評価のほうの277ページだが、経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005における成果重視事業(仮称)に登録される継続事業について、この事業は17年度からの事業なので、これはまだ事後評価にならないのではないか。本来これは、277ページを見ていただくと、一番下のところに、得ようとする効果で、19年度、「具体的には、本事業の実施により、特許出願数111件、事業化等件数11件を目指す」と言っているわけだから、今年これで継続事業で上げて、これでおしまいということじゃ意味がないので、重点事業について今後どうしていくのか、ぜひ19年度、つまり20年の今から3年後には、ちゃんと特許出願数111件、事業化等11件達成したと言って、概ねどころか、目標どおりに達成したという評価をしていただきたい。このことは議事録にちゃんと書いて、3年後の政策評価室長がきちんと読むようにしていただきたい。

  【岡谷評価室長】
   278ページのほうを見ればわかるように、これは毎年、達成目標を書いていくということをしている。それで、実は2005年の骨太で、内閣のほうから今後、成果重視事業に登録するに当たって成果目標を立てていこうというふうに政府全体として決めたルールがあり、それにのっとって、それに登録されるものをやってきている。そういう意味で、来年も、再来年も、また平成19年度も毎年評価していくということになるので、来年の私も、再来年の私も、また19年度の私も多分評価すると思うので、大丈夫だと思う。

  【古賀座長】
   これはそうすると、事業評価書に毎年出てくるのか。

  【岡谷評価室長】
   出てくる。

  【古賀座長】
   それでは次に政策目標の7、8、9、スポーツ、文化、それから9番の国際関係、それにまつわる委員の方、ほかの方でも結構である。

  【杉山委員】
   政策目標の7は、これまでの「スポーツの振興と健康教育、青少年教育の充実」から、「スポーツの振興」というふうに短縮された。それで、資料1−2の21ページ、「学校体育の充実」という言葉があるが、私はもう学校体育というような言葉よりも、学校における健康教育というような非常に広い視野で学校の体育というのをやっていくべきではないかと思っている。そのあたり、次年度とか今後、分かれたとはいえ、やはりそういう連携をとっていかないと、また体育だ、健康教育だ、スポーツだ、競技だ、運動だということについて、ばらばらになってしまうような気がする。
 それから、「スポーツの振興」の中の一つの新しい事業として、233ページにナショナルトレーニングセンターの充実というのがあって、トレーニングセンターの公平性、優先性というのは総理大臣の一言のようなことが表記されているが、総理大臣がこう言ったので前倒しでやるというのは、いかにも情けないような気がする。もちろん、国を挙げてスポーツに対して競技力向上のために注意を払ってくださったんだというふうにここの文面からとればいいのかもしれないが、いささかほかの政策と新規事業の必要性、優先性とは異質な感じがする。

  【ゼッターランド委員】
   16年度実績の資料1−1、199ページのところだが、基本目標7−2、「平成22年度までにオリンピック競技大会におけるメダル獲得率3.5パーセントを実現する」といった目標があるが、ソフトの充実とハードの充実、どちらを優先的に充実させるかというのが、それぞれ時期によって変わってくると思う。
 それで、トップスポーツのほうではメダル獲得率が平成22年度までに3.5パーセントとなっているが、たしかにアテネ大会で獲得率が1.7から3.5に上がり東京オリンピックと同じ数だけのメダルを獲得できたけれども、こうなるまで東京オリンピックから40年かかっている。その40年間でどうしてスポーツがもう一回そこまでメダルがとれるようになったのか、そういったものを含めて考えていただいて、40年かかって同じ数になったということを、今度は約9年ぐらいの間で倍のパーセンテージに上げようということは、現場を知る者としては、メダルはねらってもとれるものではなかなかないので、携わってくださる方々には現場に足をお運びいただいて、その上でいろいろなこういった指標というのを決めていただけると大変ありがたい。現場を知るということで、そういうこともぜひお願いしたい。

  【岡本スポーツ・青少年局企画・体育課長】
   現在、スポーツの関係の目標設定は、スポーツ振興基本計画に基づいてやっており、今5年目に差しかかる。そこで、もともとの計画の中で、5年たった時点で見直しをということになっているので、来年の4月以降にはこれを全体で見直す必要がある。例えば、メダル獲得3.5パーセント、国際競技力の向上はこれだけなのというような意見もあり、これはスポーツ振興基本計画をつくる時点では、オリンピックのメダル獲得数が非常に下がっていて、大きな危機感があったということ。それから、数字を書くとわかりやすいということがあり、これを書いているわけだが、こういうことでいいのかということも見直しの対象にしようと思っている。
 それから、学校体育もそうで、従来から学校の体育、それから昔の言葉でいうと社会体育、それから競技力向上と3分野でやっており、スポーツ振興計画も3分野になっているが、それでいいのかということも来年4月以降には全般的に見直しをしようと思っている。学校体育という概念は、実は法令上は出てこないけれども、よく見ると、教科として行っている体育の授業と、それからクラブ活動というのは、実は法律上でいうと、社会教育法の社会教育に該当する部分であり、それから、学校が行っているスポーツの行事で教育的要素がないものは、前々回申し上げたが、新しい文部科学省の所掌事務のスポーツの教育以外の部分に入るわけで、このあたり、健康教育との関係も含めてどういうふうにとらえるかというのは、来年4月以降、見直していこうと思っている。
 それから、ナショナルトレーニングセンターの充実のことだが、従来の方針を大きく変更する、あるいは前倒しその他も含めて、そういうことがあった場合には、どういう契機でそれが起こったかということがある意味重要であり、例えば各都道府県がこぞってこういうふうに言ってきたとか、いろいろな契機があるわけであり、行政機関の長である内閣総理大臣が方針を示したということは非常に大きなことなので、ここに書いているわけだが、もっとありていに申すと、先ほど評価の結果を財政当局のほうにも説得力を持てというお話もあったが、内閣総理大臣が命じたということは、財政当局に対しても非常に大きなインパクトになるわけであり、そういったプラクティカルな側面からも、私どもは実はこういう書き方をしているわけであるが、ご意見があったことは担当部局に伝えたいと思う。

  【古賀座長】
   それでは最後の政策目標8,9についてどうぞ。

  【端委員】
   今回の新しい新規事業の中に幾つか地域の文化振興に関するプログラムが出ており、こうした評価の会議を含めて、プログラムが進展していることを大変評価したいと思っている。
 地域でこういうふうにいろんなプログラムを見ていると、先ほど星野委員が言われたように、実は評価の中の大きな課題は、文部科学省が直接事業に携わって評価に結びつくものと、市町村ぐるみ事業という間接事業がかなりたくさん出てくる。これは学校関係とか地域文化振興関係では、かなりこういうプログラムを市町村ぐるみで取り上げていくという課題が出てくるわけである。その場合の評価のあり方というのは、やはり大分違ってくる。今日たまたま、新規事業の中に学力調査というのが出ており、学力調査もある意味では現場の評価事業であるということを考えると、こういうふうな市町村ぐるみ事業も、市町村のあるいは例えばプロジェクトを担当した数だけでなくて、それが本来の目的のどこまで行ったかというところまで入ると、学力調査と同じようなレベルの調査になるので、やはり評価のレベルというのが、政策的なレベルの評価もあれば、こういうふうに、どの段階で達成したことを評価にするのかという、この指標のとり方も大変難しい問題があると思う。そういう意味では、こういう地域文化に関係するものは、結局は住民のそういう文化度というものの向上ということになるわけである。それをどういうふうに評価するのかというような、かなり大きな課題も残ってくるように思う。

  【古賀座長】
   大変大事なご指摘だと思う。実際の評価のあれが一番末端のところまで行くわけだから、これは教育のところもそうだと思うが。

  【岡谷評価室長】
   大変重要なポイントだと思う。それは考えなきゃいけないので、知恵があったら教えていただきたい。意図するべきところをどう考えて、アウトカムをどう見ていけばいいのかということを教えていただきたい。

  【弓削委員】
   事業評価のほうの政策目標9の70番だが、この指標を見ていると、参加団体数だとか、ワークショップの数、実績数、また電子アーカイブへの登録数という、全部定量的な指標なので、ここのところでも内容的な部分がもう少し必要なのではないかと思う。現地調査であれば調査の内容だとか、ワークショップであればワークショップの内容をどういうふうに評価するのかということも重要だと思う。
 それから、一番最後の73番目の「日本・国連大学共同研究事業」という新規事業についてだが、やはり272ページの指標のところを見てみると、共同研究の活動件数だとか、参加した大学数、研究者の数というもので、4つあるが全部が定量的な指標となっている。共同研究の内容が何であって、成果がどうだったのか、それから研究の結果がどのように使われて、その結果何が起こったのか。達成目標にある、政策提言のための重要なインプットになったのか、そしてそれが政策改善、また政策策定に結びついたのかというところも重要だと思うので、この指標の立て方については課題だと思う。

  【南大臣官房国際課長補佐】
   定量的なものは非常に目に見えてわかりやすいということから、このような指標を立てさせていただいたが、当然、今ご指摘いただいたように、事業を実施する上で、事業の内容、それから先ほどの国連大学については共同研究の内容、そういったものを我々としては重視していきたい。また、事業が終わったら、そのような点も含めて我々はできる限り評価したいと考えているので、よろしくお願いいたしたい。

  【室伏委員】
   事業評価書の23ページを開いていただきたい。先ほどの弓削委員の指摘と少し重なるが、9番の「日本人の心の見える国際教育協力の推進」は、文部科学省が実践されている仕事の中で、日本が品格ある国としての活躍の一つの例として高く評価されていると聞いている。ぜひこれをますます進めていただきたい。
 9−1−2の中で、青年海外協力隊などで現職教員が参加するようなことを整備・強化したいということだが、参加した教員が帰国した後、それらの経験がキャリアとしてあまり認められないということもあり、また、それほど快く学校も出してくれないというようなこともあって、なかなか難しい状況があると聞いているので、そういった問題を解決できるような施策をとっていただきたい。
 それから、9−1−4に、いろいろなこれから日本がやるべきことが述べられているが、私は今、開発途上国の女性や子供たちが大きな心の問題を抱えているということをしばしば耳にしている。ぜひ学校などに心のケアをするカウンセラーを派遣したり、現地でのカウンセリングの体制作りを支援して、教育現場での試みが成功するような方向に導いていただきたいと思っている。

  【南大臣官房国際課長補佐】
   JICA(ジャイカ)への現職教員の派遣については、教員がこういった海外協力を経験することによって、教員自身のためにもなる。また、派遣した学校の国際化、そういうものにもつながると考えている。それが仮に評価されないとしたら、それは問題であると思うので、事業実施に当たっては、そういった点に十分考慮したいと思う。
 それから、カウンセラーの派遣についても、大変貴重なご意見をいただいたと思うので、また事業実施に当たっては、その点も考慮に入れてやっていきたいと思っている。

  【古賀座長】
   今日いただいたご意見については、今後の各事業の具体的な実施方法であるとか、次年度における評価手法等に反映していただきたいと思う。
 最後に、政策評価制度の見直し等に関する動向について、事務局より説明していただく。

(2) 政策評価制度の見直し等の動向について
 
   ○ 政策評価制度の見直し等の動向について、事務局より説明が行われた。

  【古賀座長】
   今、事務局から説明があったとおり、10月12日に政策評価・独立行政法人評価委員会、これは伊藤忠の丹羽会長が座長であるが、各府省の懇談会、各府省の政策評価有識者会議の座長の懇談会がある。座長として私が出席するが、今後、政策評価制度がどうあるべきかという観点からの議論になると思うので、ご一読いただいて、政策評価制度をどのようにやるべきかという観点からのご意見等があれば、ぜひ事務局まで連絡いただき、私のほうでその辺も踏まえて対応したいと思っている。また、懇談会の結果については、次の有識者会議の席でご報告いたしたいと思う。
 最後に審議官。

  【近藤文部科学審議官】
   きょうは大変貴重なご意見をいただいた。特に、幹部の者がしっかりとこういう研修を受けるべきではないかと、耳の痛い話であるし、今日いただいたご意見は、実は本当に大切なことだと思っている。私どもも十分に、ここにいる幹部はしっかりと頭の中に入れたことだろうと思っている。そういったことも踏まえながら、また対応してまいりたいと思っている。そのほか、高等教育のあり方、あるいは学校現場が改革疲れになっているのではないかとか、いろんなご議論もあった。そういったことも踏まえながら、政策評価のあり方も含めまして、しっかりと私どもも対応してまいりたいと思っている。

  【古賀座長】
   それでは、本日の会議を終了する。


  ── 了 ──



(大臣官房政策課評価室)

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